今月MAKIKYUが広島県内へ足を運び、終焉迫る呉市交通局の路線バス(呉市営バス)に乗車した際には、日頃の疲労が影響してか、宿泊していた広島市内のホテルで寝坊してしまい、幾つか候補を考えていた呉市営バス乗車計画も、バス時刻の関係で実現できない案が幾つか生じる有様でした。
しかしながら広島や呉は、予定していた列車やバスを一本逃がしたら…という土地柄ではありませんので、色々候補を考えていれば何とかなるのは有り難いもので、宿泊していたホテルから徒歩で移動可能な範囲にある広島バスセンターへ出向いた後、結局広島電鉄が運行する熊野線の一般路線バスに乗車したものでした。
熊野線は広島市内や近郊を走る広島電鉄郊外バスの1路線で、広島バスセンターのある中心部の紙屋町などと、広島市東郊に位置する熊野町内を結んでおり、一般道路経由の便でも矢野までの間は、広島駅・向洋・海田などJR線沿いを経由するルートと、大学病院・仁保などの海沿いを経由する2ルートに分かれ、更にラッシュ時間帯などには広島高速2号線を経由する系統も存在しています。
MAKIKYUが乗車したのは広島駅・向洋・海田経由の便で、広島市内中心部と熊野町内をダイレクトに結ぶのがウリの路線ですが、JR線とほぼ並行する矢野(矢野駅前)までだけでも、結構な時間と運賃を要します。
矢野駅前からは熊野線の一部便以外に、矢野駅前~熊野町内間を結ぶ矢野ニュータウン線なども運行していますので、もし広島駅周辺に宿泊していたなら、矢野までJR線を利用してバスに乗り換えても…と感じたものでした。
ちなみにMAKIKYUが乗車した熊野線のバスは、MAKIKYUが身を置く首都圏では数少ない西日本車体工業製の58MCボディを採用した車両で、それも排ガス規制対象地域ではまず見られない平成3年式のいすゞ大型路線車でした。
おまけに郊外路線向けの高出力・着席重視仕様、引き違い窓を装備した非常に特徴的な車両(U-LV218M)で、古参大型車というだけでも歓迎のMAKIKYUとしては、この様な車両に当たって非常に嬉しいと感じたものでした。
(MAKIKYUが熊野線で乗車した車両は、登録番号がもう少し新しい車両で、写真は熊野営業所内で撮影した同形車です)
また路線的にも矢野までは市街地を走るものの、矢野~熊野町内へ至る道はかなりアップダウンのある山道で、運転するのは結構気を使いそうと感じた反面、高出力車の威力発揮といった雰囲気のルートは乗り応え充分で、広島バスセンター~熊野営業所間の乗車時間は1時間強に及びましたが、もっと乗っていても…と感じたものでした。
熊野営業所では市営バス乗継まで少々時間が空き、営業所内に停車している広島電鉄バスの姿を10台程度目撃できましたが、その間には熊野町内や矢野駅方面へ向かうバスも何台か発着していました。
見かけるバスはMAKIKYUが乗車した西工58MCボディの大型路線車や、日野純正のブルーリボンばかりで、それも大都市圏の排ガス規制対象地域では車検が通らない古参年式の大型車ばかりが目に付いたものでした。
広島電鉄では広島市内などで結構新しい車両(専らエルガか、ほぼ同型のブルーリボンⅡですが…)を良く見かけますので、全体的には古参車ばかりではないのですが、熊野は旧年式の車両ばかりが集まっている様で、古参車狙いであれば絶好のエリアと感じたものでした。
ちなみに熊野線の運賃は、広島バスセンター~熊野営業所間で620円(PASPY割引適用時560円)、その後呉市営バスに乗り継いで呉へ抜ける場合は熊野団地(広島電鉄熊野営業所内にあるバス停ですが、名称が広電とは異なります)~呉駅前間470円(PASPY割引適用時430円)となっています。
PASPY(広島地区の路面電車・バス・アストラムライン共通ICカード)利用で両者を乗り継ぐ場合は、更に20円の乗継割引も適用されますので、PASPY利用の場合は広島市内~呉間を一般道路経由の路線バスで乗り継いでも、1000円以内に収まります。
(広島バスセンター~呉駅前間を高速バス・クレアライナー利用で700円(PASPY割引適用時630円)、JR呉線利用は更に安くなりますので、広島~呉間をダイレクトに移動する手段とは言い難いですが…)
ただ終焉迫る呉市営バスを組み合わせ、比較的手頃に路線バスの小旅行を楽しむには悪くないルートと感じたもので、4月の呉市営バス→広島電鉄移管後も、現状の路線形態のまま暫く推移するのか気になる所です。
呉市内で広電バスと言えば広島~呉間の国鉄バス(現西日本JRバス)の路線で広電バスと呉市営バスが共同運行していた時の事を思い出しまして、逆に広島市内に於いても呉市営バスも珍しかったものです。当時の国鉄が発行していた「広島・宮島ミニ周遊券」もこの路線バスも含まれていましたが、呉市営バスと広電バスは周遊券での利用が出来なく、そこがちょっと使いにくく歯がゆい思いをしたものでした。
これからは呉市営バスは姿を消しますが、音戸大橋を渡る広電バスを見てみたいものです。
呉市営バスはまもなく終焉を迎え、広島電鉄に移管となりますが、熊野線の様な既存広電路線との連携や、既に呉市営と広島電鉄(+中国JRバス)で共同運行しているクレアライナーなどが、呉市営→広電移管によって今後動きが生じてくるのかも気になります。
またこちらは音戸大橋を渡った事は無く、市営バスで通る機会はなく終わりそうですが、機会があれば広電移管後にも呉を訪問し、是非広電バスから音戸の瀬戸を眺めたいものです。
国鉄が分割民営化された直後は名前はそのままJR西日本バスだった様な!