2018.9.14 『プーと大人になった僕』鑑賞@TOHOシネマズ日本橋
試写会応募しようとして、習い事の日で断念した気がする。後日譚とはいえプーさんを実写化?と思ったけど、ユアン・マクレガー主演なら大丈夫でしょう!ということで、公開初日に見に行ってきた~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「寄宿舎に入るため100エイカーの森でプーたちに別れを告げたクリストファー・ロビン。絶対忘れないと言ったけれど、父親が亡くなり、結婚し、戦争に行き、娘が生まれと環境が変わり、仕事に追われる毎日で疲れ果てていた。そんな時、彼の前にプーが現れる・・・」という感じの話。思ったよりも主人公の背負っているものが重く、決して明るい話ではなかったけれど、ストーリー展開自体やオチは王道。そこにプーたちが上手く絡んで、現実とファンタジーのバランスがいい。家族愛も描いて押し付けがましくも、ファンタジー部分も嘘くさくない。なによりプーたちがかわいくて泣いてしまった。
マーク・フォスター監督作品。監督の作品は『ネバーランド』、『007 慰めの報酬』、『ワールド・ウォーZ』(感想はコチラ)を見ている。近々公開予定の『かごの中の瞳』も気になるところ。今作について毎度のWikipediaから引用。『プーと大人になった僕』(プーとおとなになったぼく、原題:Christopher Robin)は2018年にアメリカ合衆国で公開されたファンタジー映画である。監督はマーク・フォースター、主演はユアン・マクレガーが務めた。本作はA・A・ミルンが1926年に発表した児童小説『クマのプーさん』とウォルト・ディズニー・カンパニーの『くまのプーさん』を原作としている。
2015年4月2日、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズは『くまのプーさん』のキャラクターたちを登場させた実写映画を製作すると発表した。『マレフィセント』や『アリス・イン・ワンダーランド』、『シンデレラ』同様、必ずしも原作に忠実な形で実写映画化されるわけではないとも発表された。2016年11月18日、正式なタイトルが『Christopher Robin』に決まり、マーク・フォースターが監督に起用されたと報じられた。2017年3月1日、トム・マッカーシーが脚本のリライト作業を行っているとの報道があった。
2017年4月26日、ユアン・マクレガーが起用されたと報じられた。また、アリソン・シュローダーが脚本のリライト作業を行ってるとも報じられた。6月22日、ジェマ・アータートンが本作の出演交渉に臨んでいるとの報道があったが、交渉は不首尾に終わった。8月、ヘイリー・アトウェルとマーク・ゲイティス、ブラッド・ギャレット、ニック・モハメッドの出演が決まった。2018年1月、ピーター・カパルディ、クリス・オダウド、トビー・ジョーンズ、ソフィー・オコネドーがキャスト入りした。吹き替えではプー役の亀山助清とイーヨー役の石田太郎が死去したため、プー役をかぬか光明が、イーヨー役を石塚勇が担当することになった。なお、かぬかはプーの吹き替え声優4代目で、石塚は石田生存時のイーヨーの歌唱部分を担当した。なお、それ以外のキャストは全員、日本語吹き替えと同じである。
本作は『The Spy Who Dumped Me』、『The Darkest Minds』、『Death of a Nation: Can We Save America a Second Time?』と同じ週に封切られ、公開初週末に3000万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを下回るものとなった。2018年8月3日、本作は全米3602館で公開され、公開初週末に2458万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場2位となった。
