「女性」という言葉が、輝いて、おどった一日だった。
2011年のノーベル平和賞に、アフリカと中東の女性3人が決まった。
ノーベル平和賞を女性が受賞するのは、
先月亡くなった、2004年の受賞者ワンガリ・マータイさん以来で、
アフリカからの受賞も、マータイさん以来とのこと。
3人の女性の、受賞決定の共通の理由は、
「女性の安全と、女性が平和構築作業に全面的に参加する権利を獲得するための非暴力の闘い」。
まずはめでたいことです。
受賞の記念に、毎日新聞の「クローズアップ」の特集と、
各地の新聞社説を紹介しておきたい。
応援クリック してね
本文中の写真をクリックすると拡大します。
最後まで読んでくださってありがとう
クリックを
記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
2011年のノーベル平和賞に、アフリカと中東の女性3人が決まった。
ノーベル平和賞を女性が受賞するのは、
先月亡くなった、2004年の受賞者ワンガリ・マータイさん以来で、
アフリカからの受賞も、マータイさん以来とのこと。
3人の女性の、受賞決定の共通の理由は、
「女性の安全と、女性が平和構築作業に全面的に参加する権利を獲得するための非暴力の闘い」。
まずはめでたいことです。
受賞の記念に、毎日新聞の「クローズアップ」の特集と、
各地の新聞社説を紹介しておきたい。
クローズアップ:ノーベル平和賞 女性進出、民主化の土台 ◇「アラブの春」後押し ノルウェーのノーベル賞委員会は7日、2011年の平和賞をアフリカと中東の女性3人に授与することで、途上国における女性の権利擁護と地位向上を全面的に支援する姿勢を打ち出した。旧弊を打破し、平和を構築する可能性を秘めた「女性の力」にエールを送った形だ。女性の社会進出は民主化の土台でもあり、中東で現在進行中の民主化運動「アラブの春」を後押しするメッセージも込められている。今後、国際社会が文化や宗教の壁を乗り越え、平和賞を真の女性解放につなげることができるかどうかが焦点だ。【草野和彦、岩佐淳士】 「社会で女性が男性と同じ機会を得られなければ民主主義も恒久平和も達成できない」。ノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は女性3人への授賞理由をそう強調した。「女性」をキーワードにアフリカなどの途上国の民主化運動への支援を打ち出したい思惑が透けて見える。 17カ国が一斉に独立し、「アフリカの年」と呼ばれた1960年から半世紀以上が過ぎても、アフリカ諸国では中東のアラブ諸国以上に長期独裁と腐敗、暴力がはびこる。87年の大統領就任以来、ムガベ氏の圧政が続くジンバブエがその典型だが、「安定国」と呼ばれたケニアでも07年末の大統領選を機に、民族対立で1000人以上の死者が出た。 その中でリベリアは、7月に独立を果たした南スーダンが目標に掲げるアフリカの「民主化モデル」。その象徴がアフリカで初めて民主的な選挙を経て選ばれた女性指導者のエレン・サーリーフ大統領であり、平和活動家のリーマ・ボウイーさんはリベリアの民主化を裏で支えてきた。 女性の地位向上は政治体制の民主化を準備するという側面を持つ。「女性の識字率が上昇し、出生率が低下すると、その国では変革が起きる」。フランスの歴史人口・家族人類学者のエマニュエル・トッド氏は女性問題と民主化の相関関係をそう指摘する。 欧米から「女性抑圧」が指摘されることが多いアラブ・イスラム世界にあって、中東の民主化運動「アラブの春」の先駆けとなったチュニジア、エジプトでは女性の社会進出が進んでいた。今回の女性政治家・活動家への授与には「アラブの春」に代表される民主化運動を間接的に鼓舞する効果もありそうだ。 先行きが不透明な「アラブの春」で国際的に注目された人物を選べば議論を巻き起こす可能性があったという事情もある。 