昨日から東京に来ています。
昨年秋、毎日新聞で「境界を生きる 性分化疾患」の連載記事が
反響を呼びましたが、昨日からまた「境界を生きる:子どもの性同一性障害」
の連載が始まりました。
昨日は、一面のトップから2面につづく特集記事。
今日の生活面にも、「境界を生きる :子どもの性同一性障害2」として大きな記事が出ています。
国分寺事件の初発記事や、福井図書排除事件のことなどを書かれた、
友人の五味香織さんの署名記事です。
とってもよい記事なのですが、リンクがすぐに切れてしまうので、
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昨年秋、毎日新聞で「境界を生きる 性分化疾患」の連載記事が
反響を呼びましたが、昨日からまた「境界を生きる:子どもの性同一性障害」
の連載が始まりました。
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今日の生活面にも、「境界を生きる :子どもの性同一性障害2」として大きな記事が出ています。
国分寺事件の初発記事や、福井図書排除事件のことなどを書かれた、
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境界を生きる:子どもの性同一性障害/1(その1) 高1男子「早く女性の体に」 毎日新聞 2010年6月13日 心と体の性別が一致せずに苦しむ性同一性障害(GID)。社会の理解が徐々に広がってきたが、18歳未満へのケアは置き去りにされている。当事者の9割は中学卒業前から性別への違和感があったとの調査もある。医療や教育の現場で何が起きているのか。【丹野恒一、五味香織】 ◇ホルモン剤、個人輸入 副作用は承知、親に内緒で 少し膨らんだ胸がシャツの上から分かるようになった。「良かった、効いてる。でもばれたらどうしよう」 西日本の男子生徒がフィリピンから個人輸入した女性ホルモン剤。押し入れに隠しているという=丹野恒一撮影 西日本の小さな海沿いの町。高校1年男子(15)は今年初めから、親に隠れてインターネットで個人輸入した女性ホルモン剤を飲む。日々男っぽくなっていく体を自分のものと感じられず、つらくてたまらなかったからだ。 苦痛を感じ始めたのは小学校高学年だった。急に背が伸び、声変わりが始まった。中学に進むと男子の制服を着ることに耐えられず不登校に。親に打ち明け一緒に専門医を受診し「早く体を女性化したい」と訴えたが、医師は聞いてくれない。診察券を破って捨てた。 ネット上にはホルモン剤の販売サイトがたくさんあった。一番安い薬を探し、フィリピンの業者が運営するサイトを見つけた。日本でもGID治療に使われる薬のアイルランド製のものが280錠で1万円。指定口座にお年玉を振り込んだ。心臓がドキドキしたが「正しいことをしたんだ」と言い聞かせた。 ネットで副作用の恐れがあることは知っていたので、1日1錠と決めている。微熱やだるさが表れ不安になったこともあるが、やめられなかったという。 * こうした子は決してまれでない。GID受診者が多い東京都のはりまメンタルクリニックでは、この2年間に初診に来た18歳未満の男子21人中7人が既に服用。埼玉医科大でも3人に1人の割合だ。 背景には日本精神神経学会の治療ガイドラインがホルモン療法を18歳以上としていることがある。思春期に抱く性別への違和感は一過性のことがある上、18歳未満は医療行為への自己決定能力が不十分との理由からだ。 少年らが自己流で服用している薬は女性の更年期障害のホルモン補充にも使うが、男性を女性化するにはその十数倍必要な時もある。同大の石原理教授は「人によって血栓症など致命的な副作用が出かねず、素人判断では危険。また、GIDと確定していない人が思い込みで飲み続けると、永久に精子を作れなくなる」と指摘。輸入薬に詳しい木村和子・金沢大教授は「個人輸入薬には本来の成分と全く違うものもある」と警鐘を鳴らす。 それでも本人にとって第2次性徴時の精神的苦痛は大きく、不登校や自傷行為に及びかねない。 * 「ぼーっとしているうちに体が成長してしまうのに医者は患者の気持ちを分かっていない」。首都圏の高校1年男子(15)は専門医に治療を断られ、個人輸入薬を服用して1年半になる。最初の数カ月で肌がきめ細かくなり、より高い効果を求め別の薬に切り替えた。 「薬がなかったら、自分がこの先も生きていくなんて考えられなかった」。研究者になり、いつか家庭を持ちたい。