本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには111件のレビューがあり、批評家支持率は67%、平均点は10点満点で6.2点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『プーと大人になった僕』はA・A・ミルンの原作絵本やディズニーの原作アニメに匹敵する作品ではないかもしれない。しかし、子供時代のちょっとしたマジックを求めている観客にとって、同作は十分に魅力的な作品である。」となっている。また、Metacriticには35件のレビューがあり、加重平均値は59/100となっている。なお、本作のシネマスコアはAとなっている。とのこと。
「くまのプーさん」については、プーさん以外のキャラクターの名前もだいたい分かるけど、原作も未読でアニメ映画なども見たことがない。だから実際はどういう話なのかは分からない。なので、キャラクターとしてのプーさんはかわいくて大好きだけど、物語としては思い入れはない。冒頭にサラリと説明があるものの詳しい説明はなく、ある程度知識がある前提で作られているので、最低限それぞれのキャラくらいは知っておいた方が楽しめる。知らなくても大丈夫な作りにはなっているけど、かろうじてキャラが分かる感じの自分としては、予習?復習?しておけばよかったと思った。と、ツラツラ書いているのは、あまり詳しくないので、それぞれのキャラなどについて詳しく書けないし、時々間違っているかもしれませんという断り書き。
冒頭はクリストファー・ロビン(オートン・オブライエン)とプー(ジム・カミングス)たちのお別れを、まるで絵本を読んでいるかのように映す。文字通り、絵本のページが現れ、有名なあの挿絵が動き出し、そしてところどころ実写になる。クリストファー・ロビンとプーたちが100エーカーの森でズオウやヒイタチと対決したりを、文章・挿絵・実写を交えてアニメタッチで見せる感じ。これにより、プーの物語を全く知らない人でも、なんとなく彼らの関係が分かる仕組み。この導入部からカワイイ😍
プーたちにとってクリストファー・ロビンはリーダーであり、彼の言動がプーたちを導いていた様子が描かれる。クリストファー・ロビンが言った「何もしない」ことは、これからの自分には出来なくなると語る。お別れはさびしいけれど絶対にプーたちのことは忘れないと約束する。この辺りもとってもかわいかったし、なにより100エーカーの森がファンタジックで美しい。2人が小川の橋で佇む姿は、まるで絵本から抜け出してきたのよう。
クリストファー・ロビンがプーたちと別れなければならなかったのは寄宿学校に入学するため。授業中にプーの絵を描いて叱られてしまう様子から、かなり厳格な学校だと思われる。イヤ、もちろん普通の学校でも注意されると思うけど、その注意の仕方がね。そして、どうやらそれから直ぐに父親が亡くなってしまったらしい。葬儀の日、親戚のおじさんと思われる人から、これからは君が家長だ的なことを言われる描写がある。この後の人生で、クリストファー・ロビンが頑張り過ぎているのは、この言葉があったからだという描き方は好きだった。何気ない一言だったかもしれないけれど、感受性の強い子供には重かったのでしょう。
青年となったクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)はバスの中の偶然の出会いで、イヴリン(ヘイリー・アトウェル)と恋に落ち結婚。直ぐに第二次世界大戦が勃発。身重の妻を置いて戦場で戦う日々。無事生還した時には娘は3歳くらいになっていた。これらの描写は時間にしたら5分程度だと思うけれど、これらの体験も現在のクリストファー・ロビンに影響を与えたことが伝わる。戦争による精神的なダメージ。家長として妻と娘を守ろうという義務感。そして、いきなり父親になったことによる娘との関係性。
