みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

米大統領選 トランプ氏が勝利 「驚くべき番狂わせ」/危機に立つ米国の価値観/世界の漂流を懸念する 

2016-11-10 20:53:39 | ほん/新聞/ニュース
トランプ氏がアメリカ大統領選挙で勝ち、世界中がおどろいた昨日から、
一夜明けて、朝刊各紙の一面トップはもちろんこの記事。

今日のニュースもこの話題ばかり。
ということで、TVニュースを見ないようにしていました。
とはいえ、
10年毎日書いてきたブログは、やっぱりこの記事しかないですね。

昨日の夕方のNHKニュースと、
きょうの朝日新聞と毎日新聞の社説をアップします。

中日新聞は「民衆の悲憤を聞け トランプのアメリカ(上)」なので、
(下)が出てから、まとめて紹介します。

米大統領選 トランプ氏が勝利 「驚くべき番狂わせ」  
2016.11.9 NHKニュース

アメリカ大統領選挙は過激な発言で話題を集めてきた共和党のトランプ氏が民主党のクリントン氏に勝利し、アメリカメディアは「驚くべき番狂わせだ」と伝えています。トランプ氏は「分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と演説し、次期大統領として激しい選挙戦で分断された国の融和をはかる考えを示しました。

アメリカ大統領選挙は8日、全米で一斉に投票が行われました。
アメリカのABCテレビによりますと、トランプ氏は28州を制して、当選に必要な過半数を超える278人の選挙人を獲得し、民主党のクリントン氏に勝利しました。

過激な発言で話題を集めてきたトランプ氏は、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを掲げ、現状に不満を抱く有権者から支持を得ました。

トランプ氏は日本時間の9日午後5時前に次の副大統領になるペンス氏や家族とともに地元ニューヨークで支持者の前に姿を現し、「先ほど、クリントン氏から電話を受け、われわれの勝利を祝福するものだった」と述べ、勝利を宣言しました。
そのうえで「クリントン氏はこれまでこの国に尽くしてくれた。今こそこの分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と述べ、激しい選挙戦で分断された国の融和をはかる考えを示しました。
また、「あなた方をがっかりさせないと約束する。われわれは素晴らしい仕事をしていく。あなた方の大統領になれることを楽しみにしている」と述べ、次期大統領就任に向けた決意を表明しました。

一方、民主党のクリントン氏は18州と首都ワシントンを制して218人の選挙人を獲得しましたが、トランプ氏から「既存の政治家」と位置づけられたほか、「富裕層の代表」とも見られ、国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題が再燃したこともあり、幅広い支持を得られず、トランプ氏におよびませんでした。

アメリカメディアは「アウトサイダーのトランプ氏が有権者の不満を力に変えて驚くべき番狂わせを実現した」と伝えています。

トランプ氏は、政治家として公職に就いたことがなく、軍人としての経験もない初めての大統領になります。

最高齢の大統領誕生へ
トランプ氏は、1946年6月14日生まれの70歳で、これまでで最も高齢の大統領になります。
これまで、最高齢で大統領に就任したのは、第40代、ロナルド・レーガン元大統領です。1981年1月に就任したときの年齢は、69歳と349日でした。トランプ氏は、来年1月20日の就任式を、70歳と220日で迎えるため最高齢の大統領が誕生することになります。

政治家・軍人の経験なし
これまでに、政治経験がなく大統領になったのは、アイゼンハワー元大統領など3人で、トランプ氏はアイゼンハワー元大統領以来、56年ぶりとなります。ただ、アイゼンハワー元大統領は大統領に就任する前、軍の最高司令官を務めていますがトランプ氏は軍人としての経験もなく政治経験、軍人としての経験がともにない初めての大統領になります。

