
山種美術館が広尾に移ってから(広尾というより恵比寿という感じ;笑)の、新装山種、第5弾は、なんと浮世絵展だった。それも、広重の東海道五拾三次がすべてみられるという。MOAでみてきたばかりだが、広重フアンとしては、うれしい企画で、いかねばならぬ、いかねばならぬのだ、(赤穂浪士の三波春夫調で)。
MOAのも保永堂版だったが、ここのもそれ。とにかく、当時一番の版元だったのだろう。五拾三次はひとそろい画帖として売られていたそうで、今回の展示にはその画帖装の扉に用いられた、保永堂の名前の入ったものも展示されていた。はじめてみた。もちろん初刷。初刷でないと現れない模様もあるそうで、たとえば、日本橋・朝の景の雲なんかもそれに当たるらしい。で、目にやきつけてきた。脳には焼きつけられなかったので、すぐ忘れるだろう(汗)。”忘却とは 忘れ去る事なり”あたりまえじゃないか。
日本橋から、品川、川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚、藤沢(遊行寺)、平塚、大磯、小田原、箱根と、ぼくがすべて歩いた宿場町がみんなあるのだから、うれしい。三島から先は今後の楽しみにとってある。二、三泊しながら歩いてみよう。とくに名作”夜の雪”の蒲原あたりは今はどうなっているのか楽しみだ。”白雨”の庄野もいいな。たぶん、どちらも、がっかりするようなところだろう、都市景観はどんどん悪くなるばかりだ。車を発明した奴をうらみたい(爆)。科学技術の発展も考えようによっては、”後退”だ。原子物理学も、基礎だけでよかった。原子力など軍事にも、平和利用にも使うべきでなかったし、分子生物学もワトソンクリックで止めておけばよかった。アホ・サピエンスは悪知恵しかはたらかないのだ。
よけいなことを言ってしまった(汗)。広重の五拾三次以外の作品として”大はしたけの夕立”もある。それに、北斎の”赤富士”も。鈴木春信の”おせんちゃん”がなく残念だったが(汗)、”梅の枝折り”、とか、”柿の実取り”とかがみられた(春信はこういう題材が好きなようだな)。そして、歌麿の、”青楼七小町 鶴屋内 篠原”、写楽の”二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉”と、”三代目坂田半五郎の藤川水右衛門”、豊国の”高らいや 三代目市川高麗蔵の千崎弥五郎”など、名作も。
そして、さいごは、第二会場。美人画勢揃い。松園さんの”春のよそをい”を始め、深水、春草、小早川清、片岡球子の作品。球子さんのを除いて(爆)、あとはみな、うっとりするような美人だった。
次回は”江戸絵画への視線”。山種が1点だけ所蔵する岩佐又兵衛の”官女観菊図”が重要文化財指定記念ということで、又兵衛フアンとしては、また”いかねばならぬ、いかねばならぬのだ”。MOAの又兵衛コレクションにはとても及ばないが、山種でも、次回メインに展示するということで、"浮世絵又兵衛"再評価の気運に拍車がかかることだろう。
