みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

携帯電話の電磁波に発がん性!? WHOの組織「国際がん研究機関(IARC)」が発がんの可能性指摘

2011-07-21 12:26:48 | ほん/新聞/ニュース
台風一過の青空、ということもなく、ぐずついたお天気。
朝から二杯も洗濯してしまったので、とりあえず、外に干しておいた。

牛のえさの稲わらが放射性セシウムで汚染されていたという問題は、
全国に広がって、岐阜県でも高山市の生産者が宮城県から買い入れた稲わらを飛騨牛に食べさせていたとのこと。
汚染の牛肉は販売されて、とっくに消費者のお腹の中に入ったらしい。

これらは、とうぜん予想されたこと。
放射能の広がり方や、生体濃縮のことをちゃんと知ってないと、「まさか稲わらまで」ということになる。
チェルノブイリでも、汚染された牛乳が乳糖に加工されて他の国に転売されていた、ということがあって、
10年くらいは、ヨーロッパのチーズやクッキーなどを食べなかった覚えがある。
もっともわたしは、91年のフランスの核実験に抗議して、
フランスワインもボイコットしていたけどね。

牛や大きな魚などよりは、食物連鎖の下位にあるものの方が、
生体濃縮の割合は低いので、当面は、産地の分かった鶏肉でも食べようと思っている。
ちなみに、
稲わらは食べられないけれど、穀物や草を家畜に食べさせるよりは、植物を人が食べたほうがよい。
ということで、今年の夏は、畑で採れた野菜をもっぱら食べている。
そういえばチェルノブイリ原発事故の後も、自衛のためにながいこと玄米菜食をしてたことを思い出した。

放射能だけでも心配なのに、「電磁波は人に対して発がん性をもつ可能性がある」との評価結果が発表された。
前から言われていたので、できるだけ耳から離して使っているのだけど、
この記事を見てからは、できるだけ固定電話で話すようにしている。

電話を変えるよりは、そもそも、長電話しないことが必要なんだけど・・ネ(笑)。

携帯電話:発がん性は WHOの組織、可能性指摘 

 ◇一部脳腫瘍リスク上昇 不明多く「念のため控えめに」 
 携帯電話から出る電磁波とがん発症との関係を調べていた世界保健機関(WHO)の付属組織「国際がん研究機関(IARC)」が、「電磁波は人に対して発がん性をもつ可能性がある」との評価結果を5月末に公表した。WHOの組織が携帯電話に関し発がん性を指摘したのは初となる。携帯電話の契約数は世界で50億と推定され、今や多くの人の生活に欠かせない存在。IARCの結果をどう受け止めたらよいだろうか。【下桐実雅子、小島正美】

 評価結果は、14カ国31人の専門家グループが、世界各国の研究報告を分析して導き出した。特に重視されたのが、昨年まとまった世界最大規模の調査「インターフォン研究」だ。同研究は日本や英国、フランスなど13カ国で00~04年に診断された脳腫瘍患者と、年齢や生活状況がよく似た健康な人のそれぞれ約5000人について、携帯電話の使用歴を比較した。
 その結果では、携帯電話の使用が脳腫瘍発症のリスクを上昇させると示す証拠は得られなかった。むしろ携帯電話の使用者は非使用者よりもわずかにリスクは低かった。
 ただ、脳腫瘍の一つである悪性の「神経膠腫(こうしゅ)」に限って見ると、累積通話時間を10段階に分けたうちの最長グループ(1640時間以上。例えば毎日平均30分、10年間使用)では、非使用者に比べて発症リスクが1・4倍に上り、40%のリスク上昇を示した。
 携帯電磁波と脳腫瘍の関連については否定する研究結果も多いが、スウェーデンの研究でも「携帯電話の累積使用が2000時間を超えると神経膠腫のリスクが3・2倍に上昇した」との結果があったという。
 また、脳腫瘍のうち耳にできる「聴神経鞘腫(しょうしゅ)」については、日本の研究グループの分析結果で、1日20分以上通話した人に約3倍のリスク上昇がみられた。
 IARCは、こうした調査や動物実験の結果などを総合的に判断し、神経膠腫と聴神経鞘腫については「発がん性の限定的な証拠」があると評価。白血病などその他のがんについては「証拠は不十分」とした。そのうえで、携帯電磁波の発がん性を5段階評価で「2B」(表参照)に分類。2Bは人での証拠が限定的で、動物実験での証拠も不十分な場合に適用され、コーヒーと同じ分類に入る。
 IARCの幹部は「長期で頻繁な使用について、さらに研究することが重要だ」とし、「それまでは、携帯メールや(電話を頭部に接触させない)ハンズフリーキットを使用するなどの対策が有効」と述べている。
     *
 一方、これらの研究は聞き取り調査に基づくため、統計上の偏りがある、との指摘も多い。日本の国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの津金昌一郎・予防研究部長によると、今回の結論に至った主な調査は、脳腫瘍になった人とならなかった人を対象に、過去にさかのぼって通話時間を思い出してもらうもの。だが、この種の調査では、脳腫瘍になった人の方が通話時間を長く見積もる傾向があるという。
 実際、脳腫瘍患者の累積通話時間が最長のグループの210人のうち、10人は「1日12時間以上」というありそうにない使用状況を報告したが、対照になる健康な154人に、こうした例はなかった。
 津金さんは「電磁波ががんを起こす詳しいメカニズムは分かっていない。今回のIARCの評価結果は携帯電話使用に対する予防的な警告の意味も含まれるのではないか」と話し、現時点ではそれほど恐れるリスクではないとする。
 また、電磁波などの科学的な情報を提供する「電磁界情報センター」の大久保千代次所長は「IARCの評価はあくまで第1ステップで、WHOによる健康リスクの総合評価がまとまるには数年かかる。また、米国では06年までの約20年間で、携帯電話の使用者が急増しているのに、脳腫瘍の罹患(りかん)率は変わっていない。英国やスウェーデンも同じだ」と説明する。
     *
 世界各国はIARCの評価結果公表直後、相次ぎ見解を発表した。ドイツ連邦放射線防護局は「長期的な影響や子どもへの影響については可能性を排除できない」とし、「念のため浴びる量を減らすことが適切」と指摘。スウェーデン放射線安全機関も、通話中は電話機を体から離すことを勧め「使用時間が長い人や若者は特に重要」と助言する。日本では総務省電波環境課が「過去の日本の研究では影響はないとの結果だったがIARCの評価結果は真摯(しんし)に受け止めたい」と話す。
 インターフォン研究は30代以上の成人が対象だ。子どもへの影響については、国際的な大規模調査が始まっているが、答えはまだ出ていない。国立がん研究センターは「電磁波のエネルギーの脳への影響は、子どもは成人の2倍以上という報告もある。小中高生の携帯電話の使い過ぎには注意すべきだ」とする。
 大久保さんも「通信状態が悪い場所では携帯から通常より強い電波が出る。心配な人はそうした場所での使用を避けたり、通話よりメールを使うようにした方がよい」と話す。
==============

 ◇神経膠腫と聴神経鞘腫
 世界や日本での脳腫瘍の発症率は人口10万人当たり14~20人。神経膠腫は、神経細胞の周りにあって神経細胞の働きを支えているグリア細胞(膠細胞ともいう)にできる悪性の腫瘍で、脳腫瘍の約2~3割を占める。聴神経鞘腫(しょうしゅ)は、神経を包む膜や鞘の細胞にできる良性の腫瘍で、脳腫瘍の約1割を占め、40~60代の女性に多い。 



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。


 携帯の電磁波と発がん性 WHO評価には時間  
2011/7/10付 日本経済新聞

世界保健機関(WHO)が5月、携帯電話から出る電磁波に「発がん性があるかもしれない」という評価を下した。発がんのリスクはコーヒーや自動車の排ガスと同じ程度。ただ証拠は限定的で、WHOは今後、多角的に調査を続け、4年以上かけて総合評価をまとめるとみられる。
コーヒーと同分類
 評価をまとめたのは、国際がん研究機関(IARC)のタスク会議。同会議は携帯電話と脳腫瘍(神経こう腫、聴神経そう腫)に関する疫学研究、動物実験の結果から、携帯電話が出す電磁波の発がん性を「2B」と評価した。これは危険性を示す5つのランクのうち上から3番目。コーヒーや鉛、ガソリン自動車の排ガスと同程度のリスクだ。
 WHOは欧米で電磁波の健康影響が指摘されたのを受け、1996年から調査を始めた。疫学の分野では約1万人を対象に日本や英、仏、独など13カ国が参加した国際研究と、スウェーデンが独自に実施した成果を採用した。携帯電話の累積通話時間と神経こう腫の発症率を比較。通話時間が1640時間未満の場合は発症率は増えなかったが、それ以上では1.4倍高くなった。スウェーデンの研究でも通話時間が長くなるほど発症率が増加。2000時間以上通話した場合、携帯を使わないグループに比べて3.2倍も高くなった。
 同会議では疫学の結果からは、携帯電話が出す2ギガ(ギガは10億)ヘルツの周波数帯の電磁波に長時間さらされると、神経こう腫の発症につながるかもしれないと判断した。・・・・(以下略)・・・


これを受けて総務省が、市民向けの説明会を開催する。
参加費無料で、申込期限は明日平成23年7月22日(金)。
わたしは行けないけれど、まだ間に合うので、関心のある方はぜひ聞いてきてください。

 電波の安全性に関する説明会の開催
-国際がん研究機関の電波の発がん性評価を中心に-(総務省)


総務省は、厚生労働省の協力を得て、平成23年8月1日(月)13:00からKFCホール(東京・両国)において、「電波の安全性に関する説明会」を下記のとおり開催します。
 世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)が、先月31日、携帯電話等に用いられる電波の発がん性評価として、携帯電話の使用について、「人に対して発がん性があるかもしれない」と発表しました。
 本件に関連して、電波について正しい知識を身につけていただくために、総務省では一般の方を対象に「電波の安全性に関する説明会」を開催します。当該説明会では、携帯電話等の電波による健康影響や国内外のがんの発生トレンド等について、WHO及びIARCの健康リスク評価に携わった経験のある専門家の方にわかりやすく説明いただきますので、多くの皆様に御参加いただきたく、御案内申し上げます。
                                 記

1.日時    平成23年8月1日(月)13:00~16:30(予定)
         (受付開始12時30分)
2.場所    KFCホール
         東京都墨田区横網一丁目6番1号国際ファッションセンタービル 3階
3.主催    総務省
4.後援    厚生労働省(予定)
5.講演内容(予定)
(1) 電波と安全な暮らし
       総務省 総合通信基盤局 電波部長 吉田 靖
  (2) 調整中(厚生労働省からの推薦)
  (3) 電波の発がん性評価と生体電磁環境研究の動向について
       京都大学 生存圏研究所 特定教授 宮越 順二 氏
           (電磁波に関するIARCの専門委員会ワーキングメンバーとして評価に
            携わるなど、国際機関等における電磁波の影響評価に従事)
  (4) WHO国際電磁界プロジェクトと電波の健康リスクについて
       一般財団法人電気安全環境研究所 電磁界情報センター 所長 大久保 千代次 氏
            (WHO放射線・環境衛生ユニットサイエンティストを歴任するなど、
            電磁波の健康リスクに関する研究に従事。明治薬科大学客員教授)
6.定員    240名
7.参加費   無料
8.申込方法
(1) 参加御希望の方は、別紙の申込用紙に必要事項を記入の上、以下の申込先にFAX
     又は電子メールにてお申し込みください。
     申込み先: 総務省 関東総合通信局 電波監理部 電波利用環境課
      FAX番号: 03-6238-1809
   メールアドレス: info-kankyoka/atmark/soumu.go.jp
         注 このメールアドレスには迷惑メール防止対策を施しています。
           使用の際は、/atmark/を、@に置きかえてください。
  (2) 申込期限:  平成23年7月22日(金) 



最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福島第1原発事故 工程表ステップ2へ 安定へ予断許さず/避難住民に道筋示せ/ステップ2、課題山積

2011-07-20 20:13:29 | 地震・原発・災害
朝から台風6号からの雨。

胃(食道~十二指腸)の内視鏡と腹部エコーの検査の予約日なので、
雨のなか、岐阜赤十字病院に行ってきました。
早めについたのですが、腹部エコーもすいすい、スタッフも親切。

胆のうポリープは、今年も女性の技師では見つけられなくて、
ベテランの男性に交代して無事発見。
「見つからないほど小さいものだから大丈夫ですよ」。

胃カメラの検査をしてくださるのは、放射線科の部長。
今年度から鼻からの内視鏡が導入されたとかかりつけ医に聞いたので、
こちらを希望する旨、紹介状に書いていただきました。
鼻から器具を入れる前に、のどの奥にゼリー状の麻酔薬を含み、
胃の働きを抑える筋肉注射。

ここまでは口からと同じで、鼻からの場合は、鼻の奥にも麻酔をします。
まず鼻の穴に粘膜を拡張するスプレーをして、待つこと5分。
まだ件数が少ないのか、部長みずからチューブを手にやってきました。
両方の鼻の穴に麻酔薬のついた管を入れ、鼻から垂れてる姿は、
通る看護士さんだけでなく、想像しただけで自分でも吹き出しそうです。
「写真を撮りたい」といったのですが、却下(笑)。

鼻の奥が狭い(穴が狭い)ということで、胃カメラの管を入れるとき少し痛かったのですが、
口からに変更されると困るので「だいじょうぶ」と我慢しました。
入ってしまえば口からよりは苦しくないし、画像を見ながら話しも出来ます。
20分ほどで無事終わり、丁寧な画像の説明。

