みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

堺市でなぜ特定図書排除が起きたのか(呉羽まゆみ『地方自治 職員研修』)

2009-05-11 14:37:52 | 「ジェンダー図書排除」事件
庭のサツマイモの畝は、ともちゃんの仕事の手が離せなかったので、
けっきょく、自分でエッチラオッチラ、
ブロックを運んで、土を運んで夕方までに完成しました。

高畝がよいとはいえ、車止めかわりのブロックを並べると、
花壇にしたほうがよさそうで・・・サツマイモ畑にはもったいないような出来。


あたらしい花壇も、花苗を植えたら何とかサマになりました。
まんなかの大きなまあるいミツマタがアクセントになっています。


東を見ると、わが家でいちばん遅く咲く黄もくれん「キンジュ」が、
今年はいっぱい花をつけて、けっこう長いこと咲いています。






東の家の二階の倍くらいの背丈になって10メートルくらいはあるでしょうか。
うえのほうの花はよく見えないし、木全体を写すことは不可能にちかい。
一昨年、2階のベランダから大工さんに切ってもらったのですが、
いまだ成長は止まらず。いったいどこまで大きくなるのでしょう。

落葉高木とはいえ、他のもくれんの自然樹形と比べると
「こぶし」に近い、上に伸びる性質があるようです。
  

末恐ろしいキンジュちゃんですが、わたしはこのお花がだいすきなので、
できれば、このまま大きく育ってほしいのです(笑)。


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話は変わりますが、
『む・しの音通信』69号の後半は、前号につづいて、
堺市立図書館の特定図書排除事件に関する記事。


まず、月刊『地方自治 職員研修』2月号(「公職研」発行)
に書かれた呉羽まゆみさんの「堺市でなぜ特定図書排除が起きたのか」。

呉羽さんは、以前からHP「木津未来会議」というホームページをつくってみえたのですが、
今回、ぜひブログもつくったら、とすすめて、
ブログ「くれはまゆみのページ」を開設。

で、昨夜はこの記事の画像やリンクのアップの仕方を
経験者として実地でアドバイス。
くれはさんのページもぜひのぞいてみてください。

呉羽さんの許諾を得て、全文を転載させていただきます。

 

 堺市でなぜ特定図書排除が起きたのか
  木津川市・呉羽まゆみ


 京都府最南端の市で議員をしている私の元に堺市立図書館の事件が伝わってきたのは、9月5日。その内容は「BL(ボーイズラブ)(1)関連の書籍が開架を中止し書架に移され、処分される予定」「冊数5499冊、購入金額366万8883円」(市のホームページ「市民の声」)というもので、「『ジェンダー図書排除』究明原告団」の事務局の寺町みどり氏からの連絡であった。  
福井県、北海道に続いての事件に、私は「女性センターではなく図書館が狙われ、『青少年にとって悪影響』ともっともらしい理由をつけるとは、バックラッシュの人たちはなんとも巧妙だ」と感じるばかりだった。

堺市立図書館で起こったこと
 まず、「原告団」14人で堺市教育委員会が排除した図書リスト、会議記録などを情報公開請求した。堺市情報公開条例は、何人も公文書の公開を請求することができるとなっており、市民でなくとも情報公開請求ができる。
 寺町みどり氏の手元に届いた公文書と「バックラッシュ」側のインターネット掲示板の書き込みを時系列を追って見ると、事件の全容がよくわかった。
 発端は7月24日、利用者が北図書館へかけた一本の電話。「「BL図書は、セクハラではないのか。子どもへの影響を図書館はどう考えているのか。購入、開架の基準は何か公表してほしい」というものであった。さらに翌日、同一人物と思われる男性から南図書館への「(BL本が)普通の本と並んでたくさんある。子どもを行かせたくない」という電話に続き、同日市会議員から中央図書館に問い合わせがあったことが、公文書から明らかである。
 同日開かれた第2回図書館事業調整会議では「BL資料の扱いについて」が案件として取り上げられ、BL図書の各館開架状況が呈示され、購入、開架していることについて図書館の公式見解を早急にまとめる必要があると協議されている。
 また、7月30日、31日には、47歳の男性から市へ「特定図書排除を求める」匿名のメールが届いている。前者は「大量に開架している本について」であり、後者は「BL図書を購入した趣旨や目的、またこれまでに購入した冊数及び購入費を教えてください」という内容である。  
 この匿名メールなどを受け、8月8日の定例館長会議では「BL図書を全て閉架(書庫入)とする、今後は収集しない、青少年には貸出さない」と決定され、8月20日の第3回図書館事業調整会議では、匿名メールである「市民の声」の説明、今後の方針の確認がされている。
 その方針とは「資料購入に際しては今後厳密な内容確認を実施する、収集基準の改定も必要である、開架は配慮不足であり書庫入れとする、青少年へは提供を禁止する」であった。これらは「BL資料の取り扱いについて(案)」としてまとめられ、9月3日に各図書館長宛に通知された。
 た、この頃、市ホームページ「市民の声」Q&A(図書館)に「BL図書の購入~冊数及び購入費を教えてください」という市民の声と、それに対する市の考え方が掲載された。この時点で初めて特定図書排除問題が市のホームページという公式な場所で公開されたのである。

