気ままに

大船での気ままな生活日誌

映画 八犬伝 

2025-01-29 22:01:55 | Weblog

こんばんわ。

先日、映画”八犬伝”を見て来た。”南総里見八犬伝”は子供の頃、貸本屋さんから借りて読んだ覚えがあるが、その後、ずっとご無沙汰だった。10年ほど前、歌舞伎の”南総里見八犬伝”を見て、少し思い出したという程度。この映画は”八犬伝”の映画でもあるのだが、もう一つというか、こちらがメインとなる八犬伝の作者、滝沢馬琴の八犬伝着想から完了までの28年間の物語を交錯させて描かれてゆく。すなわち虚の世界と実の世界が交錯する。

この映画の前にNHKの歴史探訪”滝沢馬琴”を見た。馬琴は武士を捨てて、なんと、今話題の蔦屋重三郎の番頭をしていたのだ。ここでの仕事の合間に黄表紙など軽いものを書いていたが、本格的な物語(読本)を書きたいと思っていた。蔦重に吉原のお店の婿養子を勧められたが断り、履物屋の婿養子に入った。ここで家業には励まず(笑)、文筆業に専念することになった。

映画はこの時点から始まる。滝沢馬琴を役所広司、友人の葛飾北斎を内野聖陽と、江戸の両巨匠を当代の名優が演じる。馬琴の妻、お百には寺島しのぶ、馬琴の息子・宗伯を磯村勇斗、宗伯の妻・お路を黒木華という布陣。虚の世界、八犬伝の方は、伏姫が土屋太鳳、犬塚信乃に渡邊圭祐、犬飼現八に水上恒司ら。監督・脚本は曽利文彦。原作は山田風太郎の八犬伝。

馬琴の仕事部屋に北斎がいる。馬琴が八犬伝の着想を話しかけると、北斎はそれは面白いと興奮し、たちまちそのイメージを絵にしてしまう。馬琴も決心し、書き始めるのだが、たびたび訪ねてくる北斎がその度に絵を描く。それを見て、また新たな発想が生まれるようで、馬琴の筆が進む。馬琴はこれまで黄表紙などの挿絵を北斎に担当してもらっているので、今回も是非、お願いしたいと頼むのだが、引き受けない。自分の門下の浮世絵師を紹介する。自分は富士山を描く旅に出るのだという。

この読本は人気が出て、何年も連載している。あるとき、北斎から歌舞伎座に誘われる。演目は”東海道四谷怪談”なのに、何故か忠臣蔵がごちゃ混ぜに入っている。歌舞伎役者は、忠臣蔵では七代目市川団十郎(内蔵助役)を中村獅童、お岩さんの三代目菊五郎には右近が演じている。このあと、二人は舞台裏で戯曲の鶴屋南北(談春)と創作にまつわる問答を繰り広げる。虚の四谷怪談と実の忠臣蔵が巧妙に入り混じった面白い芝居だと、馬琴が褒めると、南北は逆だという。実が四谷怪談で忠臣蔵は虚だと言い張る。武士出身でもあり、勧善懲悪をモットーにしている馬琴が気を悪くするが、あとで南北の才能を認める。

そして、二十数年が経過し、八犬伝もいよいよ最終盤に入っているが、馬琴の目が弱ってくる。ほとんど書けなくなるが、息子・宗伯はすでに亡くなり、どうなるものかと思われたが、宗伯の妻・お路(黒木華)が口実筆記を手伝ってくれる。字も知らず嫁に来たが、勉強していたらしく、馬琴の指導もありたちまち上達して、八犬伝を書き上げた。書き始めてから28年の歳月がたっていた。この映画の感動的なフィナーレである。

鏑木清方の名作にこの場面を描いた”曲亭馬琴”がある。一字一句、手の平に書いて教えている馬琴。

さて、虚の世界の”八犬伝”の物語とは。10年ほど前の歌舞伎の”南総里見八犬伝”を紹介したブログを写して、代用しよう。

安房国を治めていた里見家の息女伏姫は、愛犬八房と共に富山山中で暮らしていましたが、誤って家臣に銃で撃たれて絶命。すると八つの水晶の珠が空中に飛び散ります。この珠を持つ八犬士の一人で里見家再興を目指す犬塚信乃は、公方に献上した名刀村雨丸が偽物だというあらぬ罪を着せられます。追手の犬飼現八も実は八犬士なのですが、互いにそれとは知らず二人は芳流閣の大屋根で死闘を繰り広げます。行方知れずとなった村雨丸は、円塚山で犬山道節の手に渡り、引き寄せられるように八犬士たちが姿を現し…。曲亭馬琴の名作より、大立廻りやだんまりなど見せ場のあふれる舞台をご覧に入れます。(筋書から)

右近(犬飼現八)と獅童(犬塚信乃)の芳流閣の斜めの大屋根の上の戦い。この映画でもこの場面の大立ち回りが見どころ。

獅童と右近が、この映画では、前述の歌舞伎の場面で江戸時代の團十郎と菊五郎役で出演している。

とても面白い映画でした。

では、おやすみなさい。

いい夢を。


もう一人の主役、北斎の赤富士

 

コメント (8)
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