ワイパーをマックスにしても前が見えないほどの土砂降りの雨の中、
お腹を減らせて帰ってきました。

帰って朝刊各紙を読むと、福島第1原発事故で「ステップ1の目標は達成」して、
「ステップ2」への改訂版の工程表が発表された記事。

ちょうど区切りだし、毎日新聞が事故からの経過や今後の課題など詳しく書いているので、
備忘録がてら、アップします。
ちょっと長いのですが、関心のある方はお読みになってください。

  福島第1原発、プール燃料回収着手へ 政府、工程表改定  

 福島第1原発の事故で、政府と東京電力は19日、事故収束に向けた道筋を示す工程表の改定版を発表した。この3カ月間で実現するとした、原子炉の安定的冷却などステップ1の目標は「達成」と総括。来年1月までのステップ2では、1~4号機のプールから使用済み核燃料の取り出し準備を進め、今後3年程度の間に取り出しを始めることを新たに盛り込んだ。
 ステップ2では、原子炉の温度を100度未満に維持する「冷温停止」も大きな目標。
 大量の高濃度汚染水を浄化し原子炉の冷却水に再利用する「循環式冷却」を安定させ、冷温停止を早期に実現し、今後3~6カ月程度で警戒区域や計画的避難区域などの解除の検討や実施を始める。
 2、3号機の使用済み核燃料プールは安定的に冷却中で、1、4号機でも8月上旬には冷却装置が稼働する予定だが、未使用と使用済みを合わせて3108体もの核燃料が入っている。

 これらを事故現場からなくすことも収束に向けた柱。1号機では建屋カバーの建設が進み、2号機では建屋が健全なことから、まずは水素爆発で原子炉建屋の上部が吹き飛んだ3、4号機のプール周辺のがれき撤去を優先して進める。
 政府内では、溶融した核燃料取り出しにも「10年後から開始」という目標を検討しているが今回の工程表には盛り込まれなかった。
 建屋地下からの汚染水漏えい防止も重要な部分で、政府と東電は地下30メートルに達する遮水壁の建設を検討してきたが、具体的な設計と建設着手をステップ2の期間中に前倒しで進めるとしている。
 菅直人首相は原子力災害対策本部の会合で「ステップ1」の評価に「かなりの部分で進捗(しんちょく)が見られ、一部では予定を超えた進捗が見られた」と述べた。
(2011年7月20日 中日新聞)


応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

社説:原発工程表 避難住民に道筋示せ 

東京電力福島第1原発の事故収束に向けた工程表が公表されて3カ月。政府と東電は「ステップ1」の目標がほぼ達成できたとの見解を公表した。
 たしかに、汚染水を浄化して炉心に戻す「循環注水冷却システム」は動き始めた。以前のように炉心を冷やす水がそのまま汚染水となって漏れ続ける状況にはない。使用済み核燃料プールの冷却もある程度めどがついた。
 しかし、現時点の循環冷却システムは急ごしらえの「仮設」である。原子炉建屋やタービン建屋など、本来なら炉心に触れた水があってはならない場所までシステムの一部とする苦肉の策だ。たびたび水漏れなどのトラブルを起こし、処理能力も当初の見込みを下回っている。
 現時点ではやむをえないとしても、将来もこのままでいいとは思えない。持続可能な中長期冷却システムの構築を今からよく検討することが重要だ。
 そのためには破損している原子炉格納容器などの補修も考慮する必要があるだろう。作業は容易ではないが、ある程度めどを示す必要があるはずだ。
 原発施設に損傷がある以上、漏えいによる地下水や海水汚染の恐れも残されている。ステップ2には地下水遮蔽(しゃへい)壁の設計・着手が盛り込まれたが、迅速に進めるべきだ。
 溶融した燃料や汚染水浄化の結果生じる汚泥の処理にも多くの課題がある。技術開発から始めなくてはならず、国の規定の再検討も必要となるだろう。
 工程表の進展は、周辺住民の生活とも密接にかかわる。事故発生から4カ月もたつのに、住民に今後の暮らしの指針が与えられていない現状は容認できない。
 汚染度の高い地域について見通しを示すとともに、緊急時避難準備区域など汚染度の低い地域の指定解除に向けて早く手を打つべきだ。
 東電は今回、現時点で原発から放出されていると考えられる放射性物質の推定値を示したが、これだけでは指定解除には不十分だ。
 今後、水素爆発が起きる危険性は無視できるほど低いのか。余震などで施設が壊れ新たに放射性物質が飛散する危険性はどうか。信頼できるリスク評価を早く示してほしい。
 緊急時避難準備区域の指定を解除するにあたっては、地域のきめ細かい放射線測定と汚染度に応じた除染、住民の健康管理もセットで進める必要がある。
 汚染は原発から同心円状に広がっているわけではない。将来の避難地域の解除にあたっても、汚染度に応じた対応が欠かせない。
毎日新聞 2011年7月20日 



東日本大震災:福島第1原発事故 工程表ステップ2へ 安定へ予断許さず 

 福島第1原発事故収束に向けた東京電力の工程表は19日の改定で、来年1月を期限とする「ステップ2」に移行した。ステップ1(4月中旬~7月中旬)で始めた「循環注水冷却システム」の安定的な稼働が、避難区域解除検討のカギとなる。一方で、原子炉の状態は依然として予断を許さず、事故収束後数十年に及ぶ廃炉への手続きなど、東電や政府には引き続き、重い課題がのしかかっている。【中西拓司、足立旬子、奥山智己、笈田直樹】

 ◇溶融核燃料、回収開始は10年後
 東京電力福島第1原発事故は、3基の原子炉で同時に炉心溶融(メルトダウン)が起き、溶けた燃料の一部が圧力容器から漏れ出しているという、世界にも例のない深刻な事故だ。政府は19日、原子炉を安定的に冷やすことを目標にしたステップ1は「ほぼ達成した」と発表したが、その後には、数十年にわたる困難な廃炉作業が待ち構えている。
 東電や内閣府原子力委員会などは今月初め、廃炉に向けた中長期の工程表案をまとめた。それによると、使用済み核燃料プールから燃料の取り出しを始めるのは早くて3年後。炉内から溶融した核燃料の回収を始めるのは10年後。さらに、原子炉を解体して廃炉完了までは数十年と想定した。
 工程表案は79年の米スリーマイル島(TMI)原発事故を参考にした。同事故では、1基の原子炉でさえ、核燃料を取り出し終わるまで10年を要した。
 これに対し、福島第1原発は3基の原子炉で事故が起き、原子炉建屋も壊れている。原子炉の損傷や放射性物質による汚染はかなり深刻だ。
 1~3号機の原子炉内の核燃料は合計1496体。工程表案はTMIと同様、溶けた燃料は水中で冷やしながら取り出す。そのためには圧力容器に水を張ることが不可欠で、損傷部を突き止めてふさがなければならない。
 核燃料プール内の燃料は3108体(1~4号機。うち使用済みは2724体)。損傷は少ないとみられ、十分に冷やして別の共用プールに移すことを検討する。
 通常、原発から出る使用済み核燃料は、青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場に運ばれるが、損傷した核燃料は通常の機器では取り出せない。溶けた核燃料を遠隔操作で切断する装置や搬出のための専用容器の開発が必要だ。
 取り出した核燃料をどこに保管するかも課題だ。細野豪志原発事故担当相は「福島県を最終処分場にしない方法を模索しなければならない」と述べている。
 工程表案については、近く原子力委に設置される専門部会で検討が本格化する。国内の技術だけでは対応は難しく、海外の協力も不可欠とみられている。

 ◇汚染水浄化も難航
 東京電力は福島第1原発事故収束までのスケジュールを示した工程表を4月に作成。達成状況に応じてこれまで計3回改定した。この間、「来年1月まで」とした冷温停止の目標時期は変えないものの、対策の中身を大幅に見直してきた。
 4月17日に発表した最初の工程表は▽ステップ1(7月17日まで)▽ステップ2(来年1月中旬まで)▽中期的課題(それ以降)の3段階に分け、目標を盛り込んだ。
 ステップ1では「放射線量が着実に減少傾向」、ステップ2では「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」状態を目指し、原子炉圧力容器底部の温度がおおむね100度以下になる「冷温停止」をステップ2のゴールに据えた。
 冷温停止に向けた最重要課題の原子炉冷却について東電は当初、1、3号機については格納容器全体を水で満たす「冠水(水棺)」の実現を明記していた。水素爆発によって格納容器が損傷した2号機についても、穴を修復した上でステップ2の間に冠水状態にするとしていた。
 しかし5月に入って、1号機の格納容器には直径7センチ程度の穴が開いていることが判明。冠水の実現は難しくなった。このため、5月17日に改定した工程表では冠水を断念。大量の高濃度放射性汚染水を浄化して冷却に再利用する「循環注水冷却」を打ち出した。
 冠水作業などによって発生した汚染水の量は計約12万立方メートル(6月末現在)。「格納容器は健全」としてきた当初の甘い見通しが災いした。6月27日に浄化システムが本格稼働したものの、トラブルで断続的にシステムが止まるなど、処理は難航している。すべての汚染水の浄化を終えるのは、早くても秋以降になる見通しだ。
 一方、4月の発表時には考慮されていなかった「復旧作業員の環境改善」は5月の改定で盛り込まれ、被ばく管理や医療体制の整備が進んでいる。しかし、作業に関わった協力企業作業員の中に連絡が取れない人たちがいるなど、被ばくの実態把握は難航している。

 ◇循環冷却、稼働率カギ
 避難地域解除の根拠となる「原子炉の安定的な冷却」のカギが、高濃度放射性汚染水を冷却水に再利用する「循環注水冷却システム」だ。同システムは(1)油分離装置(東芝)(2)セシウム吸着装置(米キュリオン社)(3)除染装置(仏アレバ社)(4)塩分除去装置(日立など)--の四つの部分からなり、汚染水をこのシステムで浄化し、処理水を1~3号機の原子炉の冷却水に利用する。
 6月27日に本格運転を始めたものの、弁の開閉表示ミスやコンピューターのプログラムミスなどトラブルが続発。7月以降もアレバの施設で水漏れが相次ぎ、稼働率は70%程度にとどまる。東電は7月中に80%、8月に90%に引き上げることを目指していたが、達成は難しそうだ。

 ◇計画区域 飯舘村97%、川俣町99%避難
 政府は4月22日、原発から半径20キロ圏内の地域を、立ち入り禁止や退去を命令できる「警戒区域」に指定した。警戒区域の外側でも、放射線の累積線量が年間20ミリシーベルトに達する可能性のある地域を、約1カ月以内に避難する「計画的避難区域」に指定。さらに、原発から半径20~30キロ圏内で、計画的避難区域に指定されなかった地域は「緊急時避難準備区域」とされた。
 警戒区域内への立ち入りには10万円以下の罰金が科せられるなどの強制力があり、設定には、一時帰宅した人を再び圏外へ避難させる法的根拠を整える目的もある。
 計画的避難区域では、全村民の避難を求められた飯舘村で対象村民約6200人中の約97%が避難。川俣町も対象人口1252人中99%がすでに避難したか、避難日を決め、政府は「おおむね予定通り進んでいる」と評価した。
 緊急時避難準備区域では、新たな事故発生などの緊急時にはすぐ屋内退避や区域外避難をすることが求められる。自力での避難が難しい子供や妊産婦、高齢者、入院患者らにあらかじめ避難するよう促す一方、仕事や生活物資輸送のための出入りは認められる。

 ◆東電「ステップ2」目標要旨
 東電が19日公表した、福島第1原発事故収束に向けた工程表「ステップ2」(7月中旬から3~6カ月間)の主な目標は次の通り。
 【全体目標】放射性物質が管理され、放射線量が大幅に抑えられる。達成時期は今後3~6カ月
 ◇原子炉=より安定的な冷却
 循環注水冷却を継続し、圧力容器の温度を監視して「冷温停止状態」に持ち込む。格納容器からの放射性物質の放出を管理し、追加的放出による被ばく線量を大幅に抑制する
 ◇使用済み核燃料プール=より安定的な冷却
 既に2、3号機は熱交換器を設置し、より安定的に冷却できている。1、4号機も同様に循環冷却システムの早期設置を目指す
 ◇たまり水=全体量を減少
 高レベル汚染水処理施設の拡充と安定稼働。本格的水処理施設の検討着手。処理で発生する高線量の汚泥を保管
 ◇地下水=海洋への汚染拡大防止
 ボーリングで地下水位や水質を調査。地下水遮蔽の工法を確定し、設計に着手
 ◇大気・土壌=放射性物質の飛散抑制
 がれき撤去、原子炉建屋カバーの設置(1号機)
 ◇モニタリング=放射線量を十分に低減
 自治体によるモニタリングの実施。本格的除染の開始
 ◇生活・職場環境=作業員の環境改善充実
 仮設寮、現場休憩施設の増設。食事、入浴、洗濯などの環境改善
 ◇放射線量管理・医療=健康管理の充実
 内部被ばくの測定機器「ホールボディーカウンター」の増設。作業員は月1回、内部被ばくを測定。個人線量の自動記録化。データベース構築など長期的な健康管理に向けた検討
==============