今はそんな将来を描ける。それでも「病院で処方してほしかった」と目を伏せた。(次回から、くらしナビ面に掲載) ============== ■ことば ◇性同一性障害 体の性別への嫌悪感が長期にわたり消えず、自分は反対の性別であると強く思う状態。精神科的な治療だけでは苦痛の改善が見込めないため、本人が望めばホルモン療法や手術で体の性を心の性に近づける。専門医の調査では受診者の6割が自殺を考え、1割は実際に試みていた。未遂の時期は、18歳以下が7割を占めた。 ---------------------------------------------------------------------------------- 境界を生きる:子どもの性同一性障害/1(その2止) 悩む現場の専門医(1/3ページ) 毎日新聞 2010年6月13日 東京朝刊 <1面からつづく> ◇ホルモン療法、国内指針 18歳未満、対象外 手首に刻まれた傷跡は深かった。「いつか本当に死んでしまう。先生、どうかこの子を助けてください」 岡山大学病院の診察室。数年前、中塚幹也医師(生殖医学)はある女子高生の母親に懇願された。子どもは16歳。大人の女性になっていくことへの強い嫌悪感を訴え、月経が来るたびに自殺未遂を繰り返した。登校もままならなくなっていた。 中塚医師は悩んだ。GID医療には体の性別を心の性別に近づけるホルモン療法が一般的だが、18歳未満に対しては日本精神神経学会の治療ガイドラインで認められていない。もう一つ、女性ホルモンの分泌を抑え第2次性徴を止めてしまう「ブロック」と呼ばれる方法があるものの、ガイドラインには記載自体がなく、GID医療の体制が最も整う同大でさえ、18歳未満への実施の可否は議論したことはなかった。 精神科医と話し合った結果、中塚医師は「緊急避難でやるしかない」と、注射剤によるブロック治療に踏み切った。生徒は月経が止まり、うつ症状も消えて元気を取り戻していった。遠方から治療に通い続け、18歳を迎えるとホルモン治療に移行。乳房の切除手術も受けた。・・・・(以下略)・・・・ ------------------------------------------------------------------------------------ 質問なるほドリ:性同一性障害のホルモン療法って?=回答・丹野恒一 <NEWS NAVIGATOR> ◆性同一性障害のホルモン療法って? ◇体の性、薬で心に近づける 慎重さが必要、経済負担も課題 なるほドリ 性同一性障害(GID)を公表する人が増えたね。通院する人もいるようだけど、どんな治療をするのかな。 記者 GID医療には大きく分けて精神科的ケアと身体的な治療があります。身体的な分野でも、内科的なホルモン療法と、外科的な手術があります。 Q ホルモン療法って? A GIDの人たちは身体的な性別と、こうありたいと思う性別が違うことに強い苦痛を感じています。そこで性ホルモン剤を投与し、体の特徴を心の性に近づけるのです。 Q 薬で性別を変えることなんてできるの? A 変えられる部分と変えられない部分があります。例えば女性が男性ホルモン剤を使うと、筋肉量が増えて体毛が濃くなり、声は低くなります。反対に男性が女性ホルモン剤を使うと、体脂肪が増えて乳房も膨らみますが、声は変わらず、ひげは毛が細くなるぐらいと言われています。 Q 危険性はないの? A 性ホルモンを補充する治療は他の疾患でも行われていますが、GIDの治療では、元々の性のホルモンを抑えつつ正反対の性別に近づけるため、投与する量が多く、人によっては精神的に不安定になることがあります。体への負担にも注意が必要です。特に体が男性である人に女性ホルモン剤を投与する場合、血栓症の発生率が一般の人の20倍に高まるという、オランダでの研究結果もあります。逆に女性から男性化していく場合は、動脈硬化などの危険性が指摘されています。 Q 慎重に治療しないといけないんだね。 A 男性ホルモン剤はほとんどが注射による投与なので医療機関の受診が必要ですが、女性ホルモン剤には飲み薬や張り薬もあるため、インターネットなどで個人輸入することが可能になっています。ネットの世界は匿名性が高いので、医師の診断結果が出ていない子どもでも買うことができてしまい、とても危険な状況です。 Q どんな病院に行けばいいのかな。 A まずは精神科の専門医を受診し、ホルモン治療が必要ということになれば泌尿器科や婦人科で受けられます。ただし自費診療のため経済的負担が重く、保険適用を望む声が高まっています。当事者の人たちがもっと暮らしやすくなるよう、さまざまな支援の充実が急がれます。(生活報道部) ============== ご質問をお寄せください。〒100-8051毎日新聞「なるほドリ」係 毎日新聞 2010年6月13日 東京朝刊 |