クリストファー・ロビンはウィンズロウ商会という会社で、旅行カバン部門の部長をしている。社長の息子で上司のジャイルズ・ウィンズロウ(マーク・ゲイティス)から業績不振を理由に、週明けの会議までにコストカットが提案できなれば、社員のリストラを行うように言われてしまう。週末はイヴリンと娘のマデリーン(ブロンテ・カーマイケル)と別荘で過ごす予定だったのだが、ジャイルズは自身もそうするから休日返上で仕事をしろと言われてしまう。ブラック企業だわ😣
クリストファー・ロビンはマデリーンを自分と同じ寄宿舎に入れようとしている。それはもちろん将来のことを思ってのことで、彼なりに娘を愛している。でも、父親が一緒に週末を過ごせないと知りガッカリしている娘のリクエストに、経済学?の本を読んでしまうあたり、意思の疎通ができているとは言えない。その辺りのすれ違いをさらりと見せるの上手い。マデリーンはきちんと勉強をして成績も良いようだけれど、寄宿舎に入りたいとは思っていない。イヴリンも無理に入れる必要はないと思っている。こうなるとクリストファー・ロビンの独りよがり。でも、クリストファー・ロビンは父親のお葬式で言われた一言から、自分が頑張らなくてはという思いを背負ってきたのだと思う。
週末、家族を送り出した後、隣人からゲーム(カードゲーム?)に誘われるけど、ハッキリと断れないクリストファー・ロビン。この辺り人の良さと、やや優柔不断な感じが見られる。そして、これは後の伏線。休日出勤して頑張るも良いアイデアは浮かばない。前述したとおり旅行鞄を扱う部署に所属しているわけだけど、終戦直後で旅行どころではないという背景があり厳しい状況。
一方、100エーカーの森ではプー(ジム・カミングス)が目覚める。いつものようにハチミツをなめようとするけれど、壷の中身は空。外に出ると森はどんよりしていて、仲間たちの姿も見えない。プーはあちこち探すけれど見つからない。不安になったプーはクリストファー・ロビンの家の前に来る。クリストファー・ロビンが去ってから時が経ち荒れていたけれど、プーは勇気をふりしぼり中に入ってみる。暗い穴の中を進むと、なんとロンドンの小さな公園に出た。途方に暮れてベンチに座るプー。声を担当するジム・カミングスは3代目プーさんだそうで、以前からプーさんの声を担当。なのでとってもしっくりくる。プーさんの心細さが伝わってくる。そしてプーがカワイイ😳
結局いいアイデアが浮かばないまま帰宅したクリストファー・ロビンは、アパートの入り口で隣人の姿を見掛けアパートの向かいの公園に隠れることにする。身をひそめつつベンチにたどり着き、腰かけると背中合わせに座っていたのはプー! 感動の再会を果たす2人。しかし、ここはロンドン。動くぬいぐるみがいるのはおかしい! 必死にプーを隠しながら自宅へ向かう。
プーにハチミツを出し、いろいろ話を聞くけど埒があかない。プー自身にも何が起こっているのか分からないのだから仕方がない。プーはクリストファー・ロビンに会えたことを喜び、以前のように話しかけてくるけれど、クリストファー・ロビンとしては問題を抱えており、プーにかまっている暇はない。プーはマイペースに動き、キッチンの棚を壊してしまう。すっかり困ったクリストファー・ロビンはプーを100エーカーの森に連れ帰ることにする。クリストファー・ロビンの対応はちょっとヒドイと思う部分もあるけど、コストカットできなければ部下をリストラしなければならないわけだから責任重大。突然現れたプーにかまってられない気持ちも分からなくもない。とはいえ、よく考えると自分の娘にも心ここにあらずの対応をしていることからも分かるように、心の余裕をなくしている状況ではいいアイデアも浮かばないかもしれない。
