こんばんわ。
東博のやまと絵展/受け継がれる王朝の美、第二弾です。第一弾で、本展の目玉、四大国宝絵巻をいきなり紹介したが、残り物にもすごいのがいっぱい。少し間を開けてしまったが、思い出しながら順次、綴っていこう。
やまと絵とは、唐絵に対する言葉で、平安以降に発展した日本独自の絵画で、テーマは、四季の移ろい、月ごとの行事、花鳥風月など多岐にわたる。絵巻の物語もある。本展では千年もの歳月のなかで、王朝美の精華を受け継ぎつつ、常に進化してきたやまと絵の優品240件が展示される。国宝53件、重要文化財125件という絢爛豪華な展覧会である。
本展は残念ながら、写真撮影が禁止で、かつ、ぼくは重い図録は買わない主義なので、ちらしの写真等を利用してここに記録しておこうと思う。
次のような章立てになっている。
序章 伝統と革新 /やまと絵の変遷
第1章 やまと絵の成立 /平安時代
第2章 やまと絵の新様 /鎌倉時代
第3章 やまと絵の成熟 /南北朝・室町時代
第4 章 宮廷絵所の系譜
終章 やまと絵と四季 /受け継がれる王朝の美
序章 伝統と革新 /やまと絵の変遷
やまと絵は中国由来の唐絵、漢画との対概念で成り立っているので、その概念は時代によって変化する。これら唐絵、漢画と見比べつつ、平安時代から室町時代に至るやまと絵の変遷を大きく捉えるという視点で全期併せて10点が飾られるが、第1期は4点。そのうち、3点をここに。
聖徳太子絵伝(第一面~第六面)平安時代・延久元年(1069) 東博 やまと絵には説話画や縁起絵が多いが、そのルーツともいえる聖徳太子絵伝。法隆寺東院絵堂に伝わってきたもの。
山水屛風 鎌倉時代 13世紀 京都・神護寺 おだやかで雄大な山並みの中に貴族や庶民の暮らしが細やかに描かれている。失われた平安時代やまと絵の姿を伝える大変貴重な作例とのこと。現在最古のやまと絵屏風。
浜松図屛風 室町時代 15世紀 東博 まぶしく輝く浜辺の風景に多くの花木、鳥を重ね、画面右から左へ季節が移る賑やかな屏風。展覧会場ではこの屏風が出口手前の最後を飾る。これは左隻。
第1章 やまと絵の成立 /平安時代
平安時代のやまと絵の成立を3節に分けて、王朝貴族の美意識が込められた調度手本や装飾経、工芸品などとともに、四大絵巻をはじめとする院政期絵巻の数々が紹介される。
第1節 やまと絵の成立と王朝文芸
御堂関白記 藤原道長筆 平安時代 長保元年(999)京都・陽明文庫
栄花物語 巻第六 (鎌倉時代 13世紀写)九博 平安時代の歴史物語。仮名による編年体の物語風史書。
第2節 王朝貴族の美意識
蒔絵箏(本宮御料古神宝類のうち) 平安時代 12世紀 奈良・春日大社 国内漆工芸の最高傑作。黒漆に金、銀、銅粉を使った蒔絵が施されているほか螺鈿も見られる。
片輪車蒔絵螺鈿手箱 平安時代 12世紀 東博
和漢朗詠集 巻下(太田切)平安時代 11世紀 東京・静嘉堂文庫美術館
平家納経 平安時代 長寛2年(1164)奉納 広島・嚴島神社
平家納経のうち「観普賢経」の見返し部分
ほかに古今和歌集なども。
第3節 四大絵巻と院政期の絵巻
地獄草紙 平安時代 12世紀 東博 生前に犯した罪業によって堕ちるさまざまな地獄の有様を描いた絵巻。
病草紙(風病の男)平安時代 12世紀 京博 いろいろな病気や奇形に関する説話を描いた絵巻の断簡。
国宝・四大絵巻はこの第2節にまとめて、含まれる。
すでに報告済みだが、ここでは、代表として源氏物語絵巻(五島美術館)。第4期に展示される予定の夕霧の場面。
以上、序章と第1章の主な作品を記録した。
(つづく)
では最後にぼくの、夕富士・夕月物語(笑)。
十三夜の名月まであと二日。十一夜の月。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
”秋刀魚の味”のセット(今日の小津安二郎展/茅ヶ崎美術館にて)