柳楽優弥の内心がナレーションで語られるところでつまづいた。説明的を通り越して説明そのもの。
さらに獄中の黒島結菜が死刑囚だというのにさほど柳楽が積極的な理由もないのにかなりややこしい手続きで面会するのも、第一刑務所側が家族でもなければ弁護士でも相手に面会許すものかなと疑問に思ったら将棋倒しにウソ臭くなった。
第一、柳楽が児童相談所勤務だときちんとあらかじめ順を追って描かれておらず、なんだか一人合点なまま先に進んでしまう。
獄中結婚というと宅間守が現実の例としてあったし、「夏目」の作中でも支援者がすることあると語られる。
豊川悦司の死刑囚に一方的に妄想的に思いを寄せる女を小池栄子が演じた映画「接吻」があったが、小池は自分が演じるヒロインが理解できなくて万田邦敏監督に相談したら理解できなくていい、というか理解できなくて当然ですと言われてわからないまま演じたのだが(結果、各種の演技賞を受賞し演技者としてのステータスを確立した)、この場合のわからなさというのは常識から出た当然の疑問なのに対して、「夏目」の場合は話を悪くいじくり回したわからなさとしか思えない。
伏線の回収が後知恵にしか見えないのです。
面会室の場面ではどアップが多用され、黒島の歯が乱杭歯ということもあって照明ともどもおどろおどろしい。