目も覚めるような紅葉を紹介するとお伝えしたのですが、
今日はこれから友人と、22日に封切された映画『私は貝になりたい』を
見に行くので、昨夜のうちに作っておいた本の紹介に変更。
『私は貝になりたい』は、朝日アスパラクラブに特別試写会の応募をして、
そちらは外れたんだけど、その手続きにトラブルがあったらしくて、
応募者全員に特別前売券が2枚送られてきました。
『私は貝になりたい』予告編
映画は中居正広と仲間由紀恵の競演ということで楽しみなんだけど、
この組み合わせ、今年の紅白の司会者に決定したらしい。
『婦人公論』の上野さんと松井冬子さんの対談を読みたくて買ってきたら、
なんという偶然、表紙が仲間由紀恵さんでした。
表紙の私 撮影・篠山紀信
より深く、楽しく 仲間由紀恵
上野千鶴子×松井冬子の対談の前のページでも、
仲間由紀恵さんが『私は貝になりたい』のことを語っています。
「婦人公論」12月号
<ひんしゅくは喜んで買います> 上野千鶴子×松井冬子 オトコ社会の壁をペンと絵筆で突き破る ベストセラー『おひとりさまの老後』の著者であり、社会学者の上野千鶴子さんと、内臓をむき出す女性や幽霊など、美しくも恐ろしい題材で注目を集める、日本画家の松井冬子さんが艶やかな着物姿で登場です。松井さんは大学時代から上野さんの大ファンで、今年出版された自らの画集の解説文を半ば強引に依頼したことから、交流が始まったのだそう。お二人に共通するのは、創作の大きな動機が男性中心社会への強い反発であるということ。壁を突き破ろうとするパワーに圧倒される対談です。 上野 NHKの番組、評判がよかったですね。私の周囲でも「偶然見たら、目が離せなくなった」という人が多かったです。 松井 ありがたく思いました。ただ、「日本画の技法を独学で復活させた」と解説されると、大げさだなと身がすくみました(笑)。女性の視点での発言がカットされていたのが、少し残念でしたね。小さな頃から男女差別的なものを感じていて、それは私の作品を語るうえでは大きな要素。だからこそ、はじめての画集の解説を上野先生にお願いしました。 上野 最初は、見も知らないあなたから解説を頼まれて、戸惑いました。 松井 すごいごり押ししちゃった(笑)。私が最初に先生を知ったのは東京藝大に入った24歳の頃で、遅いんです。でも、女性学の本棚から見つけた先生の『発情装置』を読んで一気にファンに。「私のフェミニスト・ヒーローです!」と、すぐにファンレターを出しました。小学生の頃から母に「男に頼るような生き方はするな。結婚はするな。自活して生きていけ」と言われていたんです。 上野 結婚している母親が娘にそういうことを吹き込むのは、自分の結婚生活が不幸だと言ってるのと同じ。あなたは、OS(オペレーションシステム)がフェミなんだ。(笑) 松井 母は男尊女卑の社会に疑問を持っていたようです。私も小学校3年くらいから、出席番号はなぜ男が先なのかと疑問でした。まだ授業で女子は家庭科、男子は技術と分かれていた時代なので、「なに? 女子は家で編み物でもしてろってことですか?」と。(笑) 上野 早熟だなぁ。 松井 勝気な性格で、私のほうが男子より強いと思ってた(笑)。『うる星やつら』という漫画の影響もあって、強い女の子が大好きでした。ジャンヌ・ダルクの伝記を読んで甲冑姿の絵を描き、柔道を習おうとしました。父に「ダメだ」と止められましたが。 上野 なにか悔しい思いをしたことがあるんですか? 松井 小中学生の男の子のあからさまなセクハラ、あと女ってことだけで根拠のない見下げ目線、あれが嫌で嫌で。 上野 しかも、家庭ではお母さんが呪文を唱えていた。(笑) 松井 アハハハ。毎日言っていたわけではありませんけど、強烈に私の中で残っている言葉なんです。 上野 私の母も、つね日頃「女の子も手に職をつけたほうがよい」と言っていたのに、私が18歳になって進学するというとき、手のひらを返したように「女の子は短大でいい」。ものすごく裏切られたなぁ。 (『婦人公論』2008年年12月7日号より一部抜粋) 続きは、本誌をごらんください。 |
おふたりの着物姿がとっても素敵。
NHKのときと違って、リラックスした松井さんの率直な語り口は、
信頼する上野さんがお相手だからこそ、なんですね。
『発情装置』を読んで「私のフェミニストヒーローです!」、
ってとこにふかく共感しつつなっとく (笑)。
わたしも、上野さんの本はほとんど読んでいるのですが、
『発情装置』は大好きな一冊です。
