堺市立図書館の特定図書排除問題の続きです。
けさの朝日、毎日、産経の各紙を堺市の請求人に送っていただきました。
届いた新聞を読んで、えっと思いました。
朝日の記事に一行だけ監査請求について触れていますが、
住民監査請求は公金の使い道の違法の観点から提起するものですから、
「廃棄を求める声に対し」、だしたものではありませんし、
「性的指向による差別につながる」などという請求の理由は、
監査請求書のどこにも書いてありません。
また、
「今年7月以降、電話や複数の図書館窓口で、市内在住の子どもの保護者らから
廃棄を求める声が相次いで寄せられた」と書いてありますが、
「子どもの保護者らから」「相次いで寄せられた」というのは、
明らかにまちがい。
「子どもに悪影響を与える」と廃棄を求める声が相次いだのに対し、
というのも間違いです。
情報公開の公文書を会見資料としても配って説明していますし、
「匿名市民ひとり(同一人物)から」が、しつような電話やメールがあった、と
図書館側にもきちんと確認しています。
廃棄を求める「『保護者』がたくさんいる」ような書き方はミスリードです。
いずれにしても、記者さんたちは、監査請求のことより、
BL本のほうに関心があるようです。
「ボーイズラブ小説は18歳未満禁止」とひとくくりにされていますが、
わたしは憶測でものを言うのが好きでないので、状況を理解するために
5706冊の図書リストを情報公開請求で入手し、さらに現地調査して、
先月、堺市の図書館の書庫で、特定された図書を見せてもらっており、
挿絵も小説もあえて「露骨」なのを探したのですが、
他愛のないラブストーリーしか見つけられませんでした。
一部のものを全部のように言うことを「針小棒大」と言います。
「露骨な性描写があるイラストや文章」と「BL小説」が
ただちにイコールでつながるとは思えません。
逆に言えば、
カウントされた「BL小説」は、
すべて「露骨な性描写があるイラストや文章の本」なのか?
答えは、ノーです。
情報公開条例にも、条文に「A」であって「B」、という場合、
「A+B」の解釈・運用をしなければいけないのに、
「A」or「B」、と考えて運用しまうトラブルがよくあります。
図書館も「府条例の有害図書にあたるものは一切ない」と明言していますし・・・
(個人的には青少年「健全育成」条例を支持するわけではありません)
だったら、ボーイズラブはなぜいけないの?
「ボーイズラブ」がいけないのか、ボーイズラブ「小説」がいけないのか?
そもそも、ボーイズラブ小説っていったいなんなの?
恋愛小説といわれるものと、どこがどう違うの?
5700冊をどのような基準で選んだの?
ボーイズラブはだれにとって有害で不適切なの?
ボーイズラブを、女こどもに読ませたくないのはだれなの?
松井参事が記事中で言われているように、「露骨」の線引きをどこでするのか、
つぎつぎに疑問が沸いてきました。
すべての図書は、資料収集方針によって購入・配架されており、
除籍基準・保存基準により廃棄・保存されます。
わたしは、図書の個人的志向は別にして、このルールを支持します。
「(府条例のいう)有害図書」は、ちゃんと入り口でチェックしてて、
これらの規定が図書館の唯一のルールなのですから、
「露骨な性表現」の基準ではなく、
あえて「ボーイズラブ」と「区別」しての制限は、なぜ必要なのでしょうか。
わたしは堺市民ではありませんが、子どものころから図書館に親しみ、
今でも図書館を日常的に利用し、図書館をこよなく愛しています。
わたしが本を好きなのは、身近に図書館があったおかげです。
図書館は、子どもが本を好きになるステップボードとしての役割も果たします。
図書館の自由が侵されるとき、
われわれは団結して、あくまでも自由を守る
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特定図書排除に関する住民監査請求書 2008年11月4日提出
● データ用 ワード版 14ページ 140KB
● 印刷用 PDF版 14ページ 406KB
上記の住民監査請求書 見出し
●データ用 ワード版 1ページ 49KB
●印刷用 PDF版 1ページ 120KB
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けさの朝日、毎日、産経の各紙を堺市の請求人に送っていただきました。
届いた新聞を読んで、えっと思いました。
朝日の記事に一行だけ監査請求について触れていますが、
住民監査請求は公金の使い道の違法の観点から提起するものですから、
「廃棄を求める声に対し」、だしたものではありませんし、
「性的指向による差別につながる」などという請求の理由は、
監査請求書のどこにも書いてありません。
また、
「今年7月以降、電話や複数の図書館窓口で、市内在住の子どもの保護者らから
廃棄を求める声が相次いで寄せられた」と書いてありますが、
「子どもの保護者らから」「相次いで寄せられた」というのは、
明らかにまちがい。
「子どもに悪影響を与える」と廃棄を求める声が相次いだのに対し、
というのも間違いです。
情報公開の公文書を会見資料としても配って説明していますし、
「匿名市民ひとり(同一人物)から」が、しつような電話やメールがあった、と
