ブンカムラミュージアムでボッティチェリ展をみて、帰ろうしたら、見覚えのある絵のポスターが目に入った。そのギャラリーで、彼の美術展が開催されていたのだ。画家の名前は平賀敬。平賀敬美術館が箱根湯本にあり、それを偶然、見つけて入ったことがあるのだ。2011年10月がはじめで、その後、何度か訪ねている。最初の訪問記はこちら。そこにも書いているが、彼の絵は、明るい色彩、ちょっぴりエロチックで、どことなくおかしい(ユーモア)、マンガ的、そんな画風である。モンパルナスで10年ほどいて、そのあとは大磯で活動した。
もう少し、そのときの駄文を附け加えておこう。ぼくと同じ、落語フアンでもあり、志ん生が大好きで、パリでもよくテープを聞いていたという。志ん生の吉原の廓噺しを題材とした絵もいくつかあるとのこと。それと子供のころ(戦後)娼婦に可愛がられたこともあり、彼女らに親近感をもち、彼の絵によく”出演”させている。一方、世の中、つまらねえ、とも思っていたそうで、坂口安吾のフアンでもあったから、彼の絵は、志ん生と安吾をかきまぜて、平賀のエレキテル(笑)でびびっと描き上げたというところだろうか。笑いと涙が共存するような、不思議な雰囲気をもつ絵である。
軽妙洒脱!現代の戯作者、「平賀派」の世界、と、このギャラリーは紹介している。”平賀派”とあるのは、彼の御子息も画家で、今回、二代展としているからである。平賀太郎の紹介はこのギャラリーの文章を引用しよう。
平賀太郎は、父が12年滞在し活躍したパリ一番の歓楽街ピガールの中、毎日のように入れ替わり立ち替わり敬を訪れる人々の渦中で育ちました。一癖も二癖もある父の友人らを好奇の目で見つめ、観察し続けるうちに猛スピードで今日まで至ったように思えると、太郎は言います。自身が暮らす街と人々を主題とし、そこでの出会いを独自に再構成された美しいモノトーンの世界へとおとし込む。一つの「街」そのものを相手にするかのようなその作風には、父と同じく豊かな物語性がたゆたいます。
はじめボールペン描きをしていたが、鉛筆が一番、真実を表せるということで、現在は鉛筆描きが多いそうだ。描写力がすごい。
楽しい展覧会だった。
平賀敬
平賀太郎
ブンカムラギャラリー
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