2018.05.04 『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』鑑賞@TOHOシネマズ錦糸町
これ、すごく見たくて試写会応募したけどハズレたのか、習い事している木曜日で泣く泣く諦めたのか今となっては分からない。とにかく、GW真っ只中の公開初日に見に行ってきた~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「オリンピック出場を目指すトーニャ・ハーディングは、支配的な母親から逃れるため結婚した夫と暴力を振るいあう仲。とはいえ彼なりにトーニャを愛する夫は、トーニャのライバルであるナンシー・ケリガン襲撃事件を起こしてしまい・・・」というのはあらすじというより紹介という感じかな。今から20年以上前の事件だし、当時フィギュアスケートは今以上にマイナーな競技だったから、覚えていないどころか知らない人も多いかもしれない。自分はスケオタ(フィギュアスケートオタク)なのでもちろん知っているし、スケオタだからという理由で今作も見ている。とはいえ、フィギュアスケートの知識がなくても人間ドラマとしても面白い作品となっていた。
毎度のWikipediaから引用しておく。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(アイ トーニャ しじょうさいだいのスキャンダル、I, Tonya)は2017年にアメリカ合衆国で公開された伝記映画である。監督はクレイグ・ガレスピー、主演はマーゴット・ロビーが務めた。
2016年3月21日、トーニャ・ハーディング役にマーゴット・ロビーが起用されたとの報道があった。6月14日、クレイグ・ガレスピーが本作のメガホンを取ると報じられた。10月21日、クラブハウス・ピクチャーズとラッキーチャップ・エンターテインメントが本作に出資すると報じられた。12月12日、ミラマックスが本作の全米配給権を購入したと発表した。13日、セバスチャン・スタンが本作に出演することになったという報道があった。15日、アリソン・ジャニーの出演が決まった。2017年1月9日、ポール・ウォルター・ハウザーが起用されたと報じられた。同月中にはジュリアンヌ・ニコルソンの出演も決まった。
2017年1月下旬、本作の主要撮影がジョージア州のメイコンで始まった。スケートリンクでのシーンの撮影はメイコン・コロシアムで行われた。
2017年9月8日、本作はスペシャル・プレゼンテーション部門に出品されていた第42回トロント国際映画祭でプレミアを迎えた。ミラマックスが売却した配給権をめぐって、ネットフリックスやCBSフィルムズ・ライオンズゲート、ネオンが激しい争奪戦を繰り広げたが、最終的にネオンが配給権を獲得した。
2017年12月8日、本作は全米4館で限定公開され、公開初週末に26万4155ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場20位となった。2018年1月19日には公開規模が799館にまで拡大され、公開週末に286万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング13位となった。
本作は第42回トロント国際映画祭で観客賞次点1位を獲得するなど極めて高い評価を得ている。第90回アカデミー賞では主演女優賞、編集賞などでノミネートを受け、アリソン・ジャニーが助演女優賞を受賞した。本作は批評家から絶賛されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには250件のレビューがあり、批評家支持率は90%、平均点は10点満点で7.8点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「マーゴット・ロビーとアリソン・ジャニーの名演のお陰で、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は悲劇的な要素への目配せを忘れることなく、実際にあった物語の中にユーモアを見出している。」となっている。また、Metacriticには44件のレビューがあり、加重平均値は77/100となっている。
えー。諸事情により見てから5ヶ月以上経ってしまった。もう書くのは諦めようかとも思ったのだけど、スケオタ視点での感想があった方が面白いかもしれないと思い、レビューを残しておくことにした。いつものように「ネタバレありです! 結末にも触れています!」の断り書きを入れているけれど、もう忘れてしまったシーンも多く、順番もきっちり覚えているわけでもない。なので、今度ばかりは本当に各シーンごとの説明と感想を入れ込む形での記事は書けない。イヤ、ホントに。ということで、最初に概要をまとめて書いて、その後に自分の感想をまとめて書くという形にしようと思う。と、毎度どうでもいいと思うけれど、断り書きとして書いておく😌