(2008-04-22) 松井冬子と上野千鶴子の対談に想う/
ETV特集「痛みが美に変わる時~画家・松井冬子の世界」
NHKのETV特集「痛みが美に変わる時~画家・松井冬子の世界』のことは、
記事に書いたのですが、訪問する人がとっても多いです。
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もう一冊、是非紹介したい本があります。
友人の山秋真さんの著書『ためされた地方自治』が
2008年度やよりジャーナリスト賞を受賞しました。
山秋 真さん ●プロフィール
日本大学芸術学部卒。神奈川県出身。原発立地問題にゆれた石川県珠洲(すず)市とその関連裁判へ通い『ためされた地方自治─原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』を上梓。珠洲市における草の根民主主義のうねりとともに、それまで表面化してこなかった原発用地工作の実態を描いた。原発問題の現地で日常生活がどんな影響をうけるかを、「よそ者」の「女性」である「わたし」の視点もいれながら具体的に伝えようと試みてもいる。実像を把握せずに未来を構想することはできない以上、「ここに皺がある」という声を生みだす力、それを聴く力こそ社会の生命線という見地から、社会の皺よせをこうむる人びとの声に耳を研ぎ澄ます活動を志向。
やよりジャーナリスト賞は
女性ジャーナリストの先駆け、故・松井やよりさんの
遺志と基金で設立された賞です。
多くのひとから見えない存在にされている原発現地の苦悩を書いて、
「やよりジャーナリスト賞」っていうのが、いいですね。
わがことのようにうれしいです。
わたしは当時、この本に出てくるたちと反原発の運動をしていたので、
彼女が珠洲に通っていた時、「東京から来た若い女性」にきっと出会っているのです。
山秋真さん、おめでとう
昨年、本を刊行したときに、ブログに本の紹介記事を載せたのですが、
その記事を再掲しますね。
『む・しの音通信』62号/『ためされた地方自治』(山秋真)(2007-08-17)
『ためされた地方自治
原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』
(山秋真/桂書房/2007)
「珠洲市民の《失われた時間》は、同時に、
闘って自治を手に入れる貴重なプロセスであった
上野千鶴子 (東京大学大学院教授)」
新刊紹介『ためされた地方自治』
原発の代理戦争をせおい 自治を闘った人々
新倉真理代
能登半島の切っ先にある石川県珠洲市は、約四半世紀ものあいだ原発建設計画にゆれつづけた。住民たちは原発の賛否をめぐって対立し、とくに市長選挙では激しく争った。1993年の市長選に至っては票数があわず大混乱、裁判のすえ無効となっている。
だがこうした対立は、地域社会の問題にみえながら、じつは地域社会固有の問題ではない。『ためされた地方自治:原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』(桂書房)で、著者・山秋真はその対立を「原発の代理戦争」と呼ぶ。珠洲の原発問題は、地域社会にあらわれた現代日本の社会全体の問題という認識である。
国策である原発をたてようとする珠洲市当局のもとで、「原発いらない」と住民たちが声をあげることは容易ではなかった。なにしろ、「お上」に異を唱えることがはばかられる土地柄。しかも「代理戦争」の地。なんとか勇気をふりしぼって声をあげても、目のまえの対立相手は真の相手ではない。擬似的な対立に人びとが疲弊していく一方で、真の相手はほとんど傷つかないのだ。著者は、買収などが横行する原発選挙や、水面下ですすんだ原発用地の先行取得事件などから、民主主義とはほど遠い原発立地の実態を浮き彫りにする。
その実態にもがく人びとの苦悩を、1993年から約13年のあいだ珠洲へかよった著者は丹念に描きだす。それは代理戦争を押しつけられた珠洲住民の苦悩であり、知らぬ間に珠洲に代理戦争を押しつけてきた多数派のひとりである著者の苦悩であり、「原発いらない」と声をあげた珠洲市民を応援するため市外から駆けつけた人々を批判する「外人」攻撃に直面した、両者の苦悩でもある。原発の代理戦争を背負いもがきながら、その苦楽を引きうけ、自治を希求して闘った珠洲の経験から学ぶことは多い。
(『む・しの音通信』62号より転載)
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