みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

明日です。上野ゼミ番外編書評セッション『ケアの社会学』/今日の「悩みのるつぼ」も上野千鶴子さん

2011-10-08 18:20:40 | ジェンダー/上野千鶴子
朝日新聞beの「悩みのるつぼ」。

今日の回答者は、上野千鶴子さん。
7日夜も上野千鶴子さんと島崎今日子さんの、濃密な対談を聞いてきたし、

明日午後も、上野さんの古巣の東大で開催される
「第2回 WEB上野ゼミ番外編 書評セッション 『ケアの社会学』」を聴きに行く予定。

その明日間に、仕事をしに帰ってきたのだけど、
けさも上野さんにあえて、うれしい気分。

この「友人結婚」に対する、「友愛」結婚のススメを説く、上野さんの回答がまたおもしろい。



元カノの「友人」と結婚したい
相談者 男性 27歳


 この春、第2の就職をした27歳の男性です。今、数年内には「結婚」したいと考えている女性がいます。相手は学生時代に付き合っていた元カノです。
 2年前に再会し、第2の関係を築こうとしている最中です。相手には彼氏がいますが、別れることを検討してくれていて、まんざらでもないようです。
 私は「恋人」より「愛を前提とした友人」と結婚したいという結婚観を持っています。両親は恋愛結婚でしたが、母親には大変な浮気癖があり、私が中学生の頃、離婚してしまったことが多大な影響を及ぼしています。「恋人は愛が冷めたらそれで終わり。でも友人は愛が冷めても友人だから一生続くだろう」というのが私の結婚観の理由です。
 社会人になってからは上記のことを意識して女性とお付き合いをしてきました。その結果、大変居心地が良く友人的である元カノに戻ってきた次第です。
 ただし仲の良い友人(女性)数人に私の考えを話しても理解できないと言われます。さらに最近、私は旅先や再就職先などで女性との新たな出会いがあり、「自分は女性が大好きで、居心地のよい元カノと結婚しても駄目になってしまうのでは」と自分を恐れています。
 それでも元カノを一刻も早く今の彼から奪還し、結婚へ進みたいという焦りもあります。どうしたらよいと思いますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あなたの結婚観を彼女も共有する?
回答者:社会学者・上野千鶴子


 恋愛は非日常、結婚は日常。恋愛から始まった結婚には恋愛を友愛に変換するソフトランディングが必要です。燃えさかる原子炉を、冷却装置を働かせてメルトダウンさせずに冷やすくらい、この変換はむずかしそうですね。なにしろ「結婚は人生の墓場」という結婚観さえあるくらいですから。
 地方の結婚式場で「最後の恋が始まる」というポスターを見て、苦笑したことがあります。恋愛のどきどき、わくわく感は、脳内でドーパミンが放出される非日常の快感。この快感はくせになります。若いときに恋愛好きだったひとは、その後の生涯においても恋愛好き。結婚したからといってそれが「最後の恋」になるなんてことはまずないでしょう。
 はい、「恋人」より「愛を前提とした友人」と結婚したい、と考えるあなたの結婚観は、たいへん堅実でリアルなものです。
 どうやら母親の浮気癖があなたのトラウマになっているようですね。わたしは「浮気」でなく、「婚外恋愛」と呼びますが。結婚の前にも後にも外にも恋愛はあるのに、結婚の中にだけ恋愛はないようですね。これが恋愛結婚の永遠の背理です。
 問題はあなたの結婚観を彼女が共有してくれるかどうか。お互いに「結婚は恋愛ではなく友愛のたまもの」と合意ができればよいですが、相手が「結婚は恋愛の延長」という結婚観を持っていれば、彼女は結婚にただちに幻滅し、べつの恋愛対象を求めるでしょう。相手をとっかえては幻滅を重ねるコストを支払いたくないのなら、結婚は結婚、恋愛は恋愛と、結婚の外に恋愛の相手を求めるほかないでしょう。こういう女性を妻にしたら妻の婚外恋愛を受容するしかありません。あなたはそれを恐れているのでしょう。自分も同じことをやるかもしれないという恐れとともに。
 とはいえ、元カノには今カレがいる。そのカレから元カノを奪還しようとしているあなたはジレンマに陥っています。奪還には非日常のエネルギーが要り、それは恋愛に近いからです。
 でも友愛があれば大丈夫。恋愛は排他的ですが、友愛は第三者を排除しません。好きな人にお友だちがひとり増えたからって、いちいち嫉妬しないでいられるくらいの友愛があれば、安心して彼女を選びましょう。恋愛ごときでボクたちの友愛はこわれない、と信じて。

(うえの・ちづこ)
東京大学大学院教授。1948年、富山県生まれ。京都精華大教授を経て93年、東大助教授、95年に教授。家族、介護、福祉問題を女性学の視点から研究。著書に『老いる準備』など。
題字・イラスト きたむらさとし 


応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

明日の『ケアの社会学』の書評セッションについても紹介します。

東京周辺の方は、予約不要でだれでも危機に行けるので、ぜひ会場へ。
東京まで聴きに行けない人は、
ぜひ、パソコンの前に陣取って、web配信をご覧ください。


申し訳ありません。
今回のイベントは、同時配信ではなく、録画で放映で、今日のweb配信はありません。
期待して観ている方、ごめんなさい。


2:00 PM ~ 5:00 PM. 第2回 WEB上野ゼミ番外編 書評セッション 『ケアの社会学』

WEB上野ゼミは、学歴や年齢、国籍を問わず、どなたでも参加できるゼミとして、WAN (NPO法人ウィメンズ・アクションズ・ネットワーク)のHP上に開設されました。この8月に第1回目のゼミが開催され、大学院生、社会人等々多くの方にご参加いただき、盛況のうちにゼミを終えることができました。
今回は、「上野ゼミ番外編 特別公開番組」として 書評セッション・上野千鶴子著『ケアの社会学』(申込不要)を企画いたしました。上野先生の新刊『ケアの社会学』をテキストとして、さまざまな立場のコメンテーターの方に、『ケアの社会学』についてコメントをしていただき、著者がそれについて応答したり、また、ゼミ参加者からも質問やコメントを受けて、テキストについて討論しながら、皆さまと知の共有をしていきたいと思います。ふるってご是非ご参加ください。

1.日時  2011年10月9日(日)14時~17時
2.場所  東京大学法文1号館113教室

文京区本郷7丁目3-1
(アクセス http://www.j.u-tokyo.ac.jp/about/access.html )

3.懇親会 17時半から本郷近辺にて  会費は3,000程度の見込み

4.コメンテーター

*高口光子氏  湖山医療福祉グループ 介護老人保健施設 鶴舞乃城 部長

*米澤 旦氏  東京大学大学院社会学博士課程在籍

*横井葉子氏  介護保険事業所の管理者等として長くホームヘルプの運営管理に従事、現在は自治

体非常勤職

5.撮影について 書評セッション及び討論の模様は撮影し、WANサイト上でweb配信されます。
そのため発表者、会場ともに撮影の対象となりますので、氏名やお顔を出せない方は、参加をお控え下さい。  


WANウィメンズ・アクションズ・ネットワーク

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする