読むものがなかった時に買った本を、ゆっくりと読んでいく。内容を把握しようとかつまらぬことは考えない。気が向いたときにゆっくりと楽しむ。
平成9年に刊行され、文庫のこちらは平成12年だから大分古い本だから覚えのない人もいるかもしれない。
敬愛する嵐山光三郎が三十七人の分子文士たちの食癖をつづったものだ。
三十七人は夏目漱石から三島由紀夫に至る。編集人でありしょっぱん人であり作家である光三郎しであるから、文人への視線はやさしく、厳しくそして氏らしく少し曲がる。すべてを読む必要もなく、気になる人をゆっくりと読めばいい。
私は気になった堀辰雄になじめて坂口安吾、太宰治、檀一雄、深沢七郎と読んでいく。
巻末の参考文献の量に編集人としての気質がでていて、その内容のが深まていることがわかる。
坂口安吾や太宰の薬漬けの生活が興味深いし、実際に編集者としてかかわった壇一雄や恩師である深沢七郎の記述は、光三郎でしか書けないもので、大変面白い。