みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

源泉かけ流しの温泉三昧~新平湯温泉「古宝館」にいます。/今日は何処へ・・・・

2009-10-11 06:31:02 | たび/紀行/温泉
台風一過、お天気が良くなるだろうとの予想で出かけた、ふらり旅。

一日目に目指した白山スーパー林道は、行きはよいよい帰りは怖い。

三方崩の駐車場に到着したときはうすぐ曇りだったのですが
ほどなくガスがたれこめて視界が悪くなり、雨も降りだし・・・・
そのまま登っていたら遭難していた、と思うくらいの寒さで山歩きは中止。

白川郷は何度もいったことがあるので、おいしいお蕎麦を食べがてら、
きゅうきょ、富山側の世界遺産、五箇山菅沼集落まで足を延ばしました。






思い立って前日に予約した宿は、「平瀬温泉 ふじや」。
大白川の泉源から15キロのパイプでお湯をひいている、
源泉かけ流し、温泉自慢の秘湯の宿です。



一泊して、天生湿原から籾糠山へ。

5時間ほど山歩きして帰る、つもりだったのですが、
もう一日どこかへ泊ろうと歩きながら決めて、取り合えず旧河合村がわへ下りました。

で気がついたのですが、10月9,10日は秋の高山祭りの真っ最中。
おまけに3連休でほとんどの宿は満室。

高山を避けて、宿を探しながら、飛騨古川に向かいました。

奥飛騨で泊ったことのある宿に電話をしてみたのですがやはり満室。
コンビニでガイドブックを買って、奥飛騨観光協会に電話をして、空いている宿を探してもらうように頼み、
ほどなく「古宝館が一室空いている」とのお返事。

「新平湯温泉だったらぜったい温泉あるよね」と言いながら到着した宿は、
立派なホテル風の「新平湯温泉 古宝館」。

新平湯温泉「古宝館」公式ホームページ

6時に到着してすぐ温泉に入りました。

泉質は、単純泉含重曹泉。
つるっとしてやわらかく、肌に優しいお湯です。
それもそのはず、源泉かけ流しの自慢の温泉でした。

 温泉ジャーナリストの故野口悦男さん おすすめの湯
温泉ジャーナリストの故野口悦男さんもよくご利用くださる、温泉遺産「源泉かけ流し風呂」に認定されているお湯です。
現代では非常に貴重な源泉かけ流し、毎分120リットルもの豊富な湯量が自慢で、効能も多岐に渡ります。露天風呂・内湯共に貸切風呂おをご用意しており、古宝館ならではの温泉三昧をごゆっくりとお楽しみください。


  

温泉とマッサージ機でつかれた体をほぐし、おいしい夕食にもあり付けて、おなかいっぱい。
明日はどこに行こうかな、と周辺の候補を探しながら寝ました。


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一夜明けて、今朝は快晴。

近くの新穂高ロープウェイから山に登るか、
平湯ターミナルからからバスで上高地に行くか、
先日クマが出た乗鞍に行くか、候補はみっつです。

新穂高ロープウェイ
新穂高を訪ねたら、ぜひ体験したいのが新穂高ロープウェイ。
全長は3200m、東洋一、さらにモンブランに次いで世界第2位というスケールを誇っています。
目の前に北アルプスの大パノラマが広がる景観は圧巻です。
 

西穂山荘@奥飛騨に行ってきました~山と花と源泉かけながし温泉ざんまいの旅(2005.8.30)

新穂高ロープウェイ~西穂山荘

乗鞍スカイライン
海抜2740mの畳平まで登ることができる日本一高いドライブウェイ。高山植物や雷鳥など大自然の素晴らしさを心ゆくまで味わえます。
 

上高地
上高地公式Website - ようこそ信州上高地へ

朝ご飯を食べながら、ゆっくり考えることにしましょう。


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オバマ米大統領がノーベル平和賞を受賞した!

2009-10-10 07:06:25 | 市民運動/市民自治/政治
昨日夜6時のニュースを見ていた「オバマ米大統領がノーベル平和賞を受賞」の速報が流れました。

就任から1年未満のノーベル平和賞受賞は、早すぎるとの声もありますが、
わたしは、オバマ米大統領がノーベル平和賞を受賞したことは、率直に良かったと思います。

「核兵器のない世界へ向けたオバマ氏の理想と行動を特に重視した」ことが、受賞の大きな理由。

オバマさんのブラハ演説や国連での行動など、大統領になってからの言動が評価されたものですが、
アメリカが一国主義から方向転換したことは、世界の平和に大きく貢献することは
間違いありません。

一番大きくとりあげているのに、読者が少ないために、
たくさんの人の目に届きにくい毎日新聞を紹介します。


ノーベル賞:オバマ米大統領平和賞 国内支持、回復の好機 医療保険改革で混乱
毎日新聞 2009年10月10日
 
 【ワシントン古本陽荘】オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞は、医療保険制度改革の混乱などで支持率が低下する大統領にとって、国内での指導力を取り戻し、「変革」路線を再び軌道に乗せる絶好の機会となりそうだ。医療保険改革、アフガニスタン戦争への増派問題という2大課題が大詰めを迎えている時期だけに、政権側は、「国際的に評価された大統領」を前面に押し出し、反転攻勢に出るとみられる。
 「変革」を掲げて登場したオバマ大統領は、高い支持率を背景に政策を実現しようとしてきた。だが、ワシントン・ポスト紙などの世論調査では、「大統領の仕事ぶりを評価する」との答えは2月時点で68%だったものの、9月調査では54%まで低下。逆に「評価しない」は25%から43%まで上昇した。
 支持率低下の背景にあるのが大統領のリーダーシップの取り方だ。国内政治でも「対話」重視の姿勢を強調。個別政策では具体案よりも理念を提示し、議会などでの議論を見守る「調整型大統領」のスタイルを取ってきた。
 これが裏目に出た典型例が医療保険改革だった。与野党議員の集会では、議員に罵声(ばせい)を浴びせる市民の姿などが繰り返しテレビで放映され、迷走ぶりを印象付けた。
 また、16年夏季五輪開催地を決めた今月2日の国際オリンピック委員会(IOC)総会では、オバマ大統領夫妻の招致演説もむなしくシカゴは最初の投票で落選。国際社会での大統領の「神通力」の陰りを示し、国内の反オバマ派を勢いづかせる結果となった。
 ノーベル賞受賞で大統領の指導力不足を批判する声は一時的には収まるとみられるが、受賞の勢いが一時的なものに終わるか、持続的な改革を後押しするかは、大統領の今後の指導力の発揮の仕方いかんと言えそうだ。
 02年にノーベル賞を受賞したカーター元大統領は「彼のビジョンや決意に対する国際的な支持を大胆に表明したもの」と評価する声明を発表。一方で、野党・共和党全国委員長のマイケル・スティール下院議員は「平和と人権のために本当の成果を上げている人たちに、大統領人気の力が勝ったのは残念だ」とコメントした。

 ◇テロやまず、心境複雑--アフガン・パキスタン国民
 【ニューデリー栗田慎一】「核なき世界」を訴え、国際協調路線にかじを切ったオバマ米大統領だが、米国の「対テロ戦」の主舞台と位置付けられ、多数の民間人が巻き添えになっているアフガニスタンとパキスタンの人々は、戦争を指揮するオバマ大統領のノーベル平和賞受賞を複雑な思いで見つめている。両国では9日も武装勢力による自爆テロが発生、女性や子供ら計約150人が死傷するなど治安の悪化が続いているからだ。
 「オバマ氏はまだ何もしていない。アフガンとパキスタンで強硬に戦争を続けたブッシュ前政権との違いはない。期待外れだ」。アフガン国境に近いパキスタン北西部ペシャワル。9日、自動車爆弾の爆発で40人以上が死亡、100人が負傷したテロ現場を取材したばかりのナシード記者はこう語った。「米国の戦闘強化策が武装勢力を勢いづかせている」との見方からだ。
 オバマ大統領は3月に発表したアフガン新戦略で、戦闘強化策に加え、旧支配勢力タリバン「穏健派」との対話やパキスタンへの民生支援を打ち出した。だが、いまだに新戦略は具体化されず、現地住民は治安悪化や失業で苦しみ続けている。
 アフガンのカルザイ大統領の報道官は9日、オバマ大統領の受賞を祝福する声明で「アフガンに平和をもたらすことを望む」と述べた。しかし、同国内務省高官は毎日新聞の取材に「新戦略は発表当時、市民に期待を与えた。しかし、今は失望のどん底にある。ノーベル賞を受賞したからと言って、もはや大きな期待は抱かないだろう」と語った。
 一方、ロイター通信によると、タリバン報道官は9日、アフガンへの米軍増派を引き合いに「(オバマ大統領は)ノーベル賞の代わりに暴力を受けるべきだ」と述べた。