 ◇東京電力の工程表に関わる主な経過◇
4月17日 「冷温停止まで6~9カ月」などとする工程表を発表。63項目の対策を盛り込む
4月19日 2号機タービン建屋地下の高濃度放射性汚染水の移送開始
5月 6日 1号機の格納容器を水で満たす「冠水」作業始まる
5月12日 1号機の核燃料の大半が溶融し圧力容器の底にたまっている可能性を公表。冠水計画困難に
5月14日 復旧作業中の男性作業員が体調不良を訴え、搬送先の病院で死亡。事故処理で初の死者
5月15日 細野豪志首相補佐官(当時)が1号機冠水断念を表明。汚染水を一時保管するための人工浮き島「メガフロート」が横浜港を出発
5月17日 1回目の工程表見直し。冠水断念と、「循環注水冷却システム」の構築など13項目を追加。政府も被災者支援の工程表を発表
5月24日 2、3号機の核燃料も大半が溶融していたとの解析結果を東電が公表
5月31日 2号機の使用済み核燃料プールを継続的に冷却する仮設装置が稼働
6月10日 復旧作業の社員2人が、被ばく限度(250ミリシーベルト)の倍近い被ばくをしていたことが判明
6月17日 2回目の工程表見直し。循環注水冷却システムの1カ月以内の安定稼働や、浄化の過程で生じる汚泥の保管、地下水汚染を防ぐ遮蔽(しゃへい)壁設置の検討、作業員の作業環境改善など5項目を追加
6月27日 循環注水冷却システムの本格稼働。トラブルによる中断相次ぐ
6月28日 2号機の格納容器内に水素爆発防止のための窒素注入開始
7月 2日 処理水のみで原子炉を冷却する完全循環注水に移行
7月 7日 新たに3作業員の被ばく上限超えを確認
7月11日 細野豪志原発事故担当相が、地下水汚染を防ぐ遮蔽壁の建設を前倒しすると発言。さらに1作業員が被ばく限度を超え、上限超えは6人に
7月14日 3号機格納容器に窒素注入開始
7月19日 ステップ1完了を発表。政府の工程表と東電の工程表を一本化した、ステップ2(来年1月ごろまで)の工程表を公表

==============
 ◇第1原発事故による避難指示、区域設定の流れ◇
3月11日 半径3キロの住民は避難。半径3~10キロ圏内の住民は屋内退避
  12日 半径10キロ圏内の住民に避難を指示。さらに同日中に20キロ圏内に拡大
  15日 半径20~30キロ圏内の住民は屋内退避
4月22日 避難区域(20キロ圏内)を災害対策基本法に基づく警戒区域に設定
  22日 屋内退避(20~30キロ圏内)を解除し大半を緊急時避難準備区域に。計画的避難区域(福島県飯舘村など)を新設
6月30日 福島県伊達市の113世帯を特定避難勧奨地点に指定
7月19日 工程表のステップ1達成
==============

 ◇緊急時避難準備区域の対象自治体、人数
自治体名(人口規模)  対象地域・人数(区域に戻った人)
南相馬市(7万人)   原町区など一部・約4万7000人(不明)
田村市 (4万人)   都路地区など一部・4100人(約2200人)
広野町 (5400人) 全域・約5400人(約300人)
川内村 (3000人) 20キロ圏内を除く全域・約2700人(約180人)
楢葉町 (7700人) 同上・約10人(0人)
 (各市町村災害対策本部調べ、19日時点)
毎日新聞 2011年7月20日 



クローズアップ2011:原発工程表見直し(その1) ステップ2、課題山積 

 東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表で、政府と東電関係者は19日、この3カ月の「ステップ1」の目標をほぼ達成したと口々に語り、今後3~6カ月程度の「ステップ2」の目標を掲げた。しかし、放射性汚染水を浄化して原子炉の冷却に使う循環注水冷却システムは依然不安定だ。避難区域の解除に向けた放射線量の低減や土壌の除染作業など、他にも課題は山積している。

 ◇循環冷却、寿命1年 次期システム、安定不可欠
 「循環注水冷却システムこそ、原子炉の冷温停止につながる道。ステップ2でも最優先で取り組む」。東京電力の西沢俊夫社長は19日の会見で、格納容器の修復を断念する代わりに放射性汚染水を浄化して原子炉冷却に再利用する「循環注水冷却」で冷温停止に持ち込む考えを強調した。だが、日米仏3カ国の原子力企業が建設した現在の汚染水浄化システムは窮余の策で、しかも耐用年数はわずか1年しかない。
 原発は本来、炉心(核燃料)を冷やす水を内部で循環させ、放射性物質を外に出さない機能を備える。福島第1原発では、水素爆発などにより格納容器や配管などの重要機器が壊れて「冷やす」「閉じ込める」の機能を失った。
 冷却機能回復のため、緊急的に海水や近隣のダムの水を注入したが、それが格納容器の破損部分から漏れ、高濃度の放射性汚染水となって流出した。
 根本的な解決には格納容器の修復が不可欠だが、東電は今回、工程表から削除した。「目の前であふれそうになっている汚染水処理対策を優先せざるを得ない」(東電担当者)からだ。汚染水低減と炉心冷却を同時に図れる循環注水冷却は、たとえ不十分でも「命綱」となっている。
 政府と東電は19日改定の工程表に、現在のシステムに代わる「本格的水処理施設の検討」を前倒ししてステップ2に盛り込んだ。だが、具体的な手法など構想は白紙。東電の担当者は「(配管からの水漏れなど)トラブルの種を減らすため配管を短くし、シンプルな設計にすべきだ」と話す。現システムの配管は総延長4キロに及び、大部分は国が放射性廃棄物施設に課した耐震基準に適合していない。余震とともに、今後は台風のリスクにもさらされる。
 工程表は来年1月までに原子炉を、100度以下の「冷温停止」に持ち込むと明記した。各原子炉(圧力容器底部)の温度は19日現在、1号機100度▽2号機125度▽3号機111度。現システムをいかに安定的に稼働させるかが、成否を左右する。
 東大の岡本孝司教授(原子力工学)は「循環注水冷却が順調に進めば、冷温停止の前倒しも期待できる。今後導入するシステムは現在の反省を生かし、トラブルの少ない日本の技術力を結集すべきだ」と話す。【中西拓司】

 ◇国に注文相次ぐ--地元首長
 政府と東京電力が19日、新たな工程表を発表したことについて、福島県内の首長からは「循環注水冷却ができたことは評価したい」(山田基星・広野町長)など一定の評価を示す意見の一方、国に速やかな復旧施策の実施を求める声が相次いだ。
 佐藤雄平知事は19日夜、文書でコメントを発表した。「放射能の着実な減少というステップ1の目標が計画通り達成できたことは、事故収束に向けて進んでいるものと受け止めている」と評価。その一方、「がれきや汚泥の最終処分方法が示されず、十分な損害賠償が確保されていないことなど、多くの県民が将来への不安を払拭(ふっしょく)できない状況。避難生活を強いられている県民が速やかに帰還できるよう国が前面に立ち、全力で取り組んでいただきたい」と指摘した。
 緊急時避難準備区域などの解除については、地元の意向を尊重するよう求める声も。
 南相馬市の桜井勝延市長は「一刻も早く、市民が安心して元の暮らしを取り戻すことができるよう、事故の収束を求める」とコメント。解除については「あらかじめ市や関連機関と協議し、モニタリングや除染の徹底など、住民が帰還できる準備を国が責任を持って行ってほしい」とした。
 村全域が警戒区域と緊急時避難準備区域に指定されている川内村の遠藤雄幸村長は「避難区域の解除に向けた検討が始まるというのは期待したいと思う。しかし、失った雇用への対応など、指定が解除されても課題は山積している。村内の警戒区域は放射線量が低い箇所もあるので、同心円で定めている区切りを(実態に合わせて)早期に見直してもらいたい」と話した。

 ◇避難解除にハードル 雇用、がれき・汚泥処理…
 避難区域の解除は、放射線量を低く抑えることや土壌などの除染作業が前提だが、多くの難題を抱える。
 まずは雇用問題だ。原発から半径20キロ圏内の警戒区域や、その外側の緊急時避難準備区域などを抱える福島県南相馬市。震災で主要産業の農・漁業が大きな打撃を受けたほか、製造業の事業所も軒並み操業停止・縮小となった。市内で小売店を経営する男性(50)は「職がなければ人は定住しない。解除だけでなく、人が戻るあらゆる手だてを取ってほしい」と訴える。
 同区域が設定されている他の4市町村も、放射性物質の除去や、長期間離れた住宅の復旧などに不安を募らせている。全域が原発から30キロ圏内に入る川内村の担当者は「地域を形成するには一緒に戻るのが望ましいが、原発関連の職を失った人もいる。既に転校した子どもたちなど、バラバラになった住民を呼び戻せるだろうか」と打ち明けた。
 「がれき・汚泥処理の実施」も課題だ。工程表はステップ2から「回収」「一時保管」「処理」を行うとしたが、最終的な受け入れ先選びは難航し、自治体からは「早く処分先を示して」との声が上がっている。
 南相馬市の場合、がれきの総量は約60万トン。行方不明者の捜索で回収した約15万トンは、工場建設予定地(約18・5ヘクタール)に仮置きしているが、2カ月以上も放置されたまま。残りも津波の被害地で山積みの状態だ。市災害対策本部は「最終処分先に手を挙げる地域はないだろう」と頭を抱える。
 各地の下水処理場で発生する放射能を帯びた汚泥も深刻だ。同市原町区の下水処理場では汚泥が80トンを超え、保管の限界が近づく。市下水道課は「人口が戻ってくれば汚泥も増える」と危機感を募らせるが、仮置き場は見つからない。
 政府は、埋め立て可能な放射線量の基準を示したが、住民の理解を得られず、行き先が決まらないケースもある。県は「1キロ当たり8000ベクレル以下は埋め立て可能」との基準に沿い、同県国見町の下水道処理施設にたまった汚泥(1キロ当たり約1100ベクレル)を、県内の柳津町の最終処分場に搬入する方針を決めた。基準以下だったものの、町や住民は「数年後の健康被害が不安」などとして反発し受け入れを拒否。処分は宙に浮いたままだ。
 県下水道課の担当者は「政府がステップ2に処理実施を盛り込んだからといって、簡単に住民の同意は得られない。悩ましい問題だ」と嘆く。【神保圭作、種市房子、小畑英介】

 ◇森林多く除染困難--福島
 日本原子力学会によると、福島の場合は放射性物質の汚染範囲の75%を森林が占めている。森林は降ってくる放射性物質が付着してたまりやすく、除染が難しい。一方、市街地で建物などに付着した放射性物質を水で洗い流すと、それらが他の場所に集まって高い放射線量になる可能性もある。
 除染を担当する同学会分科会で主査を務める井上正・電力中央研究所研究顧問は「それぞれの地域の生活形態により、優先順位を決めて除染する必要がある。国は効果やコストを明示した除染技術のメニューを作って自治体に提示し、どの方法を選択するかは地元に任せるのがよい」と話している。【西川拓】
==============

 ■ことば
 ◇循環注水冷却
 原子炉建屋地下やタービン建屋にたまった高濃度放射性汚染水から放射性物質を除去し、その処理水を原子炉の冷却水として再利用する仕組み。東電は当初、格納容器全体を水で満たして冷却する「冠水(水棺)」によって事故収束を目指す方針だったが、データ解析などから格納容器の損傷が判明。注水するほど汚染水が増えることから、冠水を断念し、循環注水冷却によって「冷温停止」に持ち込む方針に転換した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クローズアップ2011:原発工程表見直し(その2止) 「達成ありき」疑念も
 ◇放射性物質封印できず
 「警戒区域と計画的避難区域に関しては、ステップ2が達成された時点で見直しができるよう取り組んでいきたい」。細野豪志原発事故担当相は19日の記者会見で、両区域に対する避難指示の解除はステップ2達成を目指す来年1月以降になるとの見通しを示した。
 ただ、避難住民の待ち望む帰宅時期のめどは今回の改定でも明示されず、ステップ2でも放射性物質を完全には封じ込められそうにない深刻な現実が被災地に重くのしかかる。そのため工程表では放射性物質の放出が微量で続いていても「冷温停止状態」とみなし、被ばく線量が「年間1ミリシーベルト以下」に抑えられている地域で避難解除へ向けたインフラ整備や除染などの準備作業を前倒しで進められるようにした。
 細野氏は「インフラが相当傷んでいるところがある。ステップ1が終わった時点で調査に入りたい」と解除準備を急ぐ考えを強調。それでも政府内からは「除染、土壌と空気の放射線量調査、インフラ整備やがれき処理などが手付かずになっている。片付けるのに何年かかるか」との悲観的な声が漏れる。
 その中で避難区域に入っていない20~30キロ圏の緊急時避難準備区域は上下水道などのインフラも維持され、解除を進めやすい。同区域の解除にも工程表は触れなかったが、細野氏はあえて会見で8月以降に自治体との協議に入る方針を示した。
 4月に発表した最初の工程表について政府高官は「2週間で作ったが、ステップ1と2を分けるのに東電は消極的だった。よくステップ1が達成できた」と「突貫工事」で策定したことを認める。頼みの綱の循環注水冷却システムでトラブルが続く中、ステップ2の目標期間を変えなかった今回の改定には「ステップ1の達成ありき」の疑念もぬぐえない。
 菅直人首相は19日の衆院予算委員会で「大変な危機状態から一定の収束の方向が見えてきた。100点とはもちろん申しません。しかし、やるべきことは内閣としてしっかりと取り組み、前進してきた」と自賛した。枝野幸男官房長官も記者会見で「収束に向けた一つ目の壁を越えることができたのではないか」と述べ、首相退陣を前に実績をあげたい政治的思惑をにじませた。【平田崇浩】 
毎日新聞 2011年7月20日


「小出裕章非公式まとめ」

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

有機りんりん「水なしトマトカレー」&青トマトと夏野菜の即席漬け/台風6号、四国に接近

2011-07-19 19:20:14 | おいしいもの/食について
台風6号は、午後5時現在、四国に接近しています。
このままいくと上陸するのは時間の問題。
暴風雨の範囲が広いので、岐阜でも昼前から強い雨と風が吹いています。

