晴れて青空が見えているだけ、放射冷却の現象が起きて寒い。しかし気温はマイナス3℃ほどであったから、この地方はそれほどでもない。北海道の下川ではマイナス26℃を記録したいう報道があった。ここは母が育った町だ。私は一度も行ったことはないが、大雪山に近い寒冷な土地であることは間違いない。積雪では朱鞠内がニュースになり、気温で下川と知っている土地の名が出てくるのに驚く。
今日は正月7日、お屠蘇気分を終えて、野の七草を入れた粥を食べる風習があった。我が家ではもう何年も前にしなくなった風習である。七草は、「せり、なずな、おぎょう、はこべら、ほとけ、すずな、すずしろ」で、こんな雪のなかでは採ることもできない。せりは雑煮に欠かせない香菜だから誰でもたやすく入手できる。なずなはぺんぺん草と言われる雑草。小鳥の餌に使われるはこべら、すずなは蕪ですずしろは大根のことだ。
昔の人は旧暦で初春の7日、この七草を摘んで細かくたたいた。その時、口ずさんだのが次の句だ。
七草なずな もろこしの鳥と 日本の鳥と 渡らぬ先にあわせて パータパタ
無病息災と鳥の害から五穀を守るために、七草粥を食べる風習が古くからあった。お粥はいまでは、歯のない赤ちゃんや病人の食べ物だが、古くは神に捧げる「晴れの日」の食べ物であった。同時にこの七草は利尿や健胃、便通、消化促進などに効果のある薬草としてとられていた。
風邪妻に七草粥をたてまつる 井桁 白陶