常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

クラクラ日記

2013年09月25日 | 日記


本との出会いには不思議なきっかけがある。坂口三千代『クラクラ日記』(潮文庫)を読むきっかけも何か因縁のようなものを感じる。この本はもう随分前に購入して、本棚の奥に眠ったいた。先日電子ブックの『ビブリア古書堂の事件手帖』を読んでいて、思いがけずにこの本が小説の素材に取り上げられていた。

ビブリア古書堂の店長篠川栞子は、母が失踪しその間に父を病で亡くしてしまう。失踪した母が栞子に残したももが、この『クラクラ日記』であった。家のことも考えずに突然失踪した母を許せない栞子には、この本にろく目を通さずにいたのだが、この本の存在が母と娘の物語を展開する鍵になっている。

本棚から『クラクラ日記』を探し出して読んでみた。クラクラとは、フランス語で野雀のことだと、「あとがき」に書いてある。そばかすが顔中にある、その辺で遊んでいる少女の愛称がクラクラであるという。坂口三千代は坂口安吾の妻である。この夫婦の日常が、この本に書き込まれているが、三千代は少女のような純粋な心を持つ妻であった。現代ではこれほど夫が薬や酒に中毒し、暴れまわると、そばに居続けることができる妻がいるであろうか。

三千代が銀座にバーを出したのは安吾の死後一年経った、昭和31年のことである。このバーが「クラクラ」であった。三千代には、安吾は永遠に忘れることのできない存在であった。死の直前、安吾は取材で土佐に行き、その土産にサンゴのペンダントをふたつ買ってきた。記念に何か書いてと頼むと、安吾は「土佐に日本産のサンゴあり土佐の地に行きてもとめ三千代の誕生日におくる」と筆で認めた。安吾はこれを書いて寝に就いたが、未明脳出血のため倒れ死亡した。享年49歳であった。

栞子の母は失踪する前、何故この本を選らんで長女に渡そうとしたのか。それは、『ビブリア古書堂の事件手帖』のなかで明らかにされるだろう。この古書堂にある本が、自分の家の本棚にあることに因縁のようなものを感じ、なんだかうれしくなる。

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バジル

2013年09月24日 | 日記


笊に山盛りのバジル。この春に種を蒔いたバジルが、収穫期を終えようとしている。トマトと相性のいいハーブだが、収穫期になると旺盛に成長するので保存に苦労する。昨年は塩漬けにして、スパゲティに利用しているが、利用する回数が少なく未だに使い切れていない。今年はバジルペーストに加えて、乾燥バジルも作った。今回の収穫分は、生のまま冷凍にした。

バジルはイタリアではバジリコと呼ばれ、香りが高くイタリア料理には欠かせない。畑にバジルを植えるようになったきっかけは、トマトソースのスパゲティを作ったときにバジルペーストのおいしさが忘れられなかったことだ。自分で栽培すると何より新鮮なバジルを利用することができる。その香りの高さは、バジルを育てる手間を忘れさせる。ただスパゲティだけの利用では、保存しても余ってしまう。料理のレパートリーを増やさなければならない。

ズッキーニも同じような理由で栽培したが、こちらは利用が広がり、収穫が不足している。それも雨や高温で本体が萎縮して収穫がままならない。こちらは、成育の管理をもう少し研究する必要がある。コリアンダーは秋の収穫に向けて成長を始めている。今年は更に、フェンネルとディルを蒔いた。今芽を出している。このハーブは魚料理に利用されているので、さらに食卓のレパートリーが増えるので楽しみだ。食の楽しみを増やすことは、人生を豊かにすることに他ならない。

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蕎麦の花

2013年09月23日 | 日記


田の稲に隣あって蕎麦の花が咲いている。国の減反政策で稲を栽培できない田に、代替として蕎麦を植える農家が増えている。一面の蕎麦の花が白い花を咲かせる風景は、減反に始まったのではなく、昔から山の畑に蕎麦が植えられてきた。北海道に蕎麦が多いのは、開拓した畑に最初の蕎麦を蒔いたからだ。蕎麦は荒地にも強く、春に植えれば夏に収穫が可能だし夏に蒔けば晩秋に刈入れができる。

蕎麦はまだ花でもてなす山路かな 芭蕉

香り高い新そばの季節は、もう少し気温が下がって蕎麦の実が入らなければできない。芭蕉はおもてなしが新そばでなくとも、蕎麦の花であってもよいとその風情をよろこんでいる。北海道に住んでいたころ、蕎麦うちは母の数少ない特技であった。母は蕎麦が好きで、自分で打った蕎麦を味噌汁のなかに入れて子供たちに食べさせた。

