このところWOWOWで『ライフ・オブ・パイ』が
繰り返しオンエアされています。
冒頭のインドの動物園の様子からはじまって
映像も美しいし、内容も深くて
衝撃的な部分もありましたが
結末も温かみのあるいい映画でした。
成人パイを演じた俳優さんが
なんともいい味を出していて印象的でしたが、
その彼が、イルファン・カーン。
見るからに知的。何か暗いものを心に秘めた人。。。
それでいて、心の奥に温かみを決して失うことのなさそうな・・・
演技以前にそういうものがにじみ出ているような。。。
今回の『めぐり逢わせのお弁当』でも
成人パイのイメージとオーバーラップする
孤独で繊細な主人公サージャンを、好演しています。
ストーリーは、インド独特のお弁当運び屋さん
ダッバーワーラーの誤配を発端にしてはじまる
冷淡な夫を持つ主婦イラとリタイアを控えたサージャンの
ラブストーリーですが、
お弁当を追いながらダッバーワーラーを
ドキュメンタリーのように捉えていたり
サージャンの後輩シャイクの若い苦労人らしい
したたかでぎらぎらした上昇志向に満ちた言動とか、
すごくリアルな部分が、映画自体の
さらりとした繊細な雰囲気にコクを
出しているように感じました。
でも、ストーリーとしては
声しか登場しないけどイラと支えあう叔母さんとか、
じっと、母親を見上げるイラの娘とかの存在を
考えると・・・結末は・・・私の予想する結末は
ちょっと、後味が悪いものです。
私は恋愛至上主義ではないので、
「夫が嘗めるようにお弁当を食べてくれた。」と
喜んでいたいじらしいイラが好きでした。
あるインタビュアーが
「コレって、ラブストーリーですよね?」と
リテーシュ・バトラ監督に
尋ねたというくらい、
いろいろなものを包括したまま、
現実的に結論を出さなかったところが
ヨーロッパでもうけたこの映画の魅力かも知れません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます