常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

お好み焼き

2013年09月19日 | グルメ


秋になると食べものの好みも変わってくる。お好み焼きやラーメンなど、熱いものがおいしく感じられる。もう収穫も終わりに近づいたミニトマトとフレッシュバジルを使ったお好み焼きを作ってみた。お好み焼きは、以前は家で作ることもめったになかった。お祭りの縁日でどんどん焼きを食べてから、だんだんと親しんでいったような気がする。うどん粉を溶いて、荒ミジンにしたキャベツとざっくりまぜ合わせて、両面を焦げ目がつくまでフライパンで焼き上げる。それにとんかつソースをかけて食べるのが定番であった。

今回はその上ににミニトマトとバジルをトッピングするので、ソースはイタリアンソースを使った。和とイタリアンのコラボだが、これがなかなか微妙なバランスでおいしかった。焼き上げるとき、蒸し焼きにするのがコツだ。焼きそばもそうだが、油を使わずにフライパンに蓋をして弱火で蒸し焼きにする。秋の夜、こんなお好み焼きを食べると祭りを思い出す。

子供たちは、わずかの小遣いを貰って屋台のワタアメやどんどん焼きを買って歩きながら食べるのが楽しい。着慣れない浴衣を着て友達と連れ立って神社の境内を歩く。見世物やサーカス小屋で、おどろおどろしいろくろく首や空中自転車など、怖いもの見たさの心理が働く。日本の祭りの祝祭空間は、昭和の年に一度の癒しの時間であった。

秋祭り覗きめがねもよそながら 久保より江

それにしても、季節のかわりが極端になった。古い歌では、「秋きぬと目にさやかに見えねども」と歌われたように、知らぬうちに小さな変化が少しづつ大きくなって秋を実感したものであったが、今年は台風が過ぎて、暑かった夏がそっくり秋になった。台風や竜巻、突風に大雨。気象庁は「経験したことのない大雨。ただちに命を守る行動をとって下さい」とアナウンスする。「どうすれば命を守れますか」という問い合わせが、気象庁に殺到したというから、気候の変動が極端で、人間の生命を奪うようなあらあらしいものになった。
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通草(あけび)

2013年09月18日 | 日記


秋の山に自生するのはあけびである。通草と書いてあけびと読む。「秘密の県民ショー」でやや自虐的に山形県民は、野の草などどこでも食べないものを食べるというので有名になった。あけびも普通は中の種の部分の綿のような実を食べる。皮の部分は捨てられるのが一般的だが、山形ではこれを食べる。

皮を短冊に切って油で炒め、豚肉を入れて醤油で味付け。皮には少し苦みがあって、これが酒の肴に合う。あけびは実だけ食べるのではない。春一番に新芽が出ると、この芽を採って湯がいて胡桃をかけて食べる。これも苦みがあって春一番の山菜である。やや春がたけなわになると、新芽は蔓を伸ばし始める。山形ではこれをツンといってやはりお浸しにして食べる。山近くに住む人には、春欠かせない味になっている。

あけびはこうして人に食べられるが、さらに蔓は編んでハケゴや魚篭に利用する。こんな風に、あけびは山村に暮す人に利用されつくしてきた。もう少し朝夕の気温が下がると、あけびは紫の色をおびて、部屋に飾られ、紅葉や秋の花の生け花の材料としても用いられる。人の生活になくてはならぬものだが、生命力はつよく、里山の雑木林にはとてもよく繁殖する。

林ゆく雨や通草がぬれしのみ 水原秋桜子
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月見の風習

2013年09月18日 | 日記


きのう、残照が瀧山を照らす頃、青空に月が出ていた。13夜ぐらいの月か。19日が中秋の名月である。新聞の声の欄に、84歳になる赤穂さんの投書が載った。題して「お月見の風習 孫に伝えたい」。少し引用させていただく。

「空気も澄み、一年で最も美しく見える「中秋の名月」を眺める風習が日本には古くからあった。ススキの穂と三方に乗せただんごときぬかつぎを縁側に飾り、満月に供えた。きぬかつぎは里芋を皮付きのままゆでたものだ。十五夜を芋名月という。」

赤穂さんの孫は小学生で、孫とだんごを食べながら、名月の風習などについて由来を話たいという内容である。たしかに月見の話をする年代は、いまでは60代以降の人々なのかも知れない。飾るだんごの数は決まっているの?など疑問が次々に出てくる。

『和漢朗詠集』に紀長谷雄が延喜年間(900年)に、中秋の名月を詠んでいることを知るだけで、日本人がいかにふるくから、名月を愛してやまなかったかが分る。

十二廻の中に 此夕の好きに勝りたる無し
千万里の外に 皆わが家の光を争ふ     紀長谷雄

(1年12ヶ月のうち、この8月15夜のすばらしさに勝るよい夕はありません。千万里の遠くまでも、どこまでも、人々はわが家で見る月の光が一番美しいのだと、誇るのです)