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毎日新聞記事
境界を生きる:子どもの性同一性障害/2 性別変更、戸惑う学校 ◇国通知、具体策なく/「拒否」「支援」対応ばらばら 1時間目の授業はもう始まっている。静まり返った校内に入り、他の生徒が誰もいない別室で席に着く。下校は午後の授業中。教師に付き添われ、人目につかぬよう通用門から出る。 「まるで悪いことをしているような毎日でした。差別の心をなくす教育をすべき学校が、臭いものにふたをするようでいいのでしょうか」。兵庫県の公立中学校をこの春卒業した千春さん(15)=仮名=の母親(52)は今も学校の対応に怒りを禁じ得ない。 千春さんは幼いころから女の子っぽい男の子で、小学校では同級生にからかわれた。中学に入学して5日目、隣の小学校を卒業した男子に「オカマのくせに偉そうにするな」とからまれた。「陰で言いふらされているんだ」。次の日から学校に行けなくなった。 2年生の秋、性同一性障害(GID)の専門病院を受診し、カウンセリングを受けるようになった。翌春、母親は不登校生が通う校外の適応指導教室に女子生徒として通わせたいと申し出たが、学校側は「前例がない」と取り合わず、ようやく認められたのが人目を避けた別室登校だった。 千春さんは言う。「私の記憶から中学の3年間を消したい。同級生たちの記憶からも私を消したい」。4月からは定時制高校に化粧をして通っている。GIDと診断されたことは誰にも打ち明けていない。同級生に「声が低いね」と言われることもあるが、平静を装うようにしている。 「また差別されるのが怖いのでは」。母親は不安でならない。 * 埼玉県の公立小がGIDと診断された児童の訴えで学校生活上の性別変更を認めたことを受け、文部科学省は4月、都道府県教委などに通知を出した。性別への悩みを訴える子どもについて、学校側に「個別の事案に応じたきめ細やかな対応」を求めた。 だが教委には「具体的にどうすればいいのか」との戸惑いも広がる。GIDの児童・生徒が安心して登校できるかどうかは、どの学校に在籍するかで左右される。そんな現実は通知一つでは変わりそうにない。 一方で、対応には慎重さが必要との声もある。京都府立高教諭で当事者でもある土肥いつきさん(48)は「社会に出れば学校以上に厳しい現実がある。生徒が生きる力をつけるため、学校はいい意味での壁になるべきだ」と話す。生徒の希望を頭から拒むのでも、すべてあっさり受け入れるのでもなく、何度も話し合い折り合いをつけていくことが重要なのだという。 * 神奈川県に住む望さん(15)=仮名=は公立中2年の秋からGIDの専門クリニックに通い始めた。母親(49)は担任や養護教諭に「診断書が出たら男子生徒として通わせたい」と伝えた。 養護教諭には以前から「もしかしたら」との思いがあった。他の女子生徒が制服のスカートを短くする中で、望さんは長くして足を隠し、自分を「オレ」と呼んでいた。母親からも「セーラー服を嫌がる」「ブラジャーを着けてと言っても聞かない」などの相談を受けていた。学校も休みがちだった。 とはいえ学校には前例がない。校長や担任教諭はインターネットなどでGIDについて調べた。養護教諭は当事者の手記を何冊も読み、スクールカウンセラーに知識を求めた。制服やトイレ、更衣室を替えるべきか。授業や学校行事ではどう対応すべきか。話し合いを重ねる中、校長が言った。「男子の制服に替えて、何か困るかい? 生徒にとって最善の援助をしよう」 診断書が出る見通しとなった12月下旬、望さんと母親、校長、担任教諭らが校長室で顔をそろえた。校長は「ひぼう中傷されるかもしれない」と念を押したが、母子の思いは揺らがない。 職員会議では「思春期には自分の性を否定することがある。それとは違うのか」との疑問や抵抗感を示す教諭もいた。養護教諭は資料を配り、理解を求めた。 冬休みが終わった初日、教諭らは生徒たちに望さんのことを説明した。校長は「地域の理解も必要」と、PTA役員や学区内の小学校に事実を伝えた。望さんは体育祭では他の男子と体が触れあう競技に参加しなかったが、合唱コンクールは男子のパートに。