==============
 ◇授賞の理由(要旨)
 【欧州総局】ノーベル賞委員会の発表文要旨は次の通り。
 国際的な外交を強化し、人々の間の協力を強めようとするオバマ大統領の非凡な努力に平和賞を贈る。核兵器のない世界へ向けたオバマ氏の理想と行動を特に重視した。
 オバマ氏は、国際政治に新たな流れを作った。多国間外交に再び重心が置かれ、対話と交渉が紛争解決手段として優先される。核兵器のない世界という理想は、軍備管理・軍縮交渉を後押しした。米国は、気候変動問題でより建設的な役割を果たすようになった。
 オバマ氏のように、よりよい未来への希望を世界の人々に与えた人物は、極めてまれだ。彼の外交は、世界の多くの人々が共有する価値観と姿勢に基づいて世界をリードしなければならないという考えに立脚している。
 オバマ氏の政策、理想こそ、委員会が108年間の歴史を通して促進しようとしてきたことだ。「今こそ地球規模の挑戦に対処する地球規模の責任を私たちみんなが分担する時だ」(9月の国連総会演説)という同氏の呼びかけを支持する。

==============
 ◇受賞後の声明(要旨)
 【北米総局】オバマ米大統領の声明要旨は次の通り。
 ノーベル賞委員会の決定に驚き、深く謙虚な気持ちで受けとめている。これは私自身が成し遂げたこととは思っていない。すべての国の人々の願望を代表して米国の指導力が肯定されたものとして受けるのだ。
 ノーベル賞の歴史を通じ、受賞が特別に達成されたものにだけでなく、大義に弾みをつける手段として用いられたこともある。だから、この受賞を行動を求めるものとして受け入れる。すべての国に21世紀の共通する挑戦に直面することを求めるものだ。
 我々は核の恐怖の中で生きることはできない。だから私たちは核なき世界を目指す具体的な措置を開始した。すべての国は核利用の意図が平和目的であることを明示しなければならない。
 気候変動がもたらす脅威も容認できない。我々はエネルギーの使い方を変えなければならない。人種や宗教が異なる人々との新たな関係を築かねばならない。イスラエルとパレスチナの人々が平和に生きる権利を認識しなければならない。
 すべての人が教育を受け、疫病や暴力などの恐怖のない、まっとうな生活ができるようにすべきだ。
 すべての問題が私の任期中に解決できるわけではない。だが、一人の人間や一つの国だけで解決できないと分かっていれば、これらの問題は解決できる。この賞はすべての人々が分かち合うべきだ。

==============
 ◇オバマ大統領語録(就任前含む)
 ◆勝利戦略なしに若者をイラクに送り込み、使い捨てにしている。我々が選ぶのは自己犠牲について話す者ではなく、実際に犠牲を払った人だ。強気な発言をする者でなく、本当に強い人間だ。(06年11月、中間選挙)
 ◆責任ある形でイラク戦争を終結し、アフガニスタンでの国際テロ組織アルカイダと旧支配勢力タリバンとの戦いを完遂する。21世紀の脅威を打ち負かすため新しい国際協調関係を築く。(08年8月、民主党大統領候補指名受諾演説)
 ◆先人がミサイルや戦車を使うのみならず、信念と確固たる同盟をもってファシズムや共産主義に立ち向かったことを思い出そう。(09年1月、大統領就任演説)
 ◆核保有国のひとつとして、また、過去に核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国は行動を起こす道義的責任がある。(09年4月、プラハでの「核廃絶」演説)
 ◆世界のイスラム教徒と米国との「新たな始まり」を求めるためここに来た。米国は国家主権と法による支配を尊重し、イスラム社会と協力しながら自国を守る。(09年6月、カイロでの演説)
 ◆どんな世界秩序が冷戦に取って代わるのか明確な答えはまだない。ロシア、米国そして世界中にいるあなたたちの世代が答えを出さなくてはならない。(09年7月、ロシア経済学院での演説)
毎日新聞 2009年10月10日 東京朝刊



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関連の新聞記事です。
ノーベル平和賞:オバマ氏「深く謙虚に受け止め」と声明
毎日新聞 2009年10月10日
 
 【ワシントン小松健一】オバマ米大統領は9日午前11時(日本時間10日午前0時)すぎ、ホワイトハウスで声明を発表し、ノーベル平和賞受賞が決まったことについて「驚きであり、深く謙虚に受け止めている」と語った。大統領はそのうえで「受賞は私の業績への評価とは受け止めていない」と述べ、「世界の人々の希望」が米国のリーダーシップに寄せる期待を確認したものだと語った。
 オバマ大統領は21世紀の諸課題に取り組むため、国際社会が責任を共有する「新たな関与の時代」の必要性を強調した。特に核兵器が拡散し、人々を核の大量殺りくの危険にさらすような世界を「もはや耐えられない」と指摘。
 そのために「核兵器のない世界」を目指し、「確かなステップ」へと歩み始めたと述べた。そして「すべての国は平和的な原子力を追求する権利はあるが、平和目的であることを明確に示す責任がある」と語り、イランの核開発問題を含めて核不拡散体制の強化を訴えた。
 さらに気候変動対策、中東和平の実現への決意を示したうえで、「核兵器廃絶などの課題は私の生涯でも実現できないかもしれない。しかし、一人や一国だけで解決できないことを認識するかぎり、解決はできる」と呼びかけた。

 ◇オバマ米大統領の声明要旨
 【北米総局】オバマ米大統領の声明要旨は次の通り。
 ノーベル賞委員会の決定に驚き、深く謙虚な気持ちで受けとめている。これは私自身が成し遂げたこととは思っていない。すべての国の人々の願望を代表して米国の指導力が肯定されたものとして受けるのだ。ノーベル賞の歴史を見ると、受賞が特別な業績にだけでなく、大義に弾みをつける手段として用いられたこともある。だから、この受賞を行動を呼び掛けるものとして受け入れる。すべての国に21世紀の共通する挑戦に直面することを求めるものだ。
 我々は核の恐怖の中で生きることはできない。だから私たちは核兵器なき世界を目指す具体的な措置を開始した。すべての国は核利用の意図が平和目的であることを明示しなければならない。
 気候変動がもたらす脅威も容認できない。我々はエネルギーの使い方を変えなければならない。人種や宗教が異なる人々との新たな関係を築かねばならない。イスラエルとパレスチナの人々が平和に生きる権利を認識しなければならない。
 すべての人が教育を受け、疫病や暴力などの恐怖のない、まっとうな生活ができるようにすべきだ。
 すべての問題が私の任期中に解決できるわけではない。だが、一人の人間や一つの国だけで解決できないと分かっていれば、これらの問題は解決できる。この賞はすべての人々が分かち合うべきだ。
(毎日新聞 2009年10月10日) 


出先に来ているので、通信環境が悪くて、いつ切れるかわからないので、
とりあえず、オバマさんの記事を紹介して終わり、です。

ではまた。

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国民の信頼得るマスコミとは-マスコミ倫理懇談会全国大会の議論から/仙波さん「内部告発」講演

2009-10-09 14:00:00 | ほん/新聞/ニュース
今月はじめ、全国の報道関係者が松山市に集まって、
マスコミ倫理懇談会全国協議会の第53回全国大会が開催されたと
毎日新聞に、B4いっぱいの大きな記事が載っていました。

8月からはじまった裁判員裁判の取材・報道の問題、えん罪と報道の問題、
内部告発者の保護の問題など、多岐にわたってマスコミの課題が話しあわれたとのこと。
わたしは昔、「報道と人権を考える会」にはいっていて、
取材される市民の立場で「報道と人権」の問題にかかわっていたことがあるので、
マスコミが、どのように変わるのか、本当に変われるのか、が興味深いです。

政治も、民主党政権に変わり、古い体質を変えようとしています。

マスコミも変わってほしい、と願って、記事を紹介します。


 マスコミ倫理懇:国民の信頼得るマスコミとは--全国大会の議論から
毎日新聞 2009年10月5日

 「変容する時代にメディアの原点を問う」をメーンテーマに、松山市で1、2日、マスコミ倫理懇談会全国協議会の第53回全国大会が開催された。新聞、出版、放送など各報道機関から約330人が参加。裁判員制度や新型インフルエンザなど六つのテーマで報道の役割や意義について論議し、どうすれば一層、国民の信頼を得られるかについて話し合った。取材・報道する側が直面した問題にかかわる三つの分科会の内容を報告したい。

