gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ホセ・ルイス・ゲリン監督『シルビアのいる街で』

2013-05-08 05:03:00 | ノンジャンル
 今日のGoogleのトップページは、タイトルがソウル・バスの代表作を連ねて作ってありました。『サイコ』『黄金の腕』『スパルタカス』『ウエスト・サイド物語』『めまい』『北北西に進路を取れ』、再び『
『黄金の腕』『オーシャンと十一人の仲間』『八十日間世界一周』ら、彼による代表的な映画タイトルを見ることができます。和田誠さんが好きな方は必見です。

 さて、蓮實重彦先生が絶賛していた、ホセ・ルイス・ゲリン監督の'07年作品『シルビアのいる街で』をWOWOWシネマで見ました。
 “第1夜”の字幕。机の上の307号室の鍵。朝、ノートを開きベッドの上で物思いにふける青年は、ふいに熱心にノートに書き込みを始めます。路地に出て、地図を広げ、それを見ながら歩く青年。野外カフェで、隣のテーブルの女性に「この町の人ですか?」と話しかけますが、無視され、コーヒーをひっくり返します。
 “第2夜”の字幕。にぎわう野外カフェ。雑貨を売り歩く黒人。一番奥のテーブルに青年は座っていて、イヤホンで音楽を聞きながらビールを飲んでいます。周りの様子を伺い、スケッチを描く青年は、ページの頭に“シルビアのいる街で”と書き、注文取りをしている女性をスケッチします。注文と違うと客に言われ反論するその女性のスケッチに“彼女”と書き添え、それを“彼女たち”に書き換える青年。やがて青年は別の女性をスケッチし始めます。長考の後、同席する女性に「違う」と言う男性。青年は1人の女性のスケッチを消して描き直そうとしますが、その女性は既に消えていました。後ろ髪を結ぶ女性を見ていた青年は、彼女の顔が見える席に移ります。路上でバイオリンを弾く女性たち。室内の赤い服の女性を見ていた青年は、彼女が店を出ると、勘定を済ませてあわてて後を追います。延々と彼女の後を追う青年。距離が近づいた時に青年は女性に向かって「シルビア!」と声をかけますが、女性は無反応です。女性のすぐ後ろにつき、声をまたかけようとすると、女性の携帯がなり、青年は声をかけそびれます。路上に座り込む老女が道に転がすビンのたてる音。角の店の前で女性が立ち止まると、青年は道を横断し、向かいの角から様子を伺います。やがて女性を見失う青年。街を彷徨し、同じ場所を行ったり来たりします。やがて2階の窓に目を向ける青年。そこには遠目にドライヤーをかける女性の姿が見えます。そしてまた女性の姿を発見し、その後を追う青年。路面電車の駅で止まった女性に並んで立つ青年。女性が路面電車に乗り込むと、青年も乗り込みます。車内の遠くに彼女の姿を認めた青年は彼女のそばまで移動し、彼女に改めて「シルビア!」と呼びかけます。驚く女性。青年は6年前に“飛行士”というバーで会ったと言い、その時、彼女が同級生と一緒で、演劇の専門学校生だったと言います。女性はこの街に来たのは1年前だと言い、自分はシルビアではなく、人違いだと言います。人違いをするなど最低だ、と自分を責める青年。そしてそれを慰める女性。早く訊きばよかったのに、という女性は、後をついて来られて気味悪かったと言い、青年は自分の存在に気付かれていたことを知ります。カフェからずっとつけてきていたと知った女性は、増々気味悪がり、次の駅で降りるけど、もう付いてこないでね、と青年に言います。1人路面電車に残る青年。夜になり、バーのカウンターで隣の女性に何事か青年が囁くと、その女性は微笑みます。
 “第3夜”の字幕。夜、裸で眠る人影。早朝の路地、広場。カフェで新聞を読む青年は、音の出るライターを使うと、店の女性に笑われます。また赤い服の女性を追いますが、路面電車に乗られてしまいます。路上の女性たちの映像。走る路面電車の窓に、青年は昨日の女性の顔の幻影を見るのでした。

 ストーリーらしいストーリーはなく、青年と赤い服の女性以外にも様々なモノが画面に映り込み、それぞれのモノが自分の存在を声高に主張しているといった映画なのかな、と思いましたが、基本的に何が面白いのか、ちっとも分かりませんでした。もしかしたら、ヒッチコックの『めまい』におけるセクシーな追跡劇に通じる面白さがあったのかもしれません。(改めて粗筋を読んでみると、結構面白かった気もしますが‥‥)

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto