こんにちわ。
ぼくは若い時から伊能忠敬のファンだった。伊能忠敬は、佐原で商家を営んでいたが、50歳のとき、家督を子供に譲り、隠居する。そして、江戸に出て、第二の人生を始める。天文学を勉強したあと、足かけ17年をかけて全国を測量し、正確な日本地図を完成させた。そんな忠敬の第二の人生に憧れみたいなものを持っていたのかもしれない。佐原の記念館にも二度ほど訪ねているし、加藤剛主演の”伊能忠敬/子午線の夢”の舞台も観に行ったことがある。
その偉人の映画が封切られたという。それもなんと立川志の輔の新作落語が原作だそうだ。落語で伊能忠敬を笑いものにするのか、と心配したが、そうではなく、コメディタッチながら偉業を讃えているものだという。志の輔が公演のあと、たまたま、佐原の伊能忠敬記念館に立ち寄り、衛星写真とほとんど変わらない大日本沿海輿地全図(伊能図)をみたとき感激し、ぜひこの偉業を讃える新作落語をと思ったそうだ。
この落語を聞いて、感銘を受けたのが中井貴一。是非、映画にしたいと企画し、かつ主演まで引き受けてしまった。この噺は現代と江戸時代が行き来する内容で、最近、時代劇が不振の中で、少しでもお客さんに目を向けてもらいたい、という趣旨のことも中井は述べている。
地元の偉人、伊能忠敬をNHKの大河ドラマに取り上げてもらおうと、香取市役所職員の中井貴一が奔走する。老脚本家(橋爪功)に頼むが、調査してみると、伊能忠敬は日本地図を完成する前に亡くなっているという。どうなっていたのか。
一転、舞台は200年前の江戸時代に。伊能忠敬は亡くなっているが、それを公にすると、予算も切られ、このプロジェクトチーム(伊能忠敬測量隊)も解散させられるのではないかと隠密作戦が練られていた。その首謀は伊能忠敬が天文学を学んだ高橋 至時の息子、天文学者、高橋 景保で、これを中井貴一が演じている(笑)。観光課長の北川景子がここでは忠敬のかっての妻エイを、草刈正雄は知事と将軍を演じる。ほとんどが二役なのが面白い。志の輔も江戸時代のお医者さんとして登場。
そして、3年間の詰めで完成した”大日本沿海輿地全図”を将軍、家斉の前に披露することになる。そのときに、忠敬が出席しないわけにはいかない。3年間、幕府を欺み続けた罪を高橋は1人で被るつもりでいた。
お披露目の場で、高橋景保は勘定奉行に伊能の不在を指摘され、これまで幕府を欺いていたのかと追及される。将軍からもそうなのかと問われた景保は、”伊能はおりまする”と、奥の間の襖を開ける。そこには、部屋中に拡げられた伊能図があった。初めて見る詳細な日本地図に感動した将軍は、”これが余の国か”とつぶやく。そして、高橋景保が持っていた伊能のわらじを見て、”伊能、大義であった。余は満足じゃ、ゆっくりと休め”と、全てを許す。
エンディングには、玉置浩二の星路 (みち)が流れる。
星路 (みち)
映画『大河への道』本予告 2022年5月20日(金) 全国公開
とても面白い映画でした。是非、志の輔師匠の落語も聞いてみたいものだ。たぶんチケットがとれないだろうけど。まずは本かな。