 ■検証 裁判員裁判の取材・報道

 ◇守秘義務の壁「会見」に課題

 「検証 裁判員裁判の取材・報道」の分科会は、8月から始まった裁判員裁判の現状と、これまでの報道から見えてきた課題を中心に話し合った。
 まずは裁判終了後の裁判員会見問題。各地で裁判所職員が同席して行われており、冒頭撮影は認められているものの、録音は禁止。このため、記者たちは終了後に改めて裁判員に依頼し、応じてくれた裁判員に別の場所で補足取材している。
 TBSの神田和則社会部長は、さいたま地裁のケースで、補足の会見が地裁内で認められず、200メートル離れた県庁記者クラブに移動して行われたことを報告。「(録音などが認められない)1回目の会見は本来の会見になっていない。会見のあり方を見直していかないといけない」と問題提起した。
 また、裁判員に対しては評議の内容を話さないよう「守秘義務」が課せられている。さいたま、山口、和歌山の3地裁で、地裁側が「守秘義務違反の恐れ」を理由に、裁判員の発言を途中で制止しようとしたり、後に記者側に報道の自粛を求めたケースも報告された。
 介護にからむ山口の殺人未遂事件のケースでは、「保護観察を付けた気持ちをお聞きしたい」と記者が裁判員に尋ねたところ、いったん報道自粛を求めた裁判所側が内部で協議したうえで「問題ない」として、要請を撤回したという。
 会場からは「本音を聞き出すため、記者側は工夫しながら微妙なやりとりを報じている」「現状の厳しすぎる義務規定を見直すべきだ」などの意見が出た。また、裁判員裁判が各地で行われるようになり「感想だけを聞く会見は意味がなくなってきた」との声も。守秘義務の壁はあってもさらに真実に迫る努力の必要性が確認された。
 一方、裁判所と検察、弁護人の3者が、公判前に争点を整理して絞り込む「公判前整理手続き」についても、疑問が呈された。非公開なので何を話し合っているのか見えず、「ブラックボックス化している」(放送局関係者)と批判した。
 東京で行われた初めての裁判員裁判の弁護人を務めた伊達俊二弁護士も「個人的には、公判前手続きをなぜ秘密にするのか疑問。プロセスが隠れてしまう」と述べた。また、「覚せい剤の密輸のような事件まで裁判員対象事件にする意味があるのか」と疑問を投げかけた。
 このほか、裁判員裁判の実施を前に、事件報道で「情報の出所を明示する」「容疑者・被告側の主張もできる限り取材し、報道する」など、各社が進めた改革の実施状況についても報告された。【伊藤正志】

 ■内部告発と報道

 ◇「通報者保護」基金創設を

 「警察から情報もらって記事をもらってパソコンで文章作る。報道機関はいま、それだけになっています」。「内部告発と報道」分科会で講演した仙波敏郎・元愛媛県警巡査部長(60)は厳しく指摘した。現職警察官として初めて警察の裏金問題を実名告発。陰に陽に続いた組織の圧力に耐えた目には、報道各社の姿勢は甘く映る。しかし、最後は「ペンの力で裏金の根絶を」と呼びかけた。
 周囲は当たり前のように裏金づくりのための領収書偽造に協力していたが、仙波さんは拒否し続けてきた。昇進なし、いやがらせとしか思えない転勤命令の連続。そして、05年1月、「現職でないと意味はない」とカメラの前で実名で告発した。定年までまだ4年ほどあった。
 仙波さんの講演を受けて、報道側も経験を交え発表。隣の高知県警の裏金問題を追及した高知新聞の竹内誠・社会部副部長は振り返った。「以前は、(他社より少しでも先に報じる)特ダネを取ることがすべてだった。しかし、裏金問題を書けば警察組織を敵に回すことになる。迷いに迷ったが、相談した部長から『取った情報は読者のものだ』と言われ決断できた」
 自分の会社や組織の不正を知った人がそれを告発することで、告発者自身が不利益を受けることがあってはならない。しかし、分科会では「通報者を守る仕組みが不十分だ」という意見が相次いだ。06年4月には公益通報者保護法も施行されたが、そもそも同法は外部に告発するには高いハードルが設けられ告発しにくい仕組みになっているとされる。「通報者が失職などして経済基盤を失ったとき、それを補償する基金などの創設が必要なのではないか」という意見には賛同する声は多かった。
 また、防衛秘密を漏えいしたとして防衛省情報本部の1佐が懲戒免職処分(08年10月)になった事件や、奈良・母子3人放火殺人事件を題材にした本を巡る調書漏えい事件で精神科医が有罪判決(09年4月)を受けた事件も論議され、「取材される側のみをターゲットにして、内部の引き締めを狙った動きには警戒が必要」との意見が出された。【滝野隆浩】

 ■えん罪と報道

 ◇見過ごしや誤解、反省

 「えん罪と報道」分科会では、90年に栃木県足利市で4歳女児が殺害された「足利事件」を中心に論議した。容疑者として逮捕され、再審開始決定を受けた菅家利和さんが発した「無実のシグナル」をなぜ取材する側が見過ごしたのかが論点の一つになった。
 まず、再審裁判を担当する笹森学弁護士が、報道機関が菅家さんの1審で無実主張に転じたことを見過ごし、特に菅家さんが弁護士や親族に無実を訴える手紙に注目しなかった点を指摘した。また、逮捕や有罪の決め手となったとされるDNA鑑定の精度についても、「決定的な証拠になるとの誤解を与えた」と述べた。
 これに対して、当時取材した記者が手紙について、「当時は被告と面会できず、弁護士にお願いしてみても、『私信』を理由に見せてもらえなかった。家族も取材に応じてもらえなかった」と当時の苦しい状況を説明した。別の地方紙記者も「(手紙など)否認を担保するものがあれば軌道修正できたと思うが、(公判での否認をきっかけにした)調査報道に結びつかなかったことは、大きな反省点だ」と述べた。また、DNA鑑定については「目新しいDNA鑑定に引きずられた反省はある」(在京放送局の参加者)と振り返った。
 一方、裁判が長期にわたることで、取材側の問題意識が希薄になるという実態も取り上げられ、ある地方局の参加者は「専従でやった方がいいが、組織としてはなかなか難しい」と明かした。
 笹森弁護士は「(報道機関は)引き継いでいる情報をその都度評価し、捜査、弁護士以外の第三の視点を保つ必要があるのではないか」と指摘した。
 分科会には、菅家さん本人も出席し、公判取材した記者が、「捜査、裁判をチェックする仕事が果たせず、誠に申し訳ありませんでした。心からおわび申し上げます」と直接頭を下げる一幕も。菅家さんは「謝ってもらえるのは、うれしいことはうれしいです」と終了後に述べた。
 分科会座長の近藤基一郎・徳島新聞編集局次長は「第1報としばらくたった時と状況が違うことがある。反省すべきは反省し、訂正すべきは訂正してニュースを伝えることが私たちの役目だ」と締めくくった。【臺宏士】
毎日新聞 2009年10月5日



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マスコミ倫理懇談会では、県警の裏金作りを告発した仙波敏郎さんの講演もあったそうです。
仙波さんの話しは、わたしも市民オンブズマンの全国大会で聴いたことがあり、
清水勉弁護士の紹介で少しお話したことがあり、
7月にも、仙波さんが書かれた『現職警官「裏金」内部告発』を紹介しました。

『現職警官「裏金」内部告発』(仙波敏郎・講談社)
/「公文書管理法」設立/日本弁護士連合会・会長声明(2009.7.9)



 仙波さん「内部告発」講演
2009年10月02日 朝日新聞

 ◇松山でマス倫懇始まる
 松山市で1日に始まったマスコミ倫理懇談会全国協議会の全国大会で、県警の裏金作りを告発した元県警巡査部長の仙波敏郎さん(60) が「内部告発者から見た報道」 と題して分科会で講演した=写真。
 仙波さんは、集まった約50人の新聞や放送関係者に対し、告発当時の報道について謝辞を述べた上で、「今のマスコミは警察権力の御用記事しか書いていない」 と主張。 「マスコミの力でしか、警察は浄化できない。 マスコミは警察との関係が悪化することを恐れ、自分たちの良心を売らないで欲しい」 と話した。
 内部告発が可能になる条件として、報道各社が足並みをそろえて告発者を守り、告発後も継続して取材・報道することが重要だと訴えた。」
 これに対し、参加者からは「当局が見せしめに内部告発者を懲戒処分するケースなどが増えている。 報道各社が資金を出し合い、告発者の所得を保障する基金を設けてはどうか」 といった意見が出された。


