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スティーヴン・スピルバーグ監督『戦火の馬』その4

2013-05-17 06:13:00 | ノンジャンル
 月刊雑誌「ソトコト」の6月号に「ジェーン・バーキン」の特集記事が載っていました。今でも元気な彼女の写真を見たり、話を読めたりします。お好きな方は是非手に取って欲しいと思います。

 さて、またまたまた昨日の続きです。
 疲れきって撤退する馬たち。倒れこんだトップソーンは、やがて目を閉じ、「敵だ!」と叫びながら逃げ出すドイツ兵らを尻目に、ジョーイはトップソーンの側に残ります。やがて戦車がやって来て、逃げ出すジョーイ。逃げ場を失ったジョーイは戦車を飛び越えて、その後ろ側に出ると、敵の塹壕の中を走り抜け、砲弾の飛び交う中を逃げ、やがて有刺鉄線にからまって倒れます。フェイドアウト。
 潜望鏡で敵の塹壕の手前に馬を発見する英国兵士のコリン。敵と味方の双方が口笛を吹いたり舌を鳴らしたりして馬を呼びますが、馬は動けません。馬を助けようと、コリンは白旗を掲げて塹壕を出てます。挑発して発砲するドイツ軍の兵士。やがてドイツ兵士のペーターが現われ、有刺鉄線を切るカッターを貸してくれますが、コリンは切る順番が分からないので、ペーターは味方が投げ入れてくれた多くのカッターのうちの一つを手にして、2人でペーターの言う順に有刺鉄線を切っていきます。ようやくジョーイが立ち上がると、2人はコイントスで引き取り先を決め、勝ったコリンが自軍にジョーイを連れ帰ります。オーバーラップ。
 塹壕に雪が舞う中、歩いて行くコリンとジョーイ。アルバートは毒ガスで目をやられ、白い布が顔に巻かれています。軍医はジョーイが破傷風を起こしているとして、射殺を命じますが、コリンは戦争で生き残った“奇跡の馬”として、それを思い留まらせようとします。しかし、軍医の命令で下士官がジョーイを撃とうとしたその瞬間、聞こえてきたフクロウの声にジョーイが反応すると、射殺は一旦中止されます。ジョーイと再会するアルバート。アルバートがジョーイの特徴を言うと、泥が洗い落とされたジョーイの体にはアルバートが言った通りの白毛が現われます。下士官は拳銃を仕舞い、軍医は負傷兵と同じように、できるだけのことをしようとアルバートに約束します。
 戦争は終結し、4年ぶりに教会の鐘が鳴らされます。しかし将校の馬以外は競売にかけられることになり、目が治ったアルバートは同僚から29ポンドのカンパを受け、いい馬を独占買いしている業者との一騎討ちを制して、アルバートが30ポンドでセリ落とすことが決まりかけた時、老人がいきなり100ポンドと言い出し、足りなければ今着ているコートを売って110ポンド、それでも足りなければ農場を売って1000ポンド出すと言い、その老人が落札してしまいます。アルバートは英国に戻れば2倍のお金を出すので譲ってくれと言いますが、老人はこれは孫娘の馬で、彼女の遺品なのだと言います。しかし、老人がジョーイを連れていこうとすると、ジョーイはアルバートのところへ戻ってきてしまい、それを見た老人はアルバートにテッドの大隊旗を返し、馬も返すと言って、こちらに背を向けて立ち去りながら「孫の名はエミリーだった」と何度も言うのでした。ジョーイの顔を抱くアルバート。オーバーラップ。
 夕暮れの大地を帰り来る人馬の影。手を顔にかざして、それを迎える母。アルバートは母と抱き合うと、父に大隊旗を返して、握手し、抱き合います。それに寄り添う母。夕陽に輝くジョーイ。フェイドアウト。“WAR HORSE”のタイトル。そしてジョン・ウィリアムスの音楽が流れる中、エンディング・ロールが流れ、映画は終わります。

 蓮實重彦先生が映画ゼミでサミュエル・フラーの『最前線物語』の馬が見事だったと言っていたことを思い出しながら見ていましたが、私が見る限り、この映画でも見事に“馬”が撮られていたように思いますし、“ショット”からなる映画でもあり、またラストは丘の上から帰郷者を迎える母を仰角で撮るというフォード的画面も見ることができました。これだけ詳細にあらすじを書いた映画も久しぶりだと思います。スピルバーグの最良の一本なのではないでしょうか?

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/