翌朝2人は100エーカーの森に向かう。100エーカーの森はクリストファー・ロビンが少年時代を過ごした別荘のあるサセックスにあり、そこに行くには列車に乗らなければならない。駅まで向かう道中や、駅に着いてからもプーの無邪気さゆえのドタバタがある。クリストファー・ロビンから"ぬいぐるみ"でいるように注意されるも、どうしても好奇心が勝ってしまうプー。でも、赤い風船を欲しがって買ってもらうエピソードはホッコリ。プーはこの風船をとても大切にする。がんばって"ぬいぐるみ"に徹したため、ベビーカーの子供にさらわれてしまうのはご愛敬。ドタバタは苦手で、これでもかと繰り出されるそれはやや長く感じられたけど、プーがかわいいのでOK。
列車のコンパートメントに乗り込んだ2人。クリストファー・ロビンは早速仕事を始める。プーは1人外を眺め目についた物を声に出して言っている。家、木など。仕事に集中したいクリストファー・ロビンはそれをたしなめ、黙っていてくれるように頼む。まるで親子のようでもあるけど、相手がマデリーンならば利発な彼女は父親の苛立ちを察し、プーのように自分の気持ちを正直に口に出すことはなかったと思う。プーはクリストファー・ロビンの言動に違和感がある時は、その気持ちをそのまま口にする。その時にはよりイライラしていたクリストファー・ロビンだけど、これが後に思いのほか効いていたことが分かる。そして見ている側にも沁みて来る。
例えば別荘に着いたクリストファー・ロビンはマデリーンのことが心配で、勉強している彼女の姿を窓の外から覗き見る。しかし、仕事に戻らなければならないから声を掛けることはせず、見つからないように隠れて去ろうとする。プーにはそういうクリストファー・ロビンが奇妙に思える。愛する娘より大切なことがあるのか?と尋ねる。もちろんその通りだけど、愛する者のために働かなきゃならないのが現実。でも手段であるはずの仕事のために、愛する人たちに寂しい思いをさせるなら本末転倒なのじゃないかってことで、もちろんそれも分かっているつもり。堂々巡り。
クリストファー・ロビンとプーは100エーカーの森で仲間たちを探す。プーはズオウに怯えている。そんな姿に苛立ち久しぶりに100エーカーの森に戻って来たのに、懐かしさを感じる暇もないクリストファー・ロビン。心の余裕を無くしている証拠で、これではいいアイデアも浮かばないだろうと見ている側に思わせる。とはいえ、見ている側も社会人のおばちゃんなので、クリストファー・ロビンの苛立ちも理解できなくはない。でも、この時プーはとっても大切なことを言っている。プーは無邪気に思ったことを言っているだけだけど、そういう無邪気な心が物事の本質を突くことがある。そして、プーはそれを親友のクリストファー・ロビンに教えてもらったのだから、もともとはクリストファー・ロビンの中にあったものでもある。失ってしまったもの。もしかしたら無意識下でそういうことに気づいていたのかもしれない。クリストファー・ロビンはとうとうプーに怒りをぶつけてしまう。自分はもうクリストファー・ロビンの友達ではないのだと気づいたプーが切ない。プーは姿を消してしまう。
いなくなったならいいとはならず、もちろんプーを探す。そしてクリストファー・ロビンはイーヨー(ブラッド・ギャレット)やピグレット(ニック・モハメッド)たちと再会する。彼らも突然現れたおじさんをクリストファー・ロビンだとは信じない。イーヨーたちもズオウに怯えていて、風で風見鶏がギシギシ鳴るのをズオウの鳴き声だと勘違いしてパニックに。仕方なく傘を振り回しズオウ退治を演じて見せるクリストファー・ロビン。無事退治したと報告すると、彼らはズオウを退治できるならクリストファー・ロビンに違いないと信じてくれる。かわいい。あまり詳しくないのでイーヨーとピグレットとティガー(ジム・カミングス)くらいしか分からなかったけど、みんなカワイイ。特にとっても丁寧な言葉遣いのイーヨーが好き。クリストファー・ロビンが何かをいちいち説明したら「いちいち教えてくれなくてもいいですよ」って言うの笑った🤣