マスコミ倫理懇:全国大会開幕 メディアの問題点指摘--松山 /愛媛
毎日新聞 2009年10月2日

 1日に松山市で始まった新聞、放送、出版などメディア各社でつくるマスコミ倫理懇談会全国協議会の第53回全国大会では、参加者から誤報や不祥事が続くメディアへの厳しい注文が相次いだ。
 メディア法制に詳しい山川洋一郎弁護士が講演。近年、テレビや雑誌で誤報が多発していることや、ニュースソースの保護、権力からの介入への対応でのメディア側の問題点を指摘した。
 続いて七つの分科会があり、「内部告発と報道」分科会では県警の裏金問題を実名で告発した仙波敏郎・元巡査部長が参加。県警から報復とみられる人事を受けたことなど自らの体験を語り、「警察に自浄能力はない。特落ちを恐れて自分たちの良心を売らないでほしい」と報道各社の奮起を促した。【栗田亨】
毎日新聞 2009年10月2日






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ネット上でも実名で表現を(勝間和代 )/新刊『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』

2009-10-08 18:18:12 | ほん/新聞/ニュース
台風一過、青空が広がりました。

昨夜は直撃されたらかなりの被害が出る、と覚悟して、
祈るような気持ちで寝たのですが、ともちゃんが早く起きてテレビをつけたので、
わたしも4時ころおきて、台風情報を見ていました。

台風18号は、岐阜県からは少し東にそれてほっとしたのですが、
文字通り、日本列島を縦断する形になり、被害を受けた地域の方には申し訳ない気持ちです。

それで昼間はけっこう眠くて、本を読みながら気がつくと、うとうとしていました。

ここからが本題ですが、
10月4日の毎日新聞連載「勝間和代のクロストーク」に、
「ネット上でも実名で表現を」という記事が載っていました。

わたしも、匿名性が高い、といわれているネットでも、
実名での議論が必要だ、とつねづね思っていたので、共感しました。

記事は翌々日に、webにアップされ、勝間さんに対する賛否の意見も続出で
とってもおもしろいです。

ネット上でも実名で表現を
(勝間和代のクロストーク ~みんなの経済会議22)

2009年10月4日 毎日新聞

 インターネットはここ数年、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ツイッター、動画投稿サイト「ユーチューブ」など、さまざまなツールの出現により、単なるメールとウェブ閲覧の手段から、人と人とが直接つながるメディアへと発展してきました。
 一方、ネット内ではまだ、匿名やニックネームが中心で、実名での表記はまれです。その結果、健全な助け合いが本来、ネットメディアの望ましい姿であるにもかかわらず、一部には、過激な中傷があとを絶ちません。「炎上」という形で多数の人から非難された結果、閉鎖するブログもあります。
 しかし、ネットがメディアとしての信頼性を高め、既存のメディアと肩を並べる存在になるには、表現者が自分の名前を開示し、責任の所在を明らかにすることが不可欠だと私は考えています。匿名コミュニケーションのままでは、いつまでもネットは周辺メディアの位置にとどまるでしょう。
 もちろん、ネット上のすべての表現について実名を開示する必要はありません。しかし、少なくとも人とのつながりを目的とした利用においては、できる限り実名を明らかにするのが好ましいと考えます。
 一方、実名にすると気軽なコミュニケーションが阻害され、あるいは、個人情報の漏洩(ろうえい)につながるのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、クロストークも開始以来1年間、実名主義を貫いてきましたが、活発で的を射た討論が続いています。さらに、実名であることにより、複数のトピックにわたって投稿くださっている方の考えを追うこともできます。今のところ、問題は生じていません。
 もちろん、他人の名前をかたる人物が現れたり、名簿が売買されたりするリスクはゼロにはなりません。さらに、企業に勤務をしている方の場合には、社内情報の漏洩や、立場上まずい発言をしてしまうなどの問題も起こり得ます。しかし、これらはすべて、ネット外の実社会(オフライン)でも同じことです。他人の名前をかたることや、会社の守秘義務に反することは、どのような場であれ認められないのです。
 ネット上で実名主義をとるにあたって、プライバシーをどう守っていくかは、今後の課題です。しかし、自分の名前を開示して、発言に責任を持つことは、相手とのかかわりを深め、理解を求めるための必要条件と考えます。
 ネットを過激な陰口の場にしないためにも、思い切って、実名主義を進めてみませんか。それによって、コミュニケーションが円滑になるほか、ビジネス面での利用の際の信頼性も高まると確信しています。
 ネットでの実名の薦めについて、みなさんのご意見を毎日jpまでお寄せください。(経済評論家)
   ◇
 今月より、提言の次の回(2週後)には、反響に対する勝間さんの講評を掲載します。それにより、読者のご意見をこれまでより詳しく紙面で紹介し、読者と共に1つのテーマをより深く掘り下げることが狙いです。これまでにもまして多くの活発なご意見をお待ちしています。どうぞよろしくお願いします。
今回のテーマについては、10月11日までにいただいたご意見を勝間さんの講評対象とし、ベストアンサーを選びます(ご意見そのものは16日午後5時まで受け付け、そこでいったん締め切ります)。18日に勝間さんの講評を掲載し、それについてのご意見を、30日午後5時まで受け付けます。

2009年10月4日 毎日新聞


この記事のなかの写真に、勝間さんの最新刊『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』が出た、
と書いてあったので、どれどれと調べてみたら、
この本の(立ち読み)が、やはり読みたくなるような工夫があって、
早く読みたい気になって、さっそく買いに行きました(笑)。

↓こちらです。
 『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』(立ち読み) 

高島屋の自由書房で、10月1日に、刊行されたばかりの本を買いました。
他にも、ほしかった本、探していた本をあれこれ買って、計1万円弱。

      
『目立つ力』(勝間 和代 (著)/小学館新書/(2009/10/1)



 おもしろかったですよー。


期待どおり、というか、期待以上。
いま準備を進めている「市民と政治をつなくP-WAN」の方向性の参考にもなり、
ブロガーはもちろん、ネットを使いこなすにも、きっと目からウロコの、とても役に立つ本です。

そうそう、あの有名な「ムギ畑」を、勝間さんが主宰していることも、初めて知りました。


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以下は、勝間さん関連の情報です。


ムギ畑 勝間和代さんが主宰するワーキングマザー支援サイト


勝間和代のクロストーク ~みんなの経済会議


勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!

クロストーク1周年記念イベント:勝間和代さん「ネットを責任ある議論の場に」

 経済評論家の勝間和代さんによる毎日新聞とインターネットの情報サイト毎日jpの連動企画「勝間和代のクロストーク~みんなの経済会議」の開始1周年を記念したイベントが4日、東京都内で開かれた。勝間さんが講演したほか、ウェブサービス「Twitter(ツイッター)」やネット動画中継を通じて、会場に集まった約150人のほか、ネットからも多数が参加した。
 クロストークは、新聞紙面にテーマを載せ、実名で意見を募ってネット上で議論し、結果をまた新聞紙面で報告する企画で08年10月にスタートした。
 この日のイベントのテーマは「メディアの未来を対話しよう」。勝間さんは「ネットはオフラインのものより質が悪いと言われていたが、多くの専門家と市民が参加してフラットな議論ができた。利用者が責任を持って発言する仕組みにすればネットのメディアも力がある」と現状を説明。今後については「(ネットによって)市民がメディアを持つことには大きな意味があるが、まだ過小評価されている。これからはマスメディアとの差がだんだんなくなる。実名登録で信頼性を担保することは、メディアを育てるために必要。ソーシャルメディアを単なるおしゃべりの場ではなく、社会や企業、政治をモニタリングする新しいメディアとして役立てられるかは市民次第だ」と話した。
 「勝間和代のクロストーク」1周年を記念した講演会場では、多くの参加者がTwitterでつぶやきながら、講演に聞き入った その後のディスカッションにはいずれもツイッターを利用していることで知られる民主党の逢坂誠二衆院議員や歌手の広瀬香美さんがツイッターで参加。逢坂議員は、民主党のネット活用について「まずは選挙運動での解禁が先だと思う。ネットでの投票は課題が多い。ネット活用を広げる意思はあります」との意見を寄せた。広瀬さんは、ツイッターの魅力について「現代人はコミュニケーション能力が足りないといわれますが、ツイッター的なつながりは、すばらしい現代のコミュニケーションだと思います」とコメントした。
 会場からは「(市民のネットでの情報発信力に)格差があるのではないかと不安だ」「高齢者と20代では利害が一致しないと思う。ネット選挙を実現すると票を集める層が(ネットを使う若い世代に)変わってしまうので、解禁しないのではないか」「ツイッターを使ってニュースを意識的に流すと、議論が発展していくのでおもしろい」--などの多くの意見があった。勝間さんは「デジタルデバイドも含め、環境と教育による格差はある。教育によって全員が使えるようにならなければいけない」「若年の政治家はネットを使いたがっている。ネットを使えない層へのフォローは必要だが、だからITを使わないということにはならない」と答えた。
2009年10月5日 毎日新聞




