「フィールド・オブ・ドリームス」の背景にもなった1919年のプロ野球ホワイトソックスの八百長事件であるブラックソックス事件を描く1988年作。ジョン・セイルズ監督・脚本。チャーリー・シーンやジョン・キューザックなどが若いこと若いこと。
廊下トンビよろしくさまざまな人物がホテルの廊下を交錯するのをカメラが次々と追いかけていくあたり、大勢の人物を捌くのを好むセイルズらしく、「希望の街」でも似たようなカメラワークが多用されていた。
オープニングで球団のオーナーが記者たちに大盤振る舞いで歓待する一方、選手たちには気の抜けたシャンパンしか出さないといったあからさまに対照的な扱いをするところで、宣伝になるかこれから経費を削る対象であるかといった金の問題を端的に見せ、これが八百長につながってくる。
メイン・タイトル、エンド・タイトルともに不思議なデザインになっている。
人名と職名が階段みたいにちょっとづつ右にずれながら上ってきて、しばらく普通にまっすぐ並んで上り、今度は左にずれながら上っていくといった調子。こじつけて解釈すれば、良心と倫理と八百長の狭間で揺れる心情を形にしたといったところか。
それにしても、八百長はもちろん倫理的に大問題ではあるにせよ、裁判沙汰になるというのは驚く。信用詐欺、という罪状なわけで、それだけプロ野球あるいは野球というものは神聖か純粋、イノセントなものだという信用があったのだろう。