今月に入ってから更新頻度が減少している「MAKIKYUのページ」ですが、管理人MAKIKYUは今月に入ってから西日本方面へ足を運ぶ機会があり、この事も更新頻度減回の一因となっています。
(管理人の諸事情により、もう暫くの間更新頻度減回が続く見込みですのでご了承下さい)
その際には10月に営業開始したばかりで、今までの日本の列車とは様々な面で異例尽くしという事もあり、鉄道ファンのみならず世間一般からも多大な注目を浴び、ニュースなどでも取り上げられたJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」の姿を、初めて実際に見る事も出来ました。
(写真は「ななつ星in九州」車両の至る所で見られるロゴマークです)
「ななつ星in九州」は客車7両+ディーゼル機関車の編成、動力分散方式の電車や気動車が大半を占める今日の日本において、最近の旅客輸送用車両としては異例の動力集中方式となっており、これだけでも異質の存在と言えます。
(ただJR九州グループの地盤である九州・福岡からは、JR九州グループも200km程離れた釜山へ向かう高速船(以前は直営でしたが、現在は子会社として分社化)を運航しており、釜山まで足を伸ばせば機関車牽引の客車列車自体は有り触れた存在なのですが…)
またJR九州グループは、鉄道車両をはじめ、駅などの建築物や一般路線バス、高速路線バスや高速船など至る所で、某有名デザイナーが関与している事でも有名で、JR九州グループでの成功が影響してか、近年西日本を中心に一部私鉄やバス事業者などでも、このデザイナーが手がけた特徴的な車両などが次々と登場している事は、ご存知の方も多いかと思います。
このデザイナーが他に類を見ないデザインの車両などを次々と手がけ、余りに個性が強過ぎる事もあってか、その外観や内装などに関する評価は人によって大きく分かれる状況になっています。
(個人的には難有りと感じる部分もありますが、総体的に見れば評価できる部分の方が大きいと感じています)
他事業者であればビックリする様な車両が出てきても、今日ではJR九州グループ+某デザイナーが関与するなら…と感じる状況になっていると言っても過言ではないのですが、そんなJR九州の中でも「ななつ星in九州」は突出した存在となっています。
7両編成にも関わらず、各車両は2人用個室が2~3室程度、1編成合わせた定員は、一般的なB寝台車1両分の定員にも届くか否か…という状況で、「ななつ星in九州」登場以前は国内最上級列車と言われていた首都圏~北海道間を結ぶ全車A個室寝台車編成の臨時寝台列車「カシオペア」と比較しても、桁違いの凄まじく突出した存在と言えます。
また単に桁違いのスペックを誇るだけでなく、運賃・料金設定(旅行商品扱いのみで、みどりの窓口などで寝台料金込みの乗車券を購入する事は出来ません)や列車運行形態(博多発→博多行)なども異色で、運賃・料金設定も相当なモノですが、それでも人気は絶えず、現状では各列車共に乗車希望者が殺到・乗りたくてもなかなか乗れないプレミアトレイン化しています。
(写真は「ななつ星in九州」の客車側面に掲出されたサボです)
こんな状況ですので、ちょっと気が向いたら乗ってみようという訳には行かず、MAKIKYUは乗車予定すら…という状況ですが、MAKIKYUの旅行予定と「ななつ星in九州」の運転日・運転区間がうまく重なっている事もあり、旅程を微調整してその姿を見てきました。
特徴的な装い故に、撮影の際には色飛びなども…と感じたものですが、駅停車中の姿などは、思ったよりは撮影しやすいと感じたもので、機関車を先頭に編成全体を写すと、MAKIKYUが日頃持参しているコンデジで薄曇り・やや逆行気味の状況では、以下の様な写りとなります。
(この写真のみ通常記事で用いている画像と比較し、特別に縦横共に2倍の大サイズで公開していますので、携帯電話などからアクセスされている方は注意して下さい)
先頭に立つディーゼル機関車は、既存車両の塗り替えなどではなく新造となると、現段階のJR線で走行している車両の細部変更などで済ませるとなれば、選択肢はおのずと北の大地で活躍する貨物用機関車という事になりますが、装いに加えてライト形状などに特徴があります。
北の大地で同一系式が多数活躍する中で、番台違いが北の大地と遠く離れた九州で僅かに活躍…というのは、次々と装いや用途を改めながら、今日も観光列車で活躍する展望席付き気動車と似た様な状況ですが、北の大地では当たり前と言える2形式の並びが、九州でも見られる様になったのも、趣味的には興味深いところです。
(走行線区は部分的に重なるものの、運転時間帯の関係などもあり、両者が並んだ写真を綺麗に撮る事は難しいと思います)
他車両でもJR九州の観光列車の一つに数えられ、非常に特徴的な装いや改造内容など、趣味的な注目点も多い「はやとの風」や、一般の通勤電車の中では特徴的な装いを誇ると共に、手入れの良さが際立っている関西の阪急電車などは、車体が情景を反射するのも大きな特徴ですが、「ななつ星in九州」もこの特徴が見受けられ、光線状態などによって装いが異なる様に感じられるのも大きな特徴です。