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「悩みのるつぼ」~働かない夫を更正させたい:上野千鶴子さん「家長」と「主婦」を両方続けますか」

2009-10-07 14:13:25 | ジェンダー/上野千鶴子
非常に強い台風18号が上陸する可能性が濃厚になり、
東海地方にも近づいてきそうな気配です。
50年前の伊勢湾台風並みの勢力で、「ここ10年では最大の風速」とのこと。
8日には勢力を維持したまま上陸、本州を縦断する見込みです。
もし上陸すれば、畑の農作物にも大きな被害が出る心配があります。

ということで、ともちゃんは、午後から外で台風対策をしていて、
わたしは、家にいて、NHKテレビの台風情報を見る役目。
ちょうど2時のニュースをやっています。
   
東海から関東地方にいちばん近づくのは、明日の日中とのこと。
わたしも風雨が強くなる前に、植木鉢とかしまわなくちゃ、と思っているところです。
   

土曜日の朝日新聞「be」の〔悩みのるつぼ〕、
先週土曜日の回答者は上野千鶴子さんでした。

毎月一回、上野さんに回答がまわってくるようです。

10月の相談者は、育児休業中の31歳女性。質問は「働かない夫を更正させたい」。
上野千鶴子さんの回答は、「『家長』と『主婦』を両方続けますか」

〔悩みのるつぼ〕
働かない夫を更正させたい
(相談者 育児休業中 31歳女性)
 
 現在、職場を育児休業中の31歳女性です。この秋に第2子が生まれますが、26歳の夫が仕事をせず、上の子の面倒もみないので困っています。 
 3年前に結婚した際、夫は大学生でしたが、まもなく退学。定職にも就かず、アルバイトも長続きしません。
 一昨年の息子誕生を機に、私は育休をとり、家事と子育ての日々です。貯金を取り崩して何とか生活しています。
 それなのに夫は、家でテレビゲームをするばかり。家事を頼めばしぶしぶ手伝うけれど、自分からは動きません。子守を任せても、一緒にテレビを見ているだけ。「仕事してよ」と迫っても、「わかってる」と答えるばかりです。
 口論もしました。「就職して」から「1日2時間だけでもパートに出て」「ゲームの時間を減らして」と、要求のレベルをだんだん下げましたが、ダメなんです。
 夫の両親にも訴えましたが、「仕方ない子ね」という反応で、彼に注意するでもありません。甘いんです。
 彼のことは好きだし、子どもがいるので別れたくはありません。次の子が生まれた後は、私がすぐに職場復帰し、彼に「専業主婦」をさせてもいいのですが、今のままだと、子どもを任せるのは心配です。どうすれば、無気力な彼を「更正」させられるでしょうか。

----------------------------------------------------------
(回答者) 社会学者 上野千鶴子 
「家長」と「主婦」を両方続けますか」


 夫が仕事をしないのは仕事をする理由がないからです。
 あなたが働いて収入があり、育休がとれるような有利な職場におり、家事と育児を一手に引き受けていれば、夫は何もすることがありません。
 たぶんあなたは「家長」と「主婦」の役割を同時に果たしており、その両方がこなせるほど有能な女性のようですね。甘やかされて育った夫は、自分の親に代わる新たな庇護者を、あなたに求めたのではないでしょうか。
 「彼のことは好き」とありますが、彼のどこがよかったのでしょう?  世間知らずの純粋さや甘さ、安きに流れる弱さを含めて愛したのなら。これからもあなたが「家長」と「主婦」の二役を引き受けて、「うちにはもうひとり子どもがいる」と覚悟することですね。
 これまでも、ギャンプル狂いの夫や、極道や芸事に入れこむ夫を、「もうひとりの子ども」と見なして肝っ玉母さんをやってきた女性はいっぱいいるのですから。昔と違うのは、あなたを含めて今時の女は「しかたないわね、男ってそんなもの」と許容できないこと。妻の夫に対する受忍限度は明らかに低下しました。
 あなたは彼に何を期待しているのでしょう? 自分と結婚生活を継続したいなら育児か家事のどちらかか、またはその両方を分担するか、を要求するなら、そういう環境をつくらなければなりません。「子どもを任せる」のもそのひとつ。「心配で任せられない」としたら、あなたにその気がないか、それとも完璧主義で子育ての水準を下げたくないか。他人が自分と同じ能力の高さを持っているとは期待しないことです。任せたら干渉しない。子どもが元気で育ってくれたらそれでよしとすることです。
 もしかしたら現実逃避的で競争を避けたいらしい夫は、あなたよりよい親になるかもしれませんよ。外で闘って帰るあなたにとっても、何よりの癒しになるかもしれませんし、もしそれでも無責任な夫なら、人間的に問題があると見限るべきでしょう。
 それでも「男とはこうあるべし」という期待をあなたがどうしても捨てられないなら、男をみる目がなかった、といさぎよく母子家庭になる方が、この先、扶養家族もストレスも少なくてすむでしょう。
(2009.10.3 朝日新聞)


今までの、上野千鶴子さん回答の「悩みのるつぼ」もいっしょに紹介します。

●「悩みのるつぼ」2~性欲が強くて勉強できません:
上野千鶴子「むずむずしたら自分でほぐしましょう」(2009.8.5)


●妻の体に触れたいのに(66歳男性)/
性欲?関係欲?「触れたい欲」?(上野千鶴子さん)(2009.9.9)<


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話しは変わりますが、
性犯罪に関する裁判員裁判の記事は、毎日新聞も精力的に書いていますが、
10月の始めに、朝日新聞に二つの提言がつづいて載りました。

ひとつは、10月3日の性犯罪被害当事者の小林美佳さんの、
「性犯罪の法廷 専門裁判所は作れないか」。

2009.10.3 朝日新聞

10月1日には、弁護士で犯罪被害者学の専門家の守屋典子さん(常盤大学大学院准教授)の
「裁判員裁判 性犯罪被害者には選択権を」が載りました。


2009.10.1 朝日新聞

webには出ていないのが、ザンネンです。

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再放送!「しのびよる貧困 子どもを救えるか」NHK/失業者支援、幅広く 『新たな安全網』整う

2009-10-06 11:51:14 | ほん/新聞/ニュース
大きく育ったシソは穂紫蘇になりましたが、
  
バジルの白い花はまだ咲いています。
  

一昨日の2009年10月4日(日)夜9時から、NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシスVol.3」
「しのびよる貧困 子どもを救えるか」を見ました。

再放送は、10月7日(水) 午前0時45分~2時13分(6日深夜)NHK総合
で予定されていますので、深夜ですが、見逃した方は是非ご覧ください。、

セーフティーネット・クライシス vol.3
しのびよる貧困 子どもを救えるか


経済危機が深刻化する中、大量解雇の波は、非正規労働者ばかりか正社員にまで及んでいる。世帯主の失職の影響から、いま「子どもたちのセーフティーネット」が危機に瀕している。
OECDは、日本の「子どもの貧困」が際立って加速していると警告した。給食費や教材費が払えず小中学校への通学も難しくなったり、貧困から高校を中退せざるを得ない子どもが急増している。背景には、日本の社会保障制度が「正社員」を前提に設計されたまま、抜本的な見直しが行われていない点がある。子育て世代に当たる20代~40代の、4割近くが低所得の非正規労働者であるにもかかわらず、子どもの医療費、教育費、住宅費、食費等の負担は、正社員家庭と同じく一律に求められ、貧困に拍車をかけているのだ。
子どもたちの「健全な育ち」を保証する「人生前半の社会保障」を築くには、どのようにセーフティーネットを張り替えていけば良いのか。番組では、日本の子どもたちの現状を検証し、さらにフィンランドなどの先進的な取り組みも紹介しながら、子どもたちのための社会保障・セーフティーネットのあり方について考えていく。
(NHK番組案内より)


大阪の例が出ていたのですが、橋下知事はこの番組を見たのでしょうか。
番組の最後にも触れられていましたが、
政策というものは、10年先の、将来のためにだけあるものではありません。
いまここで、苦しんでいる子どもたちのために、待ったなしの対策をしてほしいものです。

