
Blogの記事の中でサポート中、ライブというカテゴリーは、考えてみれば思い出になる大切なもののように思えてきました。
リハビリ中なんて言って、休みを多くしていますが、書かないで済ますと1年もたてば忘れてしまうだろうからそれももったいなく、15日に行ったコンサートの印象を残すことにしました。
ヤロン・ヘルマンとの出会いはフランス土産のCDで、その個性にビックリしました。
今年になってその前の年のソロ・アルバムが日本盤で出て、仲間内でもかなり注目のピアニスト、そのヘルマンが初来日しすみだトリフォニー・ホールでピアノ・ソロ・コンサートです。
パンフレットには
“新しいピアニズムとの出会い。キース・ジャレット、ブラッド・メルドー そして___未来は唐突に訪れる。ヤロン・ヘルマン・デビュー。”
とかっこ良くありますが、2007年に出会っていた身には唐突ではなく、待ちに待った来日です。
とても柔らかく、靄の向こうから聞こえてくるような始まりでした。
個人を表すというよりか、普遍をあやなすような広い世界、曲がしっかりと構成されています。
クラシカルな2曲目、ピアノタッチがとても優しい。
3曲目、どうしてもキースを意識してしまいますが、キースより優しいハーモニーとタッチ。
私が感じる音の出し方は、キースは引いて出すのにたいしヘルマンは押して出す感じです。
4曲目スタンダードのリズムの乗りはちょっとかもしれない。
5曲目最後の広がりがまずらしい。
前から3列目にいたものの、鍵盤が見えない位置、弾く手も見てみたい。
休憩を挟んで、お知り合いの隣が空いているというので、そちらに移動しました。
1曲目“ムーン・リヴァー”、ピアノを弾く姿はキースともメルドーともまるで違う。鍵盤上の手はキースのように重なり合うことは少なく、左右がしっかり分かれています。これは発見で、ヤロンは意外とオーソドックスな手法をとるピアニストみたいに思います。
3曲目“サマー・タイム”はソロアルバムにも入っていますが、この曲を独自の雰囲気で弾くひとあまりいないと思います。
4曲目フリー調の弦を手で叩いたりの演奏ですが、構成がしっかりしていて、不安定なところがまるでない、途中の小品のようなかわいい曲などは左手のハーモニーと右手のメロディがマッチして、この人の真骨頂です。
アンコール譜面も持って登場はたぶんと思いました。
ちりばめられた音辺が風に舞うように始まると、“さくら”でした。まあ、あまりデフォルメはなく見世物的ではありましたがサービス心はあります。
次の“星に願いを”で意外とあっさりと終りました。
ソロアルバムからキースを意識して聞き始めましたが、どちらかというとブラッド・メルドーに近い、舞台のスタンウェイに拍手を送るように、ピアノ自体の個性も参加した、とても上質な音に包まれたひと時でした。
新しいアルバムを手に長い列(完売だったそうです)最後の方に並ぶと、意外と順番が早く回ってきました。どうしてかというとこのサイン、これうまい手でした。
