光禅寺の庭園は、江戸初期の小堀流の名園である。小川を引き込んだ池に氷が張り、所々に雪を配して、冬の庭には風情がある。光禅寺は山形城を築いた最上義光の菩提寺である。境内には義光、家親、義俊三代の墓と、義光に殉じた家臣の墓が城主に従うように立っている。この墓から真東には、千歳山の秀麗な姿が見える。この地を墓所に選らんだのは、こうした千歳山の光景が遮るものなく見えることがひとつの条件であったかも知れない。
冬来ぬとはや山里は霜寒み沓に音ある庭の通ひ路 最上義光
雪深い山形に生を享けた義光は、連歌や和歌の手ほどきをうけ一角の技量に達している。菩提寺の庭に立っていると、冬霜柱を踏みながら庭園を散策した義光の往時が偲ばれる。