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とうぜんですが、「子どもの貧困」の責任は子ども自身にはなく、
生活の困難や親の失業などが原因になっています。

岐阜支局でお世話になった中日新聞の境田未緒さんが、
生活面で失業者支援の問題を取り上げているので紹介します。

【暮らし】失業者支援、幅広く『新たな安全網』整う
2009年10月1日 中日新聞

 失業し住居も失うなど、生活が困難になった人を支援する国の「新たな安全網」が十月、本格的に動きだす。制度が複雑で、新政権による見直しの可能性があるものの、生活福祉資金(総合支援資金)の利用要件緩和や住宅手当給付など、新制度への期待は大きい。今後も利用者の立場で改善していくことが重要だ。 (境田未緒)

 従来の安全網では、失業したときの支援策は、雇用保険による失業給付だけ。その対象から外れると、「最後の安全網」とされる生活保護に頼るしかなく、派遣労働などで仕事とともに住居を失う事態はそもそも想定外だった。
 こうした状況を受け、国は既に昨年十二月、離職で住まいを失った人に、住宅入居の初期費用などを低利で貸し付ける「就職安定資金融資」をスタート。今年七月には、雇用保険から漏れた人が職業訓練期間中、生活費の給付を受けられる訓練・生活支援給付制度も始めた。十月からは、さらに住宅手当緊急特別措置事業、総合支援資金貸付、臨時特例つなぎ資金貸付が加わる。雇用保険と生活保護の間をつなぐ安全網が整う格好だ。
 「分かりにくく、使いにくい」-。問題なのは、各制度の窓口が、ハローワーク、社会福祉協議会(社協)、福祉事務所などバラバラなこと。支援資金などの貸し付けと給付が入り交じり、複雑との指摘もある。
 例えば、住宅手当緊急特別措置事業。利用する場合は、市町村窓口か福祉事務所で申請するが、給付されるのは家賃のみ。敷金などの費用がなければその後、社協で総合支援資金貸付を申請する。住宅手当は就労意欲があることが条件で、ハローワークに行く必要もある。
 「職も住居も失い、何度も違う窓口に足を運ぶ気力や体力が残っているのか」。「人間らしい労働と生活を求める連絡会議」(通称・生活底上げ会議)が九月、東京都内で開いた集会では、新安全網を歓迎する一方で、相談窓口の一本化を求める声が相次いだ。
 民主党政権の誕生で、制度が変わる可能性も。訓練・生活支援給付の原資は七千億円の緊急人材育成・就職支援基金。新政権は、この基金が、厚生労働省OBが役員に名を連ねる中央職業能力開発協会に交付されたことを問題視し、見直しを表明した。政権公約では、手当付き職業訓練制度の創設を掲げており、類似した新施策が打ち出されそうだ。
 ともかく利用できるものは利用し、生活再建につなげたい。生活底上げ会議の集会で、生活保護問題対策全国会議の尾藤広喜代表幹事は「生活保護を受けるか、新制度を利用するかは、自由な選択が認められなければいけない。制度を大いに使い、改善を求めていきましょう」と呼び掛けた。

住居費の融資や給付など新設
 就職安定資金融資
 解雇や雇い止めで住居を失った人に、住宅入居の初期費用(上限五十万円)、六カ月分の家賃(同三十六万円)、生活・就職活動費(同百万円)を金利1・5%で貸し付ける。一定の要件を満たす就職をした場合、返済の一部免除も。窓口はハローワークなど。
 訓練・生活支援給付
 失業給付の非受給者がハローワークのあっせんで職業訓練を受ける場合、訓練期間中、単身者には月十万円、扶養家族がいる人には月十二万円を給付。ITスキルを習得する三カ月訓練、医療や介護などの六カ月~一年訓練がある。九月一日から、収入などの要件が緩和された。訓練コースのない県もある。窓口はハローワーク。
 住宅手当緊急特別措置事業
 二年以内に離職し、住居を失うか、失う恐れがある人を対象に最長六カ月間、支給。上限は東京二十三区の単身者で月五万三千七百円など地域ごとに設定。窓口は市町村、福祉事務所。
 総合支援資金貸付
 生活福祉資金を大幅に改正し「総合支援資金」を新設。生活再建までの最長一年間、生活支援費(上限は単身世帯月十五万円、二人以上世帯二十万円)を貸し付ける。敷金、礼金などの住宅入居費、債務整理手続きや滞納した公共料金の支払いなどに充てる一時生活再建費もある。原則、連帯保証人が必要だったが、保証人なしでも借りられ、3%だった金利は1・5%に。保証人がある人は無利子になる。窓口は市町村社協。
 臨時特例つなぎ資金貸付
 失業給付や就職安定資金融資などを申請していて、住居がない人に、給付や貸し付けを受けるまでのつなぎとして新設。十万円を限度に無利子で貸し付ける。窓口は市町村社協。


  


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『ファム・ポリティク』に「む・しネット」の紹介/『サイバービア 電脳郊外へ移住する人々』ほか。

2009-10-05 16:35:16 | 「市民派議員塾」「M&T企画 選挙講座」
『ファム・ポリティク(政治的女性)』2009年秋号が届いた。

5月に『市民と政治をつなぐP-WAN」nの説明で上京したときに、
発行人の田中喜美子さんから「む・しネット」のことを紹介したいからと、
インタビューを受けていたもの。やっとかたちになった。

     
 『ファム・ポリティク(政治的女性)』2009年秋号
ファム・ポリティク編集部(田中喜美子)2009.9.25発行


インタビューはかなり長時間に及んだのだけど、原稿のやり取りは、
メール(添付ファイル)ではなくて、FAXだったので手間がかかった上に、
わたしがプライベートなことを書かないでほしいと注文をつけて、
印刷発行のタイムリミットぎりぎりまで直しを入れた。

ということもあって、
確定稿を見てないし、テキストが手元にないので画像で紹介します。

 

関心のある方は、記事を拡大してお読みください。

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話しは変わりますが、

『市民と政治をつなぐ P-WAN」サイトの実務(と事務局)を引き受けたこともあって、
このところ、インターネット関連の新刊本を立て続けに読んだ。

『デジタルネイティブが世界を変える』
(ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳) /翔泳社 /2009/5/14)

『ザ・グーグルウェイ グーグルを成功へ導いた型破りな戦略』
(ベルナール・ジラール (著), 三角和代 (翻訳), 山下理恵子 (翻訳)/
ゴマブックス (2009/4/27) )
『ポスト・プライバシー』
(阪本俊生著/青弓者/2009年01月)

なかでも、おもしろかったのが、『サイバービア 電脳郊外へ移住する人々』。
    
 『サイバービア 電脳郊外へ移住する人々』
(ジェイムス・ハーキン著・吉田晋治訳/NHK出版/2009)
出版社/著者からの内容紹介
Google, mixi, FACEBOOK, twitterなど華々しく話題をさらっていくネット空間の新プラットフォームの影で、ネット社会の郊外=サイバービアへの集団大移動が始まっています。そこは物語もなければ始まりや終わりもない場所で(非線形性)、つねに様々なできごとが同時進行で起こっており(多重性)、正のフィードバックによって偏った一部のコンテンツだけがますます注目を集めることになり、マイミクやフォロワーといったそこで暮らす人びと同士の《弱い紐帯》は、ネットワークそのものに利用され、その力にすっかり凌駕されています(ネットワーク効果)。
 なぜ電脳郊外への移住が始まったのでしょう? ── その答えはまさにサイバービアの成立過程【サイバネティックス→サイバースペース→サイバービア】の中にあります。無限に続く情報ループに身を投じ、あらゆる情報に反応してそのフィードバックに身を委ねるサイバネティクスの設計思想は、第二次世界大戦から60年あまりの時を経て、Web2.0時代のわたしたちを規定しています。本書はこのサイバービアの実体に迫った一冊です。

<目次>
 序文
 はじめに
 第1章 ループ
 第2章 仲間
 第3章 つながり
 第4章 ネットワーク効果
 第5章 仲間の圧力
 第6章 非線形
 第7章 多重性
 第8章 フィードバック
 第9章 ネットワーク障害
 あとがき ループのループ
 謝辞 訳者あとがき
 