クリストファー・ロビンにイーヨーたちがプーはきっと待ってると言う。プーが待っているならあの場所だと丘の上に向かう。この場所きっと名前があるんだよね? プーさん全然詳しくないので分からない。その丘の上の倒木の上にこちらに背を向けて座っていた。この後姿が寂しげで本当に切なくて抱きしめてあげたくなる。プーたちはCGだと思うけど、この後姿を表現できるの本当に素晴らしい。そしてクリストファー・ロビンとプーは和解する。ここでも素敵なセリフを言っていたと思うし、感動して泣いたのに覚えてない。でも、このシーンすごく好きだった。本当に愛おしいシーン。
クリストファー・ロビンはプーたちに別れを告げてロンドンに帰る。帰りの列車では仕事のことはすっかり忘れ、来た時にプーがやっていたように、見たものを口にしている。同じコンパートメントの男性に注意されても気にしない。クリストファー・ロビンの中に少年の心がよみがえったことが分かる。
一方、100エーカーの森ではとんでもない事実が判明! なんとティガーがクリストファー・ロビンのカバンの中の書類を出して代わりに葉っぱを詰めていたのだった。プーたちは慌ててクリストファー・ロビンを追いかける。100エーカーの森を出たところでマデリーンと出会う。マデリーンはぬいぐるみが動いているので驚くけれど、以前見つけた父親が子供の頃の絵に描かれていた生き物?たちだと気付く。書き忘れていたけどマデリーンに本を読んでと頼まれる前に、この絵について質問されているシーンがある。それが伏線になっている。状況を理解したマデリーンはクリストファー・ロビンを追いかけてロンドンへ向かう。そして、そんなマデリーンを母親イヴリンも追いかける。
マデリーンたちは車内でも楽しい時を過ごして、それなりにドタバタするけどそこは割愛。ロンドンに到着するも父親の居場所が分からない。プーだかったか誰だったかがつぶやいた単語から、クリストファー・ロビンの会社がウィンズロウ商会であることを思い出す。タクシーで移動中にうっかり"ぬいぐるみ"であることを忘れ、運転手がパニックになってお店に突っ込んでしまう。お店の人にも見つかりパニックに。その間、偶然ウィンズロウ商会のトラックが止まっていることに気づき、すかさず荷台に乗り込むマデリーンとプーたち。
一方、クリストファー・ロビンは会社に到着。エレベーターで一緒になった上司のジャイルズは、どうやら仕事などせず休日はゴルフに明け暮れた様子。なのに、会議では自分は仕事をしている風を装い、責任を全てクリストファー・ロビンに押し付けようとする姿に憤りを感じる。結局、よい案が浮かばなかったクリストファー・ロビン。さてどうする? と思っていると、そこにイヴリンが到着。マデリーンが自分を探してロンドンに向かったことを知り、慌てて探しに向かう。会議はどうなる?とか思うけれど、そのツッコミはなしで! ここはクリストファー・ロビンに変化が起きたという描写でもあるし、もちろんマデリーンを探すのが優先に決まっている。
えーと。マデリーンとプーたちは会社に着いたんだっけ? とにかく、ウィンズロウ商会の中に入る前に何かが起きてトラックから降りる羽目になったと思う。忘れてしまった。クリストファー・ロビンとイヴリンもドタバタするけど、なんとかマデリーンとプーたちを発見する。再会を喜んだものつかの間、マデリーンが足を滑らせ持っていた書類をばら撒いてしまう。クリストファー・ロビンが必死でつかんだ一部を除いて風で飛ばされてしまった。責任を感じて泣きそうな顔をするマデリーンに対して、彼女が無事であっただけでよいと言うクリストファー・ロビン。自分の考えを押し付けたのは間違いだから寄宿舎に行かなくてもいいとも言う。未来のことは誰も分からないので、どちらが正解なのかは分からないけれど、親子の気持ちが通じ合ったのは良かった。
