
飯田橋ギンレイホールで上映中の映画「最高の花婿」を見てきました。
フランス・ロワール地方の都市シノンで暮らすヴェルヌイユ夫妻は、カトリック教徒でド・ゴール主義、保守主義を自認する典型的な中高年のフランス人。願いは美しく成長した4人の娘達が‘普通の’フランス人と結婚し、穏やかで幸せな家庭を持ってくれるという、ごくささやかなことだったのだが、、、。
3人の娘は夫々にアラブ人、ユダヤ人、中国人と結婚。宗教や文化、食事のルールまで違うことに疲れ果て、挙句、ちょっとした物言いが人種差別のように受け取られて、夫妻は娘達夫婦と喧嘩別れ。一年半ほど音信不通となってしまう。
娘や孫に会えない寂しさに耐え切れなくなった妻マリーは、一念発起してクリスマスイヴに皆を自宅に招待することを決意。ハラール認証の七面鳥を買って3ヶ国の味付けの料理を作り、夫クロードの掛け声で全員シャンパンで乾杯!それまで夫妻に対してだけでなく、夫々の人種的こだわりで互いにギクシャクしていた婿たちも、次第に打ち解けて、一緒にフランス国歌を歌い、教会のミサにまで同行する。
そんな中、夫妻にとって「最後の希望」だった末娘が連れてきた婚約者は、カトリック教徒だと知って喜ぶ夫妻の期待と裏腹にコートジボワール出身の黒人青年。しかも父親はフランス人嫌いで結婚に大反対。夫妻の落胆と苦悩は自分達の離婚騒ぎにまで発展する。
・・・そんなこんながあって、コートジボワールの父親と末娘の父クロードもドタバタ騒ぎの末に結局和解。末娘ロールと婚約者シャルルの感動的な結婚式というハッピーエンドで幕となる、といったお話です。
随所随所に出てくる、異なった人種に纏わる互いの思い込みや、日常の内輪で交わされる正直な感想、一般的フランス人のある種無邪気な自己中心性などが、ユーモラスに描かれていて、思わず笑ってしまいます。
でもこの異人種の婿の一人が日本人として登場したら、ちょっと複雑な心境過ぎて、類型的に語られることに大らかに笑えなかったような気もしました。
ちょっとほろ苦さを伴う、それでも明るいトーンで善意に貫かれた、心温まる作品ではありました。
この映画は日本では3月に封切り。好評につき今も日本各地で上映されているようです。ギンレイホールの上映は9月23日までです。(三女)