ことしもまた名月の季節が巡ってきた。台風が北海道の先へ去っていったので、これから名月にかけて好天が続くらしい。
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台風一過

2013年09月17日 | 日記


台風が列島に痛ましい傷跡を残して去ったきょう、空は一点の雲もなく晴れ渡った。前線や台風がない空はこれほど違うのか、信じられないような気候だ。その落差のあまりの大きさに戸惑うばかりだ。「台風が大事にならずよかったね」「山形は貧乏県だから、神さまがよけてくれるんだ」こんな会話が挨拶がわりになる。山形で台風が来たと思われたのは、昨日の午後1時半頃であった。小雨が急に激しい雨に変わった。同時に強風が吹きつける。丁度、スーパーに買い物に行っていたので、外で傘をさしてもずぶ濡れになるようか風雨だった。しかし、10分ほどで雨も風も弱くなり、そのまま空の色が変わっていった。1時間もすると、北東の空に青空が見え始めた。台風が宮城から岩手の方へ抜けていく頃であった。



蔵王坊平にヤマブドウ狩りに出かける。今年は、9月に雨が多かったせいか、ヤマブドウは豊作だ。高い木の上でしか取れなかったものが、今年は低い木にたわわになっている。2時間ほどのうちに、両手に重くて手が痛くなるほどの収穫であった。こんなに大量に収穫できたのは初めてことである。

山葡萄むらさきこぼれ山日和 水原秋桜子

山には少し夕べの雨が下草を濡らしている程度で、沢の水にも増水の気配もない。きのう、このやまにも台風が通過していったとはとても思えない静かな秋晴れだ。運動の青年が、山道で走りながらトレーニングそしている。聞けば、東京かたきたバレーボールクラブだという。「東京FCです」と言いながら。元気に走りぬけていく。松の木の下に、アワダケが出ているのを見つける。夜の味噌汁の具に一つかみ採ってくる。

帰宅して、山ブドウをつぶして、山ぶどう酒作りをする。4ℓ瓶に1本と3分2のブドウ液ができた。グラニュー糖を入れて発酵を待つ。
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唐辛子

2013年09月16日 | 日記


台風が8時に愛知県に上陸したとのニュース。ウェザーニュース風に写真を撮ってみた。ここは夕方にかけて最接近というから、現在は小雨、風もない。

ところで、この季節になると辛い唐辛子が出回る。会社に勤めていたころは、居酒屋に必ずと言っていいほど焼き唐辛子がツマミに出ていた。面白いもので、辛いのを食べるのを自慢する人がいて、「こんなの子供だましだよ」と言いながら平気で食べている。本当かなと思ってちょっと齧ってみると口のなかが火事のように辛い。居酒屋のママさんが、気をきかせて、ぬるい湯を準備してくれている。それで口をゆすぐと、不思議に辛みが消える。居酒屋には、どこか銭湯に似た世情がある。熱い湯自慢も、辛ナンバン自慢もどこか愛嬌がある。

北海道に三升漬けというのがある。これは、辛唐辛子1升、醤油1升、麹1升を混ぜて漬け込む。漬けて1週間もすれば、おいしく食べられる。これがあれば、ご飯のおかずがなくても何杯もご飯が食べられる。だが、やはり辛い。麹が辛味に旨みを加えてくれる。数年前、塩麹がブームになったが、三升漬けはその先鞭をつけたものだろう。

唐辛子の原産はアルゼンチンである。スペインの軍艦がこの地方を征服して、タバコ、トマト、唐辛子を持ち帰った。唐辛子はスペインから明に渡り、そこから日本に入ってきた。唐辛子というが、あくまでも原産はアルゼンチンだ。中国ではこれを調味料に活用した。四川料理では唐辛子をたっぷり使う。韓国では、キムチに使ったし、タイなど東南アジアでも大変に辛味が好まれた。日本では七味にするなど、唐辛子をそのままたっぷり食べる習慣は広まっていない。これは、唐辛子の辛さに原因がありそうだ。

同じ赤唐辛子でも、韓国産のものにはどこかしら甘みがある。栽培する土地の地味、気候、湿度などで、韓国のものは辛みが中和されているような気がする。居酒屋の唐辛子は、口のなかに火がついたよう辛さであった。日本の風土には、このような辛い唐辛子を産み出す特性があるような気がするが、どうだろうか。

世を疎み奥の柱に唐辛子  古館 曹人

唐辛子台風すぎし天を指す 水谷 晴光
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