さて、書類はすべて飛んでしまったわけで、会社の機密データが流出してしまったのではないかと思うけれど、そのツッコミはなしで! 必死でつかんだ1部を何気なく見たクリストファー・ロビンはあるアイデアがひらめく。そして急いで会社に戻る。イヴリンとマデリーンを連れて、両手にぬいぐるみになっているプーたちを抱えて会議室に入ってきたクリストファー・ロビンは、書類の切れ端を社長に見せる。そこにはクリストファー・ロビンがずっと見ていたピラミッド型のイギリスの階級層を表す表。でも、本来とは逆に置かれていた。そして彼は、今まで会社はヒエラルキーの頂点である裕福層に向けて旅行鞄を作っていたが、そうではなくて下層階級向けた旅行鞄を作るべきだと語る。逆転の発想。プーたちと触れ合ったことで、物事を別の角度から見る視点がよみがえったということなのでしょう。
社長はこのアイデアを気に入る。すかさずジャイルズが自分の手柄にしようとするけれど、社長は自分の息子の怠慢を見抜いており、これをたしなめる。ちゃんと悪役もこらしめられてめでたしめでたし。
映画はクリストファー・ロビンがイヴリンとマデリーンを連れて、プーたちがいる100エーカーの森で過ごすシーンで終わる。じんわり感動的で良い終わり方。
よく考えればツッコミどころはあるし、環境に応じて適応したクリストファー・ロビンを改悪とする感じもどうかという気もするけれど、これはやっぱりプーとクリストファー・ロビンの話なので、この感じでOK。そして、クリストファー・ロビンにしても全シフトできるかは分からないけれど、心に余裕を持って"何にもしない"時を持つのも必要かなと思う。
キャストはみな良かった。「SHERLOCK」のマイクロフト・ホームズでおなじみのマーク・ゲイティスは唯一の悪役を好演。最後にぎゃふんと言う役なので、イヤな奴だけどどこか間抜感がありつつ、おぼっちゃま感も漂っていた。イヴリンのヘイリー・アトウェルも良かったし、マデリーンのブロンテ・カーマイケルもかわいかった。
とはいえ、今作はやっぱりプーのジム・カミングスとユアン・マクレガーにつきるという感じ。前述したとおり3代目プーさんということでさすがの演技。初代がどんな感じなのか不明だし、声や話し方も初代を踏襲しているのか分からないけど、そうだとしても何故この声と喋り方になったのかな。でも、プーさんが子供の声じゃないのがいいんだと思う。とにかくプーがかわいくて切なくてかわいい。それはジム・カミングスのおかげ。全く気づかなかったけどティガーの声も担当してたのね? 全然違くてビックリ😲
マーク・フォスター監督がユアン・マクレガーの中には少年のようなものがあって、それはクリストファー・ロビンに必要な要素だというようなことを語っている記事を読んだ気がする。確かにそうだと思う。登場した時には少年の心を失くしてしまっていたけれど、でも完全に失われているのではなくて、どこかで眠っている感じ。というか、自分がそれを持っていたことを忘れてしまい、それを今でも持っていることに気づいていないというような。そんな感じ。世界的に有名な物語の主人公の、変わってしまったその後を演じることはリスキーだと思うけれど、この役ピッタリだったと思う。ユアン意外に考えられないかも。
とにかく画がキレイ。ロンドンにしてもどこかアニメ的というか作り物感。100エーカーの森はひたすら美しいけど、こちらも自然でありながら作り物感。それらが主人公の意外に重い現実を描きながらも、おとぎ話的な感じにしていて見ていて重過ぎないし、すんなり話に入れる。
プーたちのぬいぐるみ感のバランスがちょうどいい感じ。有名な挿絵やディズニーアニメのイメージを保ちつつ、ぬいぐるみの質感が感じられる。どうやらユアンがプーたちと演技する際には、演劇学校を卒業したばかりの若い役者たちがプーたちを演じていたそうなのだけど、モーションキャプチャーを担当したというわけではないのかな? プーには毛があって表情を変えると動いたりする。でもその毛は熊のものではなくて"ぬいぐるみ"のもの。その質感がスゴイ。そしてカワイイ😍 この点だけでも見る価値あり!
これは全方向にオススメでいいと思う。子どもから大人まで楽しめる。でも、大人の方が心に響くかな。「くまのプーさん」好きな方はどうなんだろう?🤔 でもきっと気に入られると思うのだけど。ユアン・マクレガー好きな方必見です!
『プーと大人になった僕』公式サイト