素朴な感想として、大和ってこんなにデカかったのかとびっくりした。なるほど、これだけ立派な船なら惚れ込む人間が出るのも無理はない。実物大のセットを作った効果は大きい。
現代の回想から遡る構成は、まるっきり「タイタニック」。
これまた素朴な疑問として、特攻で死ぬことがなんで後に残して生き延びる人間のためになる、とか平和の礎になる、ということになるのだろう。だったら、生き延びた方がいいに決まっているではないか。
うって一丸になって死にに行くというのも、周りの空気に流されているだけではないかという疑問は消せない。
一方で、死地に赴く美学というのも、感覚的にわからないではない。史観がどうとか、反戦好戦がどうとかいった理屈ぬきでほとんど全編それで通している観もある。それがラストでどんでん返し的に生き延びる意義を説く方にひっくりかえるのだが、それほどとってつけた感じはしない。
こういう理屈の上の生の肯定と、死を美化する感覚というのは、矛盾はしているのだが、妙な具合に共存もしているということだろう。
しかし、生き残った人間が後ろ指をさされるっていうのはイヤだな。本当にイヤだ。生き残った方で恥を感じなくてはいけないという感覚もイヤだ。
内田(中村獅童)も生き延びて養子(成長した姿が鈴木京香)を育てたはずなのだが、画面で見ていると戦死しているようにしか見えない。どうやって生きていたのか。
戦闘シーンは相当な迫力。もっとも、本当に機銃掃射を浴びたら人間の身体は原型をとどめないはずで、あれでもまだ甘いのだろう。
劇中でどーんとアップになる新聞に堂々と「朝日新聞」と書いてあるのが、なんだか可笑しい。テレビ朝日が製作委員会に入っているとはいえ、ね。
(☆☆☆)
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