気ままに

大船での気ままな生活日誌

茅ヶ崎で小津安二郎展

2023-10-28 20:08:35 | Weblog

こんばんわ。

茅ヶ崎で小津安二郎展が開かれている。小津といえば、撮影所のあった大船や晩年、母親と住んだ北鎌倉だが、実は茅ヶ崎にも縁がある。茅ヶ崎館という旅館に数年、住み込み、その二号室に野田高梧と一緒に脚本を練っていたのだ。小津の代表作であり、原節子の代表作でもある、”東京物語”、”麦秋”、”晩春”はここで書かれた。いってみれば茅ヶ崎なしでは世界の小津安二郎は誕生しなかった。ぼくも以前、茅ヶ崎館を訪ねて行ったことがあるが、そのとき撮った写真↓。

茅ヶ崎美術館では、”小津安二郎の審美眼”というテーマで小津に迫る。”なんでもないことは流行に従う 重要なことは道徳に従う 芸術のことは自分に従う”、小津の有名な言葉だが、本展では、最後のフレーズ、芸術のことは自分に従う”、小津の芸術観や自身の芸術力を目の当たりにすることができる。

小津は、映画に登場する食器、酒器、茶器などの小道具や部屋の絵画などの飾り、俳優の衣装なども厳しい目で選別し、専門家のアドヴァイスも受けている。映画のクレジットタイトルに、”美術担当”のほかに、”美術工芸品考撰”という、あまり見かけない役職が登場する。銀座の専門店「東哉」の先代主人・山田隼生氏らがこの職に関わったようだ。小津安二郎展はこれまで、神奈川近代文学館などで何度も見ているが、これは初めて知ったような気がする。

第1章に”劇中に登場する小津の美へのこだわり”として、ぼくにも覚えのある湯呑や酒器などが展示されている。写真撮影禁止が残念だが、一部、ちらし絵などから転載する。小津自身が愛用しているものも映画出演することもあるようだ。部屋に飾られ絵画も東山魁夷や橋本明治らの本物の作品である。その一部も展示されている。

小津旧蔵のお猪口コレクション↓ ほかに馴染みの食器も出ていたが、よく知られる赤いやかんは今回はお休みだった(笑)。小津は赤が大好きだが、これは白系。

ファッション関係もうるさかったらしい。これは、”お茶漬けの味”のファッション集。

第2章が洒脱なデザインの数々、で小津自身が描いた絵がいくつも展示されている。二つだけ撮影OKなのがあった。けちんぼ。

小津作 鶏頭 小津の親友、中国で戦死した山中貞雄監督が好きだった花。山中の霊が花の向こうにある。

車戸に重き厨や朧月

ほかに絵コンテやスケッチブック、ノートなどが展示され、それらに直筆の絵が描かれている。本職のようにお上手。

第3章は宣伝資料で楽しむ小津映画。ここにはポスターやパンフなど。お馴染みの映画ポスターだが、その一つ、小早川家の秋。小津が松竹ではなく東宝で監督した唯一の作品で、その豪華な配役陣にびっくり。原節子、司葉子、新珠 三千代、白川由美、団令子、杉村春子、望月優子、浪花千栄子という女優陣、男優も小林桂樹、宝田明、森繁久彌、加藤大介、加えて、中村鴈次郎と名優ぞろい。

第4章が小津監督と茅ヶ崎。

小津監督はよく茅ヶ崎をロケ地にしたようで、たとえば、長屋紳士録、早春、麦秋などのスチール写真が展示されている。そして、前述の茅ヶ崎館二号室の再現。これだけは写真撮影可能。

火鉢、やかん、湯呑など当時のもの。

出口には、”秋刀魚の味”のセット看板。燕来軒(東野栄次郎、杉村春子、親娘のラーメン屋)、佐田啓二と吉田輝男がよく来たトンカツ屋の看板。

今日の月の出と日の入り。どちらも、小津安二郎の好きな赤でした。

昨日は十三夜の名月、ご苦労さまでした。明朝は明け方に部分月食、よろしくお願いします。

では、おやすみなさい。

いい夢を。


眼下の公園の御衣黄の桜もみじも小津好みになってきました。

コメント (8)
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