各車両にはロゴや英文字が随所に散りばめられている辺りは、某デザイナーが関与した車両ならではと言う雰囲気が感じられますが、装いや設備などが特徴的な車両の割には、客車の車体形状は意外とシンプルな印象を受けたものです。
車内の様子は、ホームに運転停車している姿をガラス越しに垣間見る程度でしたが、他に類を見ない独創的な車両を次々と登場させているJR九州の中でも、この車両は別格…という印象を受けたものでした。
(写真はホームからガラス越しに、車内の様子を撮影したものです)
ちなみにMAKIKYUが「ななつ星in九州」に遭遇したのは大分駅、「ななつ星in九州」の中でもフルコースと言える南九州周遊3泊4日コース最終日となる金曜日の昼過ぎに豊肥本線(豊後竹田方面)から入線、そして列車の方向が変わり久大本線(由布院方面)に入るのですが、機関車牽引の客車列車という事もあって機関車の付け替えも行われ、1時間以上と言う結構な長時間停車となります。
運転停車扱いで車両のドアは開かず、車内の乗客は缶詰状態(車内で特別な一時を過ごす事を意図して乗車している方々ばかりかと思いますので、早く下ろして欲しいといった要望が出る事はまずないと思いますが…)、駅ホームに居る乗客が「ななつ星in九州」の車内に立ち入ってその様子を眺める事もできませんが、それでもたまたま列車待ちなどで居合わせた乗客からは、「あれが話題の列車?」「こんな列車初めて見た」などの声が聞かれたものでした。
たまたま列車待ちで居合わせた乗客の中には、手持ちのスマートフォンなどで「ななつ星in九州」の姿を撮影している方もボチボチ、そして予めダイヤを調べて待ち構えていた鉄道ファンも撮影に勤しみ、1時間以上の停車時間は「ななつ星in九州」ミニ撮影会と言っても過言ではない状況でした。
とはいえ姿を見る機会こそ限られる列車ながらも、運転パターンはある程度決まっており、平日昼間の大分駅という場所柄もあってか、特に撮影者が殺到するといった事はなく、MAKIKYUも比較的落ち着いた雰囲気の中で撮影できたのは良かったと感じたものでした。
予約状況や運賃設定、車両設備などを踏まえると、MAKIKYUが「ななつ星in九州」に乗車する機会は当分、というより一生涯廻ってこない可能性の方が…とも感じたものでしたが、「ななつ星in九州」への乗車の是非は別としても、この車両の登場を気に、今まで九州の鉄道には感心が薄かった方々が九州の公共交通に着目し、実際にJR九州の観光列車などをはじめとする各鉄道・列車などに触れる機会が増える事を願いたいと感じたものでした。
ただし、こうなると今度は「地方切捨てだ。」という批判も聞かれそうですが、マイカーのEV化も進んでおり、地方公共交通における鉄道の機能は全滅したと解釈すれば納得できるでしょう。鉄道離れが進む中、在来線を生かす背水の陣にJRは乗り出してはいますが、それがもはや低所得者を相手にしていないということです。
JR九州は都市間・都市圏輸送共にバス最大手事業者が君臨し、バス輸送の比重が高い地域故に厳しい状況の中では、比較的健闘している部類かと思いますが、都市間輸送や都市圏輸送から外れた路線・区間などは、運営自体が非常に厳しい状況ですね。
公共交通機関と言う宿命故に、不採算を理由に安易に撤退する事はできず、何らかの維持・活用策を講じて安定輸送を続ける事は、非常に重要な事だと思います。
その一つとして豪華列車を走らせる事で既存の基盤を活用しつつ、その成功で利益を確保→不採算地域輸送の維持に繋げられれば、「ななつ星in九州」の成功は同列車に乗車する高所得層だけでなく、公共の利益にも繋がりますので、歓迎できる事かと思いますが、「ななつ星in九州」の運行によって地域輸送に弊害が及ぶ様な事態(通勤通学時間帯の列車削減や所要時間の大幅増など)が生じない事を願いたいものです。
JR九州グループは、「ななつ星in九州」にも、某デザイナーが関与した他に類を見ない列車運行をはじめ、JRグループでは唯一の国際輸送(ビートル)なども行い、鉄道以外の部門も厳しい状況や事業規模などを踏まえると、個人的にはかなり健闘していると感じており、同社における今後の事業展開にも注目していきたいものです。
車体メーカーと色のためかE657系とも似てますね。
サボが付いてるのが意外でした。
どうせならLED表示とかも見たかったなと感じたり……
こちらも乗車は…という「ななつ星in九州」ですが、その存在感は相当なもので、この列車の運行を期に数々の観光列車なども全国に知れ渡り、その魅力を求めて九州に足を運ぶ旅行者も増えるとなれば、列車単独の採算性は怪しいとしても、運行意義はかなり大きいかと思います。
外観に関しては、ご指摘の通りお召し電車E657系にも類似した印象を受ける反面、数々のロゴや英文字などが某デザイナーの作品といった印象ですが、塗装に関してはE657系を意識して意図的にこの塗装としたのかも気になる所ですね。
また某デザイナーの作品は極めて強烈な個性を放ちながらも、一方で物凄くシンプルな部分が存在する事も少なくなく、サボもその一つかと思いますが、専用機関車の前面窓内側にLED表示器などを設置するのも面白いかもしれませんね。
他の会社ではまず考えられない事を次々と実現させるJR九州ですので、今後何かしらの変化が出ても不思議ではない気もしますが…