仲村トオルが起業家で、市役所に勤める森口瑶子が作った資料の質の高さに注目して自分のところで働かないかと誘うが、森口は今の身の丈の暮らしで満足していると断る。あきらめずに口説く仲村だが、森口のアパートの下の階に引っ越してきた貧乏人の松岡俊介の方に行ってしまう。
このあたりの「謎」が物語上の伏せ札のテクニックでなく、視線を合わさない人物配置、正面から対立するのではなく斜め上にロジックが展開していくような構造のダイアローグのサスペンスとして機能している。
ほぼ三人による会話劇で、おそらく16ミリフィルムによるカラー撮影(芦澤明子)。ミニマムな作り。
松岡俊介は2009年以降芸能関係の仕事をやめて、コロナ下で仙人のような生活をしていると伝えられた。
森口瑶子は「相棒」の小料理屋の女将役でレギュラー。
20年以上経つといろいろ変わる。