2人目の外国生まれのファーストレディー
トランプ氏の妻、メラニアさんは、2人目の外国生まれのファーストレディーとなります。
これまでに、アメリカ以外で生まれたファーストレディーは、第6代のジョン・クインシー・アダムズ元大統領の妻、ルイーザ夫人、ただ1人でした。メラニアさんは、旧ユーゴスラビアのスロベニア生まれで、アメリカに渡ってファッションモデルとなったあとトランプ氏の3度目の妻となりました。


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  社説:トランプ氏の勝利 危機に立つ米国の価値観
2016年11月10日(木)付 朝日新聞
 
戦後の国際秩序を揺るがす激震である。

 自由と平等、民主主義、法の支配、開かれた市場経済といった普遍的価値観を、国家として体現してきたのが米国だ。

 2度の大戦や独裁政治への反省から、多くの国々や市民もその価値観に共感してきた。米国もまた、大国として支援の手を世界に差し伸べてきた。

 「自由なアメリカへのあこがれ」こそが、軍事力や経済規模では測れない米国の真の強さであったはずだ。

 そうした価値観に反する発言を繰り返してきた共和党のドナルド・トランプ氏が、米国の次期大統領に就く。

 「内向き」な米国の利益優先を公言する大統領の誕生で、米国の国際的な指導力に疑問符がつくことは間違いない。

 トランプ氏が選挙戦で訴えた「強い米国を取り戻す」ことを真剣に望むのなら、いま一度、米国の価値観に立ち戻って信頼を築き直してもらいたい。

 国際社会には将来への不安が広がっている。平和と安定をめざす世界の共通の意思を確認するため、日本を含む主要な民主国家が、どれだけ結束できるかも問われよう。

 ■世界を覆う動揺
 衝撃の選挙結果だった。しかし、予兆はあった。

 国境を越えて、人やカネ、情報が自在に行き来する。冷戦後に加速したグローバル化の波は、世界中で社会や経済のありようを大きく変えた。

 流れに乗れた人は豊かになる半面、取り残された人は少なくない。異なる文化や宗教をもつ人も身のまわりに増える。

 そうした格差と変化が生む社会の動揺に、各国の政治はきちんと向き合ってきただろうか。

 フランスやドイツで「移民排斥」をあおるポピュリズム政党が支持を広げ、東欧ではナショナリズムが勢いづく。英国は欧州連合からの離脱を決めた。

 それでも、米国は、反グローバル化の潮流に抗する「最後のとりで」になると信じていた人は少なくあるまい。

 08年の金融危機で沈んだ米国経済も、今では株価が持ち直し、失業率は約5%にまで下がった。多くの先進国が低迷を続ける中、米国はグローバル化の「勝ち組」に見えた。

 だが、その足元にも同様の現実が広がっていた。中間層の所得がほとんど伸びないかわり、富裕層はますます富み、格差の拡大に歯止めがかからない。

 「イスラム教徒が米国の安全を脅かす」「不法移民が雇用を奪う」。敵を作り、対決を自演したトランプ氏の手法は、露骨なポピュリズムそのものだ。

 ■政党政治への不信
 トランプ氏は既成政治を「特権層と癒着した庶民の敵」に仕立て、ヒラリー・クリントン氏をその一部として攻撃した。

 自分の声がないがしろにされているとの閉塞(へいそく)感から「チェンジ」を求めた国民が、政治の刷新を渇望するのは理解できる。

 その意味で、米国政治こそが最大の敗者と見るべきだろう。

 思えば、オバマ政権の任期後半は、民主党と共和党の対立が泥沼化し、新しい政策はほとんど打ち出せなかった。

 中間層から脱落する人々、世代を超えて貧困に滞る人々、教育や就職など機会が平等に与えられない人々……。

 それらの声に耳を澄まし、解決への効果的な選択肢を示す。そんな役割を果たすはずの政党政治が狭量な分断の政争に明け暮れ、機能不全に陥っている。それは日本を含む多くの国も自問すべき問題だろう。