雨が強くなってきたので、カッパを着て外に出してある鉢植えを軒に入れました。

台風6号、今夜四国上陸へ=暴風、大雨に警戒-気象庁 

 大型で強い台風6号は19日午前、高知県・足摺岬の南を強い勢力を保ったまま北上した。同日夜には四国に上陸するとみられる。九州から四国の太平洋側は猛烈なしけで、西日本は同日、東海は20日に風速25メートル以上の暴風域に入るといい、気象庁は暴風や大雨、土砂災害などに警戒を呼び掛けた。
 台風6号は19日正午、足摺岬の南約60キロを時速約20キロで北上した。中心の気圧は960ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速は55メートルで中心の東側190キロ以内と西側110キロ以内が暴風域、東側650キロ以内と西側410キロ以内では風速15メートル以上の強風域。
 台風6号の接近により、九州から四国の太平洋側が猛烈なしけ、奄美・東海などが大しけとなり、20日にかけて6~12メートルの波が予想される。また同日にかけての予想最大風速は四国40メートル、近畿35メートル、九州30メートル、中国・東海25メートル。
 西日本から関東の太平洋側では20日にかけ、1時間に50~70ミリの非常に激しい雨が降り、警戒が必要。同日正午までの24時間予想雨量は、多い所で四国・近畿・東海800ミリ、関東甲信300ミリ、九州北部150ミリ。
 香川県では、瀬戸大橋でトラック2台が横転し、40代の男性が軽傷を負ったほか、高松市内で女性(67)が飛んで来たプレハブの屋根がぶつかり重傷。自転車で同市を走行中だった女性(66)も飛んで来た木片に当たり軽傷を負った。高知県土佐市やいの町でも女性2人が割れたガラスで首を切るなどの軽傷。
2011/07/19-13:48 時事通信


台風情報 ウェザーニュース
2011年7月19日17時00分現在 

台風6号(マーゴン)は強い勢力を保ったまま四国方面に接近、上陸する恐れあり。広い範囲が強風域に入っており、東海から西の太平洋側では暴風を伴った強い雨となります。近畿や東海は、帰宅時間帯は交通への影響にも要警戒。また、台風の速度が遅いため、長引く大雨や暴風に注意が必要です。
 


気象庁 台風情報

応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

先日行った伊吹山のお花の画像を整理してアップしようと思ったのですが、
この雨では、行ってみようという気にもならないと思い、
午前中から仕込んでお昼に食べた「水なしトマトカレー」をアップします。

材料のトマトは、枯れた木にくっついていたのを、雨の前に収穫してきたもの。
過熟の真っ赤なものも、未熟の青いものもあります。


真っ赤に熟れたものはカレーに
 

未熟のトマトは浅漬けにします。

真っ赤なマイクロトマトと、グリーンピースそっくりのホタルノタマゴの未熟果。
まるで宝石のようです。
   
こちらは、浅漬けに入れましょう。
  
ナスときゅうりと、トマトを一口大に切って、薄塩でポリ袋に入れておきます。

玉ねぎ、トマト、ニンジン、ジャガイモを切っておきます。
すべて畑からとれた無農薬野菜。
   
トマトはたっぷり、この水分だけで水なしカレーを作ります。
   
玉ねぎと鶏肉とニンジンをオリーブオイルで炒め、
トマトを入れて煮立ったらあくをとって、圧力鍋で10分。
  
市販の数種類のルーを入れて出来上がり。
   
ご飯は、茶豆と雑穀入り玄米ご飯。


「水なしトマトカレー」と、青トマトと夏野菜の即席漬けです。 
  

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20日22時「あなたが心の道しるべ~小山内美智子と浅野史郎~」 /今夜「IS~男でも女でもない性」

2011-07-18 14:42:27 | ほん/新聞/ニュース
昨夜は11時からの「イ・サン」を見て寝たのですが、今朝起きたら、
W杯ドイツ大会の決勝で、「なでしこジャパン」がアメリカをやぶって初優勝とのこと。
うわー、すごい。一気に目が覚めました。

   「なでしこジャパン」優勝おめでとう!
   

で、ついでにNHKでサッカーのニュースをを見ていたら、20日の夜、浅野さんの番組を放映すると流れていました。
急いで調べてみたらありました。これです。

「ヒューマンドキュメンタリー「あなたが心の道しるべ~小山内美智子と浅野史郎~」
チャンネル:総合
放送日: 2011年7月20日(水)
放送時間:午後10:00~午後10:50(50分)



 ヒューマンドキュメンタリー「あなたが心の道しるべ~小山内美智子と浅野史郎~」

命を見つめる「ヒューマンドキュメンタリー」3本シリーズ。
重度の脳性マヒを抱えながら、様々な病勢の壁を打ち壊してきた小山内美智子さんとその声を受けとめた元宮城県知事の浅野史郎さん。四半世紀にわたる二人の交流を見つめる。

重度の脳性まひを抱えながら、当たり前の幸せを求めて“行政の壁”を壊してきた小山内美智子さん。
今から26年前、小山内さんの陳情を受け止めた相手が厚生省から北海道庁に出向してきたばかりの浅野史郎さん(元宮城県知事)だった。時に熱く議論し、信頼関係を築いた2人が今、命に関わる病と闘っている。
番組では、お互いの身を案じながら必死に生きる2人の交流をたどり、伊丹を抱える人がよく生きられる社会とは何かを見つめていく。

【出演】 小山内美智子…作家・札幌いちご会代表 浅野史郎…元宮城県知事・慶應大学教授
【語り】 黒柳徹子 


今夜10時からは、性分化疾患をテーマにした「IS~男でも女でもない性}がはじまります。
こちらも見逃さないように、番組予約としこっ、と。

 福田沙紀・剛力彩芽のダブル主演で性分化疾患をテーマにした「IS」、いよいよ今夜スタート! 
!(2011/07/18 テレビドガッチ)

 原作が第31 回講談社漫画賞を受賞したドラマ「IS~男でも女でもない性~」が、福田沙紀・剛力彩芽のダブル主演でいよいよ今夜スタートする。【テレビ東京系列・毎週(月)22:00~】。「IS」とは、男か女か、身体的な性別があいまいな人のことで、4500 人に1 人くらいの割合で生まれると言われている。しかし、彼らの多くはその事実を隠して生活しているため、世間にはあまり知られていないのが現状だ。ドラマ『IS[アイエス]~男でも女でもない性~』は、「IS」として生まれた主人公とその家族の葛藤と再生を描いていく。
 福田沙紀が演じる星野春は高校1 年生。「IS」として生まれたが戸籍は女。志向は男で、中学までは男として育ってきたが、身体は女性化が進行中...という役どころ。演じるにあたり、福田は自身の役を「愛情をまっすぐに受けて育った魅力あるキャラクター」と表現。「IS」というテーマについては、「全てを理解することは到底無理だけれど、一人一人、違ってもいい...という想いが(演じることで)強くなって来ています」とコメントしている。また、「ISのことを多くの人に知ってもらって、よりISの人が笑顔になる時間が増えたら...」と、難しい役柄に意欲を見せている。
 そして、春のクラスメイトで、春にある思惑を持って近づく美和子を演じる剛力彩芽も、同じく作品へ熱い想いを寄せている。中学生の頃から雑誌「Kiss」で「IS」は読み、コミックでも熟読していたという剛力は「初主演となりますが、プレッシャーを感じず、私らしく演技ができればと思っています」と頼もしい言葉。さらに、演じていくことで「人は違っていて良いと思いました。そういう想いが伝われば...」と願いを込めて語っている。
 「IS」である主人公と、それを取り巻く人々との中で、人が「生きること」「愛すること」の素晴らしさを描くという本作、ぜひお楽しみに!!

【放送】『IS[アイエス]~男でも女でもない性~』
7月18日(月)スタート・毎週(月)22:00~(テレビ東京系列・一部地域を除く)
 


応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

話は変わりますが、連日暑い日が続くので、日本ミツバチが箱の外に出てきています。

一週間程前の日本ミツバチ。
   

   

底が網になっているので、底板を外して、風通し良くしてやりました。
昨日の日本ミツバチ。
   

   
日中は外に出ているのですが、夕方回りの木に多めに水やりをすると、
日が落ちるころには、みんな箱の中に入っています。
夏は飲み水も必要とのことなので、近くに置きました。

ミツバチの箱の前で、武芸川で見つけた花が黄緑色の珍しいヒマワリが咲きました。
  
初めて見たときは、顔色が悪いみたいに見えて、ぎょっとしました(笑)。

庭に戻ってくると、サツマイモの親いもが掘り返されています。
  
近くには、犯人の足跡が残されていました。
どうもイノシシのようです。
冬にはイチジクの近くの腐葉土が掘り返されていたのですが、
かなり家の近くまで来ているようです。
夜行性なので昼間は出歩かないようですが、ばったりと出会ったらどうしよう、と怖いです。

   

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スイートパール(ホタルノタマゴ)/西洋イチジク「バナーネ」「キング」

2011-07-17 20:07:33 | おいしいもの/食について

梅干を4日間、昼間に干して、
   
夜は二日間干して、今年の梅干はこれで出来上がり。
   
塩を5%しか入れてないので、梅酢が少なくなるまで、一日余分に干しました。
瓶に移して保存。
塩分5パーセントのちょい甘蜂蜜梅干を作るはずだったのですが、
蜂蜜が発酵して甘みがなくなってしまったようなので、
色と味が濃い目のひまわり蜂蜜を少し入れてみました。
2011年「はちみつ入り白梅干」の出来上がりです。

袋をかけたイチジク・バナーネが熟しはじめたようです。
バナーネはフランス産の激甘イチジク品種のひとつ。
夏果は最大の大きさ、ということなのですが、収穫は今年はじめて。
   

果肉が粘質、味は秋果のほうが糖度が高いとのこと。
イチジク・バナーネ(左)と、イチジク・キング(右二つ)。
  

バナーネを外から触ってみて、やわらかくなったのを試しに一つ収穫してみました。
大きさは携帯と同じくらい、重さは100g。
ちょっと早めのようで、酸味がなくさっぱりした味。
糖度が極めて高い品種は果実が小さいものが多いですが、
バナーネは実が特大でも、完熟すればかなり甘いとのこと。
  

イチジク・キングも収穫してみました。
熟しても果皮の色が黄緑色なので、収穫適期の判定が難しいの。
  
つまり、青いまま熟すんです。
バナーネを収穫して、通り過ぎようと思ってふと見たら、大きく膨らんでいて、
さわってみたら、やわらかくなっていたのです
(キングは青いまま熟す、という説明を思い出した)。
3個収穫したのですが、やわらかいものと、ちょっと固めのものとでは甘みが3倍ほど違います。
これで収穫適期が何となく、わかりました。

いちじく、子どものころはいたるところでたわわに実っていて、唇の横が切れるほど食べたのですが、
今は、一個100円以上はする高級果実。

今年は、バナーネ(秋果)もキングもたくさん実をつけているので、楽しみです。
先に動物に食べられないように、気を付けなくちゃ。

応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

イチジクの手前のスイートパール(ホタルノタマゴ)にかぶさっている草を刈ったら、
株もとに黄色く熟した実がたくさん落ちていました。
   

拾い集めて、ついていた土を洗って乾かしています。
   

黄色い真珠のようです。
  

さっそく収穫したばかりの完熟トマトと、お昼のデザートにしました。
   
メロンか桃のような味と香りで、ホタルノタマゴが好きなともちゃんは大喜びです。

新鮮なナスときゅうりは、浅漬けに。
  

浅漬けの素「白キムチ」を
スプーン一杯ほどふりかけて、密閉袋に入れて手でもんで、
冷蔵庫に1時間ほど入れておけばできあがり。

   
塩分も少なめで、いくらでも食べられるおいしさ。
夏野菜がおいしい今日この頃です。

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朝日社説:もんじゅ―開発はあきらめる時だ/放射能対策―もっと広く多く検査を/イオンも汚染牛肉を販売

2011-07-16 20:21:51 | 地震・原発・災害
暑い! 熱い! あついですねー。

梅雨が明けて、太平洋高気圧が強くなって、連日の猛暑。

昼間は涼しいところにいるのがいちばん、ということで、
一昨日は伊吹山に、昨日はイオンに買い物に行きました。

夏バテにならないように、とイオンでなにかお肉を買おうということになって、
肉体労働をするので、疲労回復物質を含む鶏の胸肉を買いました。
そのイオンでも、放射性セシウムで汚染されている牛肉を売っていたと知って、
少し寒くなりました。

イオンではないのですが、岐阜県の高山市でも愛知県一宮市でも汚染牛肉は売られていて、
もはや問題は全国規模、だれがいつ食べてもおかしくない状況です。

いまは牛肉だけが問題になっていますが、豚肉や鶏肉も餌が放射能で汚染されない保証はありません。

セシウム汚染牛肉300キロ、イオン14店販売 

福島県浅川町の畜産農家が出荷した牛の肉から国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された問題で、大手スーパーのイオンは16日、4月27日から6月20日までの間に、この農家が出荷した42頭のうち5頭の肉を計307・7キロ・グラム販売していたと発表した。
 東京、石川、神奈川、千葉、静岡の1都4県の計14店舗で、厚生労働省が15日に42頭の個体識別番号を公表したことを受けて調査した結果判明した。
 イオンは16日、農林水産省が畜産農家に対し、稲わらの購入・保管状況の調査を求めた東日本の1都10県の肉牛については、19日から仕入れ前に独自に全頭検査を実施すると発表した。「トップバリュ」のプライベートブランド(PB)で仕入れている牛については、全国で全頭検査を実施する。また、9月以降はイオン直営の食肉売り場で販売する国産牛を段階的にPB商品に切り替えていく方針だ。
 また、ダイエーは都内で経営している食品スーパー2店舗でこの農家が出荷した牛の肉を販売していたことを明らかにした。肉の販売期間や量は調査中だという。
(2011年7月16日19時41分 読売新聞) 


