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明治時代の唱歌「埴生の宿」を覚えている人も多いだろう。春の宵にこの歌を思い出す。原曲はビショプの「ホーム・スィート・ホーム」で日本語の歌詞は里見義の作である。
埴生の宿も、わが宿、
玉のよそい、うらやまじ。
のどかなりや、春のそら、
花はあるじ、鳥は友。
おーわがやどよ、たのしとも、たのもしや。
埴は良質の粘土のことで、埴生の宿というのは、土間にむしろを敷いて寝るような貧しい家という意味である。ちなみに埴輪は、粘土で作った土器のことだ。そんな貧しい家に住んでも、春の花を主とし、鳥を友にして春の宵を過ごす幸せを歌った唱歌である。そんな深い意味を解さなくとも、春の黄金の時間を過ごす人々には、言いつくすことのできない幸せなひとときであった。