修学旅行中は寝る時だけ別室を使った。友達は養護教諭に「やっとあいつらしくなった」と笑った。 やがて高校受験を迎え、校長は望さんの志望校に事情を伝えた。入学が決まった高校の教諭は中学を訪れ、どんな対応が必要かを引き継いだ。「楽しかった」。望さんは養護教諭にそう言って、卒業した。 「僕は男ですが、性同一性障害で、体は女です」。高校に入って2日目。望さんはクラスの自己紹介で堂々と語った。真新しいブレザーとズボンで毎日元気に学校へ向かう。 卒業した中学にはこの春、男子も女子も使えるトイレが新設された。【五味香織、丹野恒一】=つづく ◇希望の制服「OK」…中高教諭の3割 GIDの子どもにとって、心の性別に合わせた制服で通学できるかどうかは極めて重要だ。岡山大が08~09年、県内の人権担当教諭508人に「希望する性の服装での登校を認めていいと思うか」と尋ねたところ、「構わない」と答えたのは小学校で5割弱。中学、高校は各3割にとどまった。中塚幹也・同大大学院教授は「当事者の立場に立つべき人権担当者がこれでは、現状は予想以上に厳しい」と、教職員への啓発の必要性を訴える。 ============== 毎日新聞 2010年6月14日 東京朝刊 ============================================================================= 性同一性障害:学校への相談…15都府県が把握 本紙調査 心と体の性別が一致せず学校生活に苦痛を感じている性同一性障害(GID)の児童・生徒について、少なくとも15都府県で、教育委員会が学校への相談を把握していることが毎日新聞の調査で分かった。埼玉県と鹿児島県の公立校が昨年度、本人の望む性別での登校を認めたが、悩みを抱える子は全国にいることが初めて明らかになり、学校や地域レベルにとどまらない対応が急がれる。 ◇「専門的情報が必要」…46教委 公立校を所管する都道府県と政令市の計66教委を対象に、今年度在籍する児童・生徒からの相談を把握しているかを尋ねた。把握していると答えたのは15都府県と3市教委。相談数は首都圏や近畿圏が多く、判明しただけで計24人。ただし2月に独自調査で十数人を確認した埼玉県が「数字が独り歩きしてはいけない」とするなど4教委が人数を明かさず、2教委は相談の有無も答えなかった。学校が教委に報告していない例や、教諭に打ち明けられない子もおり、今回分かったのはごく一部とみられる。 学校で対応した内容としては、制服変更を認めた▽教職員トイレを利用させた▽更衣室を他の生徒と別にした▽本人が望む名前の使用を認めた、など。山形、高知両県教委は学校への本格的な調査を実施予定という。 文部科学省は4月、学校現場に医療機関との連携などによる十分な配慮を、教委には学校への情報提供や指導・助言を求める通知を出した。しかし「どの診療科に相談すべきかさえ分からない」(名古屋市)、「専門医のいない地方で独自の対応は難しい」(高知県)など、46教委が専門的な情報の乏しさを指摘。国のガイドライン(33教委)や他校での対応例(31教委)を求める声も目立った。【五味香織】 ◇解説…対応例集めて国が支援を 専門医の間では、体の性別への違和感に苦しむ人は1000人に1人ともいわれる。男女別の制服や授業がある学校生活は特に悩みが深い。岡山大調査によると、GIDと診断された4人に1人が不登校になり、3人に2人が高校卒業までに自殺を考えていた。 だが教育現場の問題意識は乏しい。勇気を出して学校に相談したのに、取り合ってもらえず登校できなくなった。そんな子は珍しくないが、実態把握さえ不十分だ。文科省はやっと重い腰を上げ通知を出したものの、現場の温度差は解消されていない。今回の調査では、人権に配慮し積極的に対応する教委があった一方、「ごく一部の事例に過ぎない」と軽視する声も聞かれた。「多くの教職員は多様な性のあり方を受け入れることに抵抗がある」と、いまだに偏見が根強いことを打ち明ける人権担当職員もいた。 まずは学校や教委が実態を把握し、教職員のGIDへの知識を深めることが必要だ。文科省もさらに一歩踏み込み、具体例を集め対応のヒントを現場に提供するなどの支援に取り組むべきだ。学校の理解不足が子どもたちの学習の機会を奪ってはならない。【五味香織、丹野恒一】 毎日新聞 2010年6月14日 |
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