図書館側にもきちんと確認しています。
廃棄を求める「『保護者』がたくさんいる」ような書き方はミスリードです。
いずれにしても、記者さんたちは、監査請求のことより、
BL本のほうに関心があるようです。
ボーイズラブ小説は不適切?図書館貸し出しで議論白熱 朝日新聞 2008年11月5日12時35分 「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛を題材にした小説を図書館に置くべきかどうか。BL小説を20年近く買い続け、計5500冊を所蔵する堺市立図書館が対応に苦慮している。「子どもに悪影響を与える」と廃棄を求める声が相次いだのに対し、「性的指向による差別につながる」と廃棄の差し止めを求める住民監査請求が4日、市に出された。 BL小説は作者も読者も主に女性で、文章の合間に、1冊で計数ページの挿絵があるのが一般的。堺市立図書館では全裸の男性が抱き合ったり、下半身に顔をうずめたりしている挿絵がある作品も扱っているが「1冊あたり1、2ページに過ぎず、大阪府条例の有害図書にあたるものは一切ない」としている。 計7館の堺市立図書館を統括する中央図書館によると、堺市立図書館では利用者の要望を受けて90年からBL小説を買い始めた。03年には最多の825冊を購入したが「内容が過激化し、一定の配慮が必要」と05年から抑制している。総数は蔵書の1%未満、購入総額は約370万円という。 「ほかに買いそろえるべき有益な本はたくさんある」。今年7月以降、電話や複数の図書館窓口で、市内在住の子どもの保護者らから廃棄を求める声が相次いで寄せられた。一方、4日に監査請求した市民は「基準に基づいて整備した図書を、特定の意図で排除することは許されない」と訴えている。 堺市立図書館は8月、露骨な性描写があるイラストや文章があるBL小説について(1)今後、収集しない(2)18歳未満に貸さない、などとする方針を決めた。中央図書館の松井孝参事は「『露骨』の線引きは難しい。利用者の反応を見ながら、検討を続けたい」と話している。(岡本玄) |
BL:男性同性愛扱った小説本、書庫のはずが開架図書--堺市立の4図書館 /大阪 毎日新聞 2008年11月5日 ◇戻して18歳未満貸し出し禁止 堺市立の4図書館で、書庫入れ扱いしている「BL(ボーイズラブ)」と呼ばれる男性同性愛を扱った一部の小説が開架され、誰でも読むことができる状態になっていたことが分かった。本来は書庫に保管し、請求があった場合にのみ貸し出していたが、ずさんな管理が原因で開架されていたという。図書館側は7月、市民らの指摘を受けて書庫に入れ、8月からは18歳未満への貸し出しを原則禁止している。 同市立中央図書館によると、BL本は市民からの多くのリクエストを受け、90年ごろから購入。これまで計約5500冊(約370万円)を購入したが、一部の本の内容が過激になっていることなどから、ここ数年は1冊も購入していないという。 図書館側は、BL本の中には挿絵や描写など内容が過激なものや、紛失も多いことなどから閲覧室には置かずに「書庫入れ」とし、カバーには書庫入れの本と分かる目印も付けている。ところが、北、南、西、中の4図書館では7月まで、一部のBL本が書庫に入れられずに閲覧室に置かれ、誰でも読むことができたという。 中央図書館総務課は「人気で貸し出しも多く、書庫に入れると倉庫まで取りに行く手間がかかるなどし、つい開架していたようだ」と説明している。 ◇市民「特定の図書排除許されない」 一方、市民ら約30人が4日、「特定の図書を排除するのは許されない」として、図書の廃棄や貸し出し不可能な状態での保管をしないことなどを求め、市に住民監査請求を起こした。【久保聡】 (毎日新聞 2008年11月5日) ------------------------------------------------------------------- BL本貸し出し 18歳未満は禁止 堺市立図書館 (産経新聞 2008.11.5) 堺市立の図書館が男性の同性愛などをテーマにした「ボーイズラブ」(BL)と呼ばれる小説の18歳未満への貸し出しを事実上禁止していたことが4日、わかった。 市立図書館では、市民からの要望などを基にBL本を購入。7図書館中、4施設が本棚に展示していたが、一部から「子供が見るのにふさわしくない」との声を受け、図書館長会議を通じて、今夏からBLを書架で保管することを決定。希望者から申請があった場合のみ貸し出し、中高生ら18歳未満には貸し出しをしていないという。 |
「ボーイズラブ小説は18歳未満禁止」とひとくくりにされていますが、
わたしは憶測でものを言うのが好きでないので、状況を理解するために
5706冊の図書リストを情報公開請求で入手し、さらに現地調査して、
先月、堺市の図書館の書庫で、特定された図書を見せてもらっており、
挿絵も小説もあえて「露骨」なのを探したのですが、
他愛のないラブストーリーしか見つけられませんでした。
一部のものを全部のように言うことを「針小棒大」と言います。
「露骨な性描写があるイラストや文章」と「BL小説」が
ただちにイコールでつながるとは思えません。
逆に言えば、
カウントされた「BL小説」は、
すべて「露骨な性描写があるイラストや文章の本」なのか?
