正月も松の内を過ぎると日常の生活を取り戻す。半月が過ぎた15日を小正月といい、農村では豊作を予祝する様々な催しがあった。今朝の新聞に載っていたが、新庄では「雪中田植え」が行われた。水田に見立てた雪の田に、稲藁や豆ガラを束ねた「稲」を差し込む。秋の豊作を祈願して、大人に教わりながら子どもたちが行事の主役となる。
「だんご木飾り」も小正月行事のひとつだ。ミズキの枝に団子を刺し、根元には昆布を巻き、タイや巾着餅、折鶴、繭球を吊るして室内に飾る。これは豊作にあわせて蚕の飼育が無事に済むことを祈願するものだ。小正月の行事は、農耕に関係するものが多く、農村では多くの人々に親しまれた行事だ。
昨日の新聞には、尾花沢の「地蔵ころがし」の行事が紹介されていた。地蔵堂の地蔵を縄をつけて雪の中を引き回し、家々を回る。玄関に着くと「地蔵様きたよー」と声をかけ、地蔵を勢いよく置く。すると地蔵についた雪が沢山落ちると縁起がよいとされる。こちらも秋の豊作祈願で、行事の主役はやはり地区の子どもたちである。
父母居ねばしきたり失せつ小正月 谷 迪子
一遇に餅花あかり地酒酌む 上谷 昌憲