今月MAKIKYUが新潟県の佐渡島へ足を運んだ際には、佐渡島・両津港への航路が出航する新潟までの往復は、日程の関係などもあって、往復共に上越新幹線を利用したものでした。
(首都圏~新潟程度の距離であれば、時間に余裕があれば個人的には青春18きっぷ設定期間に普通列車乗り継ぎで移動しても充分、また期間・対象便限定で大幅割引となっている高速路線バス(池袋~新潟間2900円:西武バスや新潟交通などが運行し、一部便は3列席車充当)の利用も検討したい所ですが…)
上越新幹線の高崎以遠は、久々に乗車したものでしたが、現在この区間で走っている車両は2形式あり、そのどちらも最近は東北新幹線から退き、専ら上越新幹線での運用に従事しています。
その一つが200系電車で、同系は東北・上越新幹線開業に合わせて導入され、その後暫くの間増備が続いた車両で、増備分はJR化以降に製造された車両も含まれますが、基本設計は国鉄由来のもので、当然ながら直流電動機を装備した車両です。
東海道・山陽新幹線ではJR東海はおろか、古い車両を長く使い続ける事では有名で、今でも在来線ではかなりの古参車両がゴロゴロしているJR西日本ですら、200系より後に登場した国鉄末期設計の100系電車や、JR化後に設計された270km運転対応のVVVF車・300系電車を全廃しています。
その一方、在来線では次々と車両を入れ替えているJR東日本が、車両寿命の短い新幹線において、未だに200系電車を使い続け、国内最後の国鉄型新幹線車両、かつ直流電動機を装備した新幹線車両が東京駅まで乗り入れてくる姿が今日も見られるのは、奇跡的と言っても過言ではない気がします。
200系は大半が既に廃車となり、東北・上越新幹線開業時に導入された車両こそ絶滅しているものの、未だに活躍が見られるのは、2000年前後に一部編成で大規模な車両更新・延命が実施された事も影響しており、現在活躍する200系電車は、全てこの車両更新工事を施行した車両となっています。
車両更新工事施行車両は、E2系などに良く似た装いに改められ、200系の原型車が消滅した今日では、原型車両と同じ白と緑色の装いに戻された編成も僅かに存在しています。
側面の行先表示もLED化されるなど、原型とは大きく姿を変えていますが、かつての字幕時代の車両種別表示窓(自由席/指定席)を埋めず、LED化してもこの表示窓を残している一方で、その隣にある行先・列車名表示のLEDでも交互表示で車両種別を表示しているのは、少々違和感を受けます。
この車両更新工事施行車両は、客室設備もE2系レベルの座席の交換され、天井回りも原型とは大きく異なるなど、車両更新工事施行時期の新車レベルと言っても過言ではない程のグレードを誇っており、徹底したリニューアル振りはJR西日本も真っ青…という程です。
(写真はグリーン車内の様子です)
ただ輸送力確保の意味合いもあってか、空間的なゆとりと言う点では、JR西日本が末期は専ら山陽新幹線内のこだま号に充当していた0系や100系の短編成改造車に軍配が上がるのは惜しい限りです。
(新幹線も首都圏通勤ラッシュ輸送の一端を担っている事を踏まえると、空間的ゆとりを多少犠牲にしてでも、座席数確保を優先する必要があり、致し方ない事なのですが…)
また現在は全て10両編成での運行となっている200系電車は、編成中の大半(9両)が普通車となっており、MAKIKYUが乗車したのも当然この普通車になりますが、同じ普通車でも見た目こそ整合性を取っているものの、乗車した編成ではよく見ると座席が2種類存在している状況でした。
一方はJR東日本名物の座面スライド機能を装備し、リクライニングとは別にもう一つボタンが存在するタイプで、JR東日本だけでなく、E2系ベースの中国鉄路・CRH2型でもこのタイプの座席を装備しています。
もう一方は3人がけも含めてリクライニング機能を装備し、背面テーブルも装備した回転式座席ながらも、座面スライド機能がなく、座面スライド機能付き座席に比べるとやや古めで、若干の見劣りが否めない座席で、真ん中当たりの車両でこの座席が見受けられたものでした。
MAKIKYUが乗車した列車は、自由席が多い区間列車の「たにがわ」号(越後湯沢駅で新潟からの「Maxとき」号から乗り換え)で、自由席車で2種類の座席を選択できる状況でしたが、上越新幹線では足の長い「とき」号では自由席車の数が少なく、同列車では指定席になる号車で、自由席よりグレードが劣る座席を装備した車両が存在するのは、少々感心できないと感じたものでした。
とはいえ上越新幹線で現在主力を占めている全車2階建て車両(8両編成or2編成併結の16両編成)に比べると、空間的なゆとりなどは200系の方が断然上等と感じ、ハズレ座席に当たったとしても2階建て車両に比べれば…と感じたものです。
しかしながら古参車両である上に、直流電動機装備でエネルギー効率も決して良いとは言い難い車両ですので、現在200系を充当している一部列車において、来年1月末に東北新幹線から転属したE2系電車への置き換えが数日前に発表され、MAKIKYUが乗車した「たにがわ」号もこの置き換え対象列車に含まれていました。
車両の経年や運行コストに加え、編成や乗車定員などを考えると、E2系転配による車両置き換えは、200系が優先的に対象となってしまうのは止むを得ないのかもしれませんが、居住性という観点で見れば、全車2階建て車両の方を先に…と感じてしまいます。
200系は車両更新工事施行からも既に10年以上が経過しており、E2系が上越新幹線に転配される状況では、退役も致し方なく、むしろよく今日まで活躍し続けたと感心する程で、今後全面退役までに再度乗車機会が訪れるのか否か…という状況ですが、上越新幹線を利用する機会があるならば、個人的には是非200系充当列車を選んで乗車したいと感じたものでした。
(お断り)200系新幹線は首都圏~甲信越(新潟県)に跨って運行していますが、この記事のカテゴリーは甲信越扱いとさせて頂きます。
200系が現在まで活躍を続けているのは、リニューアル改造を受けたのもそうですが、最大の理由は車体構造の頑丈さにあると思われます。200系は将来の北海道新幹線への乗り入れを見込み、耐寒・耐雪性能を大幅に向上させ、車体の頑丈さも0系以上とされています。後年、200系の装備はオーバースペックであることが分かって、E2系では幾分仕様が簡略化されていますが。
しかし、いくら車体が頑丈でも、エネルギー効率に劣る直流電動機を使っている時点で、置き換え対象となるのは無理もないと思います。
私は200系の魅力は、走りその他の「重厚さ」だと思うのですが…あれが味わえなくなるのはさびしいですね。
200系新幹線のしぶとい活躍が、頑丈な車体構造も影響しているとは少々意外ですが、リニューアル時期なども考えると、更新時期に主回路更新(VVVF化)も併設していた方が…とも感じてしまいます。
来年初頭にE2系上越新幹線転用に伴い、充当列車減少→恐らく離脱車発生となるのは、経年に加えて消費電力量を踏まえると…といった所ですが、残る編成もいつまで走り続けるのか気になる所です。
個人的には趣味的魅力だけでなく、居住性の面でオール2階建て車より優れている事から、先にオール2階建て車を置き換えてから…とも感じてしまいますが、運行コストと節電の両面で問題を抱えている車両であるだけに、E1系が全滅した今日まで走り続けている事自体が奇跡的と捉えた方が良さそうですね。