曇、13度、85%
ご年配の知人をお連れしての福岡での夕食2日目は「水炊き」を選びました。簡単に言えば「鶏のお鍋」です。鶏を「かしわ」とも呼び、「かしわ飯」のおにぎりも福岡の定番の食事です。「水炊き」も新しい店がたくさんあります。お連れする方達の事を考えて、100年以上続く店にご案内しました。私は小さい頃よくこの店に父母と来ました。川辺の広い庭で遊んだ思い出があります。
座敷に通されて、まずがっかり。川を眺める景色を楽しみにしていたのに、街中を走る高速道路が川の上の空を遮ります。以前より敷地が狭くなったとのこと、和式の庭はどこにも見えません。
お通しに始まり、中居さんがずっとつきっきりで給仕してくれる形式は以前のままでした。鳥インフルエンザが流行るようになって、鶏の仕入れ先を数カ所持っているとの話です。鍋はテーブルの真ん中でなく、端で中居さんが料っては盛り分けてくれます。 大きくぶつ切りにされた骨つき肉は、身がホロリと外れますが、なんとも無骨の大きさです。お野菜はブロッコリーなどを入れて今風ですが、これまた料理としての新鮮味に欠けると思います。小さい頃から好きだった、 スープ、濃厚な鶏から出たスープです。好きだったはずなのに、野暮ったい重いスープのお味でした。
お連れする前に味見に来るべきだったと反省しながら、 博多らしい丸小餅、 ご飯にスープをかけたものが運ばれて来ました。
お味に関係なく話は弾みます。海外旅行の思い出やら、ご家族の話やら。
年末、同窓生と足を運んだ新タイプの「水炊き」は唐揚げなどもついたコースでした。肉の部位も選ばれていて口に運ぶのに程よい大きさでした。私は「水炊き」の醍醐味はスープにあると思っています。その店の味を決めるスープが新しい店ではすっとお腹に収まりました。
お通しは彩りよく見えますが、取り立てるような趣向はありません。老舗を続けることの難しさでしょうか。人の嗜好も進化します。何か工夫が欲しいと思った古くからの店の「水炊き」でした。お味は残念、でも、お付き合いの長い方との時間を楽しむことができました。