まだ少女のトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)が母親のラヴォナ・ゴールデン(アリソン・ジャネイ)にスケートリンクに連れてこられるところから始まる。母親としてはトーニャにフィギュアスケートを習わせようと、強引にダイアン・ローリンソン(ジュリアンヌ・コルソン)にトーニャの滑りを見せようとしているらしい。ダイアン先生は断るけれど、強引にことを進める母親。何故この母親がトーニャの才能を見抜いたのかは描かれないので不明なのだけど、根負けしてトーニャの滑りを見た先生は彼女の申し出を受けてしまうわけだから、幼い頃から才能があったのでしょう。とはいえ、実際この通りだったのかは不明だけど。とにかく、この母親が凄くて、人にお願いしているのに上から目線だし、汚い言葉を使うし最悪。練習中のトーニャがトイレに行きたいといっても行かせず、漏らしてしまえば罵倒するというような毒親。演じるアリソン・ジャネイが素晴らしく、本当に憎らしい。でも、どこか憎めなかったりもする。後に本人の映像が出てくるけど、髪型なども似せているので本当にそっくりでビックリ😲
母親はウェイトレスをしながらトーニャを育てている。一応、育てている。何人も男性と暮らしたりしていたようだけれど長続きはしていない様子。相手の男性も一癖ある人物ばかりっぽい。中で1人トーニャをかわいがっていたのが本当の父親だったのか? そうは思わなかったのだけど。とにかく、彼が去る時に自分も連れて行って欲しいと懇願するけど、それはできないと断られてしまう。何となくその言い方が、本当の父親ではないからのように感じた。要するにトーニャとしては母親と一緒に居たくないと思ったわけで、さらに見ている側としては、彼に連れて行ってあげて欲しいと思ってしまうほど酷い母親だということ。だって10代になった頃には包丁を投げてトーニャを怪我させているからね! この時、この男性に助けられていたら、彼女の人生はどうなっていたのか? 普通の女の子の幸せがあったかもしれないけれど、オリンピック選手にはなれなかったでしょう。後の出来事を考えると、どちらが幸せだったのか🤔
そんな毒親から逃れるため、トーニャは10代のうちに結婚してしまう。もちろん母親は結婚に反対。結婚式当日にあの男はダメだとトーニャに言っているシーンがあるので、母親としては一応娘のためを思ってのことなのでしょう。そして、この勘は当たっている。
前述したとおり、今作はドキュメンタリー方式になっている。なので、今までの場面についても事前にトーニャや母親がインタビューに答えている場面が挿入され、その後それに関連する場面が映し出される。こう書くと再現VTRのような印象だけど、そういう感じでもない。実はこの夫ジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)が、今作の最大のテーマである"ナンシー・ケリガン殴打事件"の首謀者。この事件に至った経緯について、2人の疑似インタビュー映像を交えて描いていくのだけど、要するにそれぞれの言い分を聞いているわけだから、同じ事柄でも全く逆のことをそれぞれが言うこともあるわけで、その辺りを考慮しつつ再現したシーンを見て行く感じ。
で、お互いの言い分を総合すると、どちらもDV気質があるという感じかな。自分ではトーニャのせいだと言い訳しているけど、ジェフがトーニャに暴力を振るったことは間違いないらしい。まぁ、人間なのでつい手が出てしまうことが絶対にないとは言えないけれど、それでもやっぱり女性に暴力を振るうのはダメでしょう。この時点でジェフが良い夫でないことは分かる。とはいえ、トーニャのほうも暴力を振るうし、この夫は彼なりにトーニャを愛しているらしいことが伝わってくるのが不思議。この人ちょっと天然というかバカなんだよね。というか、この映画の通りだとすると、事件にかかわった人はみんなバカなんだけど。このバカというのは天然っぽいってこと。
一方、トーニャはスケートでどんどん頭角を現していく。ジャンプが得意なトーニャは当時の女子では高難度だった3Lz(トリプルルッツ)を普通に跳んでいたらしい。そしてとうとう1991年の全米フィギュアスケート選手権で、アメリカ人女子として史上初の3A(トリプルアクセル)を成功! これはスゴイ! しかし得点が伸びない。当時は6点満点方式で、技術点と芸術点それぞれを6点満点で評価し、その合計得点で順位を争っていた。この芸術点がいつも低い。そもそも好みの問題もあると思うけど、品のいいタイプではないトーニャは、いわゆる清楚な衣装ではなく、奇抜な衣装やROCKなどの楽曲で演技。これが審査員にウケないらしい。ある日、審査員の1人をつかまえて理由を聞くと、しぶしぶながら自分たちの好みに合わないと言われてしまう。