だが、蕎麦の食べ方がいかにも田舎的で、孫たちには苦手なものだったようだ。田舎の料理はとろろ芋や牛乳チーズなどが人気があった。母のもてなしには、どこか荒削りな雰囲気がついてまわっていた。


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浅草岳

2013年09月22日 | 登山


新潟県の魚沼小出と福島県の只見。この二つの集落の間を遮るように立つのが浅草岳である。標高1585m、それほど高い山ではないが、日本有数の豪雪地であるため、この山は雪の侵蝕を繰返して急峻な山容が形づくられた。この日、山友会5名は小出の奥にあるネズモチ平の駐車場に車を置いて前岳から浅草岳山頂を目指すコースをとった。

登山口の近辺で殉職警官4名の顕彰碑を見る。浅草岳の春山登山の救助に向かった警官の二次遭難の顕彰碑であった。春山とはいえ、残雪の多いこの山は雪崩が頻発する。一瞬の雪崩にあった救助隊もその雪崩を避けることができなかったのであろう。痛ましい事故を思い起こさせる顕彰碑であった。夏を越したこの季節に冬の過酷さを想像するのは難しいが、積雪を表す紅白のポールの長さが半端でない。見た目でゆうに3mはあるようだ。



大陸からの高気圧が張り出していて、さわやかな秋晴れである。尾根道に辿りついたころのは多少汗ばんだものの、体力の消耗は少ない。青い空とこの山を取り囲む越後の山や燧ケ岳などの会津の山々が一望できた。ただ惜しいことに、高山の花々は咲き終わり、美しいであろう紅葉はまだまだであったことだ。



前岳から山頂に向かう広い尾根には、板敷きの登山道である。左手の斜面には草叢が広がっている。浅草岳の名称は、この草原に由来していると案内書にあった。種をつけたコバイケイソウの茎が枯れる前の姿を見せていた。

頂上から会津側にある鬼ヶ面山の切り立ったスバル。垂直の面に木が生えている風景は、植物の生命力の強さを物語っている。その頂上を経て浅草岳へ通じる登山道がかすかに見えている。こんな急峻な道を通れば、積雪の季節には危険が伴うことは容易に想像できる。



頂上から見えるもう一つの眺望は田子倉湖である。只見川の上流に作られた田子倉ダムで出来た人造湖だ。干しタコの足を広げたような格好である。この辺りの水力発電は日本の最大級の規模を誇っている。車をネズモチ平に置いてあるので、只見方面への下山はかなわず、桜ソネの登山口に下山する。要所に板敷きの階段があって下山は楽だ。このあたり嘉平与ボッチなど珍しい名の高台がある。この日の歩行距離8キロ、5時間半ほどの所要時間であった。



帰路は高速を使わず、国道252号で峠を越えて、只見町へ抜ける。田子倉湖の展望台で小休止、湖の夕景をみる。丁度、日没前の湖は風情のある景色であった。252号の山中は、道の両側に切り立った山並みが連続している。こんな景色も日常のドライブではめったにみることの出来ない風景だ。




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中秋の名月

2013年09月20日 | 日記


昨夜の名月は、天候に恵まれどこでも美しい月が見られたようだ。ラジオの視聴者が、月に財布をかざすとお金が増えるという話を聞き込んで、早速かぞくでかざしたという話があったが、果たして効果のほどはどうであろうか。ちょったしたジョークというべきか。

今日の月すこしく欠けてありと思ふ 後藤 夜半

尾花沢の親戚から電話があった。インゲンを採りにこい、という話で急遽行くことに。もうきのこの季節でこちらの様子も見てきたい。



尾花沢で刈入れ前の稲は見事な黄金色。この状態でも、稲刈りには多少青みが残っているのでいま少し待つということであった。インゲン豆、茄子、ジャガイモなどを貰ってくる。いつものことだが、親戚のMさんに感謝。キノコはまだ出ていない。これから、キノコが出たら又電話する由。



Mさんの言葉をすなおに受け取っていればこんな失敗はせずに済んだのだが、帰宅途中、以前入ってキノコを採ったことのある水ヶ沢に行く。狭い農道を入って行ったが、キノコも出ている気配もないので、諦めてユーターン。引き返し始めたとたんに、左の車輪が路肩を外して脱輪。車輪は空転して身動きがとれなくなる。JAFに依頼して車を牽引してやっとの思いで
運転を再開、ことなきを得た。草で路肩が隠れていたとはいえ、注意不足、反省しきり。JAFの車が、この農道にくるまで約1時間。冷や汗の連続であった。



立待ち月は翌朝になっても西の空にあった。山行の途中、新潟の関川で撮影。朝の6時である。

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