いつも覗かせていただいている『はんなり・・・』で、
この映画をはんなさんが取り上げていらっしゃるのを読んでいて「!」。
見たいのに、見逃していたこの映画の一週間だけの
アンコール上映の情報が記事末尾にありました。
ちょっと無理しても、行って良かったぁ。
+ + +
東西ドイツの時代は、はや記憶から薄れつつありますが
後遺症のようなものを描いたドキュメンタリーTVを
みて、ショックを受けた事があります。
この映画の監督も母親が東ドイツ出身だったということで
幼少のころ、大人たちが感じていた恐怖はとても強い
印象として彼の中に残り、4年という年月を撮影前の
リサーチにかけたという、この映画の誠実な制作姿勢に
反映しているようです。
暗い映画・ツライ映画を覚悟していましたが、
酷い場面やある意味怖ろしいシーンはところどころ
あるものの、たんたんとストーリーが進む中にも
ところどころ日常的なユーモアが含まれていたり、
その後のストーリー展開への伏線があったり、
絵にかいたような悪役が出てきたり・・・引き込まれます。
名画と一緒で、無駄なひと筆がない感じ
セバスチャン・コッホとウルリッヒ・ミューエーはステキでした。
役とはいえ、困難を前にした時彼らのようにに冷静に
それでいて人間としての誠実さを失わず生きたいものです。
ウルリッヒ・ミューエー演じるヴィスラー大尉と
子供のツーショット、エレベーターのシーン、
(良かったなぁ。。。)
体制崩壊後、ラストシーンの最後の内面笑顔の無表情・・・
(あ~~思い出しても涙と鼻水が・・・。)
鼻をすすり上げる大泣きが、あちこちで聞こえましたが
他の人が同じものを観て共感し、なみだしていることを、
嬉しく感じた映画でした。
観た後にすがすがしさの残るステキなヒューマンドラマでした。
(クリスタは悲惨・あわれで、パンズ・ラビリンスの
母親を思い出しましたが。)
いい映画ってやっぱり人の心を動かしますね。
先に観た友人は「ラストシーンにしびれた」とメールをもらったのですが、ナルホドと唸らされた作品でした。
それにしてもハーミットさんの文章は本当に丁寧だなぁ(羨望)
クリスタだけは、なんか悪役以上の
汚れ役というか・・・ちょっとたまりませんでしたね。
女性が人権を維持できるのは国が安泰な
証拠かなぁ。
丁寧でどころか、感情的なので、長所は
ネタバレにならないとこですかね。えへ。
我ながら、観なかった人には、おそろしく、
配慮のない文です。(汗
ラストシーンに関しては、はんなさんも
>ラストシーンの台詞が素晴らしいです
と書いてはりましたよね。
ほんとに大人向け、いい映画でした。
「ブラック・ブック」に比べると、地味で淡々と進むのですが(でも、日本映画のような淡々さではない)、これが「現実」なのかもなあ、って思います。
ラストシーン、良かったですよね~~~!!
芸術が人間の心に働きかけるパワー、というものを信じていいのだ、と、改めて確信しました。
だから、極論ですが、そこらへんのタカ派の政治家なんかより、韓国や中国で人気のあるアイドルの方が、よほど「平和外交」に貢献していると思います。
人間が人間らしい心を持ち続けること、持ち続けられる状況を死守しないといけないのだと、弱い人間である私は、強く思います。
地味そうだし、過去の問題だし・・・
と思って、強いて観にいくつもりは無かったので
見逃していた、というより見送っていたのですが
まさか「アンコール上映」とは・・・。
はんなさんも褒めてはったし、やはりいい映画は
人の心を打つようで、私が観にいった平日の朝一番、
かなりの席が埋まっていました。
ラストシーン、報われましたよね。
「本の献辞なんて・・・他の買った人には失礼では?」
という意見を何処かで読んだのを思い出しましたが、
一冊の本に対する著者の思いや、著者の感謝の
思いは、他の人も微笑ましく感じて受け入れるべきだと
この映画を観て思いました。
ほんと、政治家より人と人ですね。
いろいろなところで、自分の人間性を
押し殺さないと生きづらいことがありますが
この映画の二人の男性は、決して正義感振りかざして
敵に体当たりの突撃はしないけれど、
決して自分の正義感と人間性を失いはしない。
日常の些細なことでも、そんな精神のあり方
は、
見習って生きたいと私も思いました。