実は見てからこれだけ時間が経っても、絶対に感想記事をアップしようと思った理由がコレ! 確かに審査基準は必要だと思うけれど、"スポーツ競技"なのにその評価基準が、審査員の主観であり"好み"でなされているということ。これがかねがね自分がフィギュアスケートの採点方式について疑問に思っている部分だったから。よくぞこのシーンを入れてくれました!と思ったので。
フィギュアスケートの採点については、ジャッジには分厚いルールブックが配布されるそうで、スケオタさんの中にはそれらをジャッジ並みに読込み理解している人もいて、そのレベルで考える自身は全く詳しくない。だからエラそうなことは言えないのだけど、そんなレベルの自分でも現行の状況に関して疑問に感じることが多々ある。確かにフィギュアスケートは芸術面を競う競技でもあるので、同じ種類のジャンプを実施した場合に、A選手の方がB選手よりも美しく跳んだならば、A選手に出来栄え点(GOE)が加算されるのは分かる。でも、A選手よりもB選手の方が難しいジャンプを、素人目にはA選手の難易度の低いジャンプと遜色なく着氷した場合には、B選手の得点が上回ってしかるべき! それがスポーツでしょ? なのに、ジャッジの"主観"で美しく実施したと判断されたA選手の難易度の低いジャンプの方が、難易度の高いB選手のジャンプの得点を上回ってしまうということが起こっているのがフィギュアスケートなわけです。それはスポーツとしておかしくないですか?ということを、長年フィギュアスケートを見続けているスケオタさんたちは言っているわけです。
これ普通におかしいと思うのだけど。例えば体操競技でも美しさは求められているけれど、フィギュアスケートほどモヤらないのは、誰もが納得する運営がなされているからだと思う。以前からそういう傾向にあったけれど、最近特に酷いと感じる。特に、今回のルール改正においては、誰も試合で成功していない4A(4回転アクセル)を除けば、一番難易度が高く現行跳べる選手の少ない4Lz(4回転ルッツ)の基礎点を下げた。これはGOE加点狙いで難易度の高いジャンプを跳ばない(=跳べない)選手への配慮では?と言われても仕方のない愚行と思う。何故、難しいことに挑戦する選手が報われないのか? それは勝たせたい選手がいるからでは? もはやスポーツとして終わっている。現行のルールがそうなっているので、ルールに適応して難易度の低いジャンプを美しく実施している選手に文句をつけているわけではない。ルールがおかしくないかと疑問を呈しているわけです。
長々とフィギュアスケートのルールや運営について愚痴を書いてしまったけれど、まさにトーニャ・ハーディングが"勝たせてもらえなかった"理由が、ジャッジの"好み"であり"主観"だと彼女本人がジャッジから言われたわけだからね。おそらく、トーニャ本人に取材した中で、このエピソードがあったから入れただけで、制作サイドにフィギュアスケートの闇を暴く意図はないと思うけれど、少なくともおかしな話だとは思ったのじゃないかな。あくまで個人的な感想。
ただ、Wikipediaにあったフィギュアスケート・ジャーナリストの評価によると。本作ではハーディングは母親と元夫の両方から虐待を受ける無垢な被害者として描かれているが、リレハンメル五輪当時から現場でハーディングを取材してきたアメリカのベテラン記者たちの間では、本作で描かれているハーディングは彼女本人を知らない第三者が創り上げた虚像だという批判的な声が圧倒的である。ノンフィクションライターの田村明子は、本作で強調されているほどハーディングがジャッジから冷遇され不当な評価を受けてきたとは思えないとしつつ、ケリガン襲撃事件は世間を揺るがせた事件ではあったがハーディングはコミュニティサービスという形で償いもすませており、その意味では事実はどうあれ本作のようにハーディングに同情的な視点で作られた映画もあっても良いのではないかとしている。とあるので、真相はいかに? でも、無垢な被害者とは描かれていないと思うけど。母も夫もヒドイが、ハーディングも相当だなと思って見てた。