今回の図書排除の問題点
 そもそも図書館とは、国民の知る自由を守り、広げていくことを責務として、あらゆる資料の要求に答えるべく、みずからの責任において作成した収集方針に基づいて資料を収集し、提供する自由を有するとされる。その際、個人・組織・団体からの圧力や干渉に屈してはならないと「図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会・1954採択)にうたわれている。
 堺市図書館に対して私が直感的に感じた疑問は、「BL本がなぜそんなに多くあったのか」ではなく「なぜそんなに急に処分が決まったのか」であった。図書館側は「掲示板」の存在を知らないで、市民の意見に真面目に丁寧に対応していたのであろう。公文書には「有害図書?をどういう観点から購入しているのか」という議員からの問い合わせが記され、同時期の匿名市民本人が書いたと思われる「掲示板」には、「市議会議員さんに、このBLの一件を伝えた」「その議員さんが動いてくれ」「市会議員さんからも、結果について連絡があり~BLを書庫へ収納するとのこと」とある。個人もしくは議員の圧力に屈し、短期間に方向転換をした図書館の混乱ぶりが明白となった。
 そもそも、「堺市立図書館資料収集方針」に基づき図書館が対応していたなら、問題はこのように拡大しなかったはずである。しかしながら、今回の問題点は、最初は匿名市民(市民かどうかは不明)からの電話で始まったものの、議員の介入があり、図書館が個人や議員の圧力に混乱したことにあると思われる。また、Web上でこれらの経過や報告が一種煽動的に扱われ、組織的な図書排除運動が展開されていることが明らかとなるにつれ、図書館本来のあり方が問われる問題に発展しているにもかかわらず、堺市のその意識は希薄であったといえる。

排除を受けて、市民の抗議
 「宣言」前文3には、「図書館は権力の介入または社会的圧力に左右されることなく」「自らの責任にもとづき」「図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設を国民の利用に供する」とある。しっかりとした収集基準を持つ堺市でこのような混乱が起こったことから、我がまちでも充分に同様の事態が起こりえる、これはほってはおけないという思いを私たちは持っていた。
 そこで、福井事件でも行ったように、不当な公金の処分の差し止めを求め、住民監査請求を「原告団」で行うことになった。本件図書館の図書は「市民の貴重な税金で購入され、相応の目的と手続きを経て、取得し図書館で管理されてきた」ものであり、「図書選定基準等に従って購入した図書を合理的な理由や必要性もなく」「突如、一律に利用者の目に触れない閉架場所に排除したこと」は、「図書本来の目的を無にするもの」で「今回の不当な圧力に起因する思いつきの閉架扱いは、著しく恣意的で管理者あるいは職員らに許された裁量を著しく逸脱した違法な行為」であるから、その行為の差し止めを求めるというものである。
 民監査請求は、市民1人からできる法的手法。共感する堺市民が必要だった。ちょうどその頃、この事件を知り、なんとかせねばとの思いの市民の方が事務局の寺町みどり氏に連絡してきたことで、請求することができた。
 また、私たちはこれとは別に、堺市長・教育長に「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ」をすることにした。福井事件で図書排除を迫ったK氏が「政治家の力で図書が撤去できた」と言っていたのと同じ構造であることから、議員の介入に抗議することとした。知り合いの議員にも呼びかけ申し入れ人は、41人の議員(元・前職含む)と2団体となった。
 問題が報道されるにつれ、私も何かしたいと思いを寄せる方もいて、第2次申し入れは市民も含めて行った。申し入れ人総数は、市民97名・議員46名・7団体。代表の上野千鶴子・東京大学大学院教授に届いた堺市教育長の回答は、「廃棄が前提の処置ではない」と明記され、ひとまず廃棄は食い止められた。

特定図書排除はなぜ起きるか、特定図書排除を防ぐには
 08年10月28日付けの『世界日報』で「堺市図書館に大量の同性愛小説5500冊、過激なイラストも」とセンセーショナルな題字で報じられたことからも明らかなように、今回の特定図書排除も福井事件同様「ジェンダー図書排除」であり、ジェンダーバッシングに他ならない。今年、堺市で予定されている「全国女性会議」を意識しての運動と思われる。
 基準に従って収集したものは、図書館が総力を挙げて守る。「図書館の自由」のため、いかなる外圧に対しても毅然とそして粛々と闘うこと、が必要であり当然なことであろう。
※(1)男性同士の同性愛を題材とした女性向けの小説や漫画のジャンルのこと。 
(月刊『地方自治 職員研修』2月号から転載)
(『む・しの音通信』69号)



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