
ちょっと時間が経ってしまって、どのような経緯で購入したか忘れてしまったけれど、ピアソラをヴァイオリン、ピアノ、ベース、チェロの組み合わせで演っているのだから、どんな時でも買っていただろう。
チェロでピアソラというのは結構あるけれど、この組み合わせで全曲ピアソラというのは珍しいのではないだろうか。それもこの、エルシエロというグループは日本のミュージシャンなのです。
長谷川智恵という方が、実に丁寧な解説をジャケットに書いてくれていて、理解が深まる。(ジャケット解説でうれしくなるなんて実にひさしぶり)
まず強調されているのが、ピアソラの曲をバンドネオンを使わずに、この4っの楽器で構築していることの努力が挙げられている。そういうところ楽器構成も、アレンジもとても意図的で、また意図が上手くいっていることはとても良く伝わる。
2015年より活動を始めているエルシエロだそうだが、そのメンバーから計算されたものだろう。クラシック・ヴァイオリンの桜井大士とプロデューサーの森理の発想でスタートし、そこによき共演者であるピアノの高木梢をくわえ、少し硬質なメロディラインを形作っている。
本来ならばクラシック系になるところをジャズ・ベーシストの金森基を入れてクラシックにない間合いを作り出す。ここにチェロが加わってメロディ、音色の幅とでき、かなり凄いピアソラになっていて驚く。
リベルタンゴのアレンジなども凝っていてピアノのソロからヴァイオリン、チェロとそれぞれの楽器の魅力が出ていて秀逸。バンドネオンの作る世界を再構築していこうとする意図が理解できる。
そこら辺を聞いていよく演るということでうれしくなるが、その分ちょっと難しさとか生真面目さが感じられたけどそれも置いておいてよいように思う。
ベースの登用などでの間あいなどグループがもっと演奏に慣れができていったときに、バンドネオンを解体しこの組み合わせで演ることの美しさが増していくだろうという気がならない。

ASTRO PIAZZOLLA / EL CIELO 2020
桜井大士(ヴァイオリン)
高木梢(ピアノ)
金森基(ベース)
橋本專史(チェロ)
エスクアロ(鮫)
リベルタンゴ
秋 – ブエノスアイレスの四季より
天使のミロンガ
天使の死
冬 – ブエノスアイレスの四季より
オブリヴィオン(忘却)
ミルトンの肖像
ミケランジェロ ‘70
春 – ブエノスアイレスの四季より
夏 – ブエノスアイレスの四季より
悪魔のロマンス
アディオス・ノニーノ