先日「ジェーン・バーキン・ライブ・イン・ジャパン」をWOWOWライブで見ました。日本の東日本大震災の復興支援を目的としたワールドツアー「Jane Birkin sings Serge Gainsbourg “VIA JAPAN”」の最終公演となった東京オペラシティでの公演を放送したものでしたが、曲と曲の間に満面の笑みを浮かべる彼女の姿が印象的でした。公演の前には、大震災の現地を訪れ、花を捧げ、高台では階段で遊ぶ子供たちを見て、彼らの未来を信じ、またミニコンサートで地元の人との交流を行い、そこで、大震災直後に出会った少女のことを歌った曲“少女(Une Petite Fille)”を歌って、観客とともに自らも涙する様子が描かれていました。オペラシティの公演では、人となりまでを語るメンバー紹介が素晴らしく、私は不覚にも涙してしまいました。また、ニューヨークで喝采を得たことが一番感動的だったと彼女が語ったことも印象的でした。
さて、朝日新聞で紹介されていた、マーカス・デュ・ソートイの'10年作品『数字の国のミステリー』を読みました。数学の5つの分野に関して紹介され、それぞれの章の最後に100万ドルの賞金のかかった難問が掲載されています。
第一章では素数が扱われ、素数の出現が規則正しく減少していく証明が難問として出されます。第二章では立体とフラクタル図形が扱われ、すべての立体が3種類に分類されることの証明が難問として出されます。第三章ではゲームの必勝法が扱われ、効率のよい色分けの方法の証明が難問として、第四章では暗号が扱われ、楕円曲線に無数の分数点があるかどうか判別する手段の有無が難問として、第五章では未来の予想が扱われ、カオスを表す方程式を解く方法が難問として出されています。
読んでいて興味深いと思ったのは、花びらの枚数の多くがフィボナッチ数列になっていて、他にも成長に関係する場面ならどこにでもフィボナッチ数列が出現すること、カタツムリの殻もフィボナッチ数列に従って90度ずつ作られていく結果、美しい渦巻きを形作ること、8世紀インドの著作家ヴィラハンカは、与えられた拍数に対して短音と長音を使って何種類のリズムが作れるかを調べ、拍数が増えるにつれて作れるリズムのパターン数がフィボナッチ数列を形作っているのに気付いたこと、今でも新たなメルセンヌ素数が見つかるたびに、3000ドルの賞金が与えられることになっていて、1億桁突破には15万ドル、10億桁突破には20万ドルの賞金がかけられていること、最初に完全な球形を作り出そうとした配管工ウィリアム・ワッツは、6階建ての最上階から液体状の鉛を垂らし、落下するまでにそれが球体状で固まるのを待ったこと、球よりエネルギーが少なくてすむ形が存在しないことが証明されたのは1884年まで待たねばならなかったこと、卓球の球はセルロイドでできた2枚の半球を溶かしつけて作られますが、完全な球体を作るには、このやり方はあまり効率的ではなく、できあがった球の95パーセント以上が廃棄されること、英国でティーバッグを使うようになったのは1950年代に入ってからだったこと、正四面体のティーバッグを作るには、円筒形の底を閉じ、上はそれと垂直方向に閉じるとできること、ウィルスは20面体構造であること、10のマイナス34乗メートルより短い距離を測ろうとすると、決まってブラックホールが生じ、計測機器が吸い込まれてしまうこと、フラクタル図形は自然物では当たり前に存在すること、キャンパスに不規則に絵の具を滴らせて描いているように見えるポロックの作品は、フラクタル次元が1.72にも及び、容易にマネできるものではないこと、ジャンケンポンはカリフォルニアではロー・シャム・ブー、韓国ではカウィ・バウィ・ボ、南アフリカではチン・チョン・チャとして存在していること、人間はランダムな列を作るのが苦手なこと、人生での必勝法は全体の3分の1が終わるまでは様子を見て、それ以降はそれまでで一番いいものが出てきたら選ぶこと、などなどでした。
素数の部分などは今まで読んできた数学の本のどれよりも分かりやすく書かれていましたが、それでもやはり読んでいてよく分からない部分もあり、そうした部分は飛ばし読みしてしまいました。しかし“人生での必勝法”など、すぐに役立つ知識も多々あったように思います。単に数学的な読み物としてだけでなく、そうした部分でも評価できる本だと思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
さて、朝日新聞で紹介されていた、マーカス・デュ・ソートイの'10年作品『数字の国のミステリー』を読みました。数学の5つの分野に関して紹介され、それぞれの章の最後に100万ドルの賞金のかかった難問が掲載されています。
第一章では素数が扱われ、素数の出現が規則正しく減少していく証明が難問として出されます。第二章では立体とフラクタル図形が扱われ、すべての立体が3種類に分類されることの証明が難問として出されます。第三章ではゲームの必勝法が扱われ、効率のよい色分けの方法の証明が難問として、第四章では暗号が扱われ、楕円曲線に無数の分数点があるかどうか判別する手段の有無が難問として、第五章では未来の予想が扱われ、カオスを表す方程式を解く方法が難問として出されています。
読んでいて興味深いと思ったのは、花びらの枚数の多くがフィボナッチ数列になっていて、他にも成長に関係する場面ならどこにでもフィボナッチ数列が出現すること、カタツムリの殻もフィボナッチ数列に従って90度ずつ作られていく結果、美しい渦巻きを形作ること、8世紀インドの著作家ヴィラハンカは、与えられた拍数に対して短音と長音を使って何種類のリズムが作れるかを調べ、拍数が増えるにつれて作れるリズムのパターン数がフィボナッチ数列を形作っているのに気付いたこと、今でも新たなメルセンヌ素数が見つかるたびに、3000ドルの賞金が与えられることになっていて、1億桁突破には15万ドル、10億桁突破には20万ドルの賞金がかけられていること、最初に完全な球形を作り出そうとした配管工ウィリアム・ワッツは、6階建ての最上階から液体状の鉛を垂らし、落下するまでにそれが球体状で固まるのを待ったこと、球よりエネルギーが少なくてすむ形が存在しないことが証明されたのは1884年まで待たねばならなかったこと、卓球の球はセルロイドでできた2枚の半球を溶かしつけて作られますが、完全な球体を作るには、このやり方はあまり効率的ではなく、できあがった球の95パーセント以上が廃棄されること、英国でティーバッグを使うようになったのは1950年代に入ってからだったこと、正四面体のティーバッグを作るには、円筒形の底を閉じ、上はそれと垂直方向に閉じるとできること、ウィルスは20面体構造であること、10のマイナス34乗メートルより短い距離を測ろうとすると、決まってブラックホールが生じ、計測機器が吸い込まれてしまうこと、フラクタル図形は自然物では当たり前に存在すること、キャンパスに不規則に絵の具を滴らせて描いているように見えるポロックの作品は、フラクタル次元が1.72にも及び、容易にマネできるものではないこと、ジャンケンポンはカリフォルニアではロー・シャム・ブー、韓国ではカウィ・バウィ・ボ、南アフリカではチン・チョン・チャとして存在していること、人間はランダムな列を作るのが苦手なこと、人生での必勝法は全体の3分の1が終わるまでは様子を見て、それ以降はそれまでで一番いいものが出てきたら選ぶこと、などなどでした。
素数の部分などは今まで読んできた数学の本のどれよりも分かりやすく書かれていましたが、それでもやはり読んでいてよく分からない部分もあり、そうした部分は飛ばし読みしてしまいました。しかし“人生での必勝法”など、すぐに役立つ知識も多々あったように思います。単に数学的な読み物としてだけでなく、そうした部分でも評価できる本だと思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)