 放射能対策―もっと広く多く検査を
2011年7月16日(土) 朝日新聞

牛のえさの稲わらから、高濃度の放射性セシウムが検出された問題が、福島第一原発から遠く離れた福島県南部や宮城県へと広がった。
 福島県南部の浅川町から出荷され、東京都や山形県に流通した牛の肉からも、国の基準を超えるセシウムが見つかった。
 つい先日、福島の緊急時避難準備区域内の農家の牛からセシウムが見つかり、稲わらが原因だと特定されたばかりだ。
 原発から遠く、牛の出荷時の検査対象でなかった農家でも基準に触れたことで、福島県が農家に対して、牛の出荷の自粛を要請する事態に陥っている。
 予想を超えた放射能汚染の広がりは、検査体制の不十分さをあらわにした。それだけに、関係者の衝撃は計り知れない。
 基準を上回る放射性物質を含む食品から、消費者をどう守るのか。同時に、安全な商品を出荷し続けている生産者への悪影響を、どう防ぐのか。政府も自治体も至急、可能な限りの手を打つ必要がある。
 まずは出荷された牛肉の追跡だ。個々の牛につけられる個体識別番号が公表された。小売業者や消費者も注意してほしい。
 農林水産省は東北、関東の畜産農家のえさの保管状況を調べ始めたが、稲わら以外も要注意だ。福島県が打ち出した解体処理後の肉の全頭検査も、政府は支援してほしい。
 「稲わら」が私たちにつきつけたのは、放射能対策の難しさであり、今後しばらくは食品に含まれる放射性物質と向き合わねばならない現実だ。
 だからこそ、もっと検査体制を充実させる必要がある。「地域」と「品目」を組みあわせ、出荷前に調べる仕組みを、より広範に、より多様に実現するしかない。そのために機器や要員を拡充するのは当たり前だ。
 すでに野菜や果物、牛乳、水産物、茶などに対象は広がっている。何らかの検査をしているのは東日本のほぼすべての都道県と、西日本の一部に及ぶ。
 しかし、これからどんな食品にまで広がるのかは、まだ見通せない。不安を解消するには、安全で安心な商品だけが流通する環境を整えるしかない。
 消費者への情報提供も、もっと工夫できる。ある品目で基準を上回ると、専門家が「相当な量を食べ続けても大丈夫」と言うことが多い。だが、そんな品目がここまで増えれば、どうしても心配は募る。
 どんな組み合わせで、どれだけ食べていいのか。とくに子どもは大丈夫なのか。消費者の疑問に答えることも国の仕事だ。  



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。


汚染牛肉と直接は関係ないと思える、もんじゅの話。

今回、稲わらが汚染されていた白河市は事故を起こした福島原発から70キロ、
全市での放射能汚染が問題になっている福島市は約60キロです。
これはもんじゅと岐阜県の都市部との距離とほぼ同じ。

ちょっと想像力を働かせば、だれにでもわかるのですが、
高速増殖炉「もんじゅ」が事故を起こせば、
わたしたちはいつでも、福島や白河のようになる可能性があるのです。

とこんな記事を書いていたら、福井県のおおい町の大飯原発で、
緊急炉心冷却装置(ECCS)系統にトラブルがあり主導で原発を停止、
のニュースが飛び込んできました。

このニュースで背筋が、ぞっと寒くなりましたね。

社説:もんじゅ―開発はあきらめる時だ 
2011年7月16日(土) 朝日新聞

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)をめぐる高木義明文部科学相の発言が、波紋を呼んでいる。
 高木氏は昨日午前、もんじゅについて「廃止とか、単純に継続とかではなくて、全体的なエネルギー政策の中で結論がおのずと出てくる」と述べた。
 それが「開発中止を含め検討」と報じられたのを受け、夕方、改めて記者会見し、「中止なんて一言も言っていない」としつつ、「議論に予断は持つわけにはいかない」と語った。
 未曽有の原発事故を起こし、原発依存を下げていく以上、政府がもんじゅのあり方を問い直すのは当然のことだ。
 高速増殖炉(FBR)はプルトニウムを燃料にし、運転しながら燃料を「増殖」させる原発だ。この「夢の原子炉」によってエネルギーを支える構想を、核燃料サイクルとよぶ。
 かつては多くの国が核燃料サイクルの実現をめざしたが、技術的な難しさ、コストの高さ、プルトニウムを扱うことによる核拡散の問題を理由に、欧米はほぼ撤退した。
 日本の計画も遅れに遅れている。1970年代には「95~2005年ごろに実用化する」という計画を描いていたが、現在の原子力政策大綱では「50年ごろまでに実用化」としている。
 もんじゅは初発電から間もない95年12月に冷却材のナトリウム漏れ事故を起こした後、ほとんど稼働していない。すでに9千億円以上を投じ、停止中も1日5500万円の維持管理費がかかる。
 しかも、もんじゅは原型炉であり、この次に実証炉、実用炉と続く。実証炉をだれが主体になってつくるかも未定だ。つくるとしても、もんじゅとは違うタイプになる。実用化の見通しは立たない。
 日本の原子力開発の歴史において、普通の原発(軽水炉)が外国から丸ごと輸入されたのに対し、もんじゅは国産開発のシンボルだった。
 しかし、もんじゅで冷却材に使われるナトリウムは水と爆発的な反応をするため、制御が難しい。事故が起きた場合の危険性は極めて高い。
 私たちは13日付の社説特集「提言 原発ゼロ社会」で、核燃料サイクル計画からの撤退を求めた。もはや巨額の予算をかけてFBRの開発を進める意味は乏しい。FBRはあきらめ、もんじゅは廃炉にすべきだ。
 FBR時代が来ない以上、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理事業も、根本的に見直さなければならない。
 


 論説:文科相のもんじゅ発言 軽薄な議論に巻き込むな
 
2011年7月16日 福井新聞

  たとえ、それが本質的な問題を含んでいようと、手法を誤れば、多様で有効な議論を喚起しない。菅直人首相の「脱原発依存」発言に誘発されたのか、高木義明文部科学相が記者会見で高速増殖炉「もんじゅ」について当初、開発中止を含め検討する考えを明らかにした。
 福島第1原発事故を受け、今後の原子力政策と、エネルギー基本計画の見直しが大きな政治課題になっており、もんじゅをその俎上(そじょう)に載せるのは当然のことである。だが、拙速に廃止か継続かを判断するのは無責任な政治手法である。もし、可否を問うならしっかりと原子力政策の基本から議論を積み重ねていくのが筋であろう。
 会見内容が報道されると、文科相が慌てて釈明、「全体的なエネルギー政策の中で、もんじゅについても議論がおのずと出てくるとの考えを示した」とのコメントを発表し、事態の収拾を図った。発言に責任と覚悟がないのは困ったものだ。
 菅首相は5月の時点で核燃料サイクルの見直しに言及。海江田万里経済産業相も6月、停止中原発への「安全宣言」で再稼働を促した際も、もんじゅだけは「例外扱い」とする方針を示した。2011年版の科学技術白書でもこれまでの「高速増殖炉の実証施設を実現する」という記述を削除するなど、開発路線の後退が目立ってきた。
 突然の大臣発言はその延長線上にあるのだろう。しかし、議論の前提も、説得力もない。どう言葉を取り繕ろうとも、高速増殖炉開発に貢献してきた本県や地元敦賀市が当惑し、抗議するのは当然だ。
 言うまでもなく、もんじゅ開発は剣が峰にある。試験運転段階でナトリウム漏れ事故を起こし、約14年5カ月停止した。今年5月の運転再開から3カ月半後、原子炉容器内で大型装置が落下して再び停止。原型炉として知見を蓄積し、実証炉、商業炉につなぐという使命を十分果たしているとは言い難い。
 高速増殖炉は核燃料サイクルの中核を担う。少資源国として効率的なエネルギー確保は大切な観点である。とはいえ、建設費や運営費に膨大な費用を要し、これまでの総事業費は1兆円近くに達する。サイクルの一つである青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場は試運転段階で大幅に遅延。たまるプルトニウム消費のため軽水炉でプルサーマルを実施しているが、燃料の利用効率が低く、安全性をめぐっても反対住民らの厳しい声がある。
 開発の入り口でもたつく高速増殖炉。今回の過酷事故で原子力政策が揺らぎ、先行きが一層不透明になった。それゆえ「個人的発言」とした菅首相の「脱原発依存」論と切り離し、多様な観点から熟議し総合的に判断していく必要がある。
 科学技術立国として、これからのエネルギー政策をどうするのか。本県のエネルギー研究開発拠点化計画など立地地域の地道な取り組みをどう評価し、政策に反映していくのか。岐路に立つ国策の重要な選択である。「死に体内閣」にビジョンはない。あくまで新たな政権の下で論議を深めていくべきだ。


福井・大飯原発:1号機、手動停止 緊急冷却系故障、再稼働は未定 

◇関電管内、電力不足が大幅拡大
 関西電力は16日、調整運転中の大飯原発1号機(福井県おおい町、加圧水型、出力117・5万キロワット)で、緊急炉心冷却装置(ECCS)系統にトラブルがあり、同日夜に原子炉を手動停止して原因を調査すると、福井県に伝えた。再稼働の見通しは立っておらず、8月の最大電力(需要)に対する不足分が大幅に拡大し、関電が要請している節電などにも影響を及ぼす可能性がある。【安藤大介、横山三加子】
 関電は、1号機を営業運転に移行するため準備していた最終検査の申請作業をストップする。
 県や関電の発表によると、15日午後10時46分ごろ、4系統あるECCSのうち1系統で、非常時に原子炉内に1次冷却水を注入する水圧を調節するための「蓄圧タンク」の圧力が約2割低下し、警報が鳴った。タンク内に窒素を補給して約1時間後には基準値に戻したが原因が分からず、原子炉を停止して詳しく調べる。
 関電は東日本大震災発生前日の3月10日に1号機の原子炉を稼働。地元の意向に配慮するとして、試運転にあたる調整運転のまま4カ月以上フル出力で発送電してきた。関電が近く計画していた営業運転について、県や同町が容認する意向を示していた直後の運転停止となった。
 関電が同県内で運転する原発11基のうち、既に4基が定期検査のため停止している。来週には更に2基が、定期検査のため運転停止する。

 ◇来週、2基定期検査
 関電にとって大飯1号機の停止は痛手。「需給バランスが厳しくなるのは事実」と、事態の深刻さを認めている。
 関電の7月の供給力は3166万キロワットだったが、大飯1号機の停止で3048万キロワットに低下することになる。今月21、22日には高浜原発4号機と大飯原発4号機が定期検査入りするため、供給力は2983万キロワットにまで下がる。
 中国電力から融通を受けている35万キロワットについても、8月のめどは立っておらず、結局、8月の供給力は2931万キロワットに。関電が想定する7、8月の電力需要は3138万キロワットで、8月の供給不足は、これまでの想定の2・8%から6・6%に拡大する。
 関電は7月1日から家庭や企業に15%程度の節電を要請し、その効果から「(夏場を)なんとか乗り切れる」(森詳介会長)と判断。鉄道各社への間引き運転を含めた追加的な節電要請を見送ったが、大飯1号機の運転停止が続けば、一層の節電徹底を求めざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。【横山三加子】

 ◇「供給厳しい」--細野原発事故相
 福島県を訪問している細野豪志原発事故担当相は16日午前、大飯原発1号機がトラブルにより停止されることについて「関西の電力の需給環境はもともと極めて厳しかった。予備の供給力があるか精査しなければならないが、非常に厳しくなったことは間違いない」と述べた。
 15日に保安院が手法を公表した安全評価については「停止中の原発を1次評価、運転中を2次評価の対象と位置付けているが、(調整運転中に停止される)大飯原発1号機をどう位置付けるかは微妙。検討が必要だ」と指摘した。【関東晋慈】
毎日新聞 2011年7月16日  



最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菅首相:「脱原発」を明言/脱原発宣言の波紋/「原発必要、核兵器持つべき」と放言する石原都知事

2011-07-15 11:11:35 | 地震・原発・災害
昨日は、朝日新聞の脱原発の社説特集を紹介しましたが、
一夜明けて、管首相が記者会見で「脱原発」を明言しました。