答えは、ノーです。
情報公開条例にも、条文に「A」であって「B」、という場合、
「A+B」の解釈・運用をしなければいけないのに、
「A」or「B」、と考えて運用しまうトラブルがよくあります。
図書館も「府条例の有害図書にあたるものは一切ない」と明言していますし・・・
(個人的には青少年「健全育成」条例を支持するわけではありません)
だったら、ボーイズラブはなぜいけないの?
「ボーイズラブ」がいけないのか、ボーイズラブ「小説」がいけないのか?
そもそも、ボーイズラブ小説っていったいなんなの?
恋愛小説といわれるものと、どこがどう違うの?
5700冊をどのような基準で選んだの?
ボーイズラブはだれにとって有害で不適切なの?
ボーイズラブを、女こどもに読ませたくないのはだれなの?
松井参事が記事中で言われているように、「露骨」の線引きをどこでするのか、
つぎつぎに疑問が沸いてきました。
すべての図書は、資料収集方針によって購入・配架されており、
除籍基準・保存基準により廃棄・保存されます。
わたしは、図書の個人的志向は別にして、このルールを支持します。
「(府条例のいう)有害図書」は、ちゃんと入り口でチェックしてて、
これらの規定が図書館の唯一のルールなのですから、
「露骨な性表現」の基準ではなく、
あえて「ボーイズラブ」と「区別」しての制限は、なぜ必要なのでしょうか。
わたしは堺市民ではありませんが、子どものころから図書館に親しみ、
今でも図書館を日常的に利用し、図書館をこよなく愛しています。
わたしが本を好きなのは、身近に図書館があったおかげです。
図書館は、子どもが本を好きになるステップボードとしての役割も果たします。
図書館の自由が侵されるとき、
われわれは団結して、あくまでも自由を守る
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特定図書排除に関する住民監査請求書 2008年11月4日提出
● データ用 ワード版 14ページ 140KB
● 印刷用 PDF版 14ページ 406KB
特定図書排除に関する住民監査請求書 見出し 第1 請求の要旨 1. はじめに 2、状況や背景について (1) 図書館の位置づけ (2) 本件図書館 (3) 特定図書 (4) 排除に関する要望の一部 (5) 市に強く要望したと推測される関係者らの情報 (6) 堺市の検討状況 (7) まとめ 3. 地方自治法第242条第1項で定義する支出もしくは怠る事実 4、 違法性について (1) 憲法違反 (2) 図書館の自由の原則からの逸脱は著しく不当である (3) 公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(図書館法第18条)違反 (4) 除籍、廃棄行為の違法 (5) 図書館職員としての基本的な職務上の義務違反 (6) 公の施設に関する利用制限や差別的扱いとしての違法 (7) 児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)違反 (8) 堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例違反 (9) 本件に関与した「公務員」の 国家賠償法上の違法 (10) 当然に許されないこと (11) その他 5. 自治体の損害 6. 関係する職員、職務上の責任がある者 7. 監査委員に求める措置 (1) 地方自治法第242条の2第1項の考え方 (2) 廃棄処分または貸し出し不可能な閉鎖状態で保管しないように当該行為の差止め (3) 当該行為が財産の管理を怠る違法なことであるとの確認 (4) 本来の管理状態に復帰させる、もしくは当該怠る事実に係る職員らに損害賠償の命令 8. 議会選出監査委員の除斥の申し立て 第2 請求者 請求者 合計28名 請求者代理人 合計12名 2008年11月4日 |
上記の住民監査請求書 見出し
●データ用 ワード版 1ページ 49KB
●印刷用 PDF版 1ページ 120KB
《堺市住民監査請求代理人》 上野千鶴子 ほか11名 寺町みどり 「ジェンダー図書排除」究明原告団・事務局 寺町知正 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク・事務局 岐阜県山県市議会議員 《以上、本件住民監査請求関係の問い合わせや連絡先》 寺町知正 Tel/fax 0581-22-4989 |
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