どうやら主演のマーゴット・ロビーは、かなりのシーンを吹き替えなしで滑ったようだけれど、さすがにジャンプについては吹き替えだと思う。見てきた時点での記事(コチラ)でも、感想Tweetに書いてるけど、ちゃんと跳んでいた。このちゃんと跳んでいたというのは、ジャンプの種類としてきちんと跳び分けていたという意味。ちゃんと3Lzのエッジで跳んでいたし、その他のジャンプもそれぞれの跳び方で跳んでいる。スケオタなのでジャンプの見分けはつきますので。これはうれしかった! イヤ、バレエ映画とか見てても上半身や顔ばかり映して、全身や足元がほとんど映らないって普通にあるので。踊りは全身だろうと! そういう意味で、しっかりとジャンプの種類を把握して撮ってくれたことがうれしい! スケートシーンにストレスは全く感じなかったし、試合のシーンは臨場感があってよかった。
さて、大きく脱線してしまったけれど、いよいよ核心部分について書いていく。ここに1人重要人物が登場する。事件以前からチラチラ登場しているのだけど、夫の親友ショーン・エッカート(ポール・ウォルター・ハウザー)という人物。この人もしかしたら何かしら障害があるのかしら? どう考えてもニートなのに、自分は世界中でスパイをしていたなどと語ったりするのは、もはや天然というレベルではないような? で、夫のジェフはショーンの言動に度々振り回されるのに、何故か彼と一緒にいる。腐れ縁ってことなのか、他に友人がいないからなのか。見ていてイライラする人物ではあるのだけど、どこか憎めない。
1994年リレハンメル・オリンピック代表選考会である全米選手権を前にして、トーニャには最大のライバルがいた。ナンシー・ケリガン(ケイトリン・カーヴァー)。映画によると彼女こそ、審査員が愛する優雅で品のある選手ということらしい。当時からフィギュアスケートは好きだったけど、テレビでやっていれば見るという感じで、今ほどの情熱をもって見ていたわけではない。詳しくはWikipeidaを読んでいただくとして、1992年のアルベールビルオリンピックで銅メダルを獲得、因縁のリレハンメルでは銀メダルを獲得しているから、有力選手であったようだけれど、殴打事件の被害者としてしか記憶がない。たしかスパイラルが得意で、高く上げたフリーレッグを手で持つスタイルのスパイラルがケリガンスパイラルという名前なので、おそらく彼女の得意技だったと思われる。
映画ではお互いライバル視しているような描写があったように思うけれど、実際はどうだったんだろう? 現在のフィギュアスケーターたちは皆仲が良く、よいライバルとして切磋琢磨していると聞くけど、まぁライバルはライバルだからね。そんなこともあり、トーニャは自分がオリンピック代表に選出されるためには、ケリガンの存在が邪魔になると考え、それを夫のジェフに訴えていた。そして、夫のジェフがそれをショーンに相談し、ショーンがケリガンを襲撃しようという計画を思いついたというように描かれている。実際はどうだったのかは不明。ショーンのインタビューとしてはその辺り認めていたと思うけれど、なにしろ自分は世界中でスパイ活動をしていると語るような人物なので。
とにかくショーンが実行犯を雇ったことは間違いないらしい。これがまた残念な人物。運命の1994年1月6日全米選手権当日、実行犯はナンシー・ケリガンの脚を殴打。しかし、アクシデントや事前調査の甘さなどにより、あっさり捕まってしまう。これにより、事件の首謀者はトーニャ・ハーディングの夫であることが判明。論点はトーニャ自身が関与しているのかということに。しかし、皮肉なことにこの事件によりトーニャの人気が爆発する。彼女の不幸な生い立ちなども同情を買った部分もあるし、華麗なフィギュアスケートにそぐわないヒールキャラが受けた部分もあったのかも。マスコミはトーニャ VS ケリガンを煽り、トーニャのもとには連日マスコミが押し寄せる。ケリガンに対して「直接対決してぶっ潰す」的な発言をしてて笑ったけど、これエンドロールで実際の映像が流れてビックリ! ホントに言ってた!😲
で、全米選手権が何位だったか忘れてしまったけど、トーニャは出場権を獲得する。ナンシー・ケリガンも同じく出場権を獲得。リレハンメルオリンピックではSPで出遅れ、臨んだFSでは6分間練習の間にスケート靴に問題が発生。これは紐が切れちゃったのかな? 必死に結びなおそうとするけれどうまくいかない。コールされてから2分以内にリンクに登場しないと失格になってしまうため、応急処置で演技を開始するも、最初の3Lzが1Lzとなり、泣き出してしまう。演技を止めてジャッジ席に向かい、足を持ち上げてスケート靴の異常を訴える。演技のやり直しが認められ、きちんと処理をして再度出場。Wikipeidaによると、演技の順番が入れ替えられたそうで、前倒しになっていった選手たちは大変だったね。再度登場し演技開始、冒頭の3Lzは成功するも、3Aは1Aとなってしまう。8位入賞という結果となった。ナンシー・ケリガンは銀メダルを獲得。
