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大栗博司『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』その1

2018-02-11 05:38:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、大栗博司さんの ‘12年作品『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』を読みました。
 本文からいくつか引用させていただくと、
・「私たちは身長1~2メートルぐらいの生物ですが、いまではその10億×10億×10億倍の大きさを持つ宇宙のことから、《10億×10億》分の1メートルしかないミクロの世界まで、実に幅広いスケールで理解しているのです」

・「科学は、合理的な考えを広めることで、人類を迷信や偏見から解放し、宇宙や生命の神秘を明らかにすることで、私たちの世界を豊かなものにしてきました。『科学の目的は、人類の精神の栄光である』という言葉があるように、科学はそれ自体に価値があり、それを生み出すことには大きな意義があるのです」

・「万有引力の法則と相対論は、いずれも重力の働きに関する画期的な発見でした。そして現在、重力研究はニュートンとアインシュタインの時代に次ぐ『第三の黄金時代』を迎えようとしています」

・「宇宙は、いまから137億年ほど前に生まれたと考えられています。誕生から40万年後までは、超高温のプラズマ(電離)状態でした。プラズマとは陽イオンと電子に分かれた状態のことです。そのままでは星は生まれません。それから温度が下がり、重力の強いところに物質が集まって最初の銀河が現れたのは、宇宙が4億歳の頃です。現在のように多くの銀河が生まれ、宇宙全体の構造ができあがるまでには、100億年ほどかかりました。そのあいだに私たちの太陽系も生まれ、地球は46億年もの時間をかけて人間という知的生命体を作り上げています」

・「その歴史を振り返ると、物理学の理論が説明できる範囲は、おおむね『10億』のステップを踏みながら広がってきたことがわかります」

・「10億メートル程度の世界と、おおむね1~2メートルの『身の丈』の世界が同じ法則で動いているのを発見したのがニュートンです。(中略)しかし、10億の階段をもう一つ上がって『10億×10億メートル』の世界になると、ニュートン理論では説明できません。銀河一つ分の大きさに相当するスケールですが、そこには主に太陽系の動きを対象にしてきたニュートンにとって『想定外』の極限状況がありました。たとえば私たちの太陽系がある天の川銀河の中心には、太陽の400万倍もの重さを持つ巨大ブラックホールがあることが、最近になってわかりました。光も飲み込むほど強い重力を持つ天体となると、ニュートン理論では手も足も出ません。そういった世界のことを説明するには、アインシュタインの理論が必要でした。ところが、そのアインシュタイン理論も『10億×10億×10億メートル』より先の距離に当てはめようとすると、『実力不足』が露呈します。これはある意味で『宇宙の果て』までの距離。宇宙空間は無限の広がりを持つと考えられており、『行き止まり』はありませんが、光で見ることのできる距離には限界があります。それが『10億×10億×10億メートル』というスケールの距離なのです」

・「科学技術の分野では、いまや物質をナノメートルのレベルでコントロールする時代を迎えています。これはまさに『10億分の1メートル』の世界です。『10億×10億メートル』の世界に通用しなかったニュートン理論は、こちらのミクロの世界も説明することができませんでした。そこで登場したのが『量子力学』です」

・「しかし(中略)『《10億×10億》分の1メートル』よりさらに極微の世界には、素粒子の標準モデルでは説明できないことがいくつもあることがわかってきました。『10億×10億×10億メートル』の大きな世界と同様、こちらの小さな世界でも新しい理論が求められているのです」

・「(前略)そこで研究者たちが驚いたのは、この電磁波が光の速さで伝わったことです。そのことから、電気や磁気と無関係だと思われていた光が、実は電磁波の一種であることがわかりました」

・「日本のKAGRAはその精度を上げるために、観測装置そのものを絶対温度20度(摂氏マイナス253度)まで冷やすことで、熱による雑音を抑えることになっています。こうした工夫によって、2本の腕の長さの比を300垓分の1程度の精度(1垓は1億×1兆)で計測しようとしているのです。これには、太陽と地球の距離を、水素原子の10分の1ぐらいの精度で計測するという、とんでもなく高いレベルの技術が求められます」(明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)