まずは英断と評価と歓迎します。

一国の首相が言い切ったのですから、なにがなんでも言ったことを実現してもらいたいものです。

 菅首相:「脱原発」を明言…将来、なくてもいい社会実現 

 菅直人首相は13日、首相官邸で記者会見し、今後のエネルギー政策に関し「原発に依存しない社会を目指すべきだと考えるに至った」と述べ、脱原発依存を進める考えを示した。その上で「計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」とし、将来的には原発を全廃する「脱原発」の姿勢を鮮明にした。ただ、今後のスケジュールや政府内での議論の進め方など具体論についての言及はなかった。
 首相は、3月11日の福島第1原発事故発生前は原発活用の立場だったとした上で「最終的な廃炉に長い期間を要するリスクの大きさを考え、これまでの安全確保という考え方だけでは律することができない技術だと痛感した」と政策転換の理由を説明した。
 停止中の原発の再稼働については、原子力安全委員会が関与するとした政府の統一見解に沿って、首相、枝野幸男官房長官、細野豪志原発事故担当相、海江田万里経済産業相の4人で判断すると説明。「専門的な立場の皆さんの提起があり、それが大丈夫となれば4人で合意して稼働を認めることは十分あり得る」と述べた。
 当面の電力需給に関しては「必要な電力を供給することは政府の責務」と強調。今夏と年末については「必要な電力供給は可能との報告が耳に入っており、そう遠くない時期に計画を示す」とした。来年以降は「天然ガス活用なども含めて計画を立てていきたい」と述べるにとどめた。
 与野党内で臆測が出ている「脱原発解散」については「この問題で解散するとかしないとか、一切考えていない」とした。
 退陣時期では「(退陣表明した)6月2日の(民主党)代議士会、記者会見で真意を申し上げているので、それを参考にしていただきたい」と語った。
 また、原発再稼働を巡る政府内の混乱については「私の指示が遅れるなどしてご迷惑をかけた。申し訳ないと関係者におわびしたい」と改めて陳謝した。【田中成之】

 ◇退陣控え実行力に疑問
 菅直人首相は13日の記者会見で「将来は原発がない社会を実現する」と表明し、日本のエネルギー政策のかじを「脱原発」へと切る意欲を示した。退陣を表明している首相が国策の大転換を打ち出すのが異例なら、政府・与党内で議論や手続きを経ていない「個人的見解」を首相が発表するのも異例。原発を減らす具体的な手順や電力供給の見通しも示さず、「レームダック(死に体)政権」の実行力には疑問符がつく。
 「原子力政策の見直しを提起するのは、その時代の首相としての責務ではないか」。首相は東京電力福島第1原発事故が起きた時に首相だった「運命」を強調した。
 しかし、中部電力浜岡原発の停止要請や、九州電力玄海原発の再稼働延期が法的な根拠のない唐突な指示だったように、今回の首相発言も場当たり的だ。政策内容や方向性が正しくても、民主的な手続きを踏まない「独断」は「言いっ放し」に終わりかねず、与野党からは「パフォーマンス」との批判が出ている。【平田崇浩】
毎日新聞 2011年7月13日 21時31分


応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

新聞社として脱原発の方針を示した、朝日新聞と毎日新聞はおおむね好意的な社説だが、
唐突な発表に、管首相の独断先行と危惧する反応もねづよい。
きっと、党内の推進派や閣内でも「トノご乱心」と大騒ぎなのだろう。

社説:脱原発―政治全体で取り組もう 
朝日新聞 2011年7月14日

菅首相の「脱原発』の記者会見を受けて、新聞各紙の社説。菅直人首相がきのう記者会見し、「脱原発」をめざす方針を明確にした。「将来は原発がない社会を実現する」と初めて言い切った。
 国策として進めてきた原発を計画的、段階的になくしていくという政策の大転換である。
 私たちは13日付の社説特集で、20~30年後をめどに「原発ゼロ社会」をつくろうと呼びかけた。首相は目標年次こそ示さなかったが方向性は同じだ。首相の方針を歓迎し、支持する。
 退陣を表明した首相が、国の根幹となり、社会のあり方を決めるエネルギー政策の今後を方向づけていいのかという意見はあろう。
 確かに最終目標として原発全廃に踏み切れるのか、何年かけて実現するのかといった点は、そう簡単に国民的な合意は得られまい。
 だが、自然エネルギーを飛躍的に普及させ、原発への依存を減らしていく方針への異論は少ないはずだ。誰が首相であっても進めなければならない、焦眉(しょうび)の政治課題なのだ。
 ただ、首相の今回の方針も、例によって内閣や民主党内の論議を積み重ねたものではない。脱原発の具体策を示したわけでもない。そのぶん、発言の唐突さは否めない。
 民主党はかつて原子力を「過渡的エネルギー」としていたが、政権をとった一昨年の衆院選で原子力利用に「着実に取り組む」と方針を転換している。菅首相も原発依存を高める計画を閣議決定し、原発の海外輸出を成長戦略に位置づけていた。
 こうした経緯を総括し、まず民主党としての考え方を明確にしなければ、首相発言は絵空事になりかねない。
 自民党は過去の原子力政策を検証する特命委員会を設けて議論を始めている。電力業界や経済産業省とともに経済性を重視し、安全性を犠牲にしてこなかったか。真摯(しんし)な反省が不可欠だ。それなくして、新しい政策は説得力を持たないだろう。
 エネルギー政策の転換を探る超党派の議員による勉強会も発足した。脱原発への機運は確実に高まっている。
 だからこそ首相が交代した後も、この流れが変わらぬような道筋をつけてほしい。
 最悪の原発事故が現実のものとなった以上、もはやスローガンを唱えるだけでなく、脱原発への具体的な手法と政策を真剣に検討しなければならない。
 いまこそ、与野党を問わず、政治全体として脱原発という大目標を共有して、具体化へ走り出そう。  



社説:「脱原発」表明 目指す方向は評価する 

 菅直人首相が13日、記者会見し、原発への依存度を今後、計画的、段階的に下げていき、将来的には原発がなくてもやっていける社会の実現を目指すと表明した。国のエネルギー政策を抜本的に見直す「脱原発」表明である。
 原発への依存を減らしていくこと、そして現実的にもそうした方向にならざるを得ないことは、私たちもこれまで何度も指摘してきたところだ。その考え方については基本的に支持し、評価したい。
 しかし、首相のこの日の会見ではあまりに具体性が乏しい。将来とは一体、いつごろを考えているのか。代替エネルギーをどうやって促進していくのか。何より、菅首相が「私自身の考えを明確にしたい」と前置きしたように、これは内閣、あるいは民主党も含めた政権としての方針なのか、はなはだ心もとない。
 いずれ遠くない時期に退陣するであろう首相だ。まず、政府・与党としての考えをまとめる作業を急いでもらいたい。
 菅内閣では九州電力玄海原発の再稼働問題をめぐり、首相と海江田万里経済産業相との間で「不一致」が問題になったばかりだ。一連の経過に対し、首相は会見で「私の指示が遅れ迷惑をかけた」と改めて陳謝したが、今回の「脱原発」表明についても、早くも「どこまで閣内で議論をしているのか」という疑問の声が出ている。
 もちろん、首相のリーダーシップで進めていくことは必要だ。しかし、民主党の執行部でさえ菅首相と距離を置き始め、絶えず退陣時期が焦点となっている現状を考えれば、個人的な意見の言いっぱなしで終わる心配がある。
 一方、菅首相は、企業や各家庭の節電の努力の結果、今年の夏から冬にかけては「十分に必要な電力供給は可能」と明言したが、もっと具体的な数字を挙げて説明しないと説得力を欠く。
 さらに来年夏以降に関しては、天然ガスを使う火力発電所の活用などを挙げたが、「計画を立てていきたい」と語るだけだった。これでは、ただでさえ方針が二転三転する菅内閣に不信感を強めている産業界などは納得しない。
 国民の安全と暮らし、経済活動をどう保っていくか。確かに首相がいうように国民が選択すべき政治課題である。いずれは総選挙の大きな争点ともなるだろう。だからこそ、政権与党の責任として民主党の考えをまとめることが必要だ。
 首相はこの日も退陣時期を明確にしなかったが、まさか「脱原発」を自らの延命の材料にするつもりはなかろう。次期代表を決める代表選でもきちんと論議すべきである。
毎日新聞 2011年7月14日 東京朝刊 


  クローズアップ2011:「脱原発」方針表明 首相独走、募る疑心

「3・11」以降、再生可能エネルギーの利用推進を掲げて「脱原発」の思いをにじませてきた菅直人首相が13日、ついに「原発に依存しない社会」を目指す方針の表明に踏み切った。民主党執行部が首相の退陣時期に想定する8月末まで、残された時間は1カ月半。政府・与党にも諮らない唐突な表明には、できる限りの実績を残したいとの焦りが見え隠れする。「辞めないのではないか」「脱原発解散を打つつもりだろう」--。与野党の疑心暗鬼は募るばかりだ。

 ◇与野党、延命警戒 「英断歓迎」の声も
 「私が責任を持っている間はもちろん、議論、計画立案を進めるが、私の段階だけですべてできると思っているわけではない」。菅首相は13日の記者会見で脱原発の方針を次期首相に引き継ぐ意向を示し、「延命」の意図を否定した。
 首相は会見前、海江田万里経済産業相と民主党の岡田克也幹事長に電話し、理解を求めた。岡田氏は視察先の宮城県名取市で記者団に「将来的に原発依存度を減らしていくというのは当然あるべき意見だ」と前置きしたうえで「本格的な議論をするにあたって首相としての方向性を示すのだと思っている」と述べ、具体化は次期首相の下で行うべきだとの考えをにじませた。
 「『脱』は使わないでください」。会見前、枝野幸男官房長官らは政府・与党内の調整なしに脱原発を打ち出そうとする首相にブレーキをかけた。
 昨年6月の就任直後に表明した「消費税率10%」、10月の所信表明演説に盛り込んだ環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加検討など、唐突に打ち上げては政府・与党内の混乱を招いた失敗を繰り返すのを枝野氏らは懸念した。原発事故の発生後も電力事業の発送電分離や原発国有化などの発言が「言いっぱなし」「思いつき」との批判を浴びてきた。
 首相は「脱」とは言わなかったものの「原発がない社会を実現する」と明言。与謝野馨経済財政担当相は13日、日本記者クラブで会見し、電気料金の上昇につながる経済リスクを指摘し「脱原発のスローガンは、ある部分だけをみた議論」と閣内から批判の声をあげたが、社民党の福島瑞穂党首は「英断を歓迎したい。政権交代の意味があった。自民党だったら脱原発とは言えなかった」と絶賛した。
 「菅さんは確信犯。中身についてはだれも『けしからん』とは言いにくい」(首相周辺)との見立て通り、政策的な方向性を否定する発言は野党からも少なく、批判は首相の手法に集中した。
 公明党の山口那津男代表は「再生エネルギー(固定価格買い取り法案)まではやらせてくれと言ったのに、今度はその先の重要な方向性まで言い出す。一歩、また一歩と延命策を図っているとしか見えない」。自民党の逢沢一郎国対委員長も「退陣を表明した首相が何を語っても、そういう国づくりが進むとはだれも考えない」と突き放した。
 菅首相が居座り続ける限り、東日本大震災の復興やエネルギー政策の転換へ向けた与野党協力は進みそうにない。その危機感を訴える民主党議員11人が13日、即時退陣を求める連名の文書を首相官邸に提出。続投意欲ばかりが目立つ首相の「独走」に疑念が広がる。【平田崇浩、佐藤丈一、赤間清広】

 ◇「記憶に残る日」環境団体が評価
 菅首相が原発に依存しない社会を目指す方針を表明したことについて、環境保護団体からは歓迎の声があがった。
 地球温暖化問題に取り組む気候ネットワークは「歴代首相の中で初めて脱原発を宣言した。エネルギー政策の転換へ大きくかじを切った日として記憶に残る日となる」と歓迎した。また、グリーンピース・ジャパンは「福島第1原発事故を受け、将来世代の安全・安心を最優先に考えれば当然の方針」と評価した。【足立旬子】

 ◇「経済に悪影響」 電力不足の深刻化懸念
 「理念先行で何をどうしたいのか分からない。いつ辞めるか分からない首相の下で対応はできない」。経済産業省幹部は、菅首相の会見を聞いて頭を抱えた。
 定期検査で停止中の九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)を巡っては、首相指示によるストレステスト(耐性試験)導入で今夏の再稼働が絶望的になったが、テストを1次評価と2次評価に分けたことで「今夏を節電で乗り切り、その後は(比較的短期間で行う)1次評価後の早めの再稼働につなげることは可能」(経産省幹部)との見通しもあった。
 しかし、菅首相は13日の会見で「将来は原発がなくてもやっていける社会を実現していく」と表明した。菅政権が延命するほど電力不足が深刻になりかねない展開に経産省幹部は「在任中は原発を動かさないというメッセージだ。再稼働を目指していた海江田氏は見事にはしごを外された」と反発した。
 ソフトバンクが呼びかけて35道府県が参加した「自然エネルギー協議会」のように、「脱原発」の流れに乗る動きもあるが、経済活動への悪影響を不安視する声は強い。
 経団連幹部は「企業は生産計画を立てられない。雇用維持や企業活動に悪影響を与える」と批判。長谷川閑史代表幹事が原発依存率を段階的に引き下げる「縮原発」を提案している経済同友会も「時間軸や技術的な課題が解決できるのかが全く見えない」(幹部)と、会見の内容を批判した。
 産業界からも「安定的に電力を確保できなければ、韓国や中国との競争には勝てない。海外移転に拍車をかけることになる」(大手電機幹部)と空洞化の加速を心配する声が上がる。
 電気事業連合会の八木誠会長は「国のエネルギー政策の大幅な見直しは、わが国の将来の根幹にかかわる極めて重要な問題。方向を誤れば大きな禍根を残す。国民的な議論を十分積み重ねた上で、結論を出すべきだ」との談話を発表した。【宮崎泰宏、野原大輔】


首相が「脱原発」を宣言し、マスコミもキャンペーンをはる中、
持論を展開しているのが、東京都の石原都知事。
許しがたい発言でわたしは怒り心頭なのだけど、
なんでこんな暴言を吐く危険な人が、都知事の椅子を追われないのか、
なぜマスコミが追及キャンペーンをしないのか、不思議だ。

