こんばんわ。
かまくら散歩の道すがら、鏑木清方記念美術館に立ち寄った。”清方x文学 紅葉への憧憬、鏡花との友情”展が開催されていた。泉鏡花生誕150年、尾崎紅葉没後120年記念の特別展ということだ。
清方といえば泉鏡花との親交はよく知られている。清方は若い時から鏡花の文学作品を愛読し、いずれは鏡花作品に関わりたいと思っていた。それが実現したのは明治34年(1901年)の『三枚續』の装幀を依頼されたとき。それ以降、数々の作品の挿絵を担当するようになり、鏡花との交流は40年も続いた。鏡花の師匠、尾崎紅葉や、彼によって結成され、明治20~30年代の文壇で主流をしめた硯友社の同人たちの小説へも数々の口絵や挿絵を寄せている。
若き頃培った文学的教養は、清方の創作活動の礎となり、晩年まで文学に取材した作品を多く生みだした。本展では、鏡花、紅葉作品に取材した作品を中心に、清方が愛読した樋口一葉関連の作品なども含めて多数、展示されている。清方コレクションで知られる東近美からも優品が鎌倉まで来ている。ここは相変わらず、撮影禁止なので、ちらし等からの写真で展示作品を紹介します。
晩涼 大正9年(1920)(東近美)鏡花の”きぬぎぬ川”に取材。最後の場面。仙女の使いを待つ巳代は別の人生に想いを馳せる。
金色夜叉の絵看板 明治36年(1903)紅葉の名作”金色夜叉”。寛一とお宮。
一葉女史の墓 明治35年(1902)清方は一葉文学、とくに”たけくらべ”をこよなく愛した。一葉の墓にも参り、この時に写した墓のスケッチには「墓標の高さ、わが丈にして乳のあたりまで」と書き留めている。絵では、”たけくらべ”の美登里に墓参りさせている。
紅葉の金色夜叉と鏡花の日本橋の挿絵原画
(上段)金色夜叉≫(挿絵1,2,4)「名作絵物語」『苦楽』挿絵原画 東近美
(下段) 日本橋≫(挿絵3,5,7)「名作絵物語」『苦楽』挿絵原画 東近美
泉鏡花著”三枚續”木版口絵
泉鏡花著、註文帖(第3図、第11図)
清方の画室は当時のまま。ここだけは撮影可能。紅葉の直筆の扁額も。
御著作所 (紅葉の自筆・復元)
では、おやすみなさい。
いい夢を。
一葉のにごりえ(清方画)