ちょうど、日曜日の朝日新聞に書評が出ていたのだけれど、
webにアップされてないので、他の書評を紹介します。

かくいうわたしも、pcを持ち歩き、すぐにネット検索するので、
すでに「サイバービア」の住人、なんだろう、か?(笑)。

【書評】『サイバービア』ジェイムス・ハーキン著、吉田晋治訳
2009.9.6 12:31 産経新聞

 本書『サイバービア』を知った時、最初は、サイバー時代の楽園状況を解いた「サイバーピア」なのかと思った。しかし、よく見ると「サイバービア」であり、由来は「ユートピア」ではなく「サバービア」、つまり「郊外」なのだと理解できた。
 サイバーとは第二次大戦直後にアメリカの数学者ウィーナーによって提唱された「機械と生物を含む系の制御・通信などを扱う総合的な情報科学」(大辞林より)である「サイバネティックス」(電脳工学)が出自であり、いまや第2の世界ともいうべき「電脳社会」を予告した言葉だった。
 そして、サイバネティックスは、その後、コンピューター通信やインターネットなどの登場、普及により、「サイバースペース」(電脳空間)に、バーチャルリアリティー(仮想現実)を加えて、実生活空間と大して違わない現実感を持つ新しい世界の状況へと進んだ。その結果登場したSNS(ソーシャル・ネットワーク・サイト※サービスともいわれる)や動画サイトなど、電脳社会の多彩化、多重化により、人々は、いまや、電脳空間の郊外、つまり「サイバービア」に移住し始めていると説いている。
 この「郊外」という表現には、実空間の郊外化が、交通手段の利便の向上により、中心部に住まなくても十分に生活ができることと重ねられており、情報においても、オンライン状況という交通手段により郊外に移住することを望むネットワーカーが増えていることを説明している。
 いま日本でも、ブログ、ミクシィ、セカンドライフ、ツイッターなど変化し続ける電脳社会と深く付き合い、いまやそのものがない生活など考えられないほどの関係になりながら、しかし、一方ではそうした生活に疲れを覚え始める日本人が増えてきている。その最大の理由が、本書が説く「電脳郊外」なのだ。大きな物語もなく、扱いきれないほどの複数の状況が同時進行で動き、弱い結び付きながら、しかし、それゆえ決して無視できない関係に縛られているあなたは、いったい何人のマイミクをお持ちなのだろうか。(NHK出版・1680円)
 評・林光(社会評論家)
(2009.9.6 12:31 産経新聞)



『サイバービア 電脳郊外が“あなた”を変える』の感想
ネット生活を客観的に見つめなおすことができる興味深い1冊。

御厨一葉 2009/09/07 janjan

 インターネットや携帯電話を使わない社会生活は今やほとんど考えられないほど、それらは人々の間に浸透している。今や業務連絡も、買い物も、ちょっとした暇つぶしのおしゃべりすらも、全てインターネットの中で済ますことができる。そしていつのまにか、子育てや医療相談、結婚の相手探し、政治活動といった、生活に大きくかかわるような話もネット上で行われるようになった。
 実生活では絶対に出会えないような人間が、たまたま目にした興味のある質問に、家族や親戚以上に親身になって助言してくれる。一方で、何の根拠もない噂が広まると、一般生活では大人しい人物が、他人のブログに暴力的な書き込みを執拗に繰り返す事もある。
 ネットは、もはや実生活とは全く違う別の顔を持った人間たちが、セカンドライフを送る場になった。その場所は「サイバービア」と呼ばれている。「サイバービア(電脳郊外)」は「サイバネティックス(電脳工学)」と「サバービア(郊外)」を組み合わせた造語である。
 サイバービアに移住した人々は、自由気ままに興味のある出来事だけに、無数に関わりを持ち続けることができる。その一方でその関わりを維持するために、日長一日メールを読み、ブログに書き込み、チャットし、その合間に仕事を片付けるような、本末転倒の暮らしを続けるようになる。電子情報のループに囚われた人間の多くは、目の前のタスクをこなすのに精一杯で、自分は一体何をやりたいのか、どうすればいいのか当惑し、その生活に時折空しさを感じている。
 本書は身の回りのデジタル機器が、どのように私たちの精神や歴史に変化を与えてきたかということを、著者独特の視点と調査で纏めた歴史書である。現在のネット生活を支える情報技術は、3人のキーマンに受け継がれて発展した。
 まず、1940年代の第二次世界大戦時にナチスのミサイル攻撃を防ぐ目的で、サイバネティックス理論を興したノーバート・ウィーナー。常に変化し続ける情報を、絶えずフィードバックすることで、敵ミサイルの進路を妨害するという、新しいアプローチの仕方を開発した。この理論は、人間とデジタルデバイスの関係を大きく変える発端となった。
 戦後に、政府に対して反骨精神を燃やしたヒッピー達が支持した「ホール・アース・カタログ」の編集者であるスチュアート・ブランド。彼やヒッピー達のカウンターカルチャーを通じた交流は、「お上」からの情報を得るだけでなく、個人からの積極的な情報発信により、誰にもコントロールされない自律的なコミュニティーを作るという、ネット社会の基盤と精神を構築した。
 その後80年から90年に最盛期を迎えた、元ヒッピーによるコンピュータとネット業界による新たな経済構造の構築と株の暴落による衰退。一見アナーキーに見えるネット社会について、メディアの内容が問題なのではなく、人々がどのようにメディアに接しているのかが重要だと、文学者のマーシャル・マクルーハンは主張した。
 読み始めは冗長で退屈だったが、読み進むに従い、サイバネティックスの歴史と、ネット社会で人間に及ぼす様々な現象が非常にわかりやすく纏められていて、どんどん面白さが増していった。
 著者のジェイムズ・ハーキンは、サイバービアという第二の生活にドップリと浸かっているからといって、人々の生活の質が脅かされていると警鐘を鳴らそうとしている訳ではない。むしろネット社会でのみ可能な、「完全に対等な立場で」他人と関わることができる社会の実現に向けての希望を語っている。その理想と現実の狭間に広がるサイバービアが、単なるネット上の仮想生活だけではなく、ものすごいスピードで現実生活と重なってきているのだ。
 私達のネット生活を客観的に見つめなおすことができる、大変興味深い1冊だった。ネット生活に少々疲れを感じている人にオススメだ。



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萩三種~江戸絞り・飛鳥野萩・白萩/秋明菊・ハドスペン/斑入りヤブラン

2009-10-04 17:05:33 | 花/美しいもの
秋風に揺れるやさしい花といえば萩。

山歩きをすると、赤い小花のマルバハギの群生に出会います。
 

    

わが家の庭にある萩は、手前の江戸絞りと飛鳥野萩、奥に見える白花萩の三種。
大きな株でたくさん花をつけますが先日の雨でだいぶ散ってしまいました。
     

    
    江戸絞り     白花萩      飛鳥野萩     
    
   

  

萩の下に咲く斑入りヤブラン。
   

  

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こちらは、おなじみの「秋明菊・ハドスペン」。
   

  

白花の秋明菊がポピュラーで、ハドスペンは増やしにくいそうですが、
わが家では、毎年、こぼれ種で増えています。
   

    

   
清楚でユーモラスでかわいくて、秋明菊が大好きです。

ポピュラーな白花の秋明菊もほしくて、先日花木センターで苗を買ってきました。
   

久しぶりに、おはなの話題でした。

庭には秋の花が、まだたくさん咲き続けています。

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中秋の名月を撮る/赤い月と白い月

2009-10-04 00:40:45 | 花/美しいもの
「中秋の名月」を撮りました。

東の空に、赤い月がのぼりました。




11時半ごろ。そらの真上の月。
うすい雲が流れて、幻想的なうつくしさです。


10月4日、0時頃。雲の切れ間の白い月。
赤い月と白い月、どちらもまん丸できれいな月です。


あきかぜに たなびくくもの たえまより 
もれいづる つきの かげのさやけさ
            左京大夫顕輔


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化学物質過敏症:治療に保険適用/シックハウス症候群:初の画期的な賠償判決

2009-10-03 16:42:55 | 健康/くらし/薪ストーブetc
ひさしぶりの快晴、天高く馬肥える秋。
澄んだ空気がさわやかで、まどを開け放して仕事をしている。
今夜は「中秋の名月」、十五夜お月さまが見られそうで楽しみ。

利平栗をまたいただいたので、朝から栗きんとんをつくった。
今年二度目なので、加減もわかって、慣れてきた。
栗は蒸すと時間がかかるので、今回は圧力鍋で30分ほどかけて茹で栗にした。
鬼皮までやわらかいので、いっしゅん、「渋皮煮」にしようかと思ったけれど、
手間がかかって一日かかるので、やはり、栗きんとんをつくることにした。

