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来年の優秀吟合吟コンクールに出吟する吟題は李白の「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」に決まった。李白はあの広大な中国の大地を旅をする詩人であったが、親しい友人の孟浩然に、湖北の黄鶴楼で別れの宴を催し、船で長江を下って揚州へと向かうのを見送った。この送別の詩である。李白には多くの有名な詩があるが、私はなぜかこの詩に愛着を覚える。揚子江という大河は、実際にみると対岸すら見えない海のような水面であろうが、川には人を懐かしませる何かがあるような気がする。
黄鶴楼という壮大な規模の楼は、この楼に登って敵が攻めてくるのを見張る物見の建物として作られたのであろうが、現在の建物は高さ51m、5層からなり、主楼は72本の大円柱で構築されている。
故人西のかた黄鶴楼を辞し
烟花三月揚州に下る
孤帆の遠影碧空に尽き
唯見る長江の天際に流るるを
故人とは、亡くなった人という意味ではなく親しい友人、ここでは詩で知りあった孟浩然をさしている。船の帆が水平線なかなたに消え去ったあとも、李白は友人のことを思いながら、長江の流れを見やっている。長江のその悠々たる流れに、故人の影が同化してしまう。実に、詩は大きな景観のなかに、友人とともに、作者をも呑み込んでしまう。この楼が黄色い鶴の伝説を持っていることも、さらにこの情景の味わいを深くしている。
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