ちゃるめらといえば明星ラーメンの「チャルメララーメン」で、すっかり誰もが知る楽器になった。そのラーメンの包装には、屋台を引くラーメン売りの小父さんが吹いているラッパ状の管楽器で有名になってしまった。そういえば、豆腐売りの小父さんもラッパを吹くがこちらは日本製のラッパでチャルメラのような味はでない。
これはそもそも西洋から伝わった管楽器で、長崎では「チャンメラ」と発音しポルトガル語の転化したものである。毎年正月にはチャンメラとともに銅鑼や片張りの太鼓を叩く一隊が家々を門付けのように廻ったという。その後江戸の街では、飴売りが子どもを集めるのに使った。唐人笛とも呼ばれラッパと同一視されたが、どこか田舎びてしかも異国を感じさせるような物悲しい雰囲気の響きである。このチャンメラがいつしかチャルメラと呼ばれるようになった。
石川啄木の『煙』には、このチャルメラを詠み込んだ歌がある。斉藤茂吉の「かりょうびんが」といい、啄木の歌といい、歌に日本語にはない響きを取り入れて、新鮮でモダンな感じを吹き込んでいる。
飴売りのチャルメラ聴けば
うしなひし
をさなき心ひろへるごとし
つい最近まで、車で売る石焼芋や蕨餅、スイカ売りのスピーカーが往来をゆっくりと廻ったものだが、今はそんな呼び売りの声も次第に消えていくようだ。
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