この時の映像は見たことがある。確かに泣きながらジャッジ席に足をドーンと載せて訴えてた。確か、衣装も買えなくて手作りだったりしたので、ファンの人がプレゼントしてくれた衣装だったんじゃなかったかな? 実況の人が言ってた気がする。いつもより品が良かったような。スケート靴の問題はアクシデントなのでかわいそうなのだけど、どうしてこう問題が起きる(起こす?)かね。自分はナンシー・ケリガン殴打事件については、リレハンメルオリンピック前に知っていた気がするから、世界的なニュースになったのだと思う。そんな中、ハーディング VS ケリガンに注目が集まったのに、まさかの結末。ナンシー・ケリガンの演技を全く覚えていないし、優勝者は誰だったのかも覚えてない。そう考えると、ある意味話題をさらっちゃったのかも。ハーディングの順位は覚えてなかったけど、あの足ドーンは覚えてるからね。そんな記憶の残り方でいいのかと思うけれど😅
オリンピック後、ケリガン殴打事件の本格的操作が始まったのかな。とにかく、トーニャはこの事件について世間の注目を浴びることになる。もちろん悪い意味で。家にはマスコミが押し掛ける。そんな中、母親が現れ中に入れて欲しいと懇願する。最初は拒否するけど、やはりそこは母娘ドアを開けてしまう。正確なセリフはもう覚えてないけど、母親は珍しくトーニャに優しい言葉をかける。トーニャとともに見ている側も心揺さぶられる。思わずハグしようとした時、母親がレコーダーを隠し持っているのを発見してしまう。激怒するトーニャ。これはヒドイ。でも、母親はレコーダーの件と今言ったことは別だという趣旨のことを言っていた。一瞬だから違うくらいのセリフだと思うけれど、その時のアリソン・ジャネイの表情が素晴らしく、その感じからすると今作としては、母親はそこまで鬼畜ではないということにしたいのでしょう。この出来事が本当にあったことなのか不明だし、実際の出来事だとして実母の本心はわからないけれど。
トーニャはケリガン殴打事件について司法取引をし、有罪であると認めることで3年間の執行猶予、500時間の奉仕活動、罰金16万ドルとなったそうで、本人としてはそれで済むと思っていたらしい。実際は、全米スケート協会は、1994年全米選手権での優勝と1999年までの公式大会出場権やコーチになるための権利を剥奪した。トーニャとしてはこれが一番辛かったようで、スケートを取り上げられたら自分には何もないと泣き叫ぶ。そりゃそうだね。でも、そのスケートを汚してしまったことも事実。映画をそのまま信じるならば、直接彼女が手を下したわけでも、指示したわけでもないけれど、それでも陰謀があることを知っても止めなかったのは間違いないからね。
その後、プロボクシングに進んだらしく。試合の場面になる。何度倒されても起き上がる。そして、何度目かに立ち上がるシーンで映画は終わる。なんだか逞しい。完全にイロモノという感じだけど、生きてくためには仕方がない。エンドロールで現在、息子と静かに暮らしていると伝えられたと思う。幸せになれたのならいいのだけど。何故このタイミングで映画が作られたか謎だけど、また波風立たなければいいけれど。全米で公開されてから1年近く経つけど、特別ニュースもないので大丈夫なのかな? しかし、映画内でのビックリ発言が、実際にされている映像がエンドロールで流れてビックリ😲
キャストはみな良かった。夫のセバスチャン・スタンや、その悪友ショーンのポール・ウォルター・ハウザーも良かったし、コーチのジュリアンヌ・ニコルソンも素敵だったけれど、もうこれは主演2人に尽きるという感じ。トーニャ役のマーゴット・ロビー良かった。ご本人を知っているので、正直マーゴット・ロビーでは品が良すぎる感じもするけれど、かなり体を張って頑張っていた。ジャンプはさすがに吹替ていると思うけれど、スケートシーンもこなしたとか? 良かったと思う。
とはいえ、母親ラヴォナのアリソン・ジャネイがスゴイので、持っていかれた感がある。まずその見た目のインパクトがスゴイわけなんだけれど、実際の映像を見るとそっくり。その役作りもビックリだけど、存在感が絶大。画面に出ていない時でもトーニャを支配している感じが伝わる。かなりの毒親なのに、正しいことも言ったりするのであなどれない。その感じを的確に表現。アカデミー賞助演女優賞は納得😌
1990年代の衣装や髪型、セットも良かった。そして何よりスケートシーンが迫力があって良かった。実はかなり重いテーマが潜んでいると思うけれど、コミカルタッチで見せることが、事件自体のどこか間抜けな感じや、トーニャ・ハーディングという人を表している気がする。
見てから5ヶ月以上経ってしまったので、もう既にDVDも出てると思う。フィギュアスケート好きな方は楽しめると思う。母と娘の話として見ても楽しめると思う。