また、若者たちがインターネットを通じて結集したアラブ革命では運動に影響を与えたブロガーが多く、ヤーグラン委員長は「受賞者を絞るのは難しい」と胸の内を打ち明ける。 受賞が決まった女性たちは「アラブの春」を先取りしていた格好だ。「アラブの春」関係者から歓迎の声が上がる中、「革命の何年も前から立ち上がった」(ヤーグラン委員長)イエメンの人権活動家、タワックル・カルマンさんはAP通信に「イエメンで革命に参加する若者に賞をささげたい」と語った。 ◇話題性重視を「修正」 「話題性重視」と批判を浴びることもあるノーベル平和賞だが、今年の受賞者はアフリカや中東で女性の地位向上に取り組んできたサーリーフ・リベリア大統領ら女性3人。「核なき世界」を訴えながら、実績を欠いたオバマ米大統領への授賞(09年)など論議を呼んだ近年の反省から、地道な活動に光を当てる姿勢に「軌道修正」したようだ。 1901年創設のノーベル平和賞は「国家間の友愛関係」「常備軍の廃止・縮小」「平和会議の開催・促進」への貢献が選考基準。授賞のパターンは大きく分けて二つ。第1回の受賞者で国際赤十字創始者のアンリ・デュナン氏(1901年)やインドで貧民救済に身をささげたマザー・テレサ氏(79年)ら長年の業績が認められる場合と、オバマ大統領のように話題性の高い受賞者を選ぶ場合だ。 最近は後者のケースが目立っていた。地球温暖化防止への取り組みが評価されたアル・ゴア米元副大統領への授賞(07年)は京都議定書反対やイラク戦争強行など当時のブッシュ米政権の単独行動主義への批判とも受け取られた。昨年受賞した中国の人権活動家、劉暁波氏の場合は、台頭著しい中国を人権問題でけん制する欧米の意図ものぞいた。 元国連職員で大阪経済法科大アジア太平洋研究センターの吉田康彦客員教授は、最近のノーベル平和賞について「西欧民主主義を世界に広めるプロパガンダ(宣伝)の意味合いが強い」と分析。「話題性を追求した選考が続くと思われれば平和賞の権威が下がる。今回の選考はその軌道修正を図った可能性がある」と指摘する。 また「平和」の概念自体が拡大している事情も反映している。ノーベル平和賞に詳しい高崎経済大学の吉武信彦教授は「伝統的な平和というよりも、女性の権利擁護や政治参加といった新しい領域に拡大したように思う」と話している。 毎日新聞 2011年10月8日 |
応援クリック してね
本文中の写真をクリックすると拡大します。
社説:平和賞に3女性 「非暴力」が評価された 今年のノーベル平和賞には、アフリカ初の女性大統領となったリベリアのサーリーフ大統領ら3人の女性が選ばれた。同国の平和活動家、リーマ・ボウイーさん、中東イエメンの人権活動家、タワックル・カルマンさんとの共同受賞だ。「アラブの春」と呼ばれる民衆運動によって世界の意識改革が進む折、アフリカ・中東地域の民主化や女性の地位向上に弾みがつくよう期待したい。 アフリカからの平和賞受賞は、9月に死去したケニアの環境問題活動家、ワンガリ・マータイさん(04年受賞)以来となる。女性の受賞もマータイさん以来で、3人の女性の同時受賞は異例のことである。 まずは受賞者の長年の努力に敬意を表したい。サーリーフ大統領は米国の大学で学び、リベリアで財務相などを務めたが、80年のクーデター後は国外逃亡を余儀なくされた。帰国後も、ドウ軍事政権を非難する発言で禁錮10年の判決を受けるなど辛酸をなめ、「鉄の女」と呼ばれた。米国の解放奴隷の子孫と先住民が宿命的に対立してきた同国にあって親米の姿勢を取ってきた。 授賞理由としてノーベル賞委員会は、06年の大統領就任以来、リベリアの平和、女性の地位向上などに貢献したことを挙げている。また、ボウイーさんは人種や宗教の垣根を越えて広範な女性運動を組織し、リベリア内戦の終結にも尽力したことが評価された。この2人を抜きにしてリベリアの和平や民主化、とりわけ女性の権利拡大は語れない。 