 当選したトランプ氏も、具体的な処方箋(せん)を示していない。

 社会保障の充実、税逃れを許さない公正な課税など、中間層の視点に立った政策を地道に積み上げねば、この勝利の期待はたちまち失望に転じるだろう。

 ■米国の役割の自覚を
 出口が見えない中東の紛争、秩序に挑むような中国やロシアの行動、相次ぐテロ、北朝鮮の核開発など、国際情勢はますます緊張感をはらんでいる。

 地球温暖化や難民、貧困問題など、世界各国が結束して取り組むべき課題も山積する。

 従来の米国は、こうした問題に対処する態勢づくりを主導してきた。しかし、トランプ氏がそれを十分に把握しているようには見えない。

 それを象徴するのが、同盟国にコスト負担を求めたり、日韓などの核武装を容認したりするなど、同盟関係への無理解に基づく発言の数々だ。

 米国の役割とは何か。同盟国や世界との協働がいかに米国と世界の利益になるか。その理解を早急に深め、米外交の経験と見識に富む人材を最大限活用する政権をつくってほしい。

 日本など同盟国はその次期政権と緊密な関係づくりを急ぎ、ねばり強く国際協調の重みを説明していく必要がある。

 トランプ氏を、世界にとって取り返しのつかないリスクとしないために。


  社説:米大統領にトランプ氏 世界の漂流を懸念する
毎日新聞2016年11月10日

 まさに怒濤(どとう)のような進撃だった。

 米大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補の当選が確定した。予備選の段階では泡沫(ほうまつ)候補とみられたトランプ氏は圧倒的な強さで同党の候補者指名を獲得し、本選挙でも知名度に勝る民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官を破った。

 多くの米紙はクリントン氏を支持し、トランプ氏の大統領としての資質を疑問視した。投票前、ほとんどの米メディアはクリントン氏の勝利を予測したが、たたかれるほど強くなるトランプ氏は世論調査でも支持率を正確に測れなかった。潜在的な支持者(隠れトランプ)が多く、逆境になるほど結束したからだろう。

超大国の歴史的な転換
 「私は決して皆さんをがっかりさせない」。勝利集会でトランプ氏はそう語った。クリントン氏から祝福の電話を受けたことも明かした。混迷の大統領選はこうして決着した。

 米国の民意は尊重したいが、超大国の変容は大きな影響を及ぼす。メキシコ国境に不法移民流入などを防ぐ壁を造る。イスラム教徒の入国を規制する。国民皆保険をめざすオバマケア(医療保険制度改革)は即時撤廃し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)にも地球温暖化対策の「パリ協定」にも断固反対--。こうしたトランプ氏の方針は国内外の将来を一気に不透明にした。

 日米関係も例外ではない。同氏は米軍駐留経費の全額負担を日本に求め、それが不可能なら核武装も含めて米軍抜きの自衛措置を取るよう訴えてきた。米国が主導する軍事組織・北大西洋条約機構(NATO)にも軍事費の負担増を要求し、「嫌なら自衛してもらうしかない」というのが基本的なスタンスだ。

 英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたことに続く、大きな衝撃である。第二次大戦後の世界は冷戦とソ連崩壊を経て米一極支配の時代に入り、米国の理念に基づいて国際秩序が形成されてきた。

 その理念がかげり、利益誘導型のトランプ流「米国第一」主義が先行すれば国際関係は流動化する。経済にせよ安全保障にせよ国際的なシステムが激変する可能性を思えば、世界漂流の予感と言っても大げさではなかろう。

 だが、米国は単独で今日の地位を築いたのではない。故レーガン大統領にならって「米国を再び偉大な国に」をスローガンとするのはいいが、同盟国との関係や国際協調を粗末にして「偉大な国」であり続けることはできない。その辺をトランプ氏は誤解しているのではないか。

 そもそも、なぜトランプ氏が勝ったのか。10月末、フロリダ州で開かれた同氏の集会では、元民主党員の40代の男性が「民主党のクリントン政権は女性スキャンダルにまみれ、オバマ政権の『チェンジ』も掛け声倒れだった。もう民主党には期待できない」と語った。これはトランプ支持者の代表的な意見だろう。

