ストローバレイ家の介護奮闘記

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「スケーエン デンマークの芸術家村」展@国立西洋美術館

2017-03-09 16:14:28 | 日常
            

国立西洋美術館で開催中の「スケーエン デンマークの芸術家村」展を見てきました。

            

スケーエンという地名を私は今回初めて聞いたのですが、デンマーク、ユトランド半島最北にある街で、美しい砂浜が広がり、昔から漁業が盛んな地域だったそうですが、19世紀終わりごろ、交通の便も悪いこの街に、デンマークの若い芸術家たちが集って芸術家コロニーを作り、この地の自然や人々の暮らしをモチーフに、様々な作品を描いたということです。

上の絵は、ミカエル・アンカーの「スケーエンの南海岸、9月のある日」。静かな海岸の絵は爽やか潮風まで感じさせて、見ていて安らぎを覚えます。

          

ミカエル・アンカーの「やつは岬を回れるだろうか?」・・・漁師たちがスケーエンの南海岸に立ち、荒れる沖を見つめています。

同じくミカエル・アンカーの「ボートを漕ぎ出す漁師たち」・・・灰色の空の下、荒れる海にボートを押し出す漁師達とそれを見守る村人たちの真剣な眼差しが胸に迫ってきます。

海は安らぎを与えると共に、時に荒れた険しい表情を見せ、漁師にとっては厳しい闘いの場でもあることを、ミカエル・アンカーは見事に描いています。

            

ミカエル・アンカーの「草原を歩くアンカー夫妻と娘ベルガー」。一方で、画家自身とその家族のスケーエンでの暮らしは、温かく満ち足りたものだったことが伺えます。

            

アンナ・アンカーの「ダンスパーティーのための青いドレスを縫う3人の老女」・・・ミカエル・アンカーの妻アンナも画家としての活動をしていましたが、主なモチーフは室内の情景、とりわけ家族や友人・知人が日常の細々した手仕事に勤しむ姿だったそうです。19世紀末~20世紀始めの女性の慎ましく穏やかな暮らし振りを感じさせます。

            

ペーダー・セヴェリン・クロヤーの「ばら」・・・解説本によると、クロヤーは1880年代のパリ滞在中に印象派の画家達との接点があり、庭というモチーフや光の描写などに、モネの影響が見られるとのこと。白いバラと光の当たった緑の若草の色合い、木陰で寛ぐ妻マリーと愛犬ラップのゆったりした姿は、優しさに溢れ、絵全体から幸せな気分が伝わってきました。

今回はスケーエン美術館のコレクションから59点の作品が選ばれ紹介されていましたが、自然の美しさや厳しさ、真っ直ぐに生きる人々の、崇高さや温かさが溢れた姿がどの作品にも見られ、見ていてとても心が落ち着き爽やかな気持ちになりました。(最近騒々しいニュースばかりで気持ちが荒みそうになっていたのですが、良いデトックスになりました。)

☆この絵画展は、西洋美術館の常設会場の中に設置されているので、必然的に常設の「松方コレクション」も見ることになるのですが、こちらもビックリするほど充実していて素晴らしいです。すいているので気が向いたときに訪れてゆっくり過ごすのも良いかもしれません。(三女)
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