やや異色なのはカルマンさんだろう。人権運動や女性の権利拡大に努める点では他の2人と同じだが、カルマンさんはイエメンのサレハ大統領と対立関係にある。独裁政権への抗議デモが続くイエメン情勢に関して、授賞は反政府派を後押しする政治的意味合いを持っている。 授賞理由は「『アラブの春』以前から、女性の権利と平和・民主主義のための闘いで主導的役割を果たしてきた」ことだ。イエメンはアラブの中でも男性優位の部族的な社会である。そんな国でカルマンさんは05年、女性のジャーナリストの組織を設立し、しばしば投獄されても民主化と女性の権利拡大のために闘ってきた。他の2人同様、「非暴力」の闘いが評価されたわけだ。 女性の権利拡大は着実に進めなければならない。アフリカや中東の文化・慣習は尊重するが、女性の地位はまだまだ低い。紛争で多くの女性が命を落とし、性暴力も多発している。受賞の背景にある「アラブの春」は、非暴力を旨としつつ旧弊な社会制度と闘う運動だ。その「世直し」のエネルギーは、女性差別の撤廃にも向けられるべきである。 毎日新聞 2011年10月8日 |
社説:平和賞 女性の政治参加励ます(10月8日) 2011.10.8 北海道新聞 ノーベル平和賞の今年のメッセージは、政治活動に参加する女性たちへの「励まし」だった。 ノルウェーのノーベル賞委員会が授与対象として選んだのは3人、すべて女性だ。 アフリカ初の女性大統領となったリベリアのエレン・サーリーフさん、同国の平和活動家リーマ・ボウイーさん、イエメンの人権活動家タワックル・カルマンさんである。 授与決定の理由として委員会は「女性の安全と、女性が平和構築作業に全面的に参加する権利を獲得するための非暴力の闘い」を挙げた。 女性の受賞は今年9月に死去したケニアの環境保護活動家マータイさん以来、7年ぶりとなる。 中東やアフリカでは女性の地位や権利が男性と比べ極めて低い国も多い。今回の3氏への平和賞授与はそうした国々に警鐘を鳴らす一方、政治活動をする女性たちに勇気を与えるものとなろう。歓迎したい。 西アフリカのリベリアでは1989年から14年間にわたる内戦が繰り広げられ、25万人が死亡し80万人の難民が発生したとされる。サーリーフさんは和平実現後の2005年に行われた大統領選で当選した。 その後、荒廃した国土を再建する中で、閣僚に女性を積極登用するなどの改革を進めた。軍事政権に対峙(たいじ)して投獄されたり、米国での亡命生活を送るなどした体験から、不屈の精神力をたたえ「鉄の女」と呼ばれる。07年には日本も訪れている。 ボウイーさんはリベリアの内戦停止を求めるデモを組織し、サーリーフさんの大統領当選も手助けした。 カルマンさんはイエメンで女性の権利や言論の自由を求める活動を展開してきた。 サレハ政権の退陣を求めるデモにも加わっており、中東、北アフリカの民主化運動「アラブの春」の立役者の一人と位置づけられる。 ノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は授与発表で「平和の努力の中で、女性が男性と同等のパートナーとなることが重要だ」と述べ、女性の地位向上は民主主義の必要条件だとの考えを強調した。 妥当な指摘だろう。中東やアフリカの各国はこの言葉を重く受け止め、女性の権利拡大に力を尽くさなければならない。 チュニジアやエジプト、リビアの3カ国で次々と独裁政権を倒した「アラブの春」は今、新しい国造りという産みの苦しみにある。エジプトでは11月の選挙をボイコットする動きが出るなど混乱も見られる。 民主化の潮流を失速させてはなるまい。国際社会は中東やアフリカの運動を支え、女性たちの活動にも手を差し伸べる必要がある。 |