日本に原発必要、核兵器持つべき 石原都知事インタビュー 
2011年07月14日 16:37 発信地:東京 AFPBBニュース

【7月14日 AFP】東京都の石原慎太郎(Shintaro Ishihara)知事(78)は、6月28日にAFPが行ったインタビューで、東京電力(Tepco)福島第1原子力発電所の事故を受けて原発に対する「一種のヒステリー」が起きると予想されるが、日本には原発がまだ必要だとの認識を示した。
 また、北朝鮮、ロシア、中国という「日本に敵意を持った」近隣国の存在を考慮すると、決して使用してはならないものの、日本は核武装するべきだとの考えを語った。

■フランス人に出来て、なぜ日本人に出来ないのか
 4月の都知事選挙で再選された石原都知事は、原発について「管理さえしっかりしていれば、コストの面で、非常に安い電力を供給できる」と指摘。「これから選挙の時に、原子力発電所に関して一種のヒステリーが起きると思う」との見通しを示しつつ、電力供給の4分の3以上を原発でまかなっているフランスを例に挙げて「フランス人に出来ることがなぜ日本人に出来ないのか」と述べ、今後も日本には原発が必要との見方を示した。
 日本はこれまで電力の3割近くを原発に頼ってきた。東日本大震災を受けた原発停止による電力不足の懸念が広がるなか、東京都は都庁舎の節電目標を、国の求める15%をはるかに超える25%に設定。明かりをつける照明の数を減らすなど、さまざまな節電対策に取り組んでいる。

■再生可能エネルギーには懐疑的
 石原氏は、ディーゼル車規制や気候変動対策方針の策定、排出量取引制度の導入、緑化計画など、環境政策では高い評価を受けている。2016年夏季五輪の招致活動でも、地球環境の大切さに焦点を当てた構想を前面に出した。
 だが、再生可能エネルギーについては、日本の産業界を支えるにはまだ未熟だと考えているという。
「バイオマスは日本ではコストが高すぎる。太陽光はそんなもので、日本の産業はとても支えられない。風力発電は日本では案外効果が薄くて、特に落雷が多いので、すぐに壊れる」
「そんなもので日本の、世界第3位の経済産業が担保されると思いますか」
 その上で石原氏は、原発の代替案として、東京湾の埋め立て地などに天然ガス発電所を新設する考えに言及。「環境問題でも石油よりも悪い影響の少ない天然ガスを使った装置を原発に見合うくらいのコストで、電力を供給できる可能性があります」と語った。

■核武装で「日本の存在感が変わる」
 一方、核武装については、「日本は核兵器を持つべきだと思っています」と主張した。「持ったって、絶対に使えない。しかし日本が核兵器開発のためのコンピュータを使ってシミュレーションするだけで、日本の存在感は変わってくると思います」
 その理由について、石原氏は「日本みたいな国が、世界でどこにありますか。北朝鮮、ロシア、中国とこんな間近に日本に敵意を持った国が3つも国境を接してある、こういう危険なシチュエーションにある国は世界中に日本しかないと思います」と説明した。(c)AFP/Harumi Ozawa 



最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

〈社説特集〉原発ゼロ社会―いまこそ 政策の大転換を(朝日新聞)

2011-07-14 08:28:41 | 地震・原発・災害
一昨日、朝日新聞から、原発についての記事を書きたいから、と、
88年に福井県からつゆくさ風船を飛ばしたことを中心に、インタビュー取材を受けました。

翌日の朝日新聞。
一面から、目が覚めるような「脱原発」の記事。
社説のページには、〈社説特集〉として、見開きいっぱいに、「脱原発へのみちすじ」論を展開しています。

大手の新聞が、脱原発の方針で論を張る。
これは記録に残しとなきゃ、ということで、いかに紹介します。

記事は大きすぎてスキャナで取り込めないし、字数の関係で全部は載せられないので、
紙面またはwebでご覧ください。

わたしのインタビュー記事は、20日か21日に掲載の予定。
ただし、岐阜版ですけどね。

 原発ゼロ社会―いまこそ 政策の大転換を〈社説特集〉
2011年7月13日 朝日新聞

■大軒由敬(論説主幹)
 日本のエネルギー政策を大転換し、原子力発電に頼らない社会を早く実現しなければならない。
 いまだに収束が見えない福島第一原発の事故を前に、多くの国民もそう思っている。朝日新聞の世論調査では、段階的廃止への賛成が77%にのぼった。
 なにしろ「止めたくても止められない」という原子力の恐ろしさを思い知った。しかも地震の巣・日本列島の上にあり、地震が活動期に入ったといわれるのだ。再び事故を起こしたら、日本社会は立ち行かなくなってしまう。
 そこで、「原発ゼロ社会」を将来目標に定めるよう提言したい。その方策については、社説特集をオピニオン面に掲載したので、お読みいただきたい。
 脱原発を進めるポイントは、時間軸をもつことである。
 これまで電力の3割近くを原発に頼ってきた。ここで一気にゼロとすれば電力不足となり、生活や経済活動が大きな打撃を受けるだろう。過度に無理せず着実に減らしていく方が現実的であり、結局は近道にもなるはずだ。
 原発の寿命は40年がひとつの目安とされている。もう新たな原子炉は建設せずに40年で順に止めていくと、2050年にはゼロになる。これでは遅すぎるが、代替電源の開発・導入に力を入れ、節電にも努めれば、ゼロの日をそれだけ早めることができる。
 代替電源の希望の星は、風力や太陽光を始めとする自然エネルギーだ。これを増やす方向へエネルギー政策を転換し、電力会社による地域独占体制を抜本的に改めて自由化を進める。それが社説で描いたシナリオである。
 これまでは、原発増強を最優先させ、自然エネルギーを陰に陽に抑制してきた。自然エネルギー源は各地に分散していて地域密着の発電になるので、自由化による新規参入が欠かせない。需給に応じて変動する電気料金にすれば、節電を促すことにも役立つ。
 ただし、まだまだコストが高い。急激に導入すれば電気料金を押し上げ、暮らしや経済活動の重荷になる。どのていどの値上げなら受け入れ可能か。危険な原発を減らすことと天秤(てんびん)にかけ、国民的な合意をつくりつつ廃炉のテンポを決めていくことが大切だ。
 また、それまでには時間がかかるので、当面は天然ガスなどの火力発電を強化せざるをえない。二酸化炭素を出し、地球温暖化の防止にはマイナスに働くが、自然エネルギーの開発と省エネを進めていき、長期的には脱原発と両立させねばならない。それが日本の国際的な責任でもある。
 以上の努力を重ねていって、ゼロにできるのはいつか。
 技術の発展や世界の経済情勢に左右され見通すのは難しいが、20~30年後がめどになろう。
 そこで、たとえば「20年後にゼロ」という目標を思い切って掲げ、全力で取り組んでいって、数年ごとに計画を見直すことにしたらどうだろうか。
 現在は、54基ある原発のうち35基がすでに休止しており、8月までにさらに5基が検査で止まる。この状態であっても、私たち一人ひとりの節電努力でこの夏の需要最盛期を乗り切れたなら、かなりの原発はなくても大丈夫であることを証明したことになる。
 今後は安全第一で原発を選び、需給から見て必要なものしか稼働させなければ、原発はすぐ大幅に減る。ゼロへの道を歩み出すなら、再稼働へ国民の理解も得やすくなるに違いない。
 戦後の原子力研究は「平和利用」を合言葉に出発した。しかし、原発が国策になり、地域独占の電力会社と一体になって動き始めると、反対論を敵視してブレーキが利かなくなった。
 多くの国民も電力の源についてとくに考えずに、好きなだけ電気を使う生活を楽しんできた。
 原発から脱し分散型の電源を選ぶことは、エネルギー政策をお任せ型から参加型へ転換し、分権的な社会をめざすことにつながる。それは、21世紀型の持続可能な社会を築くことにも通じる。
 きょうの社説特集は「原発ゼロ社会」へ向けたデッサンにすぎない。必要なのは国民的に議論を深めながら、やれることから早く実行へ移していくことである。   



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。


推進から抑制へ 原子力社説の変遷〈社説特集〉〉 
2011年7月13日 朝日新聞

 原子力をめぐる朝日新聞の社説は、この60年余で大きく変わった。その検証をしてみたい。
 第2次大戦後の20年間ほどは、原子力の民生利用に希望を託す見方が世界の大勢だった。1948年2月3日社説は「原子動力化の実現する年」と題して原子力発電への期待を表明した。
 53年12月、アイゼンハワー米大統領が国連総会で「平和のための原子力」を訴える。翌54年、中曽根康弘氏らが動いて原子炉製造に向けた修正予算案が国会に出されると、3月4日社説は、学界をないがしろにする提案だと批判した。原子力推進という同じ立場ながら、どう進めるかで対立する議論だ。
 55年に原子力基本法が成立した。原子力政策は輸入炉を軸に進むが、朝日新聞は国産炉開発にこだわる。57年8月27日、茨城県東海村の原子炉に国内初の「原子の火」がともった日の社説も「記念すべき一歩」とたたえつつ、米国の技術頼みに苦言を呈した。国策を叱咤(しった)激励する日の丸原子力論である。

■転機はチェルノブイリ
 そのころは、原子力のエネルギーも制御可能であり、兵器でなく民生に用いれば恩恵をもたらすという楽観論が強かった。新しい技術が科学の悪用か否か、それだけに目が向いていたように見える。その裏返しで、技術の不確かさへの関心は低く、原子力基本法が掲げる「民主」「自主」「公開」は論じあっても、「安全」論争は盛んにならなかった。
 だが、広島と長崎の被爆の影響が長引くことがわかり始め、54年には第五福竜丸の核実験被曝(ひばく)事件もあった。50年代半ばから、科学界でも放射能のリスクや原子炉の危険を直視する動きが強まった。
 朝日新聞社説も、新しい知識や情報を取り入れ、原発の大事故が起こりうることや、それがもたらす放射能被害の怖さに、もっと早く気づくべきではなかったか。振り返っての反省だ。
 推進から抑制への変化は、79年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故が起こってからだ。「安全を前提に原発を進める」という論調だったのが、原発を推進することの是非も考える議論に入っていった。88年4月26日社説は「立ち止まって原発を考えよう」と呼びかけた。

■危うさへの感度足りず
 背景に、60~70年代に深刻になった公害と、しだいに高まった環境保護思想がある。水俣病が世界に伝えられ、レイチェル・カーソン著『沈黙の春』などで、生態系を守る意識が国内にも広がった。
 原子力に批判的な社説は、朝日新聞紙面に載った「原発と人間」(86年)、「汚染大地」(90年)などの企画記事にも呼応するものだった。
 冷戦後の90年代には環境保護が国際政治の主議題となる。二酸化炭素(CO2)などによる地球温暖化の心配が高まると、原子力推進側は原発をCO2排出減の決め手と位置づける攻勢を強めた。
 これに対して、96年12月2日社説は「原発への依存ふやすな」と見出しにうたって「放射能を帯びたごみのつけが、のちのちの世代に回される」と原発の負の側面を警告した。2007年5月3日の「社説21」は、脱温暖化策を提案しながら「日本の原発依存率は現状以下に抑えていく」とした。
 09年3月16日社説は、太陽光発電の研究が次世代エレクトロニクスにもつながることなどを挙げ、原子力を柱とする科学技術政策の見直しを迫った。
 この半世紀、巨大技術の危うさがわかり、人々の科学技術観も変わった。それを感度よく、洞察力をもってつかめなかったか。反省すべき点は多い。


脱原発への道筋―高リスク炉から順次、廃炉へ〈社説特集〉〉 
2011年7月13日 朝日新聞

原発の段階的削減をどういう手順で進めるか――。
 「新たな原子炉はつくらない」「古いものは閉めていく」
 それが基本シナリオだろう。
 事故を起こした福島第一原発1号機は運転開始から40年が経つ。稼働していた原子炉では日本で3番目に古い。
 もっと古い日本原子力発電の敦賀1号機(福井県)と関西電力の美浜1号機(同)は国が10年間の延長を認めているが、いずれも活断層に近いことも考慮すれば、廃炉を急ぐべきだ。
 幸い、初期の原発は出力が小さく、40年で停止しても電力供給が大きな影響を受けるわけではない。
 福島第一の廃炉を前提に、全原発が40年で運転を停止していくと、原発の総発電能力が今より20%減るのは2021年、50%減るのは29年、最終的に原発がすべて止まるのは49年末という計算になる。
 しかし、これではあまりに遅々とした歩みである。
 まず急ぐべきは、今回の事故を教訓とした新たな安全基準や防災計画の設定だ。これは新たな原発建設に適用するのではなく、既存原発を「仕分け」する尺度となる。この基準に照らして補強が技術的に難しかったり、コストが見合わなかったりする原発は前倒しで廃炉にしていく。
 では、どのような基準が求められるのか。
 原発の設備機器や施設全体の頑強さについては、中央防災会議が進めている議論に沿って、科学的に考え得る最大級の地震による揺れと津波に備える形に一新する必要がある。
 ハード面の壁が破られたとき、被害を最小限に抑えるソフト面も重要だ。施設で同時多発的に問題が発生した場合、どうやって事態を把握し、どんな対応をとるのか。危機管理態勢を根底から練り直すことが欠かせない。
 防災対策も同様だ。これまで原発からおおむね半径10キロ以内が避難区域の対象だったが、今回は30キロを超える地域にも被害が及んでいる。範囲を広げると、居住人口や関係自治体が一気に増える。それでも避難が可能なのか、冷静に見極めなければならない。
 以上のことを考えれば、菅直人首相の要請を受けて運転を停止した中部電力の浜岡原発(静岡県)3、4、5号機は、このまま廃炉にするのが賢明だ。大地震が起きる可能性が極めて高い立地に加え、事故が発生した際の経済的、社会的影響が大きすぎる。