今回の栗は、茹でてあるので、半分に切ってスプーンですくうのも楽。
実離れがよいので、前回の半分くらいの時間で、倍くらいの量ができた。

茶巾絞りにするより、トレーに入れて冷凍するほうが場所ももとらないので、
卵豆腐をつくる容器に、つぶして甘みをつけた栗きんとんを詰めていく。
スプーンで平らにならして、切り目を入れてそのまま冷凍庫へ直行。
  
↑1時間ほど凍らせた栗きんとんです。
半冷凍でたべるのも、栗アイスみたいで、うーんけっこうおいしい。
有名店の栗きんとんにも負けない味、とひそかに思っている。
なんといっても材料が「幻の利平栗」だもん、ね。

廊下から外を見ると、樫の木の下で夏越ししたデンファレに花が咲いている。
  

    

水引も今が盛りです。
 
庭に出て、萩や秋明菊など、お花をたくさん撮ったのですが、
字数がいっぱいなので、次の記事で紹介しますね。

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今朝の中日新聞に、今月から、化学物質過敏症治療に保険が適用されると載っていた。

わたし自身も若い頃から、化学物質過敏症だと思っていたし、
知人は、はやくから化学物質過敏症のことを知らせる運動をしていたけれど、
なかなか周りの理解が得られず、変人扱い。
一昔前まで、アレルギーも化学物質過敏症も、気のせいと言われていた。
その頃に比べると、時代がかわった、と感慨深い思いだ。

とはいえ、専門医でなければよく知らない化学物質過敏症の診断と治療が難しいことは変わらない。
わたしの経験からいえば、一人ひとりが、生活の中の化学物質を見直す努力をして、
社会全体から少しでも化学物質を減らすことが、地道だけど症状を軽くする近道なのだと思う。

【暮らし】数少ない専門医に負担 化学物質過敏症 治療に保険適用 今月から
2009年10月3日 中日新聞

 微量の化学物質に触れるだけで心身に支障をきたす化学物質過敏症。病気に悩む人たちが安心して暮らせるようにと、さまざまな支援が進んでいる。十月からは治療への健康保険適用も始まり、社会の理解がさらに深まればと期待する関係者は多い。国内の患者は少なくとも七十万人。患者救済の道は広がるだろうか。 (福沢英里)
 体内に有害な化学物質が蓄積し許容量を超えると、一般には問題ないとされる濃度の化学物質にも体が敏感に反応し、体調を崩す。こんな症状が出るのが化学物質過敏症だ。具体的には、けん怠感やいらいら、目まい、頭痛、食欲不振、湿疹(しっしん)、更年期障害に似た症状になってあらわれる。
 血液検査で明確な反応があり、目や鼻などに特有の症状が出るアレルギー症状と違い、自律神経の異常のため、血液を検査しても異常はみられない。同じ化学物質が原因でも、人によって下痢だったり、頭痛だったりと症状が違い見極めが難しい。診断する医師には、複合的な原因に対応できる技量が求められる。
 十月から「化学物質過敏症」の治療で健康保険が使えるようになったが、「患者が喜べるような環境とはとても言えない」と話すのは宮田幹夫北里大名誉教授。化学物質が極力出ない壁や床など設備維持の負担が大きくて採算が合わず、東京都内の専門施設の閉鎖が続いているからだ。その流れを食い止める決意で、宮田教授は今年六月、専用外来「そよ風クリニック」=杉並区=を開設した。
 重くのしかかる設備維持費に加え、診察でも問診や検査に時間がかかり新規患者を一日六人診るのがやっとで、収益性は低い。「内科医でも一日に三十人は診療している現状で、医者の理解がどこまで得られるのか」と、将来の診療体制に不安を抱く。
 宮田教授が診療してきた北里研究所病院(東京都)のほか、国立病院機構相模原病院(神奈川県)、関西労災病院(兵庫県)、ふくずみアレルギー科(大阪府)といった診療施設が首都圏や関西を中心にあるが、絶対数が少ない。
 宮田教授は「健康保険適用でようやく出発点。いまは健康な人もこの病気を知り、化学物質を減らす生活を心掛けてほしい」と話す。

◆肌にやさしい綿製品を通販 
 農薬や化学肥料を使わない有機栽培綿「オーガニックコットン」で衣料品をつくるメーカーなど六十社で組織するNPO法人「日本オーガニックコットン流通機構(NOC)」(千代田区)は六月からホームページ上で販売を始めた。加盟各社の商品から、患者にとって望ましい肌着やパジャマ、帽子、寝具など八十点を厳選した。漂白や染色といった化学的処理を一切していない商品ばかりだ。
 パソコンの電磁波に反応する患者も多いため、上質紙のカタログも用意し、八月から配布している。カタログ希望者は、NOC事務局=電03(3526)6616=へ問い合わせを。
 NPO法人「化学物質過敏症支援センター」(横浜市)は安全な食品や日用品を紹介する冊子を今月中に発行する。患者が必要な物を選ぶ際の目安となるよう、最新の情報を盛り込んでいる。


化学物質過敏症の人は、住まいのなかの化学物質にも反応して
「シックハウス症候群」を起こす。
1日、東京地裁がはじめて、化学物質過敏症の健康被害を認定して、
マンションの賠償契約解除と賠償を認める、初めての、画期的な判決を言い渡した。
これをきっかけに、
「化学物質過敏症」や「シックハウス症候群」の認識が広まってほしいものだ。

シックハウス症候群:賠償判決 震える声「生活変わらぬ」 健康被害、ローン返済今も
2009.10.2 毎日新聞

 「うれしいが生活は変わらない」。1日、東京地裁のシックハウス訴訟で勝訴したイラストレーター、岡谷貞子(おかやていこ)さん(48)は震える声で訴えた。健康被害を認定した初めての判決に、専門家からは「画期的だ」と評価する声が上がった。
 岡谷さんがマンションを購入したのは00年1月。7月に入居するとすぐに息苦しさや異臭を感じた。02年4月以降は動体視力が落ち下痢にも悩まされるようになった。自治体の発行するパンフレットなどにイラストを描き生計を立てていたが、その後、倦怠(けんたい)感や痛みからペンを握ることもできなくなり、収入がほとんどなくなった。02年12月、やむを得ず転居したが、欠陥マンションのため売却も不可能。毎月約7万円のローンが重くのしかかり、弟に支払ってもらっている。
 岡谷さんはほこりを吸い込むとせきが止まらなくなるため、帽子にマスク、手袋姿で会見に臨み「外見上は分かりにくいので、理解してもらえないのがつらい」と話した。
 代理人の竹沢克己弁護士は「シックハウス症候群の患者は仕事さえ手につかなくなって収入を失い、経済的にも深刻な被害を受ける。判決を機に国が対策に乗り出すべきだ」と指摘する。
 シックハウスを巡っては東京地裁が05年12月、売買契約済みのマンションについて「ホルムアルデヒドの濃度が国の指針値を超えていた」として、売買契約解除と賠償を認める初めての判決を言い渡している。しかし実際に生じた健康被害との因果関係を認めた判断はこれまでなかった。
 シックハウス問題に詳しい関根幹雄弁護士は「非常に画期的な判決。同種訴訟で敗訴しそうになると、和解に持ち込み公表を避ける業者が多いので、勝訴判決は珍しい。業者の不法行為(ずさんな説明)やシックハウスのみならず化学物質過敏症の健康被害を認定したのも初めてだろう」と述べた。【伊藤一郎】
毎日新聞 2009年10月2日 東京朝刊



「購入マンションでシックハウス」被害者勝訴
(2009年10月1日22時03分 読売新聞)

 購入した新築マンションでシックハウス症候群になり、健康被害を受けたとして、神奈川県平塚市のイラストレーター岡谷貞子さん(48)が、マンション分譲のダイア建設(横浜市、民事再生中)に約8790万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、東京地裁であった。
 酒井良介裁判官は、完成後に化学物質の濃度測定を行わなかった過失があったとし、同社に約3660万円の賠償責任があることを認めた。
 判決によると、岡谷さんは2000年7月、横浜市内のマンションに入居したが、数日後には頭痛などに悩まされ、02年6月に化学物質過敏症と診断された。同年12月に転居したが、現在も症状が続いている。
 同社は民事再生中のため、債権者への配当は現段階で6%にとどまる。岡谷さんは判決後、東京・霞が関で、症状を抑えるための帽子とマスク姿で記者会見に臨み、「生活が変わるわけではないが、被害者の訴えを受け止めてもらえうれしい」と話した。
 ダイア建設の話「判決文を見ていないので、コメントを控えさせていただきたい」
(2009年10月1日22時03分 読売新聞)



夕陽をあびるデンファレ。

月はもう出ているかしら。

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