 8年に及ぶオバマ政権への飽きに加えて、クリントン氏の「私用メール問題」で米連邦捜査局(FBI)が選挙中に再捜査を宣言したことも選挙に影響したのは間違いない。

 だが、クリントン氏の決定的な敗因は経済格差に苦しむ人々の怒りを甘く見たことだ。鉄鋼や石炭、自動車産業などが衰退してラストベルト(さびついた工業地帯)と呼ばれる中西部の各州は民主党が強いといわれ、ここで勝てばクリントン氏当選の目もあった。

米国の民主主義どこへ
 実際はトランプ氏に票が流れたのは、給与が頭打ちで移民に職を奪われがちな人々、特に白人の怒りの表明だろう。米国社会で少数派になりつつある白人には「自分たちが米国の中心なのに」という焦りもある。教育を受けても奨学金を返せる職業に就きにくく、アメリカンドリームは過去のものと絶望する人々にもトランプ氏の主張は魅力的だった。

 政治経験がなくアウトサイダーを自任する同氏は富豪ではあるが、経済格差などは既成政治家のせいにして低所得者層を引き付けてきた。米国社会の不合理を解消するには既成の秩序や制度を壊すしかない。大統領夫人や上院議員、国務長官を歴任したクリントン氏は既成政治家の代表だ--という立場であり、徹底したポピュリズムと言ってもいい。

 それゆえ従来の秩序を壊した後にどう再建するのか、その道筋が見えにくい。候補者討論会も低次元な批判合戦に終始し「最も醜い大統領選」と言われた。トランプ氏は今後、より具体的な政策を示してほしい。

 共和党の指導部はトランプ氏の女性蔑視発言などに嫌気がさして大統領選の応援を控えた。だが、よき伝統を重んじる同党は、米国の力で世界を変えようとしたネオコン(新保守主義派)や「小さな政府」を求める草の根運動「ティーパーティー(茶会)」などと協調するうちに方向性を失い、トランプ氏という「怪物」を出現させたようにも見える。

 今回の選挙は2大政党の一方が機能不全に陥ったとはいえ、民主主義の一形態ではあった。今後、トランプ氏と共和党は団結できるのか、クリントン氏の支持者との融和は可能なのか。米国の民主主義が真価を問われている。


 中日春秋(朝刊コラム)
2016年11月10日 中日新聞

 トランプ氏の成功の象徴トランプ・タワーは、ニューヨークにそびえる高層ビルだ

▼当初は六十三階建てにする計画だったが、行政の指導で五十八階建てになった。しかし、トランプ氏は「六十八階建て」だと称している。最上階の五十八階を六十八階と呼ぶことにしたのだ

▼トランプ・タワーは芸術的な外観を持つ老舗デパートを壊して建設された。その解体工事で働かされたのは不法移民。移民らは文句を言えば強制送還だと脅かされ、長時間、低賃金で酷使されたという(ワシントン・ポスト取材班『トランプ』)

▼トランプ氏の虚飾、強引さ、冷酷さを象徴するようなトランプ・タワー。昨年六月、このビルで大統領選への出馬表明をした彼は、メキシコからの不法移民は犯罪者だとなじり、国境に巨大な壁を造ると宣言した。米国民は、中国や日本との貿易で「いつも打ち負かされている」と演説し、仕事が奪われていると危機感をあおった

▼米国の記者マイケル・ダントニオ氏は著書『熱狂の王 ドナルド・トランプ』で、トランプ陣営は人々の恐怖を巧妙に利用することで、選挙戦を勝ち進んだと分析している。テロや犯罪への恐怖、グローバル化の中の貿易戦争の恐怖、不法移民による失業の恐怖…

▼米国民はそんな彼に、超大国のかじ取りを任せ、核の発射ボタンを託した。大統領選の勝者は「恐怖」かもしれぬ。 


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11月9日(水)のつぶやき

2016-11-10 01:10:19 | 花/美しいもの
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