基準や計画が改まっても、実際の運用で骨抜きにされてきたのが、過去の原子力の歴史だった。電力会社は地質や津波などの情報を握っていながら、都合のよいものしか出さない。
 こうしたご都合主義を排除するには、専門的な立場から批判的に安全性をチェックする仕組みが不可欠だ。
 今回の事故で機能を果たせなかった原子力安全委員会は、地震学など原子力以外の専門家もメンバーに加えるとともに、原発の定期検査についても法的権限を与えて関与させる。
 原子力安全・保安院は、原発を推進してきた経済産業省から分離し、新たな原子力安全委員会の実動部隊として位置づける。米原子力規制委員会(NRC)などが参考になろう。
 こうして態勢を強化した新たな規制・監督機関が安全基準の策定や原発の運転・廃炉のチェックを担っていく。
 組織面では、原発の運営をこれまで通り電力各社に委ねるか、国営化するか、専業1社に集約するかといった点も、検討しなくてはならない。
 原発の廃止にともない、立地自治体の再生も課題となる。原発による歳入が減り、雇用が失われることへの懸念は大きい。ただ、廃炉完了までには20年から30年はかかる。その間、原発に依存しない地域づくりに、周辺自治体とともに取り組んでほしい。
 当面の問題として、定期検査を終えた原発の運転再開は、新たな安全基準に照らして、個別に判断していくことが本来の姿だ。
 経産省による6月の安全宣言は、いかにも拙速だった。新たに実施するストレステスト(耐性評価)は、菅首相の戦略のなさから大きな混乱を招いたが、安全確保の面からは必要な手順だろう。アリバイづくりのテストであってはならない。
 政府に求められるのは、原子炉の古さや活断層との距離など原発それぞれが抱える問題を精査し、リスクの大きい原発を個々に仕分けしていく作業である。少なくとも、40年を経過した原発の再稼働は認めるべきではない。
 そのうえで、相当程度の安全が確保された原発は、地元の十分な理解を得て再稼働させていくのが筋道だ。
 こうした課題をこなしながら脱原発を進めるには、移行期のエネルギーが重要になる。自然エネルギーが普及するには、まだ時間がかかるからだ。
 期待されるのは天然ガスである。二酸化炭素は出るものの、最近の発電技術の革新で、排出量は石炭の4割程度まで減ったといわれる。
 家庭やビルごとに発電できるうえ、排熱は給湯などに利用できる。熱を捨てるしかない原発に比べると、無駄が少ない。米国で地下の深い岩層に含まれるシェールガスの採掘が可能になったほか、ロシアやオーストラリアで大規模開発が進むなど、供給の安定性が高まっているのも強みだ。
 原発か、自然エネルギーか、という二者択一では、結果的に脱原発が進まない。さまざまなエネルギー源への目配りが必要だろう。
 政治的な回路という視点も大事だ。
 ドイツの脱原発の背景には、緑の党などの環境政党が1986年のチェルノブイリ事故を契機とした反原発の民意をくみ上げてきた歴史がある。
 ところが、日本では原発立地への反対運動があり、やはりチェルノブイリ事故の衝撃がありながら、ついぞ政治的な争点にはならないままだった。
 今回の事故で、日本の政界にも原発見直しの動きが出てきた。次の総選挙までに、脱原発の道筋をきちんと構築して提示してもらいたい。  


廃棄物の処理―核燃料サイクルは撤退〈社説特集〉〉 
2011年7月13日 朝日新聞

 日本初の商業用原発、東海原発(茨城県)が1966年に営業運転を開始して以降、日本は大量の使用済み核燃料を生み出し、ため続けてきた。
 今後、脱原発を進めても、稼働している原発があるかぎり、「高レベル放射性廃棄物」である使用済み燃料は出続ける。これらをどう始末するか。
 廃棄物処理に大きく関係するのが核燃料サイクル政策だ。使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、高速増殖炉(FBR)でまた燃料として使う仕組みである。
 ところが、その要となる二つの施設は巨額の費用を投じながら、見通しが立っていない。
 六ケ所再処理工場(青森県)はもともと97年に運転開始の計画だったが、いまなお試運転段階だ。工程のトラブルが起き、何度も止まっている。FBR原型炉「もんじゅ」(福井県)は、95年のナトリウム漏れ事故以来、ほとんど稼働していない。
 再処理が進まないため、六ケ所では各地の原発から受け入れている使用済み燃料の貯蔵スペースが満杯に近づいている。そのあおりで、使用済み燃料は全国の原発内にあるプールに留め置かれ、すでにプール総容量の7割が埋まっている。
 日本の原子力政策の中でも、核燃料サイクルは特に経済性や核不拡散の点から問題になってきた。2005年に現行の原子力政策大綱が策定される際の議論では、核燃料サイクルは、使用済み燃料を処理せずに埋設する方法より、割高だという試算が示された。
 それでも政策を継続したのは、「路線を変更すると過去の投資が無駄になり、新たな研究も必要。立地地域との信頼も崩れる」という理由だった。
 しかし、原発ゼロを目指せば、「50年ごろまでにFBRを実用化する」という核燃料サイクル計画は続ける意味合いもなくなる。撤退するしかない。
 六ケ所再処理工場は、プルトニウムの抽出とともに、使用済み燃料の減量化を行う役割も負っている。だが、原発が減り、FBR時代はこないという前提で方針を転換するしかない。
 プルトニウム利用をやめれば日本の核不拡散外交を強めるカードにもなる。また、再処理のために電力各社が積み立てている2兆4千億円を超える資金や、停止中でさえ1日5千万円かかるもんじゅの維持経費にも、他の使い道が出てくる。
 今まで国策として動いてきた核燃料サイクル政策を変えることで、施設を受け入れてきた地元の反発など、さまざまな問題が出るだろうが、解決する道を探りたい。
 ただ、核燃料サイクルをやめても、放射性廃棄物を処分する場所がないことに変わりはない。
 日本をはじめ原発をもつ国々の多くは、こうした「原発のゴミ」は地下深くに埋めて、人間社会から隔離した状態で管理する方針を打ち出している。しかし、処分場の場所を決められたのは北欧ぐらいしかない。
 原発のゴミの始末は、原発の電気を使ってきたわれわれの世代が責任をもって取り組むべき仕事だ。
 経済協力開発機構(OECD)原子力機関も95年、原発のゴミの後始末を「いまの世代の責任」だとする原則を打ち出した。次世代に丸投げしてはならない。少なくとも国内で処理する道筋はつけなければならない。
 原発を造ることではなく、廃棄物の処理に情熱を燃やし、世界をリードする。そんな原子力技術者を育てていくことも必要だ。  


最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅の土用干し/天然雪と共に届いた!幻の酒「雪中酒/」丸亀製麺VSはなまるうどん

2011-07-13 19:56:09 | おいしいもの/食について
梅雨も明けて家にいることが続くので、
梅を干すことにしました。

梅雨明けと同時に、ブログのアクセスも上昇。
例年のことですが、この時期一番多いのは、梅の土用干しの記事です。
手作り梅干し~いよいよ土用干し。(2005-07-29)

「夏の土用」が7月20日日頃から8月6日ごろまでの立秋前の18日間で、
「梅雨明け10日」は例年ならちょうど夏の土用のころにあたるのですが、
今年はいつもより早い梅雨明けで、土用もまだ。

梅雨が明けて気温は高いのですが、かんかん照りというわけでもなく、
初日はときどき曇り気味。

   

それでも10時ころざるに並べて、お昼に一度ひっくり返し、
   

2時ころにはしわしわになりました。
   

   
梅酢に戻して、また翌日ざるに広げて梅酢に戻して、_ということを繰り返し、
3日間お日様に干します。

   

今年の梅干は、赤紫蘇を入れない白梅干。
塩分を極端に少なくして、代わりにはちみつを入れてみたのですが、
途中で発酵したのか、甘みは全く残っていません。
保存性が心配なので、しっかりと干そうと思っています。


応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。


話は変わりますが、珍しい「雪中酒」が届きました。
ふたを開けてみると、本物の雪にお酒が埋まっていました。

  





わたしもちょっとだけ味見。
フルーティな香りがして、同時に芳醇な味です。

 天然雪と共にお届け!「雪中酒」  
編集長 (2011年7月 5日)
今日は、kassy さんからのお便りです。
今日の話題は「雪中酒」
「雪の中のお酒」と書いて雪中酒(せっちゅうしゅ)と読みますが、
もうご存知の方はいらっしゃいますか?

初めての方に、どんなお酒かご紹介しましょう。
  
「雪中酒」は、飛騨の中でも豪雪地帯でもある、飛騨市河合町で、
雪を利用した取り組みから生まれた特産品のひとつです。


地元の北飛騨商工会の会員などでつくる「北飛騨むらおこし実行委員会」が
飛騨市古川町の渡辺酒造店さんに依頼し、
地元産の米「ひだほまれ」と河合町の天生山ろくの天然水を使って仕込み、
「雪室」(ゆきむろ)で約4カ月~5カ月、ゆっくり熟成!!

真夏に出荷するお酒の事です。今年で18年目を迎えます。・・・
 


またまた話は変わりますが、さいきんは外で昼ご飯を食べるときは、
讃岐うどんを食べることがけっこう多いです。
熱いときは麺類が食べやすいということもありますが、
麺自体がおいしいのです。

二人で野菜天ぷらと大盛りを食べても、1000円でおつりが来ます。

「丸亀製麺VSはなまるうどん」。
どっちがおいしいか、食べ比べています。

  



みなさんはどっちが好きですか?


最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京から越前市へ。上野千鶴子さんの講演「家族持ちから人持ちへ」の追っかけ同行記。

2011-07-12 16:14:34 | ジェンダー/上野千鶴子
9日の上野さんの震災支援講演と退職記念パーティに出た翌朝のこと。

午前中には岐阜につくはず、で岐路についたのですが、
前日の感動の余韻が残っていて、越前市での講演もむしょうに聞きたくなり、
きゅうきょ、名古屋からひかりに飛び移って、同行することにしました。

文字通りの、おしかけ・おっかけ、です(笑)。

米原で無事合流。
ここからは、北陸線の特急「しらさぎ」に乗り換えて、一路、武生駅(越前)へ。

武生駅では、主催者は見つけられなかったのですが、
福井図書排除事件の原告の仲間の二人が待っていてくれて、感動の再会(笑)。
   
「越前市男女共同参画センター」は目の前だったので、4人で歩いて会場に行きました。
    「あんだんて 越前市男女共同参画センター 10周年記念フェスタ」会場。
   
 
ここからは、当日のツイッターの実況を転載します。
    

   なぜだか福井県に来ています。上野さんの講演の追っかけです(笑)。主催者挨拶が長すぎて待ちくたびれたわ~~
   

●越前市男女共同参画センター10周年講演のはじまりはじまりー。ライブ中継もあるそうですが、ツィツター中継はありません。

   

●上野さんの演題「家族はどうかわったか 祖母、母、娘の人生をとおして」。昨日のお疲れはなんのその、聴衆を引き込むあいわらずの上野モード全開です。これで゛越前にもかくじつに上野ファンは増えるね。ついでに、WANの会員も増えるといいね。

●上野さん講演@越前。家族間関係1~4の説明から、パラサイトシングル今・昔。「優雅なパラサイト」から「追い詰められたパラサイト」へ。会場からは笑いが漏れるが、ほんとはコワーイほんとの話。

●上野さんの講演@越前。やっぱりついーとしてます(笑)。「家族持ちから人持ちへ。」上野さんつくった言葉、「選択縁」の社会へ。選択縁の定義。「・加入脱退が自由で ・強制力がなく ・包括的コミットメントを要求しない ・脱血縁・脱地縁・脱社縁の人間関係」。

●あんだんて 越前市男女共同参画センター 10周年記念フェスタ 上野千鶴子さん講演をライブ中継中。こちらでぜんぶ見れます。
あんだんて 越前市男女共同参画センター 10周年記念フェスタ

●上野さんの話。佳境に入りました。「分断から連帯へ 支えあう社会へ」。社会的弱者の連帯を。だれもがいつ弱者になるのかわからない。弱者にならなにい心がけをするより、だれもが安心して弱者になれる社会を。私たちはweb上にどこにいても、誰でもつながることができるWANを作った。

   

(注・「あんだんて」の中継と録画、なぜだか音が出てません・残念。)

続いては、地元で活動している方たちで、パネルディスカッション「血縁から結縁の地域づくり」。
コーディネーターは上野さん。
   

   
女と男、二人ずつでしたが、気持ちのよいパネルでした。
     

講演が終わっても、上野さんはいつものようにニコニコと本のサイン会(お疲れ様です)。

イベントが終わったらおいしい越前そばを食べて帰ろう、と言ってたのですが、
思いがけなく、上野さんに食べてもらうためにお蕎麦を打って待っていてくださる方がいらっしゃって、
わたしたちも、飛び入りで、お相伴にあずかりました。

落ち着いた越前の自然に包まれてお蕎麦をいただき感激。
至福の時間でした。

今回の旅、新幹線の中はwilcom、会場はauと使い分けて、
ブログやツイッターをアップしていました。
  

ついでに、新幹線N700系の9両目にあるトイレ。
オストメイトも完備して、ユニバーサルデザインのトイレでした。
  

応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

家に帰ったら、咲きかけていたカサブランカはほぼ満開。

 

玄関の左右に種を巻いたたフウセンカズラと朝顔もツルが伸びてきました。

  
 
よい香りがする種無しキンカンの花。
   

  

大輪のアメリカフヨウも咲きました。
   

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする