92歳だった。
6年前、先に逝ったお義母さん同様、
初めて逢った時から、
終始優しく接してくれた。
家族や周囲の人とのつながりを
とても、大切にする人だった。
根本的に、その印象が覆ることはなかった。
3週間前の朝、病院からの電話があってから
息子達は連絡を取り合い、心の準備をしていた。
一度、病室でお義父さんと2人だけで
少し長い間いる時間があった。
不思議なほど意識も言葉も、はっきりして
体力が心配になるほど、ずっと会話が出来た。
「アンタのおとうさんは、
新しいトコは、住みやすいといっているか?」
昨年1月に逝ったわたしの実父は生前、
転居をくりかえしていたから、
記憶の混乱かと一瞬うたがった。
・・・でも、そうではないようにも感じた。
「それは・・・いいところに行っているはずです。」
あやふやなまま云うと
「ほーか。そら、よかった。・・・そんなら、ええわ。」
と、思いのほか力強い声でこたえてくれた。
どちらだったのか、今でもはっきりしない。