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スティーヴン・キング『1922』

2013-05-18 00:38:00 | ノンジャンル
 スティーヴン・キングの'10年作品『1922』を読みました。長編『1922』と短編『公正な取引』を収めた本です。
 『1922』では、「1930年4月11日、ネブラスカ州オマハ マグノリア・ホテル 関係各位」から始まる告白文という形で物語が語られます。わたし・ウィルフレッドは祖父、父の代から80エーカーの農地を持つ農場主でしたが、新たに100エーカーの農地を相続した妻・アルレットが、農地を豚肉加工業者に売ることを強く主張したため、1922年6月、14歳のヘンリーの助けを借りて、妻を殺し、古井戸に遺体を捨てました。ある日、加工業者の弁護士のレスターが訪ねてきますが、わたしは体よく追い返します。わたしはネズミに食べられ腐敗していく妻の遺体を隠すため、新たに古井戸に年老いた牛を落として銃殺し、土で埋め、保安官の目を欺きます。その後も、レスターは2度やって来ましたが、成す術もなく帰っていきました。ある深夜、牛の悲鳴が聞こえて牛舎に行くと、そこでは妻の腐肉を食べていた巨大なネズミが牛の乳房を喰い破っていて、わたしはそれが逃げ込んだ穴をコンクリートで塞ぎます。
 やがてヘンリーが親しく付き合っていた娘シャノン・コッタリーが妊娠していることが判明し、シャノンは父のハーランの意向でオマハにある養育院に送られることになります。そこでの経費300ドルのうち、その4分の1に当たる75ドルを負担するようにわたしに言ってくるハーラン。わたしは妻が帽子の箱に隠していた40ドルを発見しますが、残りの金は借りる以外なく、銀行に相談しに行く前に、シャノンが養育院に送られたこと、ハーランに要求された金額75ドルの半分の38ドルをヘンリーが払うようにヘンリーに告げますが、ヘンリーは生返事しかしません。その後、実際にわたしは銀行に行き、足りない文の35ドルを借りようとしますが、銀行はどうせなら土地を抵当に入れて750ドルを借りないかと言ってきます。
 数日後、ヘンリーはシャノンの後を追って家出します。彼が出ていった時に乗っていたトラックは州道で発見されますが、彼はなかなか見つかりません。しばらくしてカウボーイ・スタイルの若い男性が食料雑貨店兼ガソリンスタンドを襲い、23ドルを奪う事件が発生します。その男はその週、オマハの質屋で拳銃を買い、翌日その拳銃を使い、銀行強盗をして200ドルを奪います。一方、わたしは忙しく立ち働けば妻のことを考えなくて済むと思い、銀行から750ドルを借りることにします。200ドルを現金で銀行から持ち帰った私は、家の修理に必要なものを買い、残った160ドル弱の現金を妻の帽子の箱に隠そうとすると、そこにいた例の巨大ネズミに手を噛まれます。傷を消毒したにもかかわらず、患部の腫れは広がり、高熱にうなされ、やがて目の前に無数のネズミたちに導かれた、腐敗した妻が現われ、ヘンリーのことを教えてくれます。ヘンリーはオマハのはずれの小屋に身を潜め、シャノンのいる養育院のそばのキャンディ・ストアのそばの路地で、養育院に入れられた娘の誰かが出てくるのを待ち、やがてそうした娘の1人を買収することに成功すると、シャノンへ手紙を渡してもらい、深夜、脱走してきたシャノンとともに車による逃避行に出るのでした‥‥。
 『公正な取引』では、末期癌のストリーターが空港沿いの無人の道を車を運転している時に出会った、“公正な延長”という看板を掲げた露店商に、誰か犠牲者を名指した上、今後の収入の15%を支払うのであれば、少なくとも15年の幸福な人生の“延長”を保障すると言われ、表面的には親友ながら、これまで美味しいところを全て持っていかれていたグッドヒューの名前を挙げると、その後、ストリーターの癌は奇跡的に完治し、彼と彼の家族の人生も次々に開けていくのと対照的に、グッドヒューの人生は度重なる不運に見舞われ死の直前まで追いつめられますが、それでもストリーターは次なる幸運を夢見るという物語でした。

 『1922』は、この後ヘンリーとシャノンによる『暗黒街の弾痕』ばりの逃避行が描かれ、その後、大どんでん返しも用意されています。『1922』の以後のあらすじを知りたい方は、私のサイト(Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto))の「Favorite Novels」の「スティーヴン・キング」のところにアップしておきましたので、そちらを是非ご覧ください。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/