夕べ(1月19日の午前3時すぎ)、NHKラジオ深夜便から、懐かしい曲が流れてきた。
数年前(といっても調べたら2016年の11月だった)に、台湾に旅行した帰りの台北、松山空港のロビーで、何かのCMの撮影をやっていた。
空港ビルに入っている土産物売り場のおねえさん、おにいさん、それにおじさん、おばさんたち10数人が一列に並んで、何かを手に持ってフラダンスのような仕草で踊りながら行進するのである。観光客が物珍しげに眺める真ん中を、大して恥じらう風もなく2、3度撮り直しをしていた。
その時に流れていた曲がなぜか強く印象に残っているのである。その曲は息子が台湾で買ってきたCDにも入っていたのだが、名前は知らなかった。今朝早朝に久しぶりにその曲がラジオから流れるのを聞いて、今度こそ名前を知りたくなった。
曲の途中から聞いたので曲名は分からなかったが、午前4時前にそのコーナーが終わるときに「スタジオ・ジブリの主題歌・挿入歌特集でした」とアナウンサーが言っていたので、起きてから google で「スタジオ・ジブリの主題歌・挿入歌」を検索したが、分からなかった。そこで、「スタジオ・ジブリ 歌 台湾」で検索すると、(スポンサーを除いた)一番最初に、この曲の youtube のページが出てきた!
梁静茹(しずかにゆでる?)という歌手が歌う「小手拉大手」という曲で、つじあやの「風になる」のカバーらしい。梁静茹というのはシンガポール出身の台湾で活躍する歌手だそうだ。
「猫の恩返し」という映画の主題歌と紹介があった。何度も書いたけれど、ぼくは「火垂るの墓」以外のアニメにはまったく関心がない。とうぜん「猫の恩返し」という映画も知らない。しかし、この曲はいい。すごくいい。この曲を聞くと、2016年の、たった一度だけの台湾旅行のあれやこれやを思い出す。ただし歌詞の内容はまったく分からない。唯一「加油!」(チャーヨン)と言っているのだけは聞き取れるから、応援歌なのだろう。
※「小手拉大手」というのは、直訳すれば小さい手が大きな手を引っぱって(拉致の拉!)という意味で、「子どもに手をひかれて」くらいの意味だという。それで、あの松山空港のCM撮影のニュアンスも分かってきた。老若男女が一列になってそれぞれ手を引かれて台湾(台北)観光に繰り出す、というコンセプトだったのではないだろうか?
台北から基隆(キールン)を経由して、「千と千尋の神隠し」の舞台となった九份(きゅうふん)に行くマイクロバスのツアーに参加した。基隆ちかくの海岸沿いには断崖がせまり、激しい波が打ち寄せていた(冒頭の写真)。
みやげ物売り場の並ぶ九份の坂道は雨の中、日本人観光客でごった返していた。週末の清水寺に向かう九条坂なみだった。ほとんど屋根がないので傘をさしたまま歩かなければならず、土産物を物色する元気も出なかった(上と下の写真)。
11月の雨の日だったにもかかわらず生暖かく、亜熱帯であることを実感した。
「地球の歩き方」を片手に地下鉄の一日乗車券(suicaのようなカード)を買って歩きまわった台北の街並み、二人乗りのバイクの洪水、意外に小さかった白菜が飾ってあった故宮博物院、忠烈碑の前を通った時のタクシー運転手とのやりとり、中正記念堂(?)の衛兵交代式、101タワー、“ジベタリアン“ が沢山座り込んで本を読んでいた誠品書店、途中の乗り換えが不安だったが無事行き着くことができた新北市の輔仁大学、あまり美味しくなかった寧夏夜市の牡蠣オムレツの匂いまで思い浮かぶ。
そんな光景を思い出させてくれる「風になる」というか「小手拉大手」なのである。
2024年1月19日 記