社説:平和賞 女性の地位向上に弾み 2011.10.8 信濃毎日新聞 今年のノーベル平和賞にアフリカと中東の女性3人が選ばれた。弾圧にもめげず、女性の権利を高める道を切り開いてきた。祝意を表したい。 リベリアの大統領エレン・サーリーフさん、同国の平和活動家リーマ・ボウイーさんと、イエメンの人権活動家タワックル・カルマンさんの3人である。 授賞理由として、女性の安全と、平和構築作業に全面的に参加する権利を獲得するための非暴力の闘いを挙げている。 ノーベル賞6部門のうち5賞はスウェーデンの機関が、平和賞はノルウェーのノーベル賞委員会が発表する。科学系の賞と違い、平和はどうあるべきかという価値判断に基づいている。平和の構築に向けたメッセージだ。 2004年には、先日亡くなったケニアのマータイさんが環境活動の分野で初受賞した。植林活動を行い、日本語の「もったいない」を世界に広げている。 それに続くアフリカ・中東の女性たちの受賞だ。この地域の平和実現と女性の地位向上の弾みとなってほしい。 サーリーフさんは、アフリカで民主的に選出された初の女性大統領で、06年に就任。和平の確保や経済・社会の発展、女性の地位向上に貢献している。 軍事政権を非難する発言で有罪判決を受けた。米国に亡命という苦難を経て今日がある。 ボウイーさんはリベリアの内戦を終結させるため、民族的・宗教的な問題を超えて女性を動かし、選挙への参加を進めたことが評価された。 カルマンさんは、長期独裁政権が続くイエメンで「アラブの春」およびそれ以前から、女性の権利や民主主義と平和に向けた闘いで指導的役割を果たしている。 イエメンの現実も厳しい。現職大統領が即時辞任を拒否し、内戦の懸念さえ深まっている。 両国とも、女性の地位は極めて低い。イエメンでは、原理主義に近いイスラム教保守派や部族社会の中で抑圧されてきた。 アフリカや中東に限らず途上国では、女性の権利が確立していないところが多い。抑圧の旧習を打破するべきだ。先進国でも本当に女性の権利が重んじられているか、問い直したい。 社会のあらゆるレベルで女性が男性と同じ機会を持たない限り、われわれは世界で民主主義と永続的な平和を達成できない―。授賞理由の言葉を重く受け止め、実行に移すことが大切だ。 |
「非暴力革命、広がってる」 平和賞のボウイーさん講演 2011年10月8日 朝日新聞 今年のノーベル平和賞受賞が発表されたリベリアの平和活動家リーマ・ボウイーさん(39)が7日、訪問先のニューヨークで講演し、自身が取り組んできた運動について、「私は何も大きなことはしていない。ただ、私の中の小さなあかりを、ずっと大切にともし続けてきた」と語った。 約300人の聴衆を前に、ボウイーさんは半生を振り返り、リベリアの内戦がひどかった時代はガーナに逃れ、難民生活を送ったことを明かした。当時は2人の幼い子どもがおり、3人目を妊娠中で、食糧や衣服は足らなかったという。 ボウイーさんが難民生活を経て、痛感したのは「男性だけでは本当の平和はつくれない」こと。帰国後、民族や宗派を超えて女性を組織化し、「戦争にかかわる夫や交際相手とはセックスをしない」というセックスストライキを呼びかけた。これが内戦終結に寄与したとされ、「平和をつくる上で女性の役割は極めて重要」と強調した。 ボウイーさんは、ガンジーやキング牧師を手本に、女性の参政権要求など非暴力の民主化運動も推し進め、今回同時にノーベル平和賞を受賞するエレン・サーリーフ大統領(72)の誕生を後押しした。 アラブ諸国の民主化運動「アラブの春」や、「ウォール街を占拠せよ」を合言葉に全米各地に広がる若者の抗議活動にも言及し、「世界的に非暴力の革命が広がっている。不当に扱われている人々が、もはや行動しないことはありえない」と連帯を表明した。(ニューヨーク=春日芳晃) |
最後まで読んでくださってありがとう
クリックを
記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね