今日、山形市の北西にある葉山がきれいに見えた。その南の月山の円な山容も、白い雪につつまれてまぶしいような景色だ。今年になってこれほど、葉山と月山がきれいに見えるのは初めてかも知れない。この二つの山が、日本海からの雪を障子にのように閉ざしすために山形に雪が少ない。というか、雪雲の雪は月山へほとんど降らせてしまう。
葉山というのは県内にいくつかあるが、奥の山にたいする端の山が語源である。出羽山地の端にある山で、主峰は月山ということになる。標高1462m、頂上には葉山神社がある。古くは修験の山として信仰を集め、出羽三山のひとつとされたこともある。山頂にあった別当大円院は五穀豊穣の守り神として近郷近在の信仰を集めたが、戦後山麓の大高根に米軍射撃場となり葉山入山禁止命令が出て大円院も岩野へ縮小移築された。
山形の農民詩人、真壁仁に「弾道カ下の村」という詩がある。入山禁止令のもとに起こった悲劇を、悲憤をこめて詩に書いた。
1
空を鳥は飛ばなくなった
山にコブシが咲かなくなった
空に飛ぶのは砲弾ばかり。
山に咲くのは火の花ばかり。
けれども人はどこにもゆけない。
ここがふるさと、ここが田畑。
家畜とともに農具とともに
弾道の下で耕して生きる。
これは戦争じゃないか。
これは戦争じゃないぜ。
だれも相手がいないじゃないか。
そういう戦争なのや。
岩が城にみえるのや。
鉄を山にすてにゃならんのや
4
こっそり赤線をこえ
禁じられた山にのぼる子供たち。
河島の丘に石器を掘った考古学者より
もっとまにめに鉄器をさがす。
それはワラビや木の実より重い。
それは教科書になりイワシになりズボンになる。
少女の一人は巨大な不発弾を抱いて爆死。
生命より重かった富のかけら。
呪え、いくらでも呪ってやれ。
悪魔に花を手渡す貧の底から。
そしてとりかえせ。
失ったすべてを。
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