村上春樹 著の「騎士団長殺し」を読み終わりました。
評論家じゃないから評論じゃなくて感想。
読み始め、これ賞取りに来たのかなという感じでしたが、結構その後軽い感じの春樹の位置づけではないでしょうか。
キャプチャーのタイトルが前作と同じでとても楽しい。
登場人物の免色渉さんや、秋川笙子さんがとても魅力的だったけれど、結構重要な役割の私のオクサンはもう少しこれも魅力的な存在なのだから、もっと書き込んでほしかった。
書評じゃなくて後でこれを見て思い出すのが目的だから一節を抜き書きするのがここ。春樹ファンは一節だって大切にするから抜き書きは違反だけどちょっとだけ。
まず笑ったのがこの一節。
「そればかりはあたしにはわからんのだよ。ある時点であたしは純粋なイデアとなった。その前にあたしが何であったのか、どこで何をしておったか、そういう線的あ記憶はまるであらない」
重要人物、騎士団長のことばだけれど、こんなのストレートに書いちゃうのっていうのが今回の解りやすくしているところでしょうか。
後はジャズネタ。
ジャガーとプリウスとでは、ドアの閉まる音がまったく違うことに私はあらためて感銘をうけた。音一つとっても世界には実に多くの差異がある。ダブルベースの同じ開放弦を一度だけぼんと鳴らしても、チャーリー・ミンガスの音とレイ・ブラウンの音が確実に違って聞こえるのと同じように。
そしてこんなように書いてくれると嬉しくなる親友との一場面。
雨田は紙袋からシーヴァス・リーガルの瓶を取り出し、封を切って蓋を開けた。私はグラスを二つ持ってきて、冷蔵庫から氷をだした。瓶からグラスにウィスキーを注ぐときに、とても気持ちの良い音がした。親しい人が心を開くときのような音だ。そして我